様々な香りで満ちた部屋。
前の住人が残していった壁一面の棚には、大量の製油の瓶や製作中の香り枕が所狭しと置かれている。
大きな木の作業台には香り枕の材料があり、それの隣にはラベンダーの香るベッド。
ベッドの上や周囲には夢羊が群を成し、造花の花畑で眠っている。
部屋の外にも不思議と調和し合った芳香が漂っており、扉には貼り紙が一枚。
『貴方の悪夢、請け負います。』
@@@
RPを楽しむトピックです。
九龍のルールから逸脱しない限りはどなたでもご自由に&お気軽にどうぞ。
……んしょ、んしょ……。
んん、きれいになった!……あれ、あらら?あそこもここもまだまだですの……。
(箒を手に持ち、あちこちを掃き掃き。チリトリがない為いつまでたっても綺麗にはならないことに気付いていない。)
(部屋の奥で調香中の母の邪魔をしないように、部屋の入り口付近で遊んでいる。
羊のぬいぐるみ達とおままごと。)
むらさきいろさん、こんにちは。
あなたはみどり?みどりいろさん!
リセット
【箪笥を開け、喪服の様なイブニングドレスを取り出し悩んでいる】
@@@リセット@@@
>オズ
『貴女がどう思っているかは解らないけれども私に取っては初めましてよ』
『オズ、ね…解ったわ。宜しくお願いするわ。オズ』
>サマンサ
『…そうね。どうしても自分で手入れが出来なくなった時に貴女にお願いするわ』
『けれども、今はその必要は無いわね。この羊のぬいぐるみはありがたく頂いておくわ』(同じ様に羊のぬいぐるみを撫でて)
『普段の私も貴女と出会う可能性はある。…まぁ、普段の私から貴女へと接触するけれども、ね』
『私ってそう言う性格だから。普段も、今も、ね』
『…さて、と、そろそろ私は部屋に戻らせて貰うわ』
『私も自分の作業を進めないといけないからね…』
『それじゃ、また…』
(そう言ってゆっくりと立ち上がれば部屋から去って行くのであった)
でしょうね。
ありがとうございます。
(示された造花の花束に歩み寄り
一輪の造花を手にとって眺め)
墓場と言うからにはこの造花達は夢の死骸なのでしょうか。
良い香りが致しますね。
おっと、失言だったか、悪い(「形見」という単語に反応し)
いくら世間は狭いたァいえあんたと血の繋がりあるなんてぞっとしねーな。互いの薬指に結ばれてるとしたら運命の赤い糸じゃなく因縁の黒い糸……いや、蜘蛛の糸か?
案外ひっかかったのはそっちかもしれねーぜ。蜘蛛は巣を張って静かに獲物を待つもんだ。
アンタは俺の巣にとびこんできた可哀想な蝶々、真夏の夜の夢から生まれ落ちた黒揚羽かもな
……手をどけろ(柳子さんの手を躱し)
べたべたされんのは苦手なんだ。何度も言わせるな(目をそらし気味に忙しなく煙草を喫う)
そうですわね、花は心を穏やかに致しますもの。例えそれが偽りの物でも。
ふふ、その造花を見る度あたくしを思い出していただければとても嬉しいですわ?あたくしもこの夢を大切に記憶いたしますから。
【ジニーさんの話を相槌を交えて聞き終えた後、目を細めて煙管をくるりくるりと回し】
あたくしにも家族はおりましたわ、でも、先程申し上げた通りでしてよ。“これ”は父の形見ですの。
お気になさらず、もう過去の話ですわ。出会えば必ず別れがありましてよ。そして生まれれば必ず死ぬのですわ。
……貴方の血とあたくしの血に繋がりがあれば夢のようですわね。こんな小さな島で再び巡る血の導き……、とおってもロマンティックですわ、ふふ。
蜘蛛の巣に足を踏み入れたのもまた運命なのかしら?カミサマにしか分かりませんわね。
【すいと顔を寄せて、ジニーさんの頬を撫でる真似をし悪戯っぽく笑む】
【リサさんの言葉に目を細めて微笑んで】
他人の花壇は土足で踏み込むものではございませんわ。
本当に貴女の秘密を知りたければ、あたくし彼にお耳を縫い込みますもの。
【リサさんが抱く羊の耳をするりと撫で、仮面の奥の見えない瞳を覗き込むかのように視線を向け】
でも貴女の花壇を荒らすことに何の意味がありましょう。美しい芳香の花園は柵の外から愛でるもの。
貴女が時折そこから摘んだ花の香りを楽しむだけで、あたくしは十二分ですの。
貴女が貴女の花壇を整備しきれない時、遠慮無く庭師を呼んで下さいましな。どちらの貴女も歓迎いたしますわ。
【自らの胸を煙管でとんとんと叩き、色を孕みしっとりとした微笑みを向ける】
【オリーブさんに椅子を勧め、しゃらりと装飾を鳴らして悩ましげに首を傾げる】
お客様の夢はお客様の個人情報ですわ。頂いた夢を知るのはこの世でただ一人、あたくしだけ。
他人の花壇に入りたければ、その花壇の管理人の許可が必要ですわ。
ああ、でもその夢達の墓場ならご自由に手にとってご覧下さいませ。
【きちんと整えられたベッド周囲の、造花の花畑をゆるりと指し示し】
私が貴女の返事を待たずに
入室しただけの事ですからお気になさらず。
もし宜しければ貴女が請け負ってきた夢について
お聞かせ願えはしませんでしょうか。
(珠喪さんの方へちらりと視線をやり)
はじめまして、ではないと思いますが
貴女がそういうのであれば
はじめましてと返しておきましょう。
私は恋々出オリーブと申します。
此方の住民票にはオズと記載させて頂いておりますが
名前など、利便上のものに過ぎませんので
どう呼んで頂いても結構です。
(新たに入ってきたオリーブを見ればゆっくりと顔だけ動かして)
(…彼女は屋上で出会った…しかし、雰囲気が違うのう…)
(二面性…キャラ作りであろうか。どちらが作っていてどちらが本当か解らぬが)
(その様に考えた後、軽くオリーブに会釈をしながら)
『初めましてかしら。「リサ」と呼んで頂戴』(ボイスチェンジャーによる特有の奇妙な声でこの様に挨拶をする)
(先に造花の方に視線が移っていたので差し出されていたぬいぐるみには気づかなかったらしく)
『あら、申し訳ないわ。造花の方に目移りしてしまったの』
『ありがたく、頂くわ』
(そう言ってゆっくりとぬいぐるみを受け取り)
『私の秘密、ね…秘密と言う物は隠せば隠すほど様々な物に変化する物よ』
『それはミステリアスな物になるか、それとも自分の心の奥底にある強大な爆弾になるか…』
『おいおいと、ね。私だって悪夢は見る事はある』
『けれども、それは私が今生きている証拠。そして心の奥底に抱え込んでいる秘密のヴェール…』
『おいそれと渡すつもりは無いわ。私は今を生きる「花」になりたいから。「造花」にはされたくは無い』
『…けれどもそれが調香に使えないのならば…貴女が普通に調香した物は興味はあるわ』
『いつか『普段の私』が貴女の所に来るかも知れないから。けれども『普段の私』は貴女に『初めまして』と挨拶する』
『…秘密って言うのは、そう言う物よ。『私』は『私』。そして『普段の私』も『私』」
「その『二人の私』は限りなく近い距離にいながらも決して触れ合う事の無い存在。…双極子よ』
造花か。どうりで匂いがしねえと思った。手触りもリアルと違うし……
……でもまあ目の保養になるか。形から入るのもアリだろ?水がいらなくてもそのへんに転がしとくよか飾っとく方が映える。
悪夢は足枷か……言い得て妙だ。歩いていくのに邪魔なモンは早々におろしちまわねーとな。底なし沼にずぶずぶ沈み込んで二度と這い上がれなくなる
生まれも育ちも日本か。俺と同じだな。
俺は華僑との混血……父親は中国人の貿易商、母親は寝子島出身の日本人。
東洋人同士だから見た目じゃわかんねーだろ(肩を竦め)
親子ほど年が離れてるし、殆ど身売りのような結婚だったらしいけどな。
……親父にとっちゃ母さんも俺も慰み用の愛玩物、飽きたらポイだ
髪と瞳は自前。
何代か前の母方に西洋の血が入ってるらしい。……どこの国かは知んねーが、案外アンタとルーツが同じだったりしてな
……あんた、家族はいるのか?親兄弟はどうしてる
ああ、答えなくなきゃスルーでいいぜ。情報屋のサガかな、その人格の形成に至るにどんな人生送ってきたんだかふと気になっちまって
……そうか。じゃあ単なる勘違いか(心なしか安堵して)
香水の方は宜しく頼んだ。楽しみにしてる
……シャワーも毎日浴びれるわけじゃねーし、匂い消しにちょうどいいだろ(ぼそっ
【恋々出さんに顔を向け、ひらひらりと手を振り】
あらまあ、いらっしゃいませ。ノックの音に気付かなかったかしら、あたくし。お出迎えできなくてごめんあそばせ。
【申し訳なさそうに肩を竦めてみせ】
【リサさんに差し出したぬいぐるみをふわふわと撫でる】
……あらあ、お気に召しませんでした?女の子へのプレゼントとしてはテンプレート過ぎましたわね。
ええ、リサ様。秘密のヴェールは蠱惑な香りですわね。貴女の花園の魅惑の芳香、いつか教えて頂きたいものですわ。
……、なあんて、これもただの女の勘でしてよ。信憑性の欠けらもございませんわ。
【口元を隠し、上品にころころと笑って】
そうですわね、良い夢は発火剤になることも出来ますけれど、悪夢は重い足枷ですわ。あたくしはただ忘却という手段で夢の息の根を止めるだけ。
すっきりなされた?ふふ、ようございましたわ。
【リサさんとジニーさんの言動に目をぱちくりとさせ、ああ、と頷き】
あたくしが夢から作る花は全て造花でございますの。よくできているでしょう?夢が現実でないのと同じですわ。人が為す人の夢。偽りの花は儚き残滓ですの。
残念なことに、あたくしは造花から調香出来ませんの。この造花の香りを使うことが出来れば、その人のイメージ通りの香りを生み出すことができるでしょうに……。
【心底残念そうに肩を落とし、溜息を一つ】
名前の通りですわ、あたくしの血の半分はイギリスのものですの。でもずっと日本におりましたから、もう一つの母国語を話すことは出来ませんのよ。
貴方も混血かしら?ええ、勿論答えたくなければ流して下さって構いませんわ。
【興味を含めた視線を向けて煙管をくるりくるりと回している】
あたくしも貴方にお会いしていればしかと覚えているでしょうけれど、生憎横浜には行ったことがありませんの、あたくし。
ですから貴方があたくしを忘れている可能性は皆無ですわ、ご安心下さいませ。
……ふふ、分かりましたわ。今度貴方に合う香水を調香してお渡ししに参りますわ。貴方のことだけを考えながら調香しますわね?
【踊るような声色で無邪気に微笑みかける】
…悪夢を請け負う、ですか。
少々気になりますね。
(扉の張り紙を見て呟き、コンコンと扉をノック)
失礼致します。
(返事を待たずに扉を開けて入室する。)
へえ……親父の形見か。
名前と容姿からして純粋な日本人じゃねえようだが出身はどこだ?
答えたくなきゃスルーでいいけどよ。
こんな掃き溜めだ、叩けば埃がでる奴がゴロゴロいる(興味なさそうに肩を竦める)
九龍の住人はな……此処の元んなったスラムでもそうだったように、クスリ欲しさに堕ちてきたヤツもいる。そンでどん底まで身を持ち崩しちゃおしまいだけどな……
そーゆー手合いは相手にしねーこった、下手にかかずり合うととばっちりをくう
気狂いの幻想たァ手厳しいなアンタ。
綺麗な薔薇にはなんとやら、辛辣な毒舌だ(喉の奥でおかしそうにくつくつ笑う)
なんだ、でまかせかよ(安堵したように息をつき)あてずっぽの割にゃいい線いってたからよ……俺が都合よく忘れてる昔の知り合いかと勘繰っちまった。
横浜に居た頃は人に言えねえような汚れ仕事ばかりしてきた、どっかですれ違っても忘れてる可能性がある。
まあアンタくらい強烈な存在感の持ち主ならいやでも忘れられそうにねーけどな
……刺激的な甘い香りか。香水の類にゃとんと縁がなくてね。
ひとつ俺に似合いそうな香水がありゃ見立ててくれ。
代金は払う。今は懐があったけえんだ。
(サマンサの言葉をひとつひとつ反芻し、自分に言い聞かせるように)
そう、きわめつけの悪夢。でも案外隠された願望とやらなのかもな……
食べちまえば永久にひとつになれる、捨てられる事に怯えずに済む
……女々しいよな。
(リザの方を一瞥 そっけなく)
ああ、そうしてくれると助かる。
(夢から覚めたように瞬き、虚ろに呆けた表情でサマンサを見る)
もう終わったのか?
拍子抜けってか……でもなんだかすっきりしたな。
……そういや何の夢見てたんだっけか(懸命に思い出そうとするも断念、ばつ悪げに髪を掻き毟り)
この白百合が俺の夢の残骸?
しょうもねえ悪夢から生まれたにしちゃ冗談みてえに綺麗な花だな
(サマンサが差し出す百合を慎重に受け取り、持て余したようにくるくる回す)
……一応貰っとく。謝謝
無精者だからすぐ枯らしちまうだろうけど、コーヒーの空き缶にでもいけとくか
『えぇ、隣と言う訳では無いけれども近くだったから』
『それにしても悪夢を請け負う、ね…』
(自己紹介されれば僅かに黙った後に)
『「リサ」よ。そう呼んで頂戴。サマンサ』
(好きに呼んで良い、と言う事で「サマンサ」と呼ぶ事にした)
(劉の言葉を聞けば)
『そうね。出し惜しみする事では無いみたいだし…忘れるのならば私の心の中にしまっておくわ』
『永久にね』
(さて、サマンサの夢食いの様子をジッと観察すれば)
(…これは…ろっこんかのう…ふむ、彼女はもれいびか…)
(そう言えば…セブンも似た様な能力を持っていたな…今は何をしておるか解らぬが…)
『綺麗な花が出てきたわね。それが夢食いの結果なのかしら?』
『さっき調香師と言っていたけれども…確かにその花からは仄かに甘い香りがするわね…』
『調香はそれで行っているのかしら?それとも、いわゆる一般的な調香で?』
【斉田さんの答えに楽しげに頷き】
あら、お隣様……には少し遠いですけれど、そうでございましたの。そうですわね……。
【部屋をくるりと見渡した後、作業台に乗った橙色の羊を手にして戻り、それを差し出す。柑橘と草葉の力強い香りがする】
先日此処に越してきた柳子=サマンサ=テイパーですわ、調香師をしておりますの。お好きなように呼んで下さいまし。
ふふ、貴女の期待を裏切らないようにしなければなりませんわね、可愛い仮面のレディ。
今後ともよろしくお願いしますわね?
父の形見ですのよ、この煙管。元はあたくしの祖父のものだったようですけれど。
あら嫌ですわ、そんな下品な物に手を出す訳ございませんわ。この部屋を借りてからも何回かそれを欲しがる方が居られましたけれど……、あたくしが提供するのは心地の良い夢。気狂いの幻想では御座いませんことよ?
【肩を竦め呆れたように首を横に振り】
【そっぽを向かれ、残念そうに自らの頬を撫でる】
あらまあ、そんな過去をお持ちでしたの……。黒い世界で網を張る狩人の刺激的な香り、それでもふらりふらりと近付きたくなる暗く甘い香りが隠し味……?
いいえ、口から出任せですわ。そんな香りがあるような気がしただけですの。
【ジニーさんの話を静かに聴いた後、吐息を一つ零してうっとりとする】
その女性、想われておられるのね……ふふ、妬いてしまいそうですわね。でもこれは貴方にとってはただの悪夢、ええ、かしこまりましたわ。
夢はどれほどリアルでも所詮夢ですわ。それなのに此方に凭れ掛かる重い夢も御座います。重い物を持ったままずっとは居るのは疲れるでしょう?
ですからあたくし、その荷を請け負っておりますのよ。ええそうでございます、『ありがとう、良い夢を』。
【仄かに甘い芳香を纏った、儚く可憐に揺れる白百合の造花が現れる】
……ふふ、問題御座いませんわ。あたくし、夢の息の根を止めますのよ。この夢を覚えているのはあたくしとこの花だけ。
夢はいつか薄れ逝くもの、あたくしの魔法はそれを早めるものですわ。さあ、如何だったかしら?
【白百合の造花の香りを楽しみながら妖艶に微笑み】
(聞かなったことにしたほうがいいか問われ)
……どっちでもいい。出し惜しみするような夢でもねえしな
どうせ忘れちまうんだ、他人に聞かれようが今更だ
(扉が開かれればゆるりと部屋の中に入って片手をひらりと振りながら)
『その両方ね。興味としてあるのは』
『丁度私が借りている部屋の途上にあったから気になっただけよ』
『私が借りている部屋は105号室だから』
(と、ここで丁度劉が悪夢の話をしているのを聞けば)
『その悪夢、聞かなかった事にした方が良かったかしら?私の場合は』
(その様に劉に尋ねてみる)
いまどき煙管か。酔狂だな。
懐古趣味というか時代錯誤というか……まさか大麻や阿片じゃねーだろな?
(柳子さんのしなやかな指が絡新婦の如く胸板を這うのに、静電気が流れたように仰け反り)
っ!
やめろよ、気色悪ィ。べたべたされんのは好きじゃねえんだ(動揺を取り繕うようにそっぽをむく)
……この胸に巣食う蜘蛛が珍しいかよ?昔身を寄せた組織の名残り、裏社会の烙印だ。
こいつが匂うってなあァ……つまりきな臭えって事か?
なるほど、オープンしたてか。それじゃ知らなくても無理はねえ
なあに、大した事じゃねえ。人脈とネットだな
うまいネタは人口に膾炙して拡散される、それをうまいこと煽って釣って誘導してやりゃいっちょあがりだ
名前をつけることで命が宿る、ね
……その理屈でいくと俺が女々しいのは姉貴の名前をつけられたからかな(周囲に聞こえない程度の小声でうっそりと自嘲し)
ああ、なるほど、本音と建前か。対外的なセールストークと腹ン中で思ってる事は違う……
怖気立つような綺麗ごとを並べ立てられるよりかそっちのがずっとアンタらしいぜ
聖母の皮を被った毒婦ってとこだな、さしずめ
……俺の夢、か。
本当に食ってくれんのか?(半信半疑のジト目で柳子さんを睨みつつ、新しい煙草に火をつけて咥える)
と言われても日替わりで悪夢を見るせいでどれにしようか迷っちまうが……
昨日見たのは、俺が蜘蛛の巣に絡まってもがいてる夢。
視線の先には知ってる女がいて……
そいつがこっちに手を伸べて助けを求める、必死な形相で泣き叫ぶんだが、咽喉を何重にも糸に戒められたせいでその声は届かない。
俺はそいつを助けようと手を伸ばすんだが、顔の前に持ってきたその手を見てぎょっとする。
真っ黒くて毛むくじゃら、醜く節くれだった蜘蛛の脚。
いつのまにか俺は巨大な蜘蛛になってる。
そんで気付くんだ、目の前の女は助けを求めてたんじゃなく俺に来るなと、こっちに寄るなと声を限りに叫んでたんだと。
他でもない、この俺に命乞いしてたんだと。
そして俺は頭からばりばりと女を食っちまうっていう最低に悪趣味な夢だ。
……こんなんでいいのかよ
さあ、どうにでもしてくれ(自暴自棄に言い捨て無防備に目を瞑る)