Twitter発祥らっかみ!文芸企画。
自PCが他PCさんに対して
「思っている」「感じている」ことを
文にしてみませんか?という企画です。
独白文、その人に当てての手紙、エクセトラ。
形式はご自由に。
PL、PC様方の交流及び
二次創作SS広場の更なる発展を願いつつ。
*Twitter上でお相手様を募集する際、便利かもしれないタグ
#リプしてくれた方のお子さんをうちの子がどう思っているかの文を書く
三夜雷一→三夜霧人
「せかいいちのおいしゃさんになりたい」
押し入れの奥、道具箱から見つけた卒園アルバムに書かれた将来の夢。
そうだ、幼稚園の頃は医者をめざしてたんだっけ。
俺自身すらうっちゃってど忘れしてた俺の夢を見事叶えたのは霧人だ。
ほんの数分生まれたのが早いだけの同じ顔の兄貴に、俺は永遠に追いつけずおいてけぼりにされる宿命だ。
霧人は俺の欲しいモノをなんでも横取りする。
本人にとろうという意識がなくても自然とあいつの方に行っちまうんだから手に負えねえ。
物心ついた時から俺達はなんでもおそろい、いつも一緒。
近所の人にはそっくりで見分けがつかないと感心され、よく入れ替わり成りすまして遊んだもんだ。
頭がよくて優しくてなんでも知ってる霧人。
ガキの頃から余裕の顔してなんでもそつなくこなす、目をつむってたってつまずくことなく真っ直ぐ歩ける、そんなあいつが一番の自慢だった。
ふたり仲良く犬ころみてえにじゃれあっていた時代を思い出し、卒園アルバムをめくりつつほろ苦い郷愁に浸る。
「随分遠くに来ちまったな……」
いつからだろう、自信がもてなくなったのは。
いつからだろう、霧人の存在が目障りになり始めたのは。
俺は霧人と比べられ貶される日常に嫌気がさした。
双子のできの悪い方、霧人のおまけ、ハズレくじ。
その手の陰口は聞き飽きた。霧人がいる限り俺はあいつの劣化コピーなスペアでしかなく、三夜雷一としての人格は否定され続ける。
お兄さんはいい子なのにどうしてキミはそうなの、お兄さんを見倣いなさい、本当にデキが悪い……ウンザリだ。俺だって頑張った、必死にやった。でもどうにもなんねー事はどうにもなんねー、元からデキが違うんだ。俺は同じ鋳型から生まれた不良品、ベルトコンベアーに乗って流れてくる段階で弾かれる欠陥品。対して霧人はピカピカに磨き抜かれた店頭の最前列に並べられる。
これが不条理でなくてなんなんだ。
先に生まれたのが俺だったら何か変わってたかもしれねえ、妬むのも嫉むのも羨むのも霧人の役割だったかもしれねえ。でも違う、そうはならなかった。
俺は死ぬまで一生霧人の背中を追っかけ続ける、決して手の届かないモノを仰いで憧れ続ける。
「…………」
天井に翳したからっぽの手をきゅ、と握りこむ。
あいつはいつだって俺の一番欲しいモノをかっさらっていく。
「……ばーか」
別に欲しくもねー癖に。
だったらお前が捨てようとしてるそれ、俺にくれよ。
桃原 空音→邪衣 士
「士くん、おっはよー!」
暑い季節はいつの間にやら通り過ぎ、寒さを覚え始めた秋の朝。
今日は“ちゃんと”本拠地の旧市街の叔母の家のベッドで寝たあたしは校門で熊さん…と士くんの姿を発見!
大好きな親友で兄貴分の士くんに元気に挨拶。
死んだ目の親友は、あぁ、おはようと眠そうに返事を返した。
ある日は昼休みの廊下で、ある日は放課後の地下帝国で、ある日は目覚めの瞬間から猫鳴館に間借りしている缶詰部屋で(とあふ事件であたしたちの部屋を隔てていた壁は無くなってしまったのだ!)、クラスは違うけど毎日のように顔をあわせるあたしたち。
お友達には「付き合ってるんじゃない?」なんて、たまにからかわれるけど、そんな事はありません!
あり得ないんだよっ!!だってだって、あたしの彼氏は二次元で…BLで…ふへ、ふへへ…。
「…桃原、顔がニヤけてるぞ」
「妄想の邪魔しないでよ!!!」
とっさに反論すると、士くんは呆れ顔で溜め息一つ。
「また変な事考えてたな…。で、今日は忘れ物してないだろうな?」
「一昨日の事、まだ根に持ってる…。大丈夫!今日は教科書忘れてないよ!」
「そりゃ貸した教科書が落書きまみれで返ってきたからな。消すの大変だったんだぞ…」
あたしのゲイ術作品を消すのに明け暮れていた昨日の士くん、クマが凄かったのだ、熊だけに。
そんなこんなで別れたあたしたち。
授業が始まり2時限目の移動中、ふと校庭に目をやると体育館倉庫にハードルを片付けに向かう士くんの姿が目に入った。クラスメイトと一緒だ。
「空音、また、士の事見てる…。やっぱり好きなんでしょ?」
いつの間にか近くにいた先輩にあざとく首を傾げられながら声を掛けられた。
「ちちち、違うって!」
「じゃあどういう関係なの?」
「BL漫画のモデルさん!次の新刊は体育館倉庫でお仕置きプレイにしよっかな!」
「…そう。……出来たら見せて…ううん、なんでもない」
先輩はモゴモゴと言葉を濁し、空音は空音ね、とだけ言って立ち去っていったのだった。
むう、なんでカレカノ疑惑湧くのか全ッ然わからないけど(三次元だなんて、ゾッとする!)、お節介で、時に武力派で、なんだかんだで遊んでくれる士くんは大好きなお友達!
多分この関係はずーっと変わらない、はずなのだ!
長月蒼→双葉由貴君
第一印象は生意気そうな年下。
次の印象は必死で大人ぶろうとする、弄りやすい弟分。
必死で男らしいところを見せようと頑張るけど、それがからまわって帰って弄られやすい空気を作る。
最初は猫かぶって相手をしていたが、ひょんなことから本性を見られてしまい素で接するようになった。
弄ると由貴は顔を真っ赤にして反応するから、ついつい弄ってしまう。
最近由貴と一緒に行った場所は、月だ。
巷で有名な神魂の現象に巻き込まれ、電車に乗って月に向かうことになった。
かぐや姫の事はまぁおいといて……ウサギにはしゃぐ由貴の姿は年相応で可愛いなと思った。
本人にそれをいったら怒りながら反論されると思うからあえて言わなかった。
月探索が終わって、眠っている由貴の姿を見てこんなことを思う。
――弟が居たらこんな感じなんだろうな。
僕は一人っ子で小さいころ両親が離婚してしまった。
従姉は年上だし、自分より年下の子と遊ぶことなんてほとんどなかった。
だから、由貴のことを弟のように大切な友達だと思ってる。
もちろんこんな恥ずかしい事を本人の前で言うつもりはない。
ただ。
心の中でなら、弟分だと思っていてもばちは当たらないだろう。
これからもよろしくね、由貴
高梨彩葉→浅山小淋さん
私には友達がいる。
名前は浅山小淋。支援部の部長をやりながら、図書館でバイトをしている女の子。
彼女と出会ったのは良く晴れた日の学校の屋上。
学校の中を色々見回っているうちに屋上にたどり着き、淋ちゃんと出会った。
言葉が喋れない代わりに、スケッチブックで喋る女の子。
外見は大人しそうに見えるが行動派で、困った人を見つけたら放っておくことができない優しい性格。
優しくていい子だけど――不安になる時がある。
リンちゃんは優しすぎる。
自分が背負わなくていいものまで背負って、周りに迷惑かけたくないからって平気なふりをする。
彼女がセブンの事件にかかわったと聞いたとき酷く怒った。
半分は神魂の仕業だけど、もう半分は本当の気持ち。
迷惑かけたくない気持ちはわかる、それでも人助けをしようとして自分が怪我を負いましたなんて笑えない。
彼女が怪我をしたら、たくさんの人が心配をする。私もその一人だということを忘れないでほしかった。
感情任せに怒ってしまったけど、最終的にその件については仲直りができた。
けど、どれだけ説得したところで、困っている人がいる限り彼女は手を差し伸べることをやめないだろう。
なら――私のやることは一つだけ。
誰かを支えようとするリンちゃんを支えること。
彼女が倒れそうになったら、その背中に手を添えて支えよう。
といっても、リンちゃんの周りには彼女を支えようとする人はたくさんいるから、私が支えきれなくてもきっと大丈夫だ。
自分のできる範囲で彼女を支えていこう。
私には友達がいる。
可愛くて優しくて誰かに手を伸ばせる――大切な友達。
【飛吹勘助→双葉由貴くん】
初めて会った時――海辺で君がもふもふを抱いていた時から、君のことをずっと気になっていた。
また会えるかな、また会ったら話してみたいな、と思っていたら偶然、山の中で会ったね――青い鳥を探しの時に。
……今思うと――もしかしたら――「仲良くなれますように」という夢は、青い鳥に会う前にすでに叶ったかもしれない。
だって、君みたいな新しい友達ができたから。
君が手を引いてくれたおかげで、新しい出会いもあったから。
ゆきは、俺なんかより強くて、頼もしくて、優しくて……なにより、泣き虫な子。
大切な子のために必死になって、周りが見えなくなってしまうこともあるから、放ってはおけない。
だから、俺もしっかりしなきゃ。あの時ゆきがしてくれたように、手を引いてどこかへ連れていけるように。悲しいときに、ぎゅっと抱きしめて慰めれるように。
俺の小さな友達。
これから先も――お互い大人になっても、友達でありますように。
そう願って、人生で初めて、拳をぶつけた。
参照シナリオ:幸せのブルー・ブルー・バード
【皆口従夢→浅山小淋さんへの独白文】
それは美しい音色だった。
高い所へ行きたかった。そんな時に出会った。スケッチブックを手に空を眺めていたから、僕の計画は邪魔された。
彼女は声を出せない。手話も使えない。だから文字を書く。僕たちは話した。
きみの前では嘘はつけない。きみの言葉は残るから。文字には一瞬の言葉はないと言うきみは、僕に真剣だった。僕は自由に声が出せるのに、伝える努力を怠った。僕は自分が恥ずかしくなった。
きみの言葉は美しかった。
きみには不思議と人が集まる。きみは嫌とは言えない性格で、何でも引き受けてしまうから。もしかして僕の話し相手も、無理して引き受けてくれてたのかな。
後輩のきみに、僕はまるで懺悔する子羊だった。そんな僕にきみは、聖母のように、僕を気遣ってくれたね。情けない先輩だが、こんな男でも手助け出来る事があったら頼ってくれないかな。
きみは本が好きで、音楽も好きだと教えてくれた。きみが、好きだというそれを僕も知りたい。いつかはきみが自分で創ったものも、また、いつか教えてほしい。きみがいいと思った時でいい。努力家のきみは、楽しむ事も忘れずに。
きみは言っていた。上手く音が出せないと。
けれど僕には聞こえる。美しい旋律が。きみがスケッチブックに刻む文字、まるで楽譜のよう。
僕はそれを心で聞いた。
僕はきみに言わなくてはならない。今僕がここにいるのはきみのお陰だ。ありがとう、僕の邪魔をしてくれて。
空が青い事を知った。
人が温かい事を知った。
想いは伝わる事を知った。
それが僕に聞かせてくれた
きみの音楽。
*修正
「九夜山忘花協会」→「九夜山勿忘草教会」
花風 冴来→獅子島 市子さん
天使の様な純白をしたお気に入りのワンピースの上に
同じくお気に入りのウィローグリーンのパーカを羽織り
森の中へと歩を向ける。
行き先は白薔薇に覆われた廃教会。
人々から忘れられた祈りの家で
一人静かに泣いている天使に会いに行く為に。
純白のワンピースは確かに私の所有物(もの)だけれど
ウィローグリーンのパーカーは私の所有物ではない。
これは、この島で出会ったある女性が
私に貸してくれたものだ。
彼女と過ごした時間は長い様な、短いような。
いや、時間の長短など些細なことだ。
いずれにしろ私が彼女とこの島で
濃密な時を過ごした事実は変わらない。
彼女の声と姿はいついかなる時も美しく
古くから芽吹いた地の移ろいを眺め続けてきた
柳の木の様に逞しい知性を内に秘めた、暖かな女性で。
私はそう、彼女に憧れている。
今迄も、そしてこれからもずっと
私は彼女に憧れ続ける。
そんな彼女は近い内、この島から去るのだという。
このパーカーは借り物で
借りたものは返さなくてはならない。
そんな決まり事がこの世界にはある。
それを知っていて尚、私は躊躇っている。
返さなくてはいけないのだろうか、と。
ずっと借りたままでいる訳にはいかないだろうか。
貰い受ける訳ではなく、借りたままで。
何故ならそうすれば、彼女がこの地から姿を消した後も
また何処かで出会えるのではないかという
淡い期待を抱き続ける事が出来るから。
もしかしたらこのパーカーを私から取り戻す為
何時かまたこの地に戻ってきてくれるかもしれないと
そんな風に彼女を想い続ける事が出来るから。
行かないでと、駄々を捏ねたりはしないから。せめて。
迷いの森を進み、目的地へとたどり着く。
「九夜山忘花協会」と彫られた薄汚れたプレートを一撫でして
礼拝堂へと足を踏み入れると
砕けた硝子が散乱する荒れ果てた小さな世界で
天使像は今日も一人たたずみ
止まらぬ涙を零しながら祈り続けていた。
哀しいからか、報われたからか。
その涙の訳は、私にはわからない。
いつまでも泣き続ける天使に寄り添って
私も目を閉じ、そっと祈りを捧げる。
今迄も、そしてこれからもずっと
繰り返すであろうお決まりの儀式。
どうか愛しい人達が心穏やかでありますように。
何時迄も幸福でありますように。
そんな祈りを天使と共に静かに捧げる。
その祈りの中には勿論
この地を旅立って行こうとしている彼女の幸福も含まれる。
どうか、どうか。
貴女に無限の幸よあれ。
【皆口従夢→神城硲さんへの独白文】
あなたが好き。
僕はあなたを何も知らない。
名前と性別と神を愛していることぐらい。
普段なにをしてるのか、少年の頃のあなたとか、家族のこと、嫌いなものや好きなもの、何が得意で何が苦手とか。
誰と会ってるのか。
僕の事は何番目に好きなのかとか。
あなたのことばかり考えて、何も手につかなくて。
あなたが僕の死ぬ理由で生きる理由。
僕はあなたのまえでは、まるで子供か少女のよう。
心臓の音がうるさくて、何も考えられなくて。僕はきらいだなんて、嘘をつく。
あのひとがすき。
髪の毛も、その指も、唇も、声も、心も、魂もなにもかも。
この指で吐息で肌で心でたしかめたい。
僕は気が触れてしまいそう。
僕はすべてあげられるのに、あなたとひとつになりたくて、できなくて、泣いてしまいます。あなたは僕の涙を拭って、優しい言葉をかけてくれるから、僕はまた泣いてしまって、あなたをこまらせてしまいます。
ふらふらしてるあの人が、どこか行ってしまわないかっていつも思う。
どこかで嫌な目に遭ってないかって。嫌な目に遭ったことも気づかないのんびり屋さん、心配です。僕の事好きじゃなくてもいいから、どうか自分を守ってください。ぼくはあなたの傷はなおせないし、あなたが辛い事も辛いと感じないのがつらいのです。
あなたが僕に接するように、あなたをだいじにしてください。
僕はあなたと出会って、真実の愛を知りました。
僕はすこしだけ、ひとにやさしくなれそうです。
あなたがだれかのところへ行くのを僕はとめられない。あなたは誰にだって手を差し伸べ、身体を差し出す。僕にそうしたように。
だから僕は、僕の傷であなたをつなぎとめるしか。ほうほうをしりません。
本当はあなたが僕を、他のひとよりかは特別に思ってくれていて、たいせつに扱ってくれているのを知っています。
だけど僕はわがままだから、それ以上を求めてしまう。やさしいあなたにつけこんで。
あなたは僕の望みを叶えてくれるけれど、あなたは僕に何も求めないから、僕は少し切ないのです。
僕はかみさまを信じていなかったけれど、今は信じます。かみさまが憎いから。そんな僕をそばにおいてくれるから、あなたのやさしさに甘えてしまう僕をゆるしてください。
ほかにはなにもいりません。
僕のくるしいの、とめて。おねがいです。おねがいです。
かみさまにもできないことを、あなただけができるから。
どうか僕をころしてください。
るいりー→しゃおりー
しゃおりーはるいりの小姐
でもほんとのおねえさんじゃない 居候先のおねえさん
でもそんなの関係ない るいりをとっても可愛がってくれる
るいりはひとりぽっち ずっと兄弟がほしかった
妹なら可愛がる お姉さんなら甘える
小姐はおねえさん だから甘える
夜 寂しくて目が覚める
枕と好好をもって 小姐のお布団いく
小姐は「しょうがないのだー」と笑ってお布団いれてくれる
ほかほか あったか 胡麻団子みたいにぴとっとくっついてねむる
もういやな夢見ない 怖い夢とさよなら
小姐はぬくぬく るいりもぬくぬく 二人で二倍ぬくぬく
小姐はハムスターそっくり
頬袋に一杯入る
るいりも練習する そしたら小姐みたいにほっぺがふくれる?
あいやー
小姐はつよい とってもかっこいい わるいやつやっつける ほわたぁ!
るいりもつよくなる そうして小姐と悪党退治 ふたりでくんふー 正義の味方なる
小姐はやさしい やさしいから強い ごはんいっぱい食べる 毎日おかわり
るいりも負けない ごはんおかわり 好き嫌いしないいい子になる
るいりのほっぺもいつか小姐みたいにふくらむかな?
【皆口説男→飛吹蓮太郎さんへの独白文】
オレはセンパイが好きだ。
一緒にいると楽しい。元気でいられる。自信をくれる。
センパイを追いかけて、走るのが好き。
センパイと言うけれど、オレとセンパイは別に何の関係もない。オレが勝手にそう呼んだだけ。
じゃあどうしてオレがセンパイをセンパイって呼ぶのかっていうと、オレが自分に言い聞かせてる。
その人はお前のお父さんじゃないぜ、って。
だからセンパイ。
オレはセンパイに抱きしめらたり、撫でなれたりするとすごく照れちゃうけど、それはオレの笑顔以外のギリギリの感情表現。
胸がいっぱいになって、どうしていいか分かんない。
オレはセンパイをお父さんとは思いたくない。
だってセンパイにオレの理想を押し付けたくないし、オレのお父さんはやっぱ一人だけだから。どっちも大好きだから、どっちも別のひと。
センパイはときどき悲しそうにしてるのは、大好きなひとがここにはいないからだよね。
オレはそのひとの代わりには絶対なれないけど、さみしいのを忘れさせるコトはできる。
だからとにかく話しかける。それでもどうしていいか分かんない時は、めいっぱいぎゅってする。
オレがセンパイと同じぐらいの年になったら、センパイは50過ぎか……。
その時にはオレはカッコイイオトナになれてるかなあ?
「どうだ世界一のイケメンのオレを見ろ!」つって、素肌さらして堂々と歩けるようになれてるかなあ?
もしオレが世界一のイケメンになったらさ、センパイはオレのセンパイじゃなくなるんで、その時はセンパイのコト、蓮太郎さんって、呼ぶ。
センパイは心臓が弱い。それがちょっと心配。センパイにはそのままでいてほしいから、できるだけやめてとは言いたくなくって、だからセンパイが楽しく安全に騒げるようにぐるぐる考えてる。それでも頭まわんないときは、やめてって、言っちゃってゴメンナサイ。
オレ、センパイが死んじゃったら泣くだろうなあ~。
でもオレよりぼろぼろ泣いちゃう子がいるから、その子に「カンちゃん泣いてたらセンパイちゃんとジョーブツできねーじゃん!ほら笑顔!」つって、笑って励ましたいから、オレ絶対泣かないって決めてるんだ。
だからもしセンパイがオレのコト好きでいてくれんならさ、オレセンパイより先に死なないから、センパイはオレが死ぬ一秒前まで生きていてください。
ちなみに、オレはむっちゃ長生する予定!
最後にもっかい。センパイ、だいすきだぜ!
【飛吹蓮太郎→皆口説男くん】
あの子は本当に純粋で正直な子だ。
あんな輝いた目で「先輩」と呼んでくれる子は、生まれて初めてなのかもしれない。
一応、他にも後輩はいる。が、大抵僕の振る舞いに冷めた目で見るかドン引きするかのいずれかだ――まあ、そんなのはとっくに慣れてる。なんせ僕は変態なんだから。
でも、正直、予想外だったんだ……あんなに慕ってくるとは。
僕が――フツウは皆に嫌がられるような――スキンシップをしても嫌な顔一つせず接してくれる――恥ずかしそうに顔を赤らめてみせるから、それが面白くてつい繰り返しちゃう――。
初対面の時だってその場で警察に通報するか、正義のヒーローみたいに割り込んでくるのもおかしくもない状況の中、よく親しく話しかけてくれたものだ――まあ、あの子も女の子を口説いていたわけでして――。
それだけでなく、僕の体まで気を使ってくれる。
あんなに優しい後輩はいない。
だから、心配なんてこれっぽっちも……ないことは、ない。
たまに妙な傷がチラリとみえるんだ。あの子の体にも、心にも。
それは僕の思いこみかもしれないし錯覚かもしれない。
でも、そうじゃないとすれば、あの子はきっと僕の胸傷以上の苦痛を抱えているだろう。
それでもあの子は、弱音もなにも吐かないで、何事もないかのように健気に笑う――どうやってしたら、そんな平然と笑えるのだろう。
僕は「世界一のイケメン」と称している。
けど、きっとあの子が「世界一のイケメン」だと思う。外面も、精神面も。
だから「世界一のイケメン」の後継者に相応しい。そしてその分、心配にもなる。
ドロドロな傷口が広がって、気づかないうちに身も心も滅ぼすんじゃないか、と。
だから今度あの子に会った時、いつも以上にぎゅっと抱きしめたい。
そして、「先輩」として、一言申したい。
もしお前が泣きたくなったら、いつでも僕の胸に飛び込んで来い。
その傷も、涙も、まとめて抱きしめてやる、と。
…これが「先輩」らしいかどうか、わからない。
でも、可愛い後輩の身体の傷を見て、放っておくわけにもいかないから。
★神無月ひふみ→唐沢一也
バイト先の先輩
ぶっきらぼうでぱっと見怖くて でも本当はやさしいひと
私がコップを落としたら「なにやってるんだよ」と毒づいて
てきぱき後始末くれた
「どこも怪我しなかったか」と箒を使いつつ気遣う表情に胸がときめいた
きっかけは他愛もない事
恋だって気付いた頃にはどんどん鼓動が加速して、処方箋も手遅れだった
仲間とバンドを組んで出場するライブハウス
内緒でステージを見に行った
暴風のようにベースをかき鳴らす指のセクシーさ 眩いライトに光る汗 仰け反る喉仏
すべてから目が離せない 逸らせない
咆哮の衝動に身を委ねて荒れ狂う一也の姿が 私の胸に爪を立てる
ベースが刻む律動の激しさが理性をさらっていく
想いを伝えたら今の関係は壊れてしまうの?
バイト先の先輩と後輩 それ以上になりたいの でも鈍感なフリして甘えられる今の距離感が心地よくて
もし境界線をこえて踏み込んだら身を引かれるんじゃないかって
臆病な恋心と女のプライドが駆け引きする
ネコフェスのステージ
ラストを飾ったバンドの演奏
嬉しくて嬉しくて 誇らしくて
その一方でちくりと胸が痛んだ
一身にスポットライトを浴び 満場の拍手と喝采 声援を集める一也を見て、私だけのアナタじゃないと痛感したの
一也の全部を独り占めしたい
でもそれは叶わぬ望み 見果てぬ夢
正式な恋人でもない私が望んじゃいけない贅沢
ありったけの勇気を振り絞って手渡したデモテープ 聞いてくれたのかな
この歌声は純情なナイフになって心臓をずたずたに刺し貫く
年下だからって甘く見ないで ごまかさないで
あなたに釣り合う女になりたい 子供扱いはもう卒業よ メイクだって練習するから
あなたが好きな口紅は何色?
その口紅を唇に装填して、心臓のど真ん中に愛の言霊を撃ち込むの
愛してるなんて安っぽい
好きだなんて子供っぽい
空砲で不発に終わったコトバの薬莢をばらばらばら撒く
なんて散文的な詞の散弾
アナタのハートを撃ち抜くたった一つの冴えたコトバをさがして
今日もアナログなカセットテープにへたくそな歌を吹き込むの
【成美からある先輩への独白文】
僕には気になる先輩がいる。彼はとても美人だ。
失礼な言い方をすれば、同性である僕でもその憂いのあるため息はどことなく色気を感じる
そんな色気のある美人な先輩
先輩は何かを憂鬱げに抱えている
いままでのそれとない会話のやりとりで、家族という言葉に怖れを抱いているように思えた
自分の周囲では考えられないことかもしれないが、先輩の身内が彼に傷を残したのだろう
だが、その全ては推測でしかない
肝心な先輩はだんまりを決め込んでいる
その傷を暴こうとすることで、先輩の傷がさらに大きく抉れるかもしれない
僕は黙って耐えようとする先輩を放置できるほど冷たくないが、同時に土足で先輩の神聖な場所に足を踏み入れていいのだろうかと躊躇する
相手が求めてないところへ、強引に押し付けする親切
それほど他人を傷つけるものはないという言葉
祖父から幼い頃の僕に言い聞かせた言葉だった
素直な相手なら、こんなことで悩む必要がない
やや大げさでも、こういってくれるからだ──助けてくれ!と
けど相手がだんまりを決め込んでしまうと、こちらから手を出すのは考えさせられる
先輩に対して僕は何ができるんだろう?
どうせなら伝染ればいいのにと願掛けて笑顔を作る
先輩はズルイ人
彼のため息は僕を呼び寄せてしまう
困っている人は放置できないから。そうしてしまうことは僕自身を否定するから
あの人の傷が、僕の左の瞼に刻まれているソレのように見えていればと思う
先輩はただそっと僕の傷を滑らかな指先でなぞる
その仕草をただじっと眺めている僕は苦笑を浮かべるしかない
なら僕はずっと待っている
先輩が心の内に秘めている何かを、僕か、僕以外の誰かに打ち明けれるように
今日もため息をつく先輩の元へ、僕は笑顔を浮かべて
先輩は蠱惑的な一輪の華
僕みたいな人を逃がさない魔性の色香放つ存在
故に僕はまた先輩の元に行ってしまうのだ
僕が僕である限り
◆ジニー・劉→花風冴来◆
あいつの目を見ると思いだす
組織が売り買いしていたガキどもの事 逃げねえようにと見張りにつかされた人生最悪の時期
あいつは同じ目をしてる
荷箱に腰掛けて煙草をふかす俺をじっと見つめるガキどもの目
乞うような縋るような眼差し
俺はあいつの初恋の男に似てるんだそうだ
だからだろうか、妙に懐かれちまったのは
一度名前を呼び間違えられた
誰かの身代わりにされるのは慣れてる 違う名前をおっかぶせられるのも今さらだ でもあいつはひどく気にして落ち込んでいた 見てるこっちが気まずくなるほどに
突き放せないのは俺の甘えだ
孤独に膿んだ心のどこかで求められる事に喜んでいる、縋られる事で救われている、ニセモノでも必要とされる事に飢えている
あいつの目は売られるガキども以上に昔の俺にそっくりだ
母さんの着せ替え人形だった頃の俺 独りに怯えて卑屈に媚びて、自分を愛し庇護してくれるどこにもいないだれかをさがしている
青い瞳の奥に誰かによく似た子供がいる 膝を抱えた子供がいる 傷付いた子供がいる
そのガキに手を伸ばしても届かない
瞳に投影されたガキは過去の俺で過去のお前 カタチのない追憶の幻影、もう通り過ぎた痛みの残滓にすぎないから
同情と同族嫌悪と少しばかりの庇護欲と、愛情に似たナニカ。
自慰のような憐みと
自傷のような憎しみと。
俺はあいつに何もできない 愛情の代替物を乞われても返せない あいつが欲しがるモノをはなから持っちゃいないのだから
つまるところ俺とあいつはいやになるほど似た者同士
欠落を欠落で埋め合わせても渇望が増すばかり
喪失を喪失で補っても幻滅を深めるばかり
わかっていてもないものねだりの堂々巡り
同情に限りなく近い愛情と
愛情に限りなく近い同情と
どっちにしたって、それは俺の、俺たちの欲しいものじゃない
ニセモノじゃこの絶望は癒せない
俺たちが本当に欲しいモノは代わりじゃ間に合わせられないモノだから
恋愛対象として見るには幼すぎ、愛するには誰かに似すぎた厄介な女
ぶっちゃけすごく面倒くせえ
それでも突き放せないのは求められる事で救われているから
貰えなかった名前を捏造し、虚しいままごと繰り返す俺にも価値があると錯覚できるから
だからもうしばらくは、世間知らずのお嬢ちゃんのくだらねーままごとに付き合ってやるか。
【灯 斗南から 獅子島市子への嫌がらせ
さて、僕にとってあの女(ひと)はと聞かれたら…初恋…のなりそこないであろう。
彼女との出会いは「怪奇! 商店街の幽霊ッッ!! http://rakkami.com/scenario/guide/461」
である。出会い方は…ちょいと情けないものである。初印象は…気の強いお姉さんってところか。夜間だったのでまだ彼女の素顔を見極めるまでは行かなかった。
そんでまあ…幽霊を釣り出すためにデートのふりをしたのだが…ふりとは言え人生初デートである。
そこで演技だと割り切れればよかったのである。彼女からも「オトコに興味ないから」と釘を刺されていたし。
次に会ったのは…「New Birthday. http://rakkami.com/scenario/guide/446」
だったかな。そこで彼女を明るい所で初めて見た。ぶっちゃければいい女だと思った。
「月とうさぎとメイドと喫茶と。http://rakkami.com/scenario/guide/704」
その時の同行者には悪いがそこで彼女がきちんとした身なりをすればどれだけ美しいかを思い知った。
だが、それに何の意味があるのか。その後、彼女はある同性の少女と恋愛関係に陥ったと噂で知った。それも僕が女性として好意を持っていた少女に。(そこ、気が多いと言うな。気にしてるんだ)
まあグダグダ言っても始まらない。なんせふられてさえもいないのである。始まってさえもいないのだからノーカンで済ませる。それ以上の事をしても野暮なだけだろう。
それに、彼女は近いうちに寝子島を離れるという。そういう事だ。僕にできるのは彼女を覚えておくことぐらいだろう。そして「そんな女もいたっけ」とただの思い出にすることである。
彼女からすればどうでもいい相手にいつまでも記憶され美化され続ける。
実にいい嫌がらせではないか。
【従夢→乃木成美さんへの独白文】
僕がため息をつくと、いつも横にいる。にこりと笑って僕に話しかける。
左目には傷がある。僕は触れることが出来る。
僕には傷がある。だれも触れることが出来ないはず。
きみは僕に話しかける。僕にはっきりものを言う。隠れてない方の右目で、真っ直ぐに僕を見て。
僕をほおっておけないと、きみは僕のそばにいる。
僕はきみに何もできない。でも僕はきみのそばにいる。
きみはおじいさんが好きで、その話を聞くのが僕は好きだ。穏やかな気持ちになれる。
僕はきみがきらいだ。きみは僕をたすけてくれるから。
きみは別に何も求めないし、ただそうしたいだけのよう。僕はそれがつらい。
僕の溜息が、きみを呼ぶ。
僕がため息をやめたら、きみは来なくなるのかな?
僕は少しこわい。
僕はきみに何もできない。
僕は痛いのが軽くなる気がする。
僕の傷の場所が分からなくても、きみには関係ない。
きみの左目に触れた。きみはたいしたことないと言う。
僕の傷には触れられないはず。きみはたいしたことないと思わせてくれる。
僕が笑ったら、きみがいなくなりそうで、僕はまだ笑えない。
ごめんね。僕は少しずるいんだ。
溜息で、またきみを呼ぶよ。
*花風 冴来→ジニー・劉さん
薄暗い廃墟の地下一階、情報網の巣を張る彼は
私の初恋の人に良く似ている。
顔立ちを初め、気怠く何処か仄暗い雰囲気
乱雑な言葉遣い、果てには不器用な優しさまで。
太陽が天高く輝く暑い季節のある日。
余りにも彼が「彼」に似ていたせいか。
それとも私が遠い日の幼い恋情を捨てきれずにいたせいか。
はたまたその両方か。
人混みに紛れ遠ざかる彼の歩を止めようとした私は
迂闊にも彼を「彼」の名で呼び
振り返った彼の表情と自身の犯した過ちに怯え
小さな子供の様に無様にぐずぐずと泣きじゃくった。
そんな私を彼は何一つ責めることなく
普段通り、不器用に優しく慰めてくれた。
きっと、私より「彼」の名で呼ばれた彼の方が
深く傷ついていた筈なのに。
彼は今でも私が彼を「彼」の変わりとして扱っていると
そう感じているのだろうか。
決してそんな事はないのだけれど
どれだけの言葉を並べたところで
それが伝わる事はないだろう。
だからこそ私は初恋の彼と再会を果たした今も
地下へと向かう階段を下り、彼の元へと足繁く通う。
そうする事でいつか必ず、彼に想いが伝わると信じて。
この言葉を彼に向かって口にする度
「愛の安売りをするな」と苦い顔で叱られ
それにも懲りず、私は何度も同じ言葉を彼に捧げる。
誰の代わりでもなく、貴方が貴方でいてくれるから。
「ジニーさん、大好き。」
関連シナリオ:はや瀬のぞめき
http://rakkami.com/scenario/guide/491
*花風 冴来→哀坂 時音さん
時間はいつだって私の敵だ。
決して忘れてしまわぬ様にと
胸の奥へと仕舞い込んだ
苦く甘い記憶の数々を時は薄れさせていく。
過去という永遠に留まろうとする
私の意志など御構い無しに
強引に私の手を引いて、まだ見ぬ先へと連れて行く。
私が「詩音」と呼ぶ彼女は
そんな時間に、よく似ている。
彼女は時間と同じく私の敵だ。
だけれど、私は彼女を敵だとはどうしても思えなくて。
思いたくはなくて。
それでも、彼女の全てを受け入れるわけにはいかなくて。
だからこそ私は心からの親愛と
ほんのささかな抵抗の意を込めて
彼女に「詩音」と呼びかける。
…もし、まだ見ぬ遠くで近い未来に
彼女に「詩音」というあだ名などではなく
「時音」と、呼びかける日が来るとするならば、それはきっと
私が彼女の想い全てに応え
彼女のものとなる事を決めた日になるのだろうなと
他人事の様に、ふと思った。
緩やかに、だけれど確実に、時は私の手を引いて
まだ見ぬ先へと連れて行く。
…ああ、私はいつまで彼女に反抗していられるだろうか。