とある休日の昼下がり。
お客さん同士の雑談中は、我々はお邪魔致しません。
店員の事は気にせず、お好きにお喋りしていって下さいな!
(ふっと笑んで)イイね。「あんまり当たってない」。…そーじゃなきゃーダメなんよ。
大体な。寝子島じゃーなんでか知らんけどあんまホロスコープと一致しねんだ。
環境が特異なのかあたしがズレてんのか…もっと超常的なナニカなのかは分からんけど。
(コーヒーをあおる間際のセリフに、ほんの一瞬。
真顔で「だからだよ」と低く鋭い声を、刺し込んで。
そして、文脈を繋ぐように。でも、そうではないコトを、再度の笑顔で示して)
察しのいいヤツはキライじゃない(もりもり…ゴクンとこちらも完食)
ヨケーなセツメー省けっし(挙手につられて、少しの間カウンターを見てから、咳払い)
…ヨロシイ(ハンカチで口を拭く。ここだけムダに上品な仕草)
せっかくだ。その泣いたり泣かなかったりするヤツのコトも踏まえてキキタマエ楓クン。
最初に簡単な例。
ムカシムカシ。「鬼」退治と言やー武芸者か神職と相場が決まってた。
「脅威」に対抗できんフツウのヒトはベツの「脅威」に縋るしかねーかんな。
で首尾よく退治できたアカツキには味方してくれた「脅威」を祀り上げた。守り神サマすね。
でも結局ソイツもちょいと腕自慢だったり感覚が鋭いだけのタダのヒトなワケで。
モトは山賊、暴れん坊、外れに住むヘンクツ者。旅の武芸者や白拍子なんかのヨソ者。
中にはウッカリ見えない友達と喋るトコ見られたばっかりに
キメーって理由で「鬼」のレッテル貼られたヤツもいる。けどまー…そりゃともかく。
タダのヒトが神サン扱いされっと勘違いしてイイ気になって好き放題働いたりすんだな。
さもなきゃー不作とかで供物がめんどくさくなって知らんうち悪者にされたり?
すると。今度はソイツが「脅威」として扱われて。また違う「脅威」に退治されて…エンドレスと。
…そーやって。ゲンキンなまわりのツゴーで善玉にも悪玉にも転がされんのさ。「鬼」は。