「ありがとう。君達のおかげで僕の私物も答案も戻ってきたよ。いろいろ面倒かけてしまったね」
アフタヌーンティーには遅い時間ながら、黒崎先生は手伝ってくれたお礼に、お茶をご馳走してくれた。
商店街の小さな喫茶店には、流石に全員入りきらなかったので、外にもテーブルを出してもらっている。
オレンジ色から群青色に変わる空を眺めながらお茶を飲むのもいいものだ。
「野々さんもありがとう。皆に声をかけてくれたそうだね」
「ううん、困ったときはおたがい様だよ、先生」
湯気の立つカップを手に、ののこは笑った。
「あ、でも、このテストは見逃してね、先生」
「ん……。それとこれとは別だよ、野々さん。担任の先生に指導するよう、ちゃんと言っておくからね」
「ううう」
喫茶店のマスターはカランコロンと扉を鳴らして外に出た。
ののこと黒崎先生の横を通って路地裏を覗くと、ボン太と数匹の猫がマスターを待っていた。いつもこの時間になるとボン太たちは残り物をせがみにくるのだ。
「こら、お前たち。あんまり先生に迷惑をかけるんじゃないよ」
「ぶにゃ~~ご」
マスターはぐしぐしと頭を撫でて、残ったパンをあげた。
「あーボン太だぁ」
鳴き声を聞いて、ののこも路地裏に顔を出した。
もしゃもしゃの毛を力いっぱい撫でてあげると、ボン太は気持ち良さそうに、ぶにゃ~~んと鳴いた。
他の猫たちもののこの傍に集まって、顔を擦りよせて甘える。
「おや、気難しいボン太が珍しい。お嬢さんは随分、猫に好かれてるんだねぇ」
「えへへ、猫と友達になるのは得意なの。今日はいっぱい追いかけっこして遊んだもんねー、ボン太」
「ぶにゃ~~ご」
それからボン太たちはひと声お礼を言うと、パンをくわえて屋根の上に帰った。
そして……ののこやマスターからは見えなかったが、そこに光るふたつの緑色の瞳の前で止まった。
「にゃごー」
テオだ。
「ぶにゃッス!」
「にゃッス!」
「にゃッス!」
ビシッとテオの前に整列して、ボン太たちはうやうやしくパンを差し出した。
おしまい
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■担当ゲームマスター
梅村象山
■ゲームマスターコメント
ゲームマスターの梅村象山です。
プレシナリオ第一段『ドラ猫とっつかまえ大作戦!』を担当させて頂きました。
参加してくださった皆さん、ありがとうございます。
自分のろっこんをどうシナリオに繋げるか、工夫をこらしてるアクションだったり、
いや、俺はろっこんを使わずこの身ひとつで勝負するぜ、と気合いの入ったアクションだったり、
密度の濃いアクションばかりで、わたしも読んでてとても楽しかったです。
今回は残念ながら、すべてのアクションを採用することは出来ませんでしたが、
あ〜このアクションすごくいいな〜〜、どうしよう〜〜と、
最後まで採用を悩ませてくれる魅力的なアクションが本当にたくさんありました。
実際に書いてる時より、選んでる時のほうが大変だったぐらいです。
と言うわけで、『ドラ猫とっつかまえ大作戦!』楽しんで頂けたでしょうか。
楽しんでもらえたならうれしいです。ありがとうございました。
■登場キャラクター(順不同)
的場 カンタ(まとば かんた)
薄野 五月(すすきの ごがつ)
納 十一(をさめ といち)
風峰 恵(かざみね けい)
白鳥 悠生(しらとり ゆうせい)
猫島 寝太郎(ねこじま ねたろう)
雨寺 凛(あまでら りん)
畑中 華菜子(はたなか かなこ)
握 利平(にぎ りへい)
白川 勝也(しらかわ かつや)
X 我威亜(くろす がいあ)
梅影 裕樹(うめかげ ゆうき)
綿会 日華(わたらい にっか)
神条 誠一(かみじょう せいいち)
志波 拓郎(しば たくろう)
十 刈穂(つなし かりほ)
七音 侑(ななね ゆう)
加藤 信天翁(かとう あるばとろす)
稲田 義吾(いなだ よしあ)
水随 方円(すいずい ほうえん)
神薙 焔(かみなぎ ほむら)
李 小麗(り・しゃおりー)
白鷺 行忠(しらさぎ ゆきただ)
西野町 かなえ(にしのまち かなえ)
天衣 祭(たかえ まつり)
虎沢 英子(とらさわ えいこ)
高尾 日菜(たかお ひな)
アレックス・ロジック(あれっくす・ろじっく)
平田 恵一(ひらた けいいち)
坂井 浩哉(さかい こうや)
葛城 璃人(かずらき りひと)
御手洗 孝太郎(みたらい こうたろう)
如月 庚(きさらぎ こう)
雨崎 荒太郎(あまさき こうたろう)
秋風 透(あきかぜ とおる)
織田 イチカ(おだ いちか)
雪見 大福(ゆきみ はるとし)
滝原 レオン(たきはら れおん)
桜崎 巴(さくらざき ともえ)
栖来 衣夢(すくる いむ)