Twitter発祥らっかみ!文芸企画。
自PCが他PCさんに対して
「思っている」「感じている」ことを
文にしてみませんか?という企画です。
独白文、その人に当てての手紙、エクセトラ。
形式はご自由に。
PL、PC様方の交流及び
二次創作SS広場の更なる発展を願いつつ。
*Twitter上でお相手様を募集する際、便利かもしれないタグ
#リプしてくれた方のお子さんをうちの子がどう思っているかの文を書く
花風 冴来→獅子島 市子さん
天使の様な純白をしたお気に入りのワンピースの上に
同じくお気に入りのウィローグリーンのパーカを羽織り
森の中へと歩を向ける。
行き先は白薔薇に覆われた廃教会。
人々から忘れられた祈りの家で
一人静かに泣いている天使に会いに行く為に。
純白のワンピースは確かに私の所有物(もの)だけれど
ウィローグリーンのパーカーは私の所有物ではない。
これは、この島で出会ったある女性が
私に貸してくれたものだ。
彼女と過ごした時間は長い様な、短いような。
いや、時間の長短など些細なことだ。
いずれにしろ私が彼女とこの島で
濃密な時を過ごした事実は変わらない。
彼女の声と姿はいついかなる時も美しく
古くから芽吹いた地の移ろいを眺め続けてきた
柳の木の様に逞しい知性を内に秘めた、暖かな女性で。
私はそう、彼女に憧れている。
今迄も、そしてこれからもずっと
私は彼女に憧れ続ける。
そんな彼女は近い内、この島から去るのだという。
このパーカーは借り物で
借りたものは返さなくてはならない。
そんな決まり事がこの世界にはある。
それを知っていて尚、私は躊躇っている。
返さなくてはいけないのだろうか、と。
ずっと借りたままでいる訳にはいかないだろうか。
貰い受ける訳ではなく、借りたままで。
何故ならそうすれば、彼女がこの地から姿を消した後も
また何処かで出会えるのではないかという
淡い期待を抱き続ける事が出来るから。
もしかしたらこのパーカーを私から取り戻す為
何時かまたこの地に戻ってきてくれるかもしれないと
そんな風に彼女を想い続ける事が出来るから。
行かないでと、駄々を捏ねたりはしないから。せめて。
迷いの森を進み、目的地へとたどり着く。
「九夜山忘花協会」と彫られた薄汚れたプレートを一撫でして
礼拝堂へと足を踏み入れると
砕けた硝子が散乱する荒れ果てた小さな世界で
天使像は今日も一人たたずみ
止まらぬ涙を零しながら祈り続けていた。
哀しいからか、報われたからか。
その涙の訳は、私にはわからない。
いつまでも泣き続ける天使に寄り添って
私も目を閉じ、そっと祈りを捧げる。
今迄も、そしてこれからもずっと
繰り返すであろうお決まりの儀式。
どうか愛しい人達が心穏やかでありますように。
何時迄も幸福でありますように。
そんな祈りを天使と共に静かに捧げる。
その祈りの中には勿論
この地を旅立って行こうとしている彼女の幸福も含まれる。
どうか、どうか。
貴女に無限の幸よあれ。