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【お三夜】秋の夜の訪問者たち
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鶴翼は、かたちなのだろうと思う。
ひとのかたちにあるものが、今この背に負うた白鶴の翼で空に舞うことは、実際には決して叶わない。ひとの身を宙に持ち上げるには、この翼はあまりにも脆く、華奢だ。
羽ばたく意識もせぬうちに、背の翼が紅葉の色した夕風を掴んで放つ。たおやかなその動きだけで、
音羽 紫鶴
の痩身は白い月浮かぶ夕空を滑る。
空を思うまま駆けながら、けれど紫鶴の雪雲色の瞳に浮かんだ退屈の色は消えない。
(妖ね)
湖の底にも似た群青の空に翼を揺らし、普段は月影に静かに沈む九夜山を見遣る。仮面の男と出会った三夜湖から寝子島神社までの細い山道にぽつりぽつりと灯る光は、神社に近づくにつれてお三夜祭りの賑やかな光に呑み込まれ、参道商店街に広がる。
島の空に月の光纏った風がたなびく。
(お守りをもらった礼もあるしね)
仮面の男の情けない反応を思い出して、紫鶴は小さな笑みを零した。丁度退屈していたところでもあるし、男の頼み通り、迷子の妖を探すのも悪くない。
(さて)
月光の風に羽織の裾を遊ばせながら、紫鶴は微笑の欠片残る瞳を眼下の町へと巡らせる。こちら側に迷い込んだ妖が居そうなのはどこだろう。
(ありきたりだけど、寺かな)
旧市街の地図を思い描いて浮かんだのは、旧市街のはずれにある古刹。
背の白翼を翻す。人目を避けて光遠い空を飛び、山門の脇に植えられた芍薬の影に降り立つ。
月に照らされて白い石畳の道に立つ。広めの境内を縦横に伸びる石畳の左右には梅に枝垂桜、桃に椿。よく手入れされた年老いた藤を囲うて、瑞々しい大輪開かせる白菊の鉢。
黒髪を撫でる秋の夜風に僅かに肩をすくめ、紫鶴は石畳の道をゆっくりと見回す。
花の色して風にそよぐイロハ紅葉やドウダンツツジの葉陰に妖を探すも、祭りの喧騒遠い寺院に迷い妖の姿は見つけられない。
(寺は定番過ぎたか)
背の翼をしまい、月輝く空を見上げて小さな嘆息を洩らす。
(いっそ意表をつくような場所にいるんだろうか)
「今晩は」
おっとりとした声を耳に、紫鶴は首を傾げる。誰だと見遣れば、
袈裟姿の和尚がひとり、月光を浴びる本堂を背に佇んでいる。
「これまた珍しいお客様ですねぇ」
眼鏡の奥の瞳を柔らかく笑ませ、音来寺住職である斎藤 智照は宵闇を背に訪れた少年に一礼する。少年の背に白鶴の翼を見た気がするが、それには一切触れず、月明かりの道にしんと立つ少年の傍に歩み寄る。
(今日は珍しいお客様の多い日ですねぇ)
行事のために纏うた袈裟姿のまま庭に出ていた先ほども、尻尾の数が少しばかり多い三毛猫を山茶花の花陰に見かけた。
悪さをする様子もなく静かに庭を楽しんでいるように見える猫又を捨て置き、己も月影の庭を一巡りしようと足を返したところで、もうひとり、珍しい客を見かけた。
空から降り降りてきたようにも見えた少年をよくよく見れば、先日寝子電で偶然出会い、言葉を交わした大人びた少年。あの日、いつでも寺に遊びにおいでと声掛けたことを思い出し、住職は口元を柔和に笑ませる。
「庭を見に来て下さったのですかー?」
あの日の些細な約束を覚えていてくれた大人に、少年は笑み返す。
「こんばんは、また会いましたね」
卒ない挨拶をする少年に、住職は庭の案内を申し出る。
黄昏時を過ぎたこの時間に珍しい続けざまの客人を、適当にあしらって帰してしまう気にはなれなかった。
「三夜祭のこの時期は、うちも夜の紅葉も楽しんでもらうためにライトアップもしているんですよー」
灯篭形の明りをところどころに配した石畳の道を連れ立って行きながら、智照は少年が宵闇に一人で街外れの寺院まで訪れた訳を考える。まさか本当に庭を見に来ただけとも考えづらい。
「何か、ありましたかー?」
「探し物を探しに」
温和な空気を袈裟と共に纏うた住職の後に続き、紫鶴は短く応じる。普通であればこんな時間帯に一人で他人については行かないけれど、
(彼ならばきっと大丈夫だ)
丁寧に世話された庭からも、姿勢よく伸びた袈裟の背からも、眼鏡の奥の鋭さありながらも和やかな瞳からも、住職の人柄は見て取れた。
「けれどここにはなくて困っていた所です」
「探し物、ですか」
それはどのような、と問われ、どう伝えたものかと紫鶴は首を傾げる。
「……遠い町からの迷子、とでも」
紫鶴の言葉を受けて住職の脳裏に浮かんだのは、いつだったかに己が迷い込んだ、物の怪住まう奇妙な町。
何故あの町が浮かんだのだろうと思って、
「猩々の面掛けた男に迷子探しを頼まれて」
紫鶴の続く言葉に瞳を見開く。
(もしや先ほどの猫は)
迷い込んだ猫と迷い込んだ少年の関係に思い至り、住職の目に思わずくすり、小さな笑みが浮かんだ。
(猩々の面のご主人、以前は翁の面の姿でしたか)
あの奇妙な町で会う、面掛けた男の姿を思う。あの町で、あの男には世話になった。
(それは、無碍にはできませんねぇ……)
「此方に」
向こう側の世界からの迷子を探す少年を導き、住職は月影の道を辿る。二股尻尾の三毛猫を見かけたのは、石畳の道の先、緋色の灯篭置いた玉砂利の向こうの山茶花の古木の根元。
白い山茶花の古木に至るまで道の両側には、互い互いに手を伸ばし指からめあうように色づいた梢を伸ばす紅葉の隧道。
朝焼けの緋に、夕暮れの茜に、灯篭の光に照らし出された紅葉が紫鶴の視界を染める。
「へぇ、これは確かに見事だ」
「ライトアップのお陰か、色んな方が楽しんで下さっているようで」
ほら、と住職が袈裟の袖を翻す。掌に示された山茶花の花陰に目を向けて、何食わぬ顔で二股の尻尾を揺らし花の香を嗅ぐ三毛猫を見た。
「おや?」
「そちらにも少し変わった方がいらっしゃるでしょう?」
「これはこれは、……どうやら貴方と会えたのは俺にとってかなりの幸運だったらしい」
破顔する紫鶴を、己を妖と知りながら放っておいてくれた住職を、三毛の猫又は琥珀色の丸い目に映して、不思議そうに首を傾げる。
「探し物は見つかりましたか」
「おかげさまで」
こちらの世界とは違う世界に足を踏み入れたことがあると互いに勘付いて、住職と少年はどこか共犯者じみた笑みを交わす。
二股の尻尾をゆらゆらさせながら、猫又は足元に散る山茶花の白い花びらの褥に伏せる。
「探していたよ」
紫鶴に臆せず声掛けられて、猫又は透明な髭を無愛想に震わせた。半分閉じかけていた薄い瞼の片方だけを持ち上げて、もぐもぐと口を動かす。にゃあ、億劫そうに返事をする猫又の姿に、紫鶴は淡く笑む。猫又にしてみれば、世界が違えていようが、そんなことはどうでもいいらしい。
「美しい自然を楽しむ心のあるものが『悪いもの』ではないとは思いますが、そろそろあるべき場所へおかえりなさい」
袈裟の膝を折った住職から諭すように促され、数珠巻いた手を差し伸べられ、こことは違う別の世界の住人は小さな鼻の頭に皺を寄せる。じり、と気難しげに後ずさる老猫に、少年は白い指先を向ける。
「ここでのんびり君とこの景色を眺めてから約束の場所に行くのも悪くはないね」
ふわり、笑む。
「綺麗な庭だ」
月は未だ高い。猩々面が言っていた『月の道が消えるまで』にはまだ時間もある。
少年の言葉に肯い、猫又は笑った。山茶花の葉叢からのそりと這い出し、と思えば思いがけず軽快な仕草で紫鶴の肩に飛び乗る。柔らかな猫毛と温もりにくすぐったげに笑う少年の横顔を見ながら、住職は袈裟の裾を捌いて立ち上がる。
「冷え込んできましたし、温かいお茶でも入れましょうかねぇ」
少年と猫又に揃って自慢の庭を褒められて、悪い気はしなかった。それに、こちらに言う物の怪である猫又も、あちらに帰る気がないわけではないらしい。ならば、暫しの間、客人をもてなすのもいいかもしれない。
「今日の行事で頂いたお饅頭もあるんですよ、おひとついかがですか」
「ありがとう、頂くよ」
花咲くように笑う少年とその肩の上で重々しく頷く猫又を連れ、音来寺の和尚は菊の清らな香漂う庭を辿る。
境内の縁台に座布団を並べ、祭の夜に訪れた客にお茶とお饅頭をご馳走しよう。時間が許す限りのんびりと、猫又の毛並みを撫でながら、晩秋に色づいた庭を楽しんでもらおう。
どこか日々に倦んだような色を瞳に宿す少年に、少しでも心安らげてもらえればいいですが、と和尚は心を砕く。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月16日
参加申し込みの期限
2015年10月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年10月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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