柔らかな陽射しが差し込む穏やかな昼。
清んだ空気が周辺を満たしており
野生動物が時折、喉を潤しにやってくる。
ある少女は静かに語る。
「この泉には妖精達がすんでいるの。
貴方に姿が見えないだけで
ちゃんとここに存在しているのよ。」
*昼の雑談トピックです。
*独り言や探索にもどうぞ
ええ、貴女の言う通りだと思うわ。
ただ私が言いたいのはそういうことではなくて…。
(自身が彼女のいう奇特に片脚、若しくは両脚を
踏み入れている類ということは一先ず置いておき。
どう語ったものかと思考を巡らせるも)
そんなことより、いつだったか星幽塔だとかいう場所が
見つかったって話を聞いたのだけど
庵さんはもう其処へは行った?
(結局断念して強引に話題を変更する。
話したところで何が変わるわけでもない。
口にする必要もないだろう。)
今の友達を大切にしたいってのは、いいことだと思うよ。
ただ、新しく友達になってくれる人、ねえ。それは難しいんじゃないの?
あんたがいいとか悪いとか、そういう話じゃなくてさ。
初対面の相手に、いきなり「友だちになりましょう」なんて言ってくる人間は、存在自体が奇特よ。
意図的に作ろうとかなろうとかいうよりは、気がついたら親しくなっていて、友達と呼べる間柄に「なっている」ってのが自然だと思うね。希望通りにそうなれるかどうかは、また別の問題として。
友人が多いとその分外部刺激を受けることになるから
その影響を受けて脳が発達する、とか?
脳を発達させたいかは別にして
新しく友達を作るより
今傍にいてくれる人を大切にしたいというのはあるかな。
新しく友達になってくれる人がいるなら
それは願っても無い話だけれど
そんな奇特な人滅多に現れないでしょうし。
そう? そう言ってもらえると、うれしいな。
脳生理学の分野では「友人が多いほど脳が発達する」なんていう研究報告もあるけどね。
だからって、嫌な思いをしてまで脳なんか発達させなくてもいいじゃないか。
自分にとっていいと思う状態を維持する事の方が、よっぽど本人にとってはいい時間を過ごせると思うよ。
そうね。私もそう思う。
身に覚えがあるだけに、余計にね。
私も庵さんのことは好きだし、話していて楽しいわ。
貴女といるのは苦がなくていい。
ああ、リサは誰かに会いに行く途中だったっけ。じゃ、またね。
あたしは大人数も少人数も一人も好きよ。
でも、苦手なら苦手でいいじゃないか。パーティーか何かに誘われたって、嫌なら、そんなものは断ればいい。そういうのが好きな人間だけが集まって楽しんでればいい。
「自分がされたい事を他人にもしろ」なんていうのは、おせっかいを通り越して、他人を斟酌しない傲慢な態度だと思うよ。
ただね、あたしはあんたの事を気に入っているし、あんたと話すのは面白いと思っている。
そう…。残念だけど、仕方がないわね。
ごきげんよう。また何処かで会いましょう。
(少し寂しげに微笑んで去り行く背を見送り
指に嵌めた青薔薇の指輪に口付け、祈る。
彼女に幸運がありますように、と。)
「……あら、もう時間だわ」
「ごめんなさいね。私はそろそろ行くわ」
「ごきげんよう、それじゃ、また何処かで」
(その様に言う仮面の少女は何処かへと……)
ああ、いや。ごめんなさい。
庵さんがそう言っているって訳ではなくて
「自分達が正しければ何やっても構わない」って考えの人たちが
この世にはいるってお話しよ。
なんというか、それを思うとみんなの居場所なんて
結局何処にも無いのかもしれないって
そんな風に思ってしまうわ。
それを肯定したくはないのだけど。
そういう私も騒がしい場所は正直に言って苦手だし。
大勢で賑やかに楽しく騒ごう、とかね、駄目なのよ。
大抵の人はそれが好きなのだろうけど
私はこういう場所で静かに過ごしている方が楽でいいのよね…。
ああ、そうだった。
庵さんの目的はそれだったわよね。
珍しい植物…。んー…。
この島に来たばかりの時に見たような気はしたけど
どんな植物だったか忘れちゃったわ。
ん? サンドバッグにしていいなんて言った記憶はないけどな?
「自分がされたくない事を他人にするな」が論語で、「自分がされたい事を他人にもしろ」が聖書。論語の方が被害は少ないと思うけど、自分にとってはされても平気な事が別の人間にとってはされると苦痛だったりするから、めんどくさいね。
何もしないでいたって「無視された」「相手してくれない」って思うかもしれないんだし。
ああ、猫鳴館ね。山の中に誰かいるのかと思ったわ。
そうね、この島には何かがあると、あたしも思う。そもそもあたしがこの山に来たのも、前に見た珍しい植物を探すのが目的だったんだし。
そう言われると確かに猫鳴館に行くのも山登りと言えるわね。
頭からすっかり抜けていたわ。
否定しないでくれて嬉しいわ。
妖精はいることを認めてくれる誰かがいないと
そこにいられなくなってしまうからね。
(庵の言葉に少し考えた後)
「確かに私は冴来の言う通り、現実主義よ」
「友人と言っても九夜山にある猫鳴館」
「そこならば、私の知り合いがいても何ら不思議はないわ」
「だけれども、この辺りに妖精がいる、と言う事には否定出来ないわ」
「何故ならば、最近の寝子島は不可思議な事が多い」
「それを目の当たりにしている以上、『非科学的だ』と否定する事は出来ないの」
まあ、それにしても周りに迷惑をかけた人間だからと言って
気遣いも無しにサンドバッグにしていいとは
私は思わないけどね…。
何を迷惑に思うかも人によって千差万別だし
考えてると頭が痛くなってくるわ。
リサが言ってる友人は妖精だとかそういう類とは別じゃない?
この子は私と違ってもっと現実的だもの。
違う?(最後の問いは仮面の少女へ向けて
「自由と我儘の界は他人の妨げを為すと為さざるの間にあり」ってトコかな。
自分には大切なものであっても、それで周りに迷惑かけちゃうのは、大切にするやり方を間違えてると思うよ。
知っている既婚の医者だと、結婚指輪にチェーン通してネックレスにしてる人がいる。
リサって言ったっけ。あんたもこんな山の中に知り合いがいるの?
冴来はこのへんに妖精がいるって言ってたけど、そういうたぐい?
「そう?」(冴来の言葉にはこの様に返し)
「こう見えても山は登ってるのよ?私」
「単純に、友人に会いに行くために登ってるのだけれどもね」
わかるわ…。
結婚指輪だったり、大切なもので
肌身離さずつけていたい気持ちはわかるけど
それとこれとはまた別の問題よね。
何かあってからじゃ遅いのだし。
ああ、指輪は良くないね。
手先の感覚が狂うし、つけっぱなしの指輪なんて、言っちゃ悪いけど雑菌だらけだよ。
医療関係者とか食品関係者は、せめて仕事中は指輪をはずしてほしいな。
その指輪の雑菌が、下手したら他人の命に関わるんだから。
庵さんの様な研究者さんだと
とくに指輪とか、作業の妨げになりそうだものねー…。
ああ、そういう。
貴方ってこう、山登りなんかの肉体労働は
あまり得意じゃなさそうなイメージがあったものだから。
まあ、それに関してはきっとお互い様よね。
それにしても知り合い、ねぇ…。
友達でしょ、友達。
余所余所しい言い方しないで頂戴。
ちょっと傷付くじゃない。
>冴来
(何故こんな山奥にと言う質問にほ手をひらりと返しながらも)
「ただの散歩よ。私は色んな所をうろついている。こんな山奥の所にだって赴く事ぐらいたるわ。言ってしまえば暇つぶし。そんな所よ」
>庵
「はじめまして。私はリサ。冴来とは知り合いよ」
「健康優良と言う訳ではないけれども不健康と言う訳ではないわ」
「これが私の普段、なのだから」
幸せが続くとは限らないけど、それなら不幸も続くとは限らないんじゃないかな。
パズルとかミステリーだと、完成形がはっきりしているから、不完全さが際立つのかもね。
あたしもアクセサリー類はほとんど持ってないなぁ。付けてても邪魔なだけだから。
(仮面の少女を見て)
あれ、いらっしゃい。冴来の知り合い?
顔色は見えないけど、体格や肌の色を見るかぎり、健康優良って感じじゃなさそうね。
栄養ドリンクでも飲む?