とある休日の昼下がり。
お客さん同士の雑談中は、我々はお邪魔致しません。
店員の事は気にせず、お好きにお喋りしていって下さいな!
ヨクワカッタナアタシジツハジューヨンサイナノー(鼻つまんで棒読み)
…天才っつーとダチに居っけどねスゲーヤツ。あたしはタダの半端モン。
(ハンバーグとソテーを纏めてフォークで刺して口に運び)…生きてく分には。
道理わきまえて見て聞いて。そのとーりやりゃー大体はあり合わせで事足りっし。
そーもいかんコトもあんのは知ってっけどね。だからってどーにかしたいとか…
あーアレ。「勝ちたい」ってヤツがないっつーと分かりやすいか?
(冗談っぽい提案には笑って、なんだかすまなさそうに)…好きに。なれたらね。
(概ねハンバーグとカレーを交互に食べている。
特に肉類を口に入れた際、食事中の猫っぽく満足げに目を細くするようだ)
うはっ美意識キタコレ。スバラシー(指を広げてテキトーな拍手ぱちぺち)
ソレじゃキミのコダワリを見習って替えの効かん本気下着を調達しよーか。ん?
(シームレス?に繋げてナチュラル??な是正を上から目線で差し向けてみる)
ふーん?(女兄弟の件はよく分からないとばかり首を傾げて福神漬けバリボリ)
ソレもよく言われっけど。ソモソモ動きたくねータチだしベツに不都合は…って。
…オマエ。まだあたしのコトオンナ扱いしてるワケ?(びっくりぱちくり)
うんドン引き(即答)っつーか写真撮って逃げ帰ってねこったーに晒すレベル。
でも当人がマジならしゃーないムリだけど。
(同じ接客者として柔らかな対応に感心しつつ。そして食べつつ。話を聞き)
おおっと門外不出の最重要機密ローエー(「タイヘンだー」とくすくす)
でも…(「フム」と思案げに唇なぞり)…ウン。聞いた甲斐。あったし。
あんがとオネーサン。モチロン(ちろっと目だけで他の客を見て)ナイショにしとく。
…つーワケで楓。共犯だぜウチら(ナイフとフォークを交差させて口の前に×を作る)
毎年…。イマドキの日本じゃその人数だけでも珍しーのに。スゲーね。
するとナニか。長女が小6んとき鳴神姉弟が小学校の全学年に散ってたのかね。
(ポタージュを3度口に含んでじんわり味わってから)…なんか納得した。
初めて会ったときにな。目鼻立ちとかホネがちょっと特徴あんなって思ってたし。
(しばらく瞳を見つめてから、ふわーと妙に優しく微笑んで)…綺麗だね。
にしても…ンな調子で子作りしてたぐれーだ。ネーミングにも相応の理由あんだろ。
(わりかし頻繁に笑顔をみせたり冗談を言うのはメシがうまいからかも知れない)
ふふ、ありがとうございますね。いいえ、私の事はお気になさらず!
お客さん達に少しでも良い時間を過ごして頂きたいだけなんですものー。
また御用が御座いましたらお気軽にお申し付け下さいね?(膝を軽く曲げて優雅に礼をし
(獅子島さんの指先を目で追い、ピアノに目をやったまま微笑む)
ああ、あのピアノですか。
うちのマスター、この島の出身なんですけれどね、此処で店を開く為に本土で修行していたらしくて。
立派なピアノがトレードマークの老舗バーだったそうなんですけれど、其処で毎晩ピアノを弾いていたんですって。ジャズのバンドみたいな事も其処でしてたみたいです。
で、独り立ちして此方で店を開く時に、開店祝いで頂いたのがあのピアノなんですって。
ああ見えてうちのマスター、ピアノ得意なんですよ?
たまに弾いてるのをこっそり聞いてるんですけれどね。
でも人前では弾けないって言ってるんですよね、なんでか分からないんですけれど……。
……あ、この話、マスターには内緒にしておいて下さいね?
何度も何度も聞いてやっとの事で『ぜえったいに内緒よおおお!』って言いながら教えてくれたんですもの。
(悪戯っぽく笑って口の前に指先でバッテンを作り)
(努力したことない発言を受けてさも可笑しそうに)
へー、何お前所謂天才肌ってヤツ?
頑張り方が分からないのが悩みです的な?
くっだらねェな中学生かよ!
努力なんてしようと思えばいくらでも出来るっつーの。
何なら空手やっか、俺が教えりゃ5年で熊倒せるようにしてやんぞ。
スタイルも維持できるだろうし一石二鳥だ。(ゲラゲラ笑う)
おっと、そこは拘りがあると言ってもらいたいね。
服であれ何であれ目的が明確なモノには独特の魅力がある。
そこから垣間見える人間の美意識を愛でてるワケよ俺は。
そうそう、まさに替えが効かないってのが重要な点だな。
(意味を履き違えての応答。明らかにわざとである)
(ハァ、と呆れたように溜息を吐き)
女兄弟なんてのは女のうちに入らねェんだよ。
しかし痛ぇならそれこそ付けろよと思うのは男のエゴなのかしらん。
つーかおいV字て。お前ホントに相手がそれ着てても引かない自信ある? 俺は引く。
おータルトも美味そうだ。何度も悪ぃね店員さん。
(軽く会釈しつつピアノ関連の会話に聞き耳を立て)
一日中勘繰ってるとか疲れねーの?
まァそれで気が済むならもうお好きにどうぞって感じだが(タルトをひと口)
うわこれもすげー美味い(ガツガツ)何食っても美味いとかここのマスター何モンだよ。
(一息吐いてコーヒーを啜り)…で、生い立ちだっけか。
んじゃ先ず俺に5人も姉ちゃんがいる理由とか聞く? これがまたくだらねェんだ。
つっても親父が男の跡継ぎが生まれるまで毎年頑張ったってだけの話なんだけどな。
あー、あと意外と気付かれないけど俺ハーフなんだぜ。ママがアメリカ人。
この(指先でぐい、と目を大きく開く)目の色はママから貰った宝物だ。カッコよかろ?
あー…そのリクツでいくと。多分あたしはイロんなヤツの敵。
なんせ生まれてこのかたマトモにドリョクしたコトねーもん今まで。多分。
(詰まらなそうに、冷めた声で。ぽつり)…ソレでなんとかなったしさ。大抵は。
けど…(噴き出す顔を見て、くすっと)
タルになったらダイエットしたくなんのかねやっぱ。なら捨てたモンじゃねえ。
(すなわち当面は食っちゃ寝を続ける意思表明…)
しっかし………趣味はヒトソレゾレだがなんつーか。
若いんだかフケてんだか分からんヤツだなオマエは。
目的に応じたファッションが大事なのは認めっけど。
制服や…道着なんかも。似合う似合わないの問題じゃねんだろーし。
問題なのはイカにも替えがねーコトだ(ウムと唇を上向きに閉じて三角にする)
ってナニ引いてんだ。どーせ見慣れてんだろ女系家族。ああイヤだからかムシロ。
ばるんばるn…まーそーすね。だしハゲシー運動したくないんよ。イテーしな。
…「ソレ」も含めて「正装」なの。
仮に…ふん。楓がその下にV字レオタード着てても同じ(酷いたとえ)
(並べられた料理を見て微妙にソワソワしつつ。ピアノを指差して美崎さんに)
あの。アソコにあるスゲー立派なピアノのさ。
由来っつーか来歴っつーか…なんかそーゆー知んないかな。キョーミ本位だけど。
っても…(かきいれどきの店内を見て)…今忙しいか。あとでも構わんから。
(さっそくルウの付いたカツをくわえて)…イイじゃんシアワセ。
どーせ聞くならその方がメシウメーし(はしゅっはしゅっとライスを口に運び)
あとあたしは今日1日勘繰ってっから気にしなくていーよ逆に(むぐむぐ)
どんな些細でも(ごくん)コトバっつーのは強い。たくさん情報含んでっからね。
案外オマエの身の上バナシでオネーサンコロっと落ちるかも?(すまし顔で)
とっかかりが要んなら…(ハンバーグを切りながら)…生い立ちとか。
大変お待たせ致しました!前失礼いたしますねー。
(獅子島さんの前に大盛りのカツカレーライス、 ゴルゴンゾーラとハンバーグプレートセットにコーンポタージュ、水氷の入ったガラスコップを並べ、鳴神さんの前にフルーツタルトを置いて温かいコーヒーをカップに注ぐ)
はい、何でしょう?承りますね!
(空いた皿を片付けた後、笑顔で待機し)
思わせてくれさえすればいい、ね。難儀な性分だこった。
正直者の楓さんには荷が重いぜまったくよー。
(明確な肯定も否定もせず、ただクツクツと喉を鳴らすだけ)
少なくとも俺は知人がその渾名で呼ばれてたらイジメを疑うね。
そりゃこんな苗字だから辿ればそれ系の神様由来なのかもしれんけどさ。
(食っちゃ寝してたら発言にケタケタと笑って)
うっわ市子お前今ダイエットに悩む女子全員を敵に回したぜ。
しかしタルなぁ、……ブハッ(想像して吹き出したらしい)
ふーん。まあ好き好んでそーゆー仕事するタイプには見えねーわな。
いやほらだってベージュって何かお母さん達の下着みたいなイメージが…。
ああ、でもそれこそ人妻が身に付けてたら生活感が垣間見えてイイかもな…(一人でうんうん頷く)
分かってねぇな、似合う似合わないより「赤を選んできた」ことが大事なんだよ。
煽る気見え見えの色だからこそよっしゃこっちも! って気になるんだろーが。
つーか替えるの普通なのか…。でもその様子だと替えを忘れたっぽい?
………え、えぇー(本日二度目)
いやいやそれは年頃のジョセーとしてどうなんだ。
じゃあ何その推定Eのブツは常にばるんばるん状態なの? 違う意味でまたスゲーな…。
しかし人には正装で来いつっといて自分はそれかよ、オネーサン?(からかう様にニヤニヤと笑い)
(お前の事を聞かせろ、の言葉に少し考えるそぶりを見せて)
あー、確かにこっちから訊ねるばかりになってたな。別に嫌って事ぁねーよ。
たださっきのカミナリサマのくだりじゃないが、お前の勘繰るようなモンは出て来ねぇと思うよ。
断言するが、俺は今まで幸せな人生を歩んできた。もちろん多少は不幸もあったけどな。
それでも良けりゃお望み通り、なんでもかんでも思いつくまま話してやんよ。
あ、すみません店員さんこっちもコーヒーのおかわりとデザートお願いします。
…うたぐり深いんよあたし。でもその根っこにあんのは論理性じゃない。
またオマエのゆーとーりで。ンなヤツ相手にいくら証たてたってソレこそイミねーし。
だし…そー思わせてくれさえすりゃーいい。ウソでもね(自分も肩をすくめて)
んん?かっけーじゃんカミナリサマ。つーかナニかわいくなってんの。
(…ハズしたか?まー直観の当てずっぽうじゃーこんなモンすかね。
とりあえず外圧じゃねーコトは分かったけど。ソモソモ圧じゃねー…のかな)
(そーゆーバイトに対しロコツにイヤそうに)…カンベンしてくれマジで。
ベツに維持もしてねーしテキトー食っちゃ寝してたらこーなったっつーだけだし。
今はよくてもそのうちタルみてーになるかも知れねーな(ククク…)
まーソレはソレとしてカラダは安売りしねーコトにしてんの。
バカヤロベージュナメんなよ男子高校生。
大体イロっつーモンは身にまとうヤツの人柄でも見え方全然違ってくんだぞ。
で重要なのは似合うかどーか。あたしに赤いパンツは似合わん。黒はまー検討。
アレ?イヤあっちーし替えるだろフツウに。
持ってきて…(服装の都合でズタ袋を置いてきたコトに今更気づき)…ねーし。
……………楓(悲壮な笑みで見つめ)
ぶっちゃけナイ。肩やら背中やらにヒモかかってるっつーだけでキレそーなっし。
あんなキュークツなモン着けるぐれーなら痴女認定された方がまだマシ。
モチロン全部食う…けどそーだね。ちょいペース上げねーときちーか時間。
(美崎さんの方へ)すいませーん。次から2品ずつ持ってきて貰っていいですか。
ついでにちょっとおたずねしたいコトがあるんですけど…
(店内に視線を向けたまま、楓に)…今度はオマエも聞かせろよ。食ってる間。
家族のコト。今までどんな風に生きてきて。なんでオマエが今のオマエなのか。
さかのぼって開祖の破門話とか。ドコの宗派だったのかとか。なんでもかんでも。
ヤだったらいーけど。
ま、道外すどころか開祖が空手始めた時点で破門されてんだけどな。
(不機嫌そうにそっぽを向いた相手に対し、冗談めかして肩を竦め)
つーか信じ込ませろって何だよ。そこは信じろよ。
悪魔の証明なんざやったところで不毛だと思わん?
(と、相変わらずの軽口。先程の口上で真面目分は使い果たしたと言わんばかり)
カミナリサマて。それ呼ぶ方が恥ずかしいんじゃねーの。
いや静電気とか俺何も関係無いじゃん…、冤罪だ…。
(平然と対応されるも、予想はしていたのかさして驚くでもなく)
はー、いい身体してんなとは思ってたけど数字で聞くとスゲーな。
グラビアモデル並みじゃん。そーゆーバイトしたら結構儲かるんじゃね?
しかしベージュ…、サテンはいいとしてもうーんベージュかぁ…。
正直言ってちょっと微妙だ…。もっと赤とか黒とかさぁ…。
って待てよ何だ途中で替えるって。アレか、買わせる気か。
女物の下着店入んのとかぜってー嫌だぞ俺は。
そして上を秘密にする意味が分からん。
バカには見えないって事は付けてないの? 痴女なの?
(ひとしきり喋ったところでコーヒーに手を伸ばすが、既に空なことに気付き)
あー、俺そろそろデザート頼もうと思うけどお前どうする?
確かまだまだ大量に注文してただろ。つーかホントに食いきれんの。
知ってんよンなコト。オメーら…は………
(思いのほか真剣な顔に、驚いて。少しの間、見入る。
つっぱねられるのは織り込み済み。ナゼなら「クソみてーな習慣」だから。
ムカシ鬼にされた武芸者もきっと同じようなコトを言ったに違いないのだけど。
だから、同じように他の者にとって彼の主張はやっぱり関係ないのだけど。
でも、多分このオトコは、ソレを承知…覚悟してる。その上で「こう」なんだ。
…で。ウッカリ、口元がほころんでしまって。なんかムカつくし目を逸らし)
……………みんなクチ揃えてそーゆーんだ(むす)
だったら今日1日であたしに杞憂だって信じ込ませてくれ。坊主だって道外すし。
できんかったら未来永劫カエちゃん。さもなきゃー…カミナリサマ(ぽそっと)
…オマエね。あのあとあたしがどんだけ静電気に苦しんだと思ってんだっつー。
髪モタモタなっし猫どもにゃー煙たがられっし。そりゃ根にも持つわこん畜生が。
まーいいけど。
(言うほど気にしているワケでもなさそう。
スープ皿を持ち上げ、直に口をつけて飲み出す。もう、そろそろなくなる頃合)
んん?なんだ欲のねーヤツだな。そんなんでいーの?
上から86・56・90タダシ今日はこのあとウェストプラス2cmの予定。
パンツはフラットなサテン地のベージュ。でも途中替えっしあんま参考ならんぞ。
トップスはアレだ。バカには見えないブラゆえ詳細はヒミツっつーコトでヨロシク。
(恥じらいもへったくれもなくテキパキ答えて、ぐいーっと皿をあおる…)
――成程、それで「共食い」ね。
聞いちまえば簡単な話だ。漸くそっちの意図が理解できた。
(うんうん、と芝居掛かった仕種でしきりに頷く)
……が、その理屈を受け入れるワケにゃいかねー。
もう絶対無理。酢豚のパイナップルくらい無理だねコレは。
(半ばふざけたような前置きとは裏腹に、ともすれば恐ろしい程の真剣な顔つきで)
いいか、俺は「人間」だ。
それはお前が俺をどう評しようと関係ない。
何故なら俺が窮めんとする「空手」は、ひいては「武」は
弱者が強者に、強者がより強者に打ち勝つ為のものだからだ。
はじめから「鬼」みてーな強者なら空手も武も何も必要ない。
それは俺のこれまでの人生の否定だ。断じて受け入れるワケにはいかないね。
(文字通りに断固、といった態度で言い放つ。それだけは譲れないという明確な否定。
しかし言うだけ言うとあっさり普段のヘラヘラ顔に戻って)
まあ、でもお前の心配は杞憂だよ。
そもそもウチは元を辿りゃあ仏門なんだ。鬼とかむしろ退治する側だっつーの。
(ふぅと息をついて最後のチョリソーを頬張る。あまり噛まずに飲み込んだ)
しかし姉ちゃんズ以外にカエちゃん呼びされることの違和感よ…。こりゃナシだな。
つーか接骨院でのアレは当てる気無いの気付いてたじゃねーか。何、結構根に持つタイプ?
あん時ぁホラ、爺さんのワザが観たかったから。ついうっかり。許せよ。(悪びれもせず)
次? ああそういや2つ答えてくれるんだっけか。
じゃあスリーサイズ。もしくは今日の下着の詳細。好きな方でいいよ!(ふわり)
(PL:此方こそ遅くなりまして申し訳御座いません…)
ウム(幸せそうにしっかりと咀嚼。マグロ缶を食う猫の様子に似ている…)
そんじゃー(ごくん)「簡潔に分かり易く」ゆーと(ザクっ)
鳴神楓。
オマエは(もぐ)現代に生まれた「鬼」だ。…コトによっちゃー世に憚る類いのな。
(また纏めて貫いたパンケーキを今度は1枚ずつもそもそ高速に食みながら)
ソレを見極めるためにあたしはココに居る。
まーホカにも理由あっけど今は置いといて。
なんせ伊織の爺サマの前ですらああだったかんな。ほっとくワケいかんし。
さっきも言ったがもし悪玉だったら…シジマに課される選択肢は2つっきゃねえ。
オノレの「心技体」をもって「改心」を促すか。ムリなら…………………てね。
…同類同士タマ取り合うのが「共食い」でなくてなんだ。
だから…メールで伝えた条件。もっぺん声に出して言わして貰う。
あたしに「共食い」させるな。…頼むよ。楓。
(物憂げな眼差しを空になった皿に向けて。かちゃりとフォークを置く。…が)
なーんてな(けろりと顔を上げて)
初対面で貫手かました相手のコト気ーつかってくれたカエちゃんのこった。
ンなナマグセー展開にゃーならんさ。なあ?(ニヤリ)
だって「どんな条件か知らんがゴクゴク飲んでやろうじゃねーの」つってたし最初に。
で?次いっとく?(少しぬるくなったヴィシソワーズをかぱかぱ口に運びつつ)
(PL:間が空いてしまって申し訳ありません…っ!)
――――はい?
(一瞬、思考が空白になった。空回る歯車を幻視する。
今この女なんて言った? ぜんぶゆうべかんがえた。全部、昨夜、考えた……?)
………。
え、えぇー…。
いや、それは、……えぇー?
そりゃ無ぇよ市子サン…。いやマジで、マジでさぁ…。えぇー…。
(がっくり、と目に見えて肩を落とす。
笑いを堪えんとして微妙に堪え切れてない相手に恨めしげなジト目を向けて)
そりゃあ確かに少し、つーかかなり突飛な話だなーとは思ったけども
如何にも神妙そうに話すもんだからこっちも慣れないシリアスっ面して
真面目に考えて応答してたってのにさぁ。これじゃピエロも良いトコだぜ。
あーもークッソ恥ずい…。恥ずか死ぬってコレ…。いくら事実も混じっててもよぉ…。
(ばたり、と突っ伏すとコツコツと指でテーブルを叩く。
羞恥に悶えている様にしか見えないが、その実頭の中では様々な思考が勝手に進む。
先程「事実」として述べられた内容に所々あった不穏な言葉や妙な表現。
わざわざ「そういう風」に言うということは、それはつまり「そういう事」なのだろう。
そしてそれを問いただすとしたら――、やめた。ここまでの思考を丸ごと放棄する。
理由は二点。相手がぼかして言った事をあえて聞き出すこともないと言うのがまず1つ。
もう1つは、……羞恥で考えるのが面倒臭い、というのもまた事実なのだった)
(コツン、と少し強めにテーブルを打つとそのままのそのそと身体を起こして)
あー。何かもう、いいや。これは完全に俺が自分で墓穴掘っただけだわ、うん。
いーよいーよ下手に気ぃ遣った俺の負けだよ。アンタの方が一枚上手だったってことな。
(ハァ、と溜息を吐いて一度目を閉じる。
暫くして目を開けると、どこか吹っ切れたように爛々とした視線を向けて)
そん代わりもうお前にゃ遠慮しねーぞ市子。そもそも気遣いとかガラじゃねェんだ。
(そう言っておかわりしたばかりのコーヒーを一気に飲干す。苦い。また砂糖を入れ忘れた)
はいよ、ったく散々遠回りしてようやく本題に到着だ。
今度は簡潔に分かり易く頼むぜ。あとその頬袋ン中身飲み込んでからにしとけ。
(若干呆れた様子で自分の頬を指差して示し)
……………。いんだよ(かすかに、震えた声で。少し顔色を染めて、うつむいて)
いくら喋ったって減るモンじゃねーし。だってこのハナシは…
ぜ ん ぶ ゆ う べ か ん が え た し
(最低のオチを言いながらブフっと噴いて目元を覆う。
肩を小刻みに上下させて。口角は上がっていないけど、絶対笑ってる。
でも相手がケーキを食べるや否やフォークを引っ込めた。
そして逆手でポテトをわしづかみにして、1本ずつもぐもぐやり出す)
イヤ悪かった。カンベンしてくれカエデ。…う(ひく、ひく)
「あんたの口からあたしの側面語らす」ためにちょいとシカケたんよ。
でも…だから全部が全部ウソってワケじゃない(メガネに指を入れて目じりを拭き)
経緯はともかく獅子島のイミとモトが寝子島だったのは多分ホント。そー聞いてる。
かなりムカシっから婆サマの代まで拝み屋なんだ獅子島は。敷地に社あったし。
ルーツが「白拍子」「神のヨメ」っつートコはあたしの想像…だけど
中坊んときウチにあった古い謄本見たら爺サマも曾爺サマも「居なかった」から。
神秘性保つためにずっと「そうやって」子作りしてたんかな…ってさ。
あ。言っとくけどあたしにゃー父ちゃん居たからねいちおー。
ソレと母ちゃんは占い師。演技スゲーうまくて…ホントは劇団入りたかったらしい。
婆サマはお茶・お華・日舞のセンセーもやってて三味線や琴も得意だった。
ンなカンジでウチは「ソレ系」のニンゲン輩出しやすいみてーで。分からんけど。
ココが「色事」「宗教芸能」。あたし見て「女優」になれるとも言ったな。
チナミに(肩を指差し)ソコにゃー「カゲ」があるだけ。「昼間」だし当然だろ。
けど「鬼」として流れ着いたコトは…「事実」がソレっぽっちしかねーなら
今話したあたしの想像聞いた時点で勝手に類推すんだろ。オマエのアタマなら。
だし「改まって話す事でもねー」「説話集にでも載ってそうな話」。…そーゆーコト。
(ふーっと息を吐いて脱力。
種明かしの最中にポテトを食べ尽したのにすぐヴィシソワーズを口に含む)
…正直ココまでうまくハマると思わんかったし(う、くくっ)
あーあ。ホントは最後まで作り話っての伏せとくつもりだったんだけどなー。
なんかワリーしやっぱ「フェア」にいかして貰うわ。…イミ。分かるな?カエデ。
質問の答えは………こっからだ(緊張感のある声で。でもホットケーキを頬張って台無し)
平和の中にも適度な刺激は欲しいところですがね。
ところでやっぱ何か居るのこの辺に。そうチラチラ視られると気になってきちゃうんですけど。
(若干辟易気味に自分の肩の後ろをくるくると指で示して)
(発言を制され、どうやらまだ話の途中らしいことに気付く。
早とちりを誤魔化すように頭をガシガシと掻いて)
あ、まだ続きがあんのね。こりゃまた失礼いたしました……
(そうして改めて話を聴く姿勢に移る。始めこそ先程同様に軽く相槌など打っていたものの、
話しが進むにつれその意外な内容に自然と押し黙る。
またぞろコーヒーを甘くしようと動かしていた手もいつの間にか動きが止まっていた)
……へェ。
何かそれこそ説話集にでも載ってそうな話ですね。
流浪民の苦難と神威による権能の保全ってなところかな。
上手い事やったもんじゃんご先祖様。
(止まっていた手を動かしてコーヒーを口に運ぶ。苦い。砂糖を入れ忘れた)
そっかーあの格好いい苗字にそんな由来がねぇ。
しかしそうすると市子サン白拍子、つーか巫女か。ともかくソレ系の人なん?
ああもちろん色事的な意味じゃなく宗教芸能者って意味で。
正直あんまりそうは見えない…、いやむしろそれっぽいのか? うーん…。
(腕を組んで難しい顔をしている。巫女服姿でも想像しているのかもしれない)
というかそもそも、それって話してよかったの?
いやまあこっちから質問しといて何だけども、
アンタにとってそれなりにヘビーな話題なんじゃねーのコレ。
(身を乗り出してフォークに刺さったパンケーキを無遠慮に食い取る。ポテトは皿ごと相手の方に押し遣った)
(ヴィシソワーズとパンケーキに口を小さく開けて「おお…」と感嘆。
ナイフと蜂蜜、フォークとメープルシロップを器用につまんで、だばーっとケーキに注ぐ)
いい心がけだ。
(6等分に切りつつ竦めた肩の向こうをチロっと見て)…ヘーワがイチバン。
(話した内容に「共同体」「現代」といったワードを使って認識を示したこと、
また、因習に対する考え方そのものに、なぜか、心地よさそうに目をつむって)
まー聞け。ナニもケチつけよーってんじゃねー(真上から5枚ざくっと貫き)
オマエサンのゆーとーり「仕方のない」コトすよ。…「とりあえず」はな。
「西中の赤鬼」クンとやらも「西中の赤鬼」じゃねーとホカのヤツらが困んのさ。
でだ。
ウチ…シジマのご先祖もいつ悪玉にされてもおかしくない存在だった。
もしくはとっくに悪玉にされてたか………まーそりゃーこの際どっちでもいい。
とにかく「鬼」扱いされるコトに危機感抱いたままアチコチ旅して回ってた。
でも疲れた。当然だ。いつ何時イノチ狙われたりするかも分からんし。
だからそのうち考えるよーになった。ヒトにとっての善玉で居続けられる方法をな。
ソコで目ーつけたのが寝子島ってワケ。
なんせ寝子島にゃーマジモンの神サンが居るってもっぱらの評判だったし。
なら神サンにもヒトにもツゴーのいい「役目」についたら安泰じゃね?って寸法だ。
コレが大当たり。
モトモト白拍子だったシジマは神のヨメとしてウメーコト島に「嫁いだ」。
神のヨメなら見えない友達と喋ったって誰も文句言わん。だって神のヨメだし。
そのうち生きてるヤツもそーじゃねーヤツもナニカあるとシジマに相談するよーになった。
ソイツらをそのツド導いたりしながら…っても大抵はカンタンなアドバイスだけど。
ホカにもときたま湧いた悪玉を改心させたりムリなら退治したりとかした。
そーやって信頼を積み重ねながら輪に溶け込んでって。シジマはやっと安住の地を得た。
…シジマって姓もね。最初は「寝子島」だったんだと。
なんか島民に味方アピールするためらしーよ。…必死だったんだろーねきっと。
「寝」の字を「獅」に換えたのはある程度の地位築いてからだって聞いてる。
シジマは獅子島。魔除けの念を込めて。シジマは静寂。鎮めに通じる音として…。
(5枚重ねの一角が刺さったままのフォークを前へ向けて)ホラあーんしろあーん。
そしてイモくれ(そのままナイフを置いて山盛りのポテトににゅっと手を伸ばす)
どーもどーも。
すんませんねいっぺんに運んでもらっちゃって。
(店員さんに軽く会釈)
(束の間浮かんだ真顔と鋭い言葉。「…成程ね」と再び口の中でひとりごちる)
…ま、さっきは当ってないとか言いましたが面倒事が嫌いなのはその通りなんでね。
心穏やかに日々を過ごしたいと常々願ってやまない楓クンなんですよ。
(と、冗談めかして肩を竦めると大袈裟に嘆息してみせて)
(そして話に耳を傾ける。ときに相槌を打ち、ときに頷いて。
聞き終えると顎に手をやり、少し考えるような顔で話し出す)
……あー、つまり
『「脅威」そのものは只のヒトであって、「鬼」を形成するのは周囲の都合にすぎない』ってこと?
そりゃまあ赤鬼だって泣きたくなるでしょうけども。
(一旦言葉を区切り、コーヒーで唇を湿らせて)
でもそれって仕方のない事なんじゃねーの?
人間が大勢集まって社会生活送ろうとすれば、必ずそれに馴染めない奴は出る。
んで共同体を維持する上でそーゆー奴は迷惑っつーか邪魔になる。
だからそいつに「鬼」の役割を当て嵌めて「皆の敵」にしちまおうって事でしょ。
昔々と言わず現代でも、小学生から社会人まで誰でもやってるクソみてーな習慣じゃん。
そんなに改まって話す事でもねーと思いますがね。……辛ぇ。
(チョリソーを噛み千切る。肉の旨味と共に辛みが舌を刺した)
(トレーに乗せた料理を軽い足取りで危なげなく運んできて)
お待たせしました!
此方も失礼いたしますねー
(流れるような動作で市子さんの前にヴィシソワーズと5段重ねのパンケーキ、お好みでどうぞ、と蜂蜜の入った半透明な瓶とメープルシロップの入った硝子瓶とを置き、
鳴神さんの前に揚げたての山盛りフライドポテト&チョリソー、コーヒーをカップに注ぎ、新しい砂糖ポットとミルク小瓶を置いて)
ごゆっくりお召し上がり下さいませー
(空いた皿を下げてぺこりと一礼、無邪気な笑みを向けて戻っていった)
(ふっと笑んで)イイね。「あんまり当たってない」。…そーじゃなきゃーダメなんよ。
大体な。寝子島じゃーなんでか知らんけどあんまホロスコープと一致しねんだ。
環境が特異なのかあたしがズレてんのか…もっと超常的なナニカなのかは分からんけど。
(コーヒーをあおる間際のセリフに、ほんの一瞬。
真顔で「だからだよ」と低く鋭い声を、刺し込んで。
そして、文脈を繋ぐように。でも、そうではないコトを、再度の笑顔で示して)
察しのいいヤツはキライじゃない(もりもり…ゴクンとこちらも完食)
ヨケーなセツメー省けっし(挙手につられて、少しの間カウンターを見てから、咳払い)
…ヨロシイ(ハンカチで口を拭く。ここだけムダに上品な仕草)
せっかくだ。その泣いたり泣かなかったりするヤツのコトも踏まえてキキタマエ楓クン。
最初に簡単な例。
ムカシムカシ。「鬼」退治と言やー武芸者か神職と相場が決まってた。
「脅威」に対抗できんフツウのヒトはベツの「脅威」に縋るしかねーかんな。
で首尾よく退治できたアカツキには味方してくれた「脅威」を祀り上げた。守り神サマすね。
でも結局ソイツもちょいと腕自慢だったり感覚が鋭いだけのタダのヒトなワケで。
モトは山賊、暴れん坊、外れに住むヘンクツ者。旅の武芸者や白拍子なんかのヨソ者。
中にはウッカリ見えない友達と喋るトコ見られたばっかりに
キメーって理由で「鬼」のレッテル貼られたヤツもいる。けどまー…そりゃともかく。
タダのヒトが神サン扱いされっと勘違いしてイイ気になって好き放題働いたりすんだな。
さもなきゃー不作とかで供物がめんどくさくなって知らんうち悪者にされたり?
すると。今度はソイツが「脅威」として扱われて。また違う「脅威」に退治されて…エンドレスと。
…そーやって。ゲンキンなまわりのツゴーで善玉にも悪玉にも転がされんのさ。「鬼」は。
まあ確かにちょっとびっくりするほどウマいですけども。(がつがつ)
別に急ぐワケでもなしいいッスよ時間掛かるようなら俺マッ○かス○バで待ってるんで。
(などとのたまいながら甘すぎるコーヒーをチビチビ啜る)
………へェ。ナルホド。
(解説を聴き終え、相変わらずの軽薄な相槌。ただし平素より幾分の間が空いた)
思い当たるフシもなくはねーけど……いや、まあいいや。
(出掛かった言葉をクラブハウスサンドの欠片と共に飲み込んで)
総括としては「あんまり当たってない」と反論してーところですが、
先の指摘通り俺は蟹座じゃねェ。むしろ当たってない方が正しい。
この場合気にするべきは「市子サンの目に俺はそーゆー奴に映っている」って点だわな。
(思考を声に出して反芻する。ひとり納得したようにうんうん頷き)
ともあれ「末っ子の蟹座」がそれほど悪い意味じゃあなくて一安心って感じ。
お気遣い有りがたく受け取って理由とやらも訊くのは止めときますわ。
……どうも「モメゴトは大キライ」らしいんでね。
(残っていたコーヒーをぐいとあおる。まだ少し熱く舌がピリッとした)
うーん呼び捨てへの道は遠い。
まあ仰る通り、鬼と言われて平和の象徴とは思わねーわな。
史伝にしろ説話にしろ鬼といえばまず悪玉だし。何か泣いたり泣かなかったりする奴もいた気がするけど。
(適当な調子で首肯しつつクラブハウスサンドを口に放る。早くも完食である)
オールオーケーですよ、そもそもこっちが質問してるワケだし。
あ、すみませんコーヒーのおかわりお願いできますかー?(カウンターに向け挙手)
だってオメーウマソーじゃんつーかウメーじゃん(もくもく)マユツバこそ隠し味?
(悪びれもせず。かたやコーヒーを甘くする様子を気にしつつも口に出さず)
帽子のが時間取りそーっつーのもあっけど。まーテキトーに(ぢうっと吸い)
まず。
蟹座のヤツはどんなコトでもなんとなくでこなしちまう。
でもそのコトにコンプレックスあっから日頃はものっスゲー理論にコダワル。
努力しねーと身につかんコトあってもソレを努力と認識しねーで磨ける。
モメゴトは大キライ。…なクセに逆境に慣れると平穏を物足りなく感じる。
いつも自分の能力を発揮できる場所求めてるカンジ。
ンで対外的には「世話焼きの妹ないし娘」ぶる。オトコでも。
ヒトをだらしねー兄貴みてーに扱う代わり尽くしてなんでもやっし実際できる。
そのポジションキープしてる限りね。
トコロが。
コレが末っ子になると逆に「丸く収める兄貴」になろーとすんだ。
ただし親兄弟の目が届かん場所限定。
豪放磊落に振る舞ったりもすっけどやるこた同じ。場や周囲の繊細なフォロー。
モロモロの理由は。…キズついてあじゃぱーとか鳴かれたら困っしイワナイ。
…以上。シジマイチコのイマイチ参考にならない占星術基礎・蟹座編。おしまい。
(だらだらと語り終えるころ、クリームソーダはなくなっていた)
じゃー…楓クン(サンドをぞぶぞぶ食べながら)
「強さ」って言ったな今。ソイツはこーも言い換えれると思わんか。
「過剰ないし特異な能力」。ソレは持たざるフツウのモンからすりゃー「脅威」に見える。
つまり「鬼」イコール「脅威の象徴」って定義するコトもできるワケだ。
コレから話すのはそー言ったイミでの…「鬼」のハナシ。オーケー?(もぐもぐ)