とある休日の昼下がり。
お客さん同士の雑談中は、我々はお邪魔致しません。
店員の事は気にせず、お好きにお喋りしていって下さいな!
ふふ、ありがとうございますね。いいえ、私の事はお気になさらず!
お客さん達に少しでも良い時間を過ごして頂きたいだけなんですものー。
また御用が御座いましたらお気軽にお申し付け下さいね?(膝を軽く曲げて優雅に礼をし
(獅子島さんの指先を目で追い、ピアノに目をやったまま微笑む)
ああ、あのピアノですか。
うちのマスター、この島の出身なんですけれどね、此処で店を開く為に本土で修行していたらしくて。
立派なピアノがトレードマークの老舗バーだったそうなんですけれど、其処で毎晩ピアノを弾いていたんですって。ジャズのバンドみたいな事も其処でしてたみたいです。
で、独り立ちして此方で店を開く時に、開店祝いで頂いたのがあのピアノなんですって。
ああ見えてうちのマスター、ピアノ得意なんですよ?
たまに弾いてるのをこっそり聞いてるんですけれどね。
でも人前では弾けないって言ってるんですよね、なんでか分からないんですけれど……。
……あ、この話、マスターには内緒にしておいて下さいね?
何度も何度も聞いてやっとの事で『ぜえったいに内緒よおおお!』って言いながら教えてくれたんですもの。
(悪戯っぽく笑って口の前に指先でバッテンを作り)