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秋雨に濡れ
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【雨を切る】
意識を前方、ただ一点へと集中。
半身を引いて腰を落とし、左に握った木剣の柄へ、そっと右手を添えて。目を細めて。
そのまま、ひたすらに。ただひたすらに、機が訪れる瞬間を待つのです。静かに。静かに。
そうするうち、肌に張り付く濡れた服の感触は徐々に無くなり、降り落ちる雨音は耳朶の向こうへ遠ざかり、神社の境内もろともに自分を打つ雫すらも、意識の外へと追いやられ。やがて。
見えた。
言葉でそう思ったわけでは無く、
御剣 刀
がその瞳で捉えたのは、刹那に閃かせるべき、己の剣筋。標的へと至る最短、最速の道筋。
横一閃。振り抜いた刀身に遅れて、すぱん、という音が響き、剣先の軌道をなぞるように広がるのは、弧を描いて弾けた雫たちの残滓。
狙い定めたのは、ひとつきり。木の葉からこぼれ落ちた、たったひとつの雨粒。それが切っ先に触れ、押し潰され、四方へと散り散りに弾け飛ぶ様を、刀はスローモーションのように見つめていました。
(……まだまだ、だな)
再び木刀を身体の横へ戻し、居合いの構え。じり、と両足を擦り、腰を落とし、柄へそっと右手を添えて。
足、腰、肩、腕、柄を握る拳、そして剣の刀身から先端へと至るまで、身体能力の最良の伝達を意識し、精神を集中。ただひたすらに、前方の一点へと。
弾くのではなく、二つに分つ。即ちあの雨粒を、斬る。
刀の目指す境地は、決して、容易にたどりつけるものでは無いのです。
そこへと、いつか至るため。刀は何度でも、ひたすらに。ただひたすらに、剣を振り抜くのです。
「ワオ。すっげー!」
気付けば。無心に木刀を振る刀の姿を興味深そうに眺める、中学生の男の子が一人。神社の拝殿の縁に腰掛けて、ぱちぱちと手を叩いています。
「……何だ、見てたのか」
刀は構えを解き、ふっと笑うと、ひとつ息をつきました。
気を入れて鍛錬に励むうち、随分と時間が経っていたようです。集中力も途切れ始める頃合、刀は今日はここで切り上げ、しばし神社の屋根の下で休むことにしました。
中学生の隣へ腰掛けると、置いてあった荷物から取り出したタオルで頭を拭いつつ、
「こんにちは、俺は
御剣 刀
だ。君は?」
「
青木 慎之介
。学校帰りについつい、その辺りを走り回ってたら、降られちゃってさ。ちょっと屋根を借りてるってわけ」
ぽん、と慎之介という彼が軽く叩いたのは、スポーティな印象を受ける自転車。通学の足でもあるクロスバイクは、お気に入りの愛車なのだそうです。
「それにしても。さっきのアレ、何してたんだ? 雨を斬ろうとしてたの?」
「ん? ああ、まあね」
「それって、すっごいファンキーだけど。何でそんなことを?」
慎之介にも、刀の剣の腕がどれほどのものかは伝わったのでしょう。彼の素朴な疑問は、そんなこと本当にできるの? ではなく、何故? でした。
刀は、ぐっしょりと濡れたタオルをぎゅっと絞りながら、少しだけ黙して考え。やがて、静かに口を開きます。
「……追い抜きたい背中があるのさ」
今も目の裏に焼きつく、あの背中。その領域へと至るため、そしていずれは越えていくために、これまで剣術の修練を続けてきた刀。
「でも、まだまだ遠くてな。生半可な努力じゃ、到底追いつけない。追い抜けない。それこそ、雨粒を真っ二つにするくらいのことはできないとね」
「へぇ……すごい人だったんだな。尊敬してるんだなぁ、その人のこと」
そう。だからこそ、刀はこれまでも鍛錬を怠ることはありませんでしたし、これからだって、立ち止まるつもりは無いのです。
「雨粒を斬ることが目的じゃない。斬った、という事実が欲しいんだよ。俺は斬ることが出来るんだという、その確信が」
「おおぉ、ベリークール……!」
剣道を志す刀の背中が、慎之介には眩しく見えたようです。
刀はしばし、目を輝かせる彼と雨宿りしながら、あれこれと談笑して過ごしました。
近くで話し声がしているのには、何となく気付いていました。けれど
大天使 天吏
は、どこか上の空。
(……大丈夫かしら)
気になるのは視線の先、木の上で羽を畳み、きっと身を縮めて震えているのでしょう。鳥たちのことです。
雨。木々や草花にとっては、それは恵みであるかもしれません。けれど、天吏の愛する鳥たちにとっては、避けるべきものでしかありません。
拝殿の隅、板張りの上に敷いたブルーシート。脇にはいつも持ち歩く、大きくて重たげなリュックサック。
日課である山の散策とバードウォッチングのさなかに、降り出した雨。座り込んだ天吏はぼんやりと、それを眺めています。
(きっと……寒さに、震えているのでしょうね)
自身もいくらか肌寒い思いをしてはいるものの、それは彼女にとって、とても些細なことなのです。
天吏にとって人間とは、ひどく小さくて矮小なもの。欲深く、無知で恥知らず、唾棄すべきもの。そしてその中には、自分自身をも当然含まれているのだということを、彼女は深く痛感し、自覚していました。
でも、鳥たちは。純粋で自由で美しい、彼らは。きっと、違うのだろうと。
「こいつ、羽に怪我してるみたいだ。寒そうだなあ、俺の上着でも貸してやろうか」
「かえって、怖がらせるんじゃないか?」
ふいに、そんな言葉が耳に届きました。
拝殿の角の向こうをそっと覗き見れば、屋根の下で雨宿りをしている、慎之介と刀。
そして彼らの目の前には、傷ついた翼を畳んで身を震わせる、一羽の小鳥の姿がありました。
「でも、このままじゃ可哀相じゃん? ほら、これに包まればあったかくて……」
「……ダメよ」
「えっ?」
あえて彼らと、関わるつもりはありませんでした。けれど天吏は、気付けばそう、言葉を発していました。
「……どうして、ダメなんだ?」
雨の中から現れた少女の、その真意を読み取ろうとしてのことでしょうか。真っ直ぐに彼女の瞳を見つめる、刀へ。天吏は、
「鳥たちは、自然の中で生きているもの……自然の一部。そこへ、私たち人間が手を出すなんて……おこがましいことだわ」
静かな口ぶり。そこに込められた、どこか暗い陰りを持つ響きに、刀は気付いたかもしれません。
いまひとつ納得が行かない様子の慎之介は、
「それはまぁ、そうかもしれないけど……でもこいつ、このまま寒くて死んじゃうかもしれないよ。それでも、手を出しちゃいけないのか?」
「そうよ……だから……」
きゅ、と、天吏は両手を胸の前に握り締め。辛そうに、眉を少し歪めて。
搾り出すように、天吏は言うのです。
「……だから、心が痛いんだわ……」
それきり。天吏が二人へ、反応を示すことはありませんでした。傷ついた鳥を、ぼんやりと、天吏はただ見つめています。
しばらくはあれこれと彼女へ話しかけていた慎之介も、やがては口をつぐみ。
刀は、どこか儚げで危うげに見える彼女……アイパッチで左目を覆い、右目のひとつきりで小鳥を見守る天吏を、複雑そうな表情で眺めてから。黙したまま、小鳥へと視線を移しました。
静かに、細く鳴り続ける雨音。肌に冷たい空気。寒そうに震える、傷を負った小鳥。
「あ!」
「……へぇ。案外、力強いじゃないか?」
思わず声を上げた慎之介。感心して微笑した刀。
「…………っ!」
そして、立ち上がった天吏の目の前で。小鳥は数度羽を打ち……やがて。
頼りなげな弱い勢いで飛び立つと、それでも必死に羽ばたいて。雫をその身に弾きながら。
秋雨のカーテンを切り裂くように、どこかへ飛び去って行きました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ★(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年11月26日
参加申し込みの期限
2014年12月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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