this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
秋雨に濡れ
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
…
10
つぎへ >>
【雨と本】
学校帰りに、商店街で特売品を買って帰るのが、
鴻上 彰尋
のいつもの日課です。
家にはまだ小さな弟と妹がいて、今日の夕飯には、彼らに何を作ってやろうか……なんて考えていたところ。取り出したチラシ広告の上へぽつり、雫が落ちたのを皮切りに、降り出した雨は瞬く間に、商店街を包み込んでしまいました。
残念ながら、傘の用意はありません。
とりあえず一通りの買い物は済ませたものの、彰尋はとある店先に留まり、灰色の空を見上げます。
(さて、まいったな。安い傘でも買って帰ろうか……それとも、もったいないし、上がるまで少し待ってみようか)
濡れてしまったチラシを畳んでしまい込むと、ひとまず彰尋は、下の兄妹たちへ連絡を入れておくことにしました。もしかしたら、彼らもまた同じように雨に降られて、濡れてしまっているかも知れません。もしそうなら、良く身体を拭いておくようにと言ってやらないと。
あるいは彼らも、彰尋のことを心配してくれているかも知れません。
自宅へ電話を入れると、何度かの呼び出し音の後、電話口に出たのは小さな兄のほう。
「……ああ、うん。急に降られてね。そっちは大丈夫だったか? そうか、ならいいんだ」
どうやら、二人は濡れずに帰り着くことができたようで、ひと安心です。
「うん……うん。こっちは大丈夫、ただちょっと雨宿りをしていくから、遅くなる。晩飯までには帰るよ。うん、分った……妹のことも、よろしくな」
電話を切って、ふう、と息をひとつ。
雨が上がったら帰る、とは伝えたものの、どうもすぐには止みそうにありません。少し待ってみて、どうしても遅くなってしまいそうなら、傘代の分余計な出費がかさんでしまうのも、ここは止む無しといったところかも知れません。
(ま、焦っても仕方が無いか)
幸い彰尋は、こういったときに暇をつぶすことのできる、丁度いいものを持ってきているのです。
買い物袋を一時、濡れていない地面へと置いて、彰尋が鞄から取り出したのは、一冊の……古い、とても古い、ぼろぼろの台本でした。
元は、舞台俳優だったという祖父の持ち物。母の手を経て譲り受けたそれを、彰尋は何度も何度も読み返しては、時として自分でも演じてみたりして、演劇の練習をしています。
祖父の影響は思いのほか大きくて、彰尋もまた、そういった道には大いに興味があるのでした。
台本は全て手書きで執筆されていて、字は荒く、ところどころ読み取りにくいところもありました……が、そんなところがかえって彰尋に、そこへ込められた様々な思考、思念や信念などの類を、つぶさに伝えてくれる気がします。
更には、ところどころに書き入れられた、別の筆致の書き文字。
(……どんな想いで、この役を演じたんだろう)
おそらくは、祖父本人の直筆と思われるそのメモ書きには、この役に賭ける、祖父の想いが詰まっている。そんな気がするのです。
その全てを読み取るかのように、じっくりと。いつもそうするように、彰尋は雨音も気にならなくなるほど、台本を読みふけります。
と、そうしてしばらく没頭していたら。
「……ああ、助かりました!」
女性が一人、店先へと駆け込んできました。彼女も予期せぬ雨に降られてしまった一人のようです。
彰尋は少しばかり、彼女のために場所を開けてやると、
「どうぞ。困りましたね、突然の雨で」
「ありがとうございます。ええ、雨は嫌いではないんですが、こう突然ですとちょっと……あら? それは……」
長い黒髪を濡らした、上品な佇まいの女性は、ふと彰尋の持つ台本に気付くと、まじまじとそれを見つめます。
「へぇぇ……珍しいものをお持ちなんですね」
「……ご存知なんですか? これは、祖父の持っていたもので……舞台俳優だったんです」
「まあ、すごい!」
興味深そうに、女性の表情が輝きました。
「では、ご存知ですよね。その舞台劇が、とある小説を題材にしたものだって」
「ええ、もちろん……といっても、まだ読んだことは無くて。今度図書館ででも探してみようか、なんて思っているんですが」
彰尋がそう言うと、女性はますます楽しそうに、ひときわ明るい笑顔を浮かべ。
改まって一礼してから、言いました。
「申し遅れました。私、
雪代 伊織
と申します。寝子島図書館で司書をしているんです。その小説なら、蔵書にあったはず……良かったら今度、いらしてくださいましね」
その後、軽く自己紹介を交わしたところで、誰か知人の姿を見かけたらしく、伊織と名乗った彼女は、慌しく雨の中を駆け出していってしまいましたけれど。
彰尋はその背を見送ってから、再び雨空を見上げ、ふと、笑みを浮かべました。
高鳴る期待を、胸に。
(……図書館か。ぜひ、行ってみないとな)
祖父の想いへ、またひとつ、近づくことができるかも知れないのですから。
「……そりゃ、この雨の中を傘も差さずに走ってきたら、びしょ濡れにもなるでしょうよ」
「だって、昴さんを見つけてしまったんですもの。ふふっ、嬉しくなってしまって」
「はいはい。ったく、風邪引いたらどうするんだよ……」
とあるファミレス。適度な室温が保たれてはいるものの、向かい合った
雪代 伊織
の濡れそぼった姿を見れば、寒々しくも思えてしまうというもの。
ただ、
篠木 昴
がついつい気になってしまうのは、実のところ、そんなことでは無いのです。
(……良く見たら、これ、透けて……)
「? どうかしましたか、昴さん?」
(っ、って、マジマジと見てどうする……!)
伊織の濡れたブラウスにちらり、透けて見えるそれから、ぎぎぎっと首ごと視線を引き剥がしますけれど。当の本人はきょとんとして自覚も無いのだから、昴はもう、困ってしまうのです。
二人は、片や図書館の司書に、片やアルバイト。いわゆる上司と部下、な関係。
上司であるなら、もう少しきっちりしゃっきりとして欲しい、なんて昴は思うのですけれど。
「まぁ……とりあえず、何か頼みましょうか」
「そうですわね、折角ですし。すみませーん! えーっと、シーフードドリアと、ピッツァマルゲリータと、イチゴパフェと、あとはー、マンゴーラッシーをお願いしまーす!」
「どんだけ頼むんだよ!」
「? 何かおかしいですか?」
半ば呆れながらも、昴も適当なものを注文し、待つこと十分ほど。
並べられた品々を次々に平らげていく上司の、緩んだほくほく顔。
昴はナポリタンをすすりつつ、ふと浮かんだ疑問をぶつけてみることにします。
「気になったんだけど……伊織さん、普段の食事とか、どうしてるんですか?」
「!?」
ぎくり。伊織は一瞬固まって、何やら表情に戸惑いの色を浮かべました……それだけで、何となく、昴も察するところはありますけれど。
「え、えっと、そのー……が、外食とか。インスタント食品とかを、ローテーションで……」
昴が思わず、ふうっ、とため息をついて首を振ると。
「あっ、バカにしてますわね? で、でも、かっぷらぁめんなら上手に作れるようになったんですよ!」
良く分からない反論が返ってきました。要するに、まともな食生活を送ってはいないようです。
ダメだこの上司、早くなんとかしないと……!
「……バカにはしてないです。ただ、心配で……一人暮らしでそれじゃ、栄養が偏るから」
「でも……仕方ないじゃありませんか。私、料理できませんしー……」
どうやら料理ベタを気にしているらしい伊織に、昴は、もう一つため息。
幸いと言いますか、何と言いましょうか。昴は料理、大の得意でありまして。それに、多少天然ながら、アルバイトではお世話なっている、他ならぬ彼女のことです。
余計な世話かもしれないけど……と、言い置いた後に。
「あの。もしよければ……俺が、弁当を作ってくるとか。もしくは、料理、教えましょうか?」
そんな提案をしてみますと。途端にきらきらと、伊織の顔が輝きます。
「お、お弁当……!? それに、お料理まで教えていただけるって……よ、よろしいんですか!?」
「仕事中に倒れられでもしたら、困りますからね。俺で良ければ作りますし、教えますよ……ただし!」
び、と指を一本立てると、昴は冗談めかして、笑顔で言いました。
「俺の授業は、少々厳しい。しっかりついてくるんだよ、伊織? ……なんてね」
「は、はい! お願いします、先生!」
「先生はやめませんか、何かむず痒いし……」
「いえいえ、教えていただく身ですもの。昴先生♪」
天然上司の食生活を、見事改善させることができるのでしょうか? それはひとえに、昴の腕にかかっているのです!
何だかうっかり、大変なことを引き受けてしまったような気も……なんて思いつつも。嬉しそうな伊織の笑顔には、昴も何だか、ほんのりと胸があたたまるのを感じるのです。
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
…
10
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
秋雨に濡れ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ★(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年11月26日
参加申し込みの期限
2014年12月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!