酷く荒れ果てた礼拝堂。
争いの跡が色濃く残されており
床には割れたステンドグラスの破片が散乱している。
教壇の下には隠し扉があり
そこから地下室へと降りられる様だ。
中央にぽつりと佇む薄汚れた天使像は
どこか泣いている様にも見える…。
………(天使像の前まで行き、その辺に腰かける
……(なにも言わずただそこに座っている。ただ、ただなにも言わず
…………祈りを捧げれば、貴方も救われるのだろうか
(小さく呟いて、天使像を見上げている
…私を忘れないで。
(天使像を見つめ小さく呟く。
「私を忘れないで」
それは勿忘草の花言葉。
「九夜山勿忘草教会」
人々は何を想い、その名をこの地に与えたのか。
誰に「忘れないで」と願ったのか。)
…それとも真実の愛?
(「真実の愛」
それもまた勿忘草の持つ花言葉の1つ。
人々はそれを願ったのだろうか。
「真実の愛」がこの地に宿るようにと。)
…あなたは知ってる?
(内緒話をするように、静かに問いかける。
天使像は何も答えない。
変わらぬ微笑みをそのかんばせに浮かべ
ただ言葉を受け止めるのみ。)
…………。
(天使像の前に座り込み、静かに祈りを捧げている)
(口元に笑みを浮かべ、荒れ果てた祈りの家へと足を踏み入れ)
あらあらまあ…。
これはまた無惨な光景ですこと。
一体此処で何が起きたのやら。
うふふ。心躍りますわね。
(くすりくすりと楽しげに笑い、足元に散らばる硝子を一つ
その手に拾い上げては光へ翳す。)
(うら寂しい空気が漂う廃教会。
そこへ置き去られたままの教壇へ
「ここは私の席だ」とでもいうように
自然な形で腰掛けて。)
…ねぇ。
極平凡な存在が特別な存在に成ろうとする事と
特別な存在が極平凡な存在に成ろうとする事。
そのどちらが大変なのかしら。
どちらがより苦しいのかしらね…?
(静寂を震わせるは少女の独り言めいた問い。
少女はそれきり口を噤み。
孤独の響きを孕んだ声は、静寂に呑まれ、溶け消えて。)
…………。
(ただ受け止めるのみ、答えを返さぬ「彼女」にか
その様な疑問を抱かずにはいられない自身にか
長い睫毛を震わせて、青の瞳を伏せては苦笑する。)
夢を見ましょう 春の夢…♪
私が大人になったなら….♪
(朽ちかけた祭壇に腰掛け、鈴を転がす様な声で歌を歌う
*リセット
うーん…。
工作に使うのも悪くはないと思うけれど
在るべきものは在るべき場所にあった方が
幸せなのではないか、ってね。
望んでもいないのに生き直させられるなんて、
私だったらごめんだわ。
それに、ここは奇跡が起きる島だから
この子達が元の姿に戻る日がいつか来るかも知れないし。
(手の中に在る破片たちを眺めながら
ふーん…?
ガラスだってどのみち元に戻すことが出来ないんだから、破片でなにか工作してみたら?
廃材リサイクルってやつかしら。
ええ、お久しぶりね。
寧々子さんもお元気そうで何よりだわ。
ただ綺麗に見えたから拾い上げていただけで
別段深い意味はないのよ。
気が済んだらまた床に戻すわ。
流石にどの破片がどこに落ちていたかまでは覚えていないから
完全に元通りにとはいかないけれどね。
お久しぶり、冴来ちゃん。
表情をみるかぎり元気そうで良かった♪
…そのステンドグラスどうするの?
(床に落ちたステンドグラスの破片を拾い集めている最中
女性の声を耳にして顔をあげ)
こんにちは、寧々子さん。
物言わぬ天使様と一人の女の子ならここにいるわ。
やっほー? 誰かいるかなぁ…
(キョロキョロと見渡し)
はい、よければ是非きいてあげてください。
姉さまは あっ!?
姉はこうしたいと思ったら即行動の、エネルギーの塊みたいなひとですから。
じゃあ、わたしちょっと姉を追いかけてみます。
お話しできてよかったです。それではまた(微笑み
今度調べてみるわ。
寧々子さんのラジオ、聞いてみたいし。
貴女の話をしていたときの彼女は
とっても情熱的だったというか。
煌めいていて眩しくて暖かくて。
…素敵な人。
ラジオ局…えぇ、たしかそんな感じです。
情熱的、ですか?せっかちはそうですね(笑
冴来さんにはいろんな部分をみせてるんですね。
ああ、成る程…。
確かにそういうところがありそう。
情熱的で、せっかちさん…というか。(苦笑
パーソナリティというと…ラジオ局だとか
そういったところで働いているのかしら…。
ぁ…いぇ、あの…///
そうですか。
私が仕事先まで送っていくという話をしていたのですが、私が身支度をしてる
間にひとりで出て行ったみたいで。
思いついたことがあるとパッと飛び出ていく人なので…
前は家業を手伝っていたんですが、今はこの島でぱそーなりてぃ?をしているそうです。
ええ。とても大切な妹だと、そう言っていたわ。
愛されているのね。
仕事の打ち合わせがあると言っていたから
今は仕事先にいるんじゃないかしら。
…そういえば、あの人が何の仕事をしているのか
聞いたことがなかったような…。
あ、挨拶が後になってしまって、すみません(慌て)
えぇ、私は八千穂といいますが…姉が何か私のことを言ってましたか?
ねここうこう…冴来さんは、こちらの高校の生徒さんなのですね。
さっき…、というのはつい先程、ということなのでしょうか。
じゃあ、ちゃんと仕事先に向かったのかな (困り顔)