とある休日の昼下がり。
お客さん同士の雑談中は、我々はお邪魔致しません。
店員の事は気にせず、お好きにお喋りしていって下さいな!
どーもどーも。
すんませんねいっぺんに運んでもらっちゃって。
(店員さんに軽く会釈)
(束の間浮かんだ真顔と鋭い言葉。「…成程ね」と再び口の中でひとりごちる)
…ま、さっきは当ってないとか言いましたが面倒事が嫌いなのはその通りなんでね。
心穏やかに日々を過ごしたいと常々願ってやまない楓クンなんですよ。
(と、冗談めかして肩を竦めると大袈裟に嘆息してみせて)
(そして話に耳を傾ける。ときに相槌を打ち、ときに頷いて。
聞き終えると顎に手をやり、少し考えるような顔で話し出す)
……あー、つまり
『「脅威」そのものは只のヒトであって、「鬼」を形成するのは周囲の都合にすぎない』ってこと?
そりゃまあ赤鬼だって泣きたくなるでしょうけども。
(一旦言葉を区切り、コーヒーで唇を湿らせて)
でもそれって仕方のない事なんじゃねーの?
人間が大勢集まって社会生活送ろうとすれば、必ずそれに馴染めない奴は出る。
んで共同体を維持する上でそーゆー奴は迷惑っつーか邪魔になる。
だからそいつに「鬼」の役割を当て嵌めて「皆の敵」にしちまおうって事でしょ。
昔々と言わず現代でも、小学生から社会人まで誰でもやってるクソみてーな習慣じゃん。
そんなに改まって話す事でもねーと思いますがね。……辛ぇ。
(チョリソーを噛み千切る。肉の旨味と共に辛みが舌を刺した)