this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お三夜】秋の夜の訪問者たち
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
…
10
つぎへ >>
月を背に、錆びた観覧車のゴンドラが風に軋む。鉄の骨を蜘蛛の巣のように覆い尽くした樹蔦の葉がさらさら鳴る。
「月の道が閉じる前にお戻りくださいなのだー!」
風と錆びた鉄の音が鳴り渡るばかりの廃墟の遊園地に、場違いに明るい声が響いた。
「日暮さんがお待ちなのだー!」
ことさらに元気な声をあげながら、
後木 真央
はそのほとんどを枯れ草に呑まれたイリュージョンランドの門をくぐる。廃墟と化して久しい三夜湖湖畔の遊園地に足を踏み入れて、まず迎えてくれたのは塗料が剥げ落ちたピエロの顔出し看板と風雨に晒され続けて毛が斑に抜け落ちた電動パンダ。
「誰かっ、……誰かいませんかなのだーっ!」
悲鳴に近い声をあげる真央の視界の端、今にも倒壊しそうに古びた回転木馬の馬車の窓に白い影。
「ヒィッ?!」
「こんばんはー?」
窓に覗く、翁の面掛けた少女の姿に、真央は恐怖にどきどきと跳ねる心臓を押さえる。日暮から聞いていた『迷子』の名を記憶に辿る。
「……カンナ、ちゃん?」
面掛けた少女はちらりと首傾げ、それから思い出したようにこくり、頷いた。
「良かった、探してたのだ!」
風にさえ軋む回転木馬の木床や鏡張りの天井に怯えつつも、真央はカンナの座る馬車に近づく。日暮からの伝言を伝え、カンナの向かいの席に腰を下ろして、カンナがいつかの日暮と同じ面を掛けていることに気がついた。
「カンナちゃん、グレちゃんの彼女なのだ?」
「えっとね、雇い主だったりねえ、色々ー」
日暮が『神木の巫女』と呼んでいた巫女姿の少女と向き合う。思うのは、深い霧の奥に聳える『神木』に眠っていた『鬼』と呼ばれるものたちや、あの夕暮れの街の住人たち。
「あの世界の人達のこと好きなのだ」
真央は屈託ない笑顔でまっすぐな好意を口にする。手伝えることがあるのなら何でも手伝いたかった。あげられるものがあるのなら、出来る限り何だって差し出したかった。
真直ぐすぎる少女の眼差しをたじろがずに受け止め、カンナは嬉しそうな笑みを零す。それじゃあ、とばかりに両手を差し出しかけて、
「えっと、……カンナちゃん?」
回転木馬をぐるりと回って現れた少女の声にその手を空のまま膝に戻す。
「智瑜」
「わあ、やっぱりカンナちゃん!」
跳ねて喜ぶ少女に向け、カンナはあどけない声で笑う。近づく
宮祀 智瑜
に向けて子どもの仕草で馬車の窓から手を振る。そうしてから、智瑜より遠くの月影に向けて翁の面を傾けた。
「刀も、こんばんはー」
「カンナ」
月光よりも眩しい光放つ携帯電話をポケットに仕舞い、
御剣 刀
は廃墟の遊園地に遊ぶ少女のもとに歩み寄る。
「こんばんは、また会ったな」
「刀ちゃん」
「今晩は」
「よう」
同じ場所に行き着いた友人たちにも微笑みかけて、刀は馬車の傍らに侍る木馬の背にひょいと飛び乗る。向こう側の世界に迷い込んだ自分たちのように、こちら側の世界に迷い込んだ少女を見やる。
「腹減ってないか?」
これあげるよ、とおにぎりと水筒のお茶を渡す。
「いいのー?」
「お裾分けだ」
本当は練習が終わったら食べるつもりだったけれど、迷子の女の子と半分こしてもばちは当たらないだろう。
「刀がつくったの?」
「一人暮らしだからな」
ふたつのおにぎりのうちのひとつを齧りながら、刀はカンナを見やる。
「俺は毎日剣の鍛錬をして過ごしているが、カンナは? 向こうでどういう風に過ごしている?」
前に会ったとき、少女は霧の墓所に居た。とは言え、いつもあんな場所にいるとは思えない。
「あの町で暮らしているのか?」
「神木の近くにね、おうちがあるのー」
おにぎりを包むラップに齧りついて首を傾げつつ、カンナは刀の問いかけに半分上の空に応じる。
「しかし、この廃墟は凄いな……」
コンクリートを割って繁るススキや葛、剪定もされず好き勝手に伸び放題の木々、棄てられた歳月の分だけ草木に呑み込まれた遊具たち。
月明かりに照らされる廃墟からは、冷たさしか感じられなかった。ただ、刀にはその冷たさが妙に居心地よく感じられもした。
「閉館して二十年ですね」
ラップに包まれたおにぎりを剥こうと四苦八苦するカンナの隣に座って助けてやりながら、智瑜が頷く。月光と秋風が遊ぶばかりの、かつては賑わっただろう遊園地に視線を巡らせる。
「私は遊んだことないから話に聞いただけですが……カンナちゃんはこういう場所が好きですか?」
「うん」
おにぎりを頬張り、智瑜に注いでもらったお茶を啜り、カンナは面掛けた顔を頷かせる。横倒しになったコーヒーカップやさび付いて動かぬゴーカートや、鎖が切れて地面に墜ちた回転ブランコ。昔の賑やかさなど無かったかのように、今は静かに朽ち行く景色を眺める。
「にぎやかな場所は嫌いなのですー?」
その景色の中、ふわり、銀色の光灯るように、白猫耳と尻尾を風に揺らして少女がひとり。
「あっ、ゼロちゃんなのだ!」
「またお会いしましたのです、真央さん」
皆の会話に耳を傾けていた真央に元気よく呼びかけられ、
ゼロ・シーアールシー
はふうわり、夢見るように微笑む。
「おひさしぶりなのです。ゼロなのですー」
いつのまにかその場に姿を現して、ずっと前からその場に居たようにカンナの座る馬車の向かい、真央の隣に腰掛ける。カンナが帰るための場所と時間を知悉していることを確かめ、ゼロは月光帯びて銀色に見える瞳にカンナを映す。
「行ったことないからわかんない」
「そうなのです?」
「ここはいつも居るところに似てるから落ち着くの」
「お墓なのです?」
「うん。たくさんの想いが眠るところ」
今はもう訪れるひともほとんどない遊園地を見つめるカンナに、智瑜は手を伸ばす。
「見て回りませんか?」
差し伸ばされた掌を見つめて後、カンナはこくりと頷いた。
「真央と刀は?」
「俺はここで剣の練習をしよう」
カンナに問われ、刀は木馬から身軽に飛び降りる。回転木馬の脇の広場に場所を定め、あとでな、と片手をあげる。
「夜道は危ない。送るよ」
「真央ちゃんは先に三夜湖に戻ってるのだ」
待っているから、と言い残して、真央は馬車をおりる。月明かりを頼りに忘れられた遊園地を去る。
「あんまり朽ちて脆くなってるところは近づかない方がいいかもしれません」
右手にカンナ、左手にゼロ、ふたりの幼い少女と手を繋いで、智瑜は回転木馬の前を離れた。祖父母から聞いた話を思い出しながら、かつての夢の跡を辿る。
風雨にほとんど倒壊したお化け屋敷、月光に浮かびあがる蔦塗れの観覧車、蜘蛛の巣のように蔦ののたくる野外音楽堂、不気味に暗い口を開けるミラーメイズ。
月に静かに照らされるばかりの夢の残骸を巡って後、カンナは巫女衣装の袖から覗く指先を空の向こうへと伸ばす。ふたりが視線で追えば、寝子島神社の空を明るく照らす光が見えた。
「お三夜祭りの灯ですね」
「行ってみたいのですー?」
面の奥の瞳を輝かせるカンナに、ゼロはどこからか取り出した猫耳と猫しっぽを手渡す。
「どうぞなのですー」
同じように手渡されて、智瑜は思わず笑みを零す。
カンナの頭と帯に猫耳と尻尾をつけてやり、自分も同じように耳と尻尾をつけて、智瑜は再びふたりと手を繋いで歩き始める。
月はまだ高い。湖に伸びる月の道が消えるまでにはまだ時間もある。もう少し、この不思議な少女たちとお祭りの夜を楽しもう――
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
…
10
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お三夜】秋の夜の訪問者たち
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月16日
参加申し込みの期限
2015年10月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年10月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!