this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お三夜】秋の夜の訪問者たち
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
つぎへ >>
祭りに賑わう寝子島神社のそこここにある狛猫の台座の上で香箱を組む三毛猫を見つけると同時、
桜庭 円
の頭にしがみついていた茶虎猫のにゃーくんが小さく鳴いた。躊躇いもなく頭からぴょんと飛び降りるにゃーくんの動きに首を傾げてから、円は台座から垂れる三毛猫の尻尾が二股に分かれていることに気付いた。
よくよく見れば、いつだったかに奇妙な黄昏の町で出会った三毛の猫又。あの日は二本足で歩いて鞠を持っていたけれど、こちら側に迷った今日は、尻尾は隠さないまでも普通の猫の振りをしているつもりらしい。
近づいたにゃーくんと鼻先を合わせて挨拶をかわして後、猫又は円を丸い眼に映して訳知り顔で頷いてみせた。ひょいと立ち上がって台座を降りる。まっすぐ三夜湖に向かうかと思えば、
「あれ?」
人込みに紛れるようにして猫又が向かったのは寝子島神社から旧市街に下りる石階段。声掛けようとする円の脛に尻尾を一振り、にゃーくんがまとわりつく。
「にゃーくんが伝えてくれたなら大丈夫だよね」
気紛れな猫そのものの行動を見せて消えた猫又の姿を探して視線迷わせて、けれど円が見つけたのは、
「あっれー、刀くん!」
銀髪の猫耳幼女と翁面掛けた猫耳幼女、黒髪の猫耳少女を連れた友人。
「こんばんはなのですー」
「なのー?」
「うん、こんばんは!」
揃って頭を下げる
ゼロ・シーアールシー
とカンナに頭を下げ返して、円はごしごしと瞼を擦る。緋色の瞳に力をこめる。夜の参道のあちこちに設けられた夜店の眩しい光に照らされて、少女たちの周りに白霧でできたナニカがいる。蛇に蛙に蜥蜴、瞬きのたびに姿を変える、かたちすら持たぬ妖たちの群が、確かに居る。更に奇妙なことには、その全員が白猫耳と尻尾をくっつけている。
「どうぞなのですー」
銀髪の少女がどこからか取り出した猫耳と尻尾を手渡され、断る理由もないままに、円はオメンライダーに重ねて猫耳を装着する。
「どうぞなのですー」
たこ焼き屋の前に佇む着物姿の女にも、
「どうぞなのですー」
着物姿の女の後頭部にあるもうひとつの口を眼にして固まる黒髪眼鏡の少年にも、ゼロは次々と猫耳と尻尾を渡してゆく。
「え、あ、ああ、……」
たこ焼きを山と買い込み、頭に猫耳をつけてほくほく顔の二口女をうっかり眼で追いながら、
津島 直治
はなんとなく受け取った猫耳をなんとなく頭につける。混乱を隠し切れずに惑わせる視線の先々、よく分からない、けれど間違いなく人ではない、どこから来たのかも分からないナニカが溢れている。
恐怖よりも、好奇心が勝った。見た目は人と違って恐いけれど、そもそも彼らは祭りの賑わいを楽しんでいる様子。
(……聞いてみましょう)
直治は意を決する。
「あの……」
白く長い布を首に巻きつかせ、穏かな茶色の眼だけを覗かせてのんびりと参道を歩く灰色の髪の少年に声をかけてみる。
夜風とは関係なく、生き物のようにひらひらと揺れる白い布を首に巻きつかせた少年は、一見人間のようにも見えるけれど、きっとおばけに違いない。
(ですが、優しそうです)
こちらの問いかけにもきっと答えてくれるに違いないと信じて、直治は白布巻きつかせた少年の茶色の瞳を見上げる。道に迷っているようなら、帰り道を教えられるかもしれない。
「あんた達どこからきたの? 帰らなくていいの?」
「そうなんだよねぇ」
ぶっきらぼうに心配されて、少年はおっとりと笑う。
「でもこれ、洗濯物かと思って近づいたら突然首に巻きついて来て」
黒い眉をひそめる直治に、
猫島 寝太郎
は困ったように眼を細める。暮れ空に九夜山の方から漂ってきて木の梢に引っ掛かった長くて白い布。最初こそ吃驚して剥がそうとしたものの、剥がそうとすればするほど、布はぴったりと首や口元に貼りついた。
(誰かのろっこんなのかと思ったんだけどなぁ)
それでも息は出来るし、これといった害も特にはない。仕方なく巻きつかれたまま歩いていて、
御剣 刀
からの電話を受けた。
(まさかこんなことになってるとは思いもしなかったなぁ)
人間と人間でないものが入り混じる神社の境内を見渡す。人々に動揺は見られないけれど、そういえばネコッターにどこかのツアー参加者がハロウィンと勘違いして仮装している旨の書き込みがあった。皆、それを信じているのだろうか。
「えっ、あッ、ごめんなさい?!」
寝太郎が人間であることを察して、直治が慌てる。
「ん? ううん、気にしないで」
猫耳つけた男子中学生に首を振って見せて、寝太郎は『天道商店』の小さな幟の影にしゃがみこみ、隠れているつもりらしい白い着物の小さな背中を眼に止めた。黒髪おかっぱの少女の熱心な視線の先には、輪投げに興じる銀髪の少女と、
「御剣君」
さっき電話で島に訪れた不思議なお客さんたちのことを教えてくれた友人。
「天動さん、こんばんはー!」
輪投げイベントを催す、寝子島商店街の法被姿の店主にも、寝太郎が声をかけた途端、
「っ?!」
息を呑み込むような小さな悲鳴上げて、幟の影に隠れていた少女が跳び上がった。黒髪が跳ねる。黒髪の間の白い猫耳と着物の帯から垂れた尻尾が跳ねる。怯えたように振り返った少女の顔には、子どもらしくもない、呵呵大笑する古びた翁の面。
少女の驚きようと猫耳尻尾に、それから子どもが掛けるに不釣合いな翁面にも驚いて、寝太郎は目を丸くする。
どうしたの、と問いかけるよりも先、少女が怯えた仕草で刀の傍らに立つ
宮祀 智瑜
に駆け寄る。足に抱きつかれた智瑜がきょとんと振り返る。
「え、えええーっと!」
悪いことをした気分になって、寝太郎は焦る。どうしようもなく焦る。
「びっくりさせてゴメンね」
「人が多いところ、初めてらしくてな」
少女を知るらしい刀が少女の黒髪の頭を撫でながら淡く笑んだ。
「ほら、これ楽しいよ?」
怯えるばかりの少女を前にあわわと慌て、寝太郎は友人の雑貨屋店主が催す輪投げ屋を指し示す。
「輪投げ屋です」
輪っかにした縄を原色のテープで止めただけの手製の輪を三つ、寝太郎に差し出し、
天動 記士郎
は微笑む。お祭りは、雰囲気というものが大事。雰囲気のある催しと言えば、記士郎の中では輪投げ屋一択。
「楽しんで行ってくださいね。無料ですよー」
『寝子島参道商店街』と縫い付けられた襟を正し、記士郎は輪投げ棒の後に並べた景品を見遣る。
どこのものかも分からない名称不明のゆるキャラの人形にちょっと色っぽいお姉さん絵札のトランプ、 真っ赤なハートがたくさんついた硝子コップに金色バンザイ招き猫。どれもこれも、旧市街で営む雑貨屋の店内から引っ張り出したあまりパッとしない売り残り、もとい箱入り商品たち。
大事に仕舞っていた商品に大事に囲ませて設置したのが、今回の催しの景品として自信をもって出した最大の目玉、その名も『腹筋補助健康器具』。
「ハンドル部分に輪が引っ掛かれば当たりです」
今の今まで、どれだけ呼び込んでも誰も足を止めてくれなかったのに、急に店のぐるりを囲んで集まってくれた少年少女たちに向け、記士郎は堂々と胸を張る。
さっきまで幟の影に隠れてこちらをジッと見つめ、にこっと笑いかけても一向に近寄って来てくれなかった翁面掛けた少女に、もう一度笑いかける。何故だか白い布のようなものを首に巻いた寝太郎の手を経て、少女の手に輪が渡る。
輪を握らされ、少女がきょとんと首を傾げる。
「ええと、こうするんだよ」
刀の服の裾を持ったままの少女から輪をひとつ受け取り、寝太郎はお手本とばかりに投げてみせる。
ぴょんと宙を飛んだ輪は、輪投げ棒のどれにも、もちろん『腹筋補助健康器具』のハンドルにも引っ掛からずに地面に落ちた。
「あ、外れた」
お手本がお手本にならずに、寝太郎はこっそりへこむ。記士郎セレクトの景品はそんなに欲しいとは思わなかったけれど、出来ると思っていたことができないのはやっぱりちょっと悔しい。
「カンナさん、やってみましょうですー」
「うん、やってみなよー」
刀の隣にひっそりと立っていたゼロと誰かへのお土産にするらしい屋台の食べ物やワンカップ酒を提げた円に楽しげに声を掛けられ、少女は意を決した様子で頷く。輪投げ棒の盤の前に立ち、慎重な仕草で輪を投げ始める。
翁面の少女にもう一度笑みかけて、記士郎はちらりと目を細める。少女の周り、さまざまにかたちを変える白霧のようなナニカを見た気がして、
「おやおや」
そっと、指先をいつも持ち歩いている白蛇の鱗に触れさせる。身に宿るろっこんを発動させ、寝子島の空渡る風の流れを読む。
宵闇に包まれた島の空の雲にも風にも何ら異常を感じ取れず、だから記士郎は彼らがこの島に異常もたらすものではないと読む。
(おまつりの音に誘われて来てしまった『もの』たちがいるようですね……)
ひとり納得する。害意のない相手であるのなら、
(一緒におまつりを楽しみましょう)
猫耳と尻尾をつけた奇妙な集団から目を離せず、ついでに足も踏み出せず、輪投げ屋の前で立ち尽くしていた直治は、ぎくり、目を見開く。
真剣に輪投げに興じる少女の周りの茂みの影や木の影から、まるで染み出すように小さなナニカが湧いて出て来る。掌ほどの大きさの、箒や手鏡、欠け茶碗にひび入りすり鉢、生活小物のそれぞれに、よく見れば小さな手足がついている。小さな目鼻がついている。
(付喪神、みたいなものでしょうか……)
興味津々に少女を囲む小さなナニカを視線で追いかけて、先ほどうっかり物の怪と勘違いして声をかけてしまった少年と目があった。同じものに目を取られていたらしい寝太郎は、直治に小さく笑いかける。
寝太郎の首に巻き付いていた白い布がゆらりと動き、尻尾のような布の端を伸ばす。布の動きにつられてか、輪投げ屋をぐるりと半円に囲む小さな付喪神たちも、揃って小さな手を差し出す。
何も知らない記士郎に輪投げの輪をねだっているのだと気付いた寝太郎が焦るも、
「やってみます?」
記士郎は動じない。むしろ嬉しそうな笑みさえ浮かべ、ありったけの輪を差し出されるいくつもの手に次々と渡して行く。
寝太郎の首に巻きついたまま、布が尻尾のような布端で器用に輪を投げる。カンナと呼ばれる翁面の少女が、銀髪銀眼の不思議と存在感を感じさせない幽霊のような少女が、その他さまざまのかたちした有象無象が、記士郎の制止も構わずわやわやと一斉に輪を投げる。いくつもの輪が外れ、いくつかの輪が棒をくぐる。
誰がどれを投げたのかももう分からず、それでも皆、心底楽しげに誰彼なく手に手を取って跳ね回る。
「仕方ありませんね、皆いっこずつですよ」
お祭りを楽しんでいる風の人ならぬものに、記士郎は残念賞と書かれたダンボール箱を差し出す。箱の中身はヒーロー消しゴム、花柄模様の小さな手鏡、造花のついた髪留め、サンマさんボールペン。探せば掘り出し物が見つかるかもしれない、でもたぶんわりとどうでもいい小物ばかりが詰まっている。
残念賞の景品に群がる有象無象たちを前に満足げな表情の記士郎の法被の袖を、寝太郎がそっと引く。
「どうかしましたか?」
「ええっと、……」
首から離れる気配も見せない布を指でつまみ、寝太郎は祭りを楽しむ物の怪たちを三夜湖に連れて行かなくてはならないことを説明する。
「でも、どうやって連れてけば……」
「帰るぞ」
悩む寝太郎の首もとに巻きついた布が、低く渋い声で有象無象たちを一喝した。
「布、喋れたんだ」
「今暫し世話になる」
しかつめらしい声出す布を首に巻いた寝太郎の周り、景品をそれぞれ手にしたナニカたちがわらわらと集まる。小さな手鏡を抱えた翁面の少女に手を繋がれ、寝太郎は思わず淡く笑んだ。
記士郎に貰った手鏡を手に、カンナは記士郎に向けて手を振る。
「どうかお気をつけてですよ」
気のいい雑貨屋店主に見送られ、
「えっ、あっ、あああっ?」
直治がうっかり有象無象の集団に押し流されるがまま三夜湖への道行きに巻きこまれる。
「行くか」
「そうですね」
「お見送りするのですー」
刀が言い、智瑜とゼロが頷き合う。
「にゃーくん、行こー」
日暮へのお土産を手に円が物の怪の一行に混ざりこむ。
「プチ百鬼夜行みたいだねぇ」
カンナの手を引いてお三夜祭りに賑わう神社の境内を歩みつつ、寝太郎はおっとり笑う。
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お三夜】秋の夜の訪問者たち
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月16日
参加申し込みの期限
2015年10月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年10月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!