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寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
寝子島は撮影されている ~はたらくって、すばらしい。
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【寝子島変容】
気付けば眼前、夜の下に横たわる、寝子島。どうやら九夜山の中腹あたり、いくらかなだらかな草地の真っ只中に、彼らは立っているようです。
けれど奇怪なのは、今にも降り落ちてきそうな、赤い月。見慣れた建物たちの上、至るところに突き立つ無数の、おびただしい数のアンテナたち。星空へと向かってそこら中から伸びている、赤と白の電波塔。そんなものが寝子島の至るところにそびえている様は、まるであたかも、針山のよう。
かつては、
黒猫たちの視界を借りることで初めて見えた光景
が、今や、現実のものとなったかのよう。
異界めいて変貌した故郷の島に見入り、この場においては異質な存在と化した畳敷きの小上がりや床板から彼らが降りると、言わばそれもセットのひとつであったのか、瞬く間にスタッフたちが周囲を取り囲んで持ち上げ、どこかへ運び去っていきます……
サキリ・デイジーカッター
の目が、即座に抜き放った刃を手にしながらもふと、その中のひとりに留まりました。
「……久保田先生?」
やけに据わった目。左腕には赤い腕章、『D.F.R. - Direction systems of Freaky object Research -』の文字。床板を運ぶスタッフの中のひとりは、確かに寝子島高校の国語教師、
久保田 美和
その人でした。
「学校の先生とか、モテないし……子どもの相手とか面倒だし。給料も安いし。アルバイトでもしてたほうがマシだし……」
落ち窪んだ暗い瞳で、ぶつくさとつぶやく姿はまるで、別人のよう。
「何とまあ、知り合いかい? こりゃまた偶然だな、驚いた……ああ誓って言うが、こいつは仕込みじゃない。ついでに彼女の名誉のために付け加えておくと、これが終わったなら、彼女はきっと何も覚えちゃいないはずだ。心配しなくていい」
夜闇に消えていく美和先生の背中を見送った、男。かろうじて男だと判断できるという、ただそれだけの、何か。人では無い、何か。
その声はひび割れていて、まるで古ぼけたスピーカーが鳴らす、ノイズ混じりのラジオのよう。
「我が『D.F.R.』の構成メンバーは、常に流動的でね。一生に一度、『
入れ替わりの日
』を迎えた人々に一日ずつ、持ち回りで担当してもらってるわけだ。おかげで事務所もスタジオも持てないもんで、こうして夜空の下にセットを組み立てて撮影するのが、俺のやり方でね。そうそう! 以前に君たちが訪れた倉庫なんかもつまりは同じ仕組みで、全て演出装置のひとつというわけ……」
「……あんたは。何者なんだ?」
びゅ、と風を切って突き付けた、刃引き刀。
御剣 刀
の疑問は、『ミッドナイト・フリーキー・ショウ!』その目的、運営する組織とは一体、何なのか? そんなところにありました。それに、
「あの普通じゃない道具の数々。フリーキー・オブジェクト? あれは何の目的で作られて、管理されているんだ?」
「私も、気になります。ここにいる、みんなが気になっていると思います」
隣では、ぎゅう、と縋るように黒猫を胸に抱き締めた、
綾辻 綾花
が尋ねます。
「あなたは、何者で……あなたの最終目的は、何なんでしょうか?」
それを真っすぐに見つめた、男。ぐるりと彼らを見回した、その男。
男には、顔がありません。目も、鼻も、口も。
赤い月はきらめき周囲の夜を煌々と照らし出しているというのに、天を仰いだ男の顔には真っ暗な影が落ちて、その一切をうかがい知ることはできません。
「何者、ね。いや、答えてやりたいのはやまやまなんだが……本当さ。だがね、俺には胸を張って名乗れるような、本当の名前ってものが無い。おまけにご覧の通り、顔すら無いんだよ。目的というなら、そんなところがまさしく、俺の目的ってことになるんだろうな」
当然にして、『新出府 譲』などという人間は、この世に存在しないのでしょう。それは取って付けられた偽名でありながら、けれど本来言い表すべき真なる名を、男は持たないのだと言いました。
警戒の瞳を向ける彼らへ、顔のない顔を、ゆっくりと巡らせて。男は大げさに肩をすくめて、ため息をつくような仕草を見せながらに、
「もっとも……以前に、呼ばれていた名前はある。いや、本名とは到底言いがたい、単なる呼び名さ……お前さんたちは、知りもしないだろうな。ちっぽけな噂。気付きもしなかったろうさ。もちろん責めてるわけじゃない、俺がただそれだけの、本当にちっぽけで他愛のない、くだらなく哀れで矮小な小物に過ぎず、消えゆくのみの存在だとあらためて突き付けられるだけの……ただ、それだけの……」
自虐めいて、取り止めなく。男のつぶやきには、隠しようも無い悲哀と、嘆きの色が見えました。
深い、深い絶望が、そこには垣間見えました。
けれど……けれど。
「……『
みえっぱりラジオ
』?」
ぴたり、と。時もろともに静止し、凍り付いてしまったかのように。男はおもむろに、微動だにせず。
……彼を呼んだのは、
桜庭 円
でした。
「……………………な、ん……お前さんは……どうして、俺の」
「いやー、今さらだけどね。ジョニーさん前に、『人に呼び名は必要か』、なんて言ってたでしょ? 普通はね、そういう言い方はしないなぁって……だからジョニーさん自身も、FO? ってやつなのかなぁって」
みゃあ、と鳴いた子猫は、本物のにゃーくん。肩の定位置に乗ってご満悦な彼へ、頬ずりしてやりながらに。
円はかつて、尋ねたことがありました。彼は、人では無いのではないか? と。そんな予感は、ずっと前からありました。
その上で円には、目の前の顔のない男へと、抱いた想いがありました。
「ねえ、ジョニーさん。この前は言えなかったけどさ……ボクはジョニーさんに会えて、良かったよ? ありがとう、すっごく楽しかった。今日のゲームだって面白かったよ、ねえ、ジョニーさんも楽しめた?」
開けっぴろげな彼女の言葉を、顔のない男はただ、呆けたように。
「ボクは、さ。ジョニーさんの友達に、なれたかな?」
「………………」
夜に瞬く星々を、赤い月を見上げて。噛み締めるように。
「ああ…………ありがとう。無駄じゃあ無かった。全部。俺は、ようやく……」
それはぽつりと小さく、独白めいていて。静かに、深い息を伴って。
心の内から、漏れ出すかのように。
恵御納 夏朝
はぼんやりと、見比べます。
きょとんとして怪訝そうに成り行きを見守っている、
胡乱路 秘子
。そして顔のない男、仮の名を、新出府 譲を。
(そういえば……新出府と胡乱路先輩を同時に見るのは、初めてかも)
「ッ、待て!」
鋭い声は、
矢萩 咲
。竹刀を構え、右手はいつでもろっこんを撃ち放てるよう引き絞り、叫びました。
「胡乱路さんを、どこへ連れていく!?」
竹刀の先端で示した向こうでは、赤い腕章をつけたスタッフたちが大挙して、秘子をどこかへと誘導していくところです。
「あら、わたくしだけ移動ですか? 皆さんありがとうございました、とっても楽しかったです♪ それではお仕事に行って参りますね、ごきげんよう~んふふ~」
「く……新出府 譲ッ!! 彼女を一体、どうする気だ!!」
咲は追いかけようとするものの、どこからあふれてきたものか、人波に阻まれて進むことができません。
「心配はいらないさ。言ったろう、大事な役目があるんだ、あの子には。決して悪いようにはしないよ」
「……『MFS!』の、特番? そこで胡乱路に、何か重要な出番があるって……」
ロベルト・エメリヤノフ
は、何があろうと、明らかになろうと、全てを受け入れる。その上で、自分に何ができるかを考える……そうした覚悟を持ち、この場に臨んでいます。秘子に対してもそれは当てはまることであり、心配そうに眉を寄せながらも瞳には力がこもり、顔の無い男の顔を、じっと見据えます。
「何を、するつもりなんですか?」
「君の言うとおり。特別番組さ。君たちのおかげで、俺はここまでたどりつくことができた、それは間違いない。感謝してる。このままここで終わっちまってもいい、そんな風にすら思えるよ。お前さんたちが俺を覚えていてくれるのなら、それだけで……だがあいにくと、そういうわけにもいかなくてね」
両手を掲げ、示したのは無数のアンテナたちや、赤と白の電波塔や、赤い月。
寝子島へと滲み始めた、奇怪なオブジェクトたち。
「一度始めた番組だ。デスクにクレームのはがきが山積みになるか、最終回の大団円を迎えるまで、放送を止めるわけにはいかないのさ。おかげさまで視聴者も増えた、視聴率も上がってきた。こんなところで打ち切りってんじゃあ、どうにも恰好が付かない。締まらない……! 分かるかい? やり遂げる義務があるんだよ。俺はディレクターで、プロデューサーなんだから」
と……不意に。
ひょいと、男がこちらへ、何かを投げて寄こしました。たまたまにそれを受け取ったのは、
志波 武道
です。
「……これは?」
「約束の報酬だよ。ちょっとした趣味の産物ってところかな? 自分の声……言葉をね、記録しておくんだ。そうすることで、俺みたいな存在であっても、何かを世界に残せるような気がしてね」
武道の手のひらに乗っているのは、小さなスティック状の、USBメモリでした。
「そいつを選りすぐって、入れておいた。それらの音声ファイルが、俺や、彼女や、番組や……諸々、その全てだ。ぜひ、聞いて欲しい。他でもないお前さんたちに、聞いてもらいたいんだ」
「これを聞けば……分かるのか? ジョニーさん。あなたのことや……」
「あの番組は一体、誰のためのものであるのか? 気になりますね。ぜひ、確かめさせていただきますよ」
隣に、
芽守 健作
。全てを一語一句逃すまいとしてか、メモ帳へ書き入れる手は止めないままに、武道と、それに傍らの
呉井 陽太
ともうなずき合います。3人はこれまでにも協力して謎を追及し、ここまで追いかけてきました。
その答えは、今、武道の手の中にありました。
「……ひとつ、教えろ」
半ば睨むようにしながら、尋ねたのは咲。
「何だい、咲チャン?」
「気安く呼ぶな!」
吐き捨てるように。見据えた視線は、鋭く。
「……『胡乱路さんを、MFS! のストーリーテラーから、フツウの存在に戻す事は可能か』?」
ぴくり、男は肩をひとつ揺らし。あごに指を添え、しばし、考え込むようなそぶりを見せた後に。
「……『可能』、と言っておこうか。もちろんそれもまた、用意されるべき筋書きのひとつだ……とはいえ、あの子自身がそれを望むかどうか。保証はないがね」
「待て、それはどういう……」
くるり、踵を返して。
ぱちり、指を鳴らして。
「全てはこれより始まる、『ミッドナイト・フリーキー・ショウ!』。その集大成にてとくと、ご覧あれ! ってね」
奇怪な赤い月に照らされる、電波塔たち。そのひとつへ、ひらひらと降り立った一羽の蝶が姿を変え、
屋敷野 梢
は細めた瞳で、世界の変容を見つめます。
「……電波が発信されているなら、受信しているものが、どこかにあるはず。つまり……」
家々に突き立って空へと伸びる、数えきれないほどのアンテナたち。届く電波を受け取り、お茶の間のテレビへと映し出しているだろうそれらと、画面の前に居座り番組を楽しんでいるはずの、視聴者。
寝子島に暮らす、フツウの人々。
「本放送が始まるのなら、その人たちは……この島の人たちは、どうなっちゃうっていうんでしょうねー……?」
「ふふ。小さなことですわよぉ。それはとても小さな、些細なこと」
金網の足場に腰かけた
毒島 虹子
へと寄せた、梢の視線は険しく。
けれど虹子は意に介さず、歌うように。弾むように。
「ああ、私の大好きな、『MFS!』。終わってしまうだなんて! 謎が全て明かされて、大団円を迎えてしまうだなんて、とても、とても寂しいですわぁ……」
しゅぱ、と傍らへ姿を見せた、一匹のレンズ・キャッツ。首を傾げた黒猫の、カメラ・レンズの向こうへと、
「……なーんて。ふふ、ごめんなさい、嘘をつきました…………」
「反吐が出ます」
虹子は、にこり。微笑みます。
「秘子さんの、可哀そうな境遇。可愛そうな過去! そんなものに群がって、助けよう、救い出そうだなんて……うふふ。なんて、つまらない。特に男性の方々、彼女を伴侶か何かにでもしたいのでしょうか? ヒロイズムと性欲って、紙一重なのかもしれませんわねぇ」
くすくすくすと、黒猫の瞳が映す嘲笑もまた、視聴者のもとへ届いているのでしょう。どこかの誰かを、楽しませているのでしょう。
虹子の吐露する心情を目の当たりにするのは、テレビの向こうの誰かだけ……ふん、とつまらなさそうに鼻から息を吐いた梢は、蝶と変じて、既に飛び去っていたので。
「はあ、全く。おかげで、素晴らしい絶望を表現してきたこの劇場が、白々しい茶番まみれになってしまいそうで。私、ため息が漏れてしまいますわぁ。でも、まぁ、その時は…………ふふ。うふふ」
す、と立ち上がり、
「全ての駒を。黒幕を。司会者を、番組を! 私が踏み潰して、奪い取って差し上げますわぁ……!!」
赤い月明かりの中。笑う歪なシルエットは、揺れ続けました。
そして。
長い、長い夜が今、幕を開けます。
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。『寝子島は撮影されている』、第三夜のリアクションをお届けいたします。
この場に至っては、あまりあとがきに言葉を尽くすのも興ざめかと思いますので、ふたつだけ。
ひとつは、『彼が何であるのか』を、ピタリ、ズバリ! 言い当てて下さった方がいらっしゃったこと。アクションを拝見してからしばらく、嬉しくて、すっごいテンションが高かったです。
その他にも、たくさんの方々に色々な考察をいただけて、本当に真剣に取り組んでいただけて、私はとても幸せです。
もうひとつは、次回の『MFS!』が、恐らくは最終夜となるであろうということ。
ここまでお付き合いをいただきまして、皆さまのご厚意に、大変に感謝しております。ありがとうございます。
あと少し、です。
それでは今回もご参加をいただきまして、ありがとうございました。
また次の夜にもお目にかかれますことを、心よりお待ちしております。
ひとまず、お疲れさまでした!
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墨谷幽
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3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
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20人
参加キャラクター数
20人
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シナリオガイド公開日
2016年05月01日
参加申し込みの期限
2016年05月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年05月08日 11時00分
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