Twitter発祥らっかみ!文芸企画。
自PCが他PCさんに対して
「思っている」「感じている」ことを
文にしてみませんか?という企画です。
独白文、その人に当てての手紙、エクセトラ。
形式はご自由に。
PL、PC様方の交流及び
二次創作SS広場の更なる発展を願いつつ。
*Twitter上でお相手様を募集する際、便利かもしれないタグ
#リプしてくれた方のお子さんをうちの子がどう思っているかの文を書く
三夜雷一→三夜霧人
「せかいいちのおいしゃさんになりたい」
押し入れの奥、道具箱から見つけた卒園アルバムに書かれた将来の夢。
そうだ、幼稚園の頃は医者をめざしてたんだっけ。
俺自身すらうっちゃってど忘れしてた俺の夢を見事叶えたのは霧人だ。
ほんの数分生まれたのが早いだけの同じ顔の兄貴に、俺は永遠に追いつけずおいてけぼりにされる宿命だ。
霧人は俺の欲しいモノをなんでも横取りする。
本人にとろうという意識がなくても自然とあいつの方に行っちまうんだから手に負えねえ。
物心ついた時から俺達はなんでもおそろい、いつも一緒。
近所の人にはそっくりで見分けがつかないと感心され、よく入れ替わり成りすまして遊んだもんだ。
頭がよくて優しくてなんでも知ってる霧人。
ガキの頃から余裕の顔してなんでもそつなくこなす、目をつむってたってつまずくことなく真っ直ぐ歩ける、そんなあいつが一番の自慢だった。
ふたり仲良く犬ころみてえにじゃれあっていた時代を思い出し、卒園アルバムをめくりつつほろ苦い郷愁に浸る。
「随分遠くに来ちまったな……」
いつからだろう、自信がもてなくなったのは。
いつからだろう、霧人の存在が目障りになり始めたのは。
俺は霧人と比べられ貶される日常に嫌気がさした。
双子のできの悪い方、霧人のおまけ、ハズレくじ。
その手の陰口は聞き飽きた。霧人がいる限り俺はあいつの劣化コピーなスペアでしかなく、三夜雷一としての人格は否定され続ける。
お兄さんはいい子なのにどうしてキミはそうなの、お兄さんを見倣いなさい、本当にデキが悪い……ウンザリだ。俺だって頑張った、必死にやった。でもどうにもなんねー事はどうにもなんねー、元からデキが違うんだ。俺は同じ鋳型から生まれた不良品、ベルトコンベアーに乗って流れてくる段階で弾かれる欠陥品。対して霧人はピカピカに磨き抜かれた店頭の最前列に並べられる。
これが不条理でなくてなんなんだ。
先に生まれたのが俺だったら何か変わってたかもしれねえ、妬むのも嫉むのも羨むのも霧人の役割だったかもしれねえ。でも違う、そうはならなかった。
俺は死ぬまで一生霧人の背中を追っかけ続ける、決して手の届かないモノを仰いで憧れ続ける。
「…………」
天井に翳したからっぽの手をきゅ、と握りこむ。
あいつはいつだって俺の一番欲しいモノをかっさらっていく。
「……ばーか」
別に欲しくもねー癖に。
だったらお前が捨てようとしてるそれ、俺にくれよ。