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【お三夜】秋の夜の訪問者たち
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浴衣羽織姿の男に半ば強引に引かれた手を振り払う。
「売却先が決まってるの」
切れ長の茶色の瞳は、険を帯びれば十五の齢には到底思えぬ艶っぽい色気を尚更に増した。
追い縋る男をそれきり無視して、
朝鳥 さゆる
は宵に賑わう温泉街を足早に進む。
(……なぜ)
うなじを撫でる短い黒髪と同じに艶やかな黒い睫毛を物憂げに伏せ、さゆるは月影映す水面を背にした猩々面の男を思い出す。
どうして、あの男の頼みをすんなり受け入れたのだろう。
本当はお三夜祭りに賑わう寝子島神社を彷徨い、祭りに浮かれる男か女かを掴まえるつもりだった。行きずりの相手の体に溺れ、この体に溺れさせ、そうして長い一夜を凌ぐつもりだった。
めぼしい相手を掴まえられなければ、睡眠薬を突っ込み、泥のような眠りに沈むつもりだった。
(なぜかしら)
僅かに首を傾げる。
例えば、今声を掛けてきた男でも良かった。男とともに場末の温泉宿にでも潜りこんでしまえば、もうこんな人混みの中を歩き回らずとも良かったのに。
「売却先って何だよ、なあ」
しつこく食い下がる浴衣姿の男に、まるで虫を観察するかのような眼差しを向ける。売約先が物の怪と知れば、男はどんな反応を示すだろう。
どうせこんな見知らぬ男にどんな目で見られても構わない。いっそのこと口にしてみようかと思いつつ、人通りからも外灯からも離れた路地に入り込む。古びた家屋に挟まれた路地の半ばには、今は使われていない枯井戸が月光を浴びていた。
誘われたと勘違いしたか、男が馴れ馴れしくさゆるの腰を抱こうとした、その時。
井戸の底から呻き声が聞こえた。
「ひ?!」
男が悲鳴をあげる。恐る恐る振り返るなり、その場にさゆるを置き去りにして全力疾走で去る。
遠ざかる男の背中を無表情に見やり、さゆるは背後に迫る何者かの気配にそっと瞳を伏せる。微塵も怖じず躊躇わず、すっと振り向く。
四つん這いの女が足元に居た。
もつれた長い黒髪に隠れた女の顔を、さゆるは僅かの動揺も見せずに無感動に見下ろす。
「……猩々面の男から伝言を預かっているわ」
静かに佇んだまま、男からの伝言を伝えた途端、四つん這いの女はすっくと立ち上がった。
「ああもう! 何なの!」
苛々と喚き、顔の前に鬱陶しく垂れる黒髪を無造作に掻き上げる。
「つまんない! 若いんだからちょっとは驚いてよね!」
幽霊には到底思えない血色のいい唇を尖らせ、女は不機嫌に腕を組む。
勝手に驚かそうとしておいて勝手に怒り始める女に、さゆるはそれでも一向に顔色を変えない。白い頬に何の感情も浮かべず、
「帰らないの」
呟く。
一見恐ろしげな見た目の女にも、女のもたらす非日常にも、心が一抹も動かないのは、感性が磨耗した日々を過ごしているからだろうか。
「嫌。帰らない」
「何故」
「まだ誰か脅かさないと気が済まないの!」
欠片も怯えてくれなかった少女を前に地団駄を踏み、女はどすどすと足音も高く井戸の中に隠れようとする。
「……わかったわ」
その女の背に、さゆるは溜息をひとつ零した。
「あたしが何人かここへ適当な相手を誘ってあげるから」
それでいいでしょ、と顔色ひとつ変えぬ少女の申し出に、女は長い黒髪翻して振り返る。歓声あげてさゆるに抱きつき、
「それじゃ、お願いね」
いそいそと再び井戸の縁に立つ。さゆるに投げキッスひとつして井戸底へ飛び降りる。
(……なぜこんなことを)
己の心が分からぬままに通りに出る。街の喧噪を適当に歩けば、さほど時間も掛からず、さゆるの持つどこか危うげな美貌と肢体に惹かれた男が釣れた。
誘いの声掛けてきた男に散々気を持たせ、女の待つ暗い井戸端へと誘い込む。井戸端の前に足を止める。男に腰を押し付け、首に両手を回し、唇を寄せ――その寸前、女が井戸から這い上がる。恐ろしげな女に這い寄られた男が情けない悲鳴を上げて路地を逃げ去る。
そんなことを幾度繰り返しただろうか。
数人目の獲物とした男の背が見えなくなるまで呪わしげな呻き声を上げて居た女が一転、手を叩いて快哉を叫ぶ。喜ぶ女からハイタッチを強要されて応じつつ、さゆるは己の口元が僅かに緩んでいることに気付いた。
(……なぜ)
不思議に楽しい、こんな気分はもしかすると生まれて初めてかもしれなかった。
「ありがとね、楽しかった」
井戸端に腰掛け、世間話でもするように女が笑う。
もう終わりなの、と問いかけて、元々女を帰すためにしていたことだったと思い直してやめる。
素っ気無く頷くさゆるに、女はほんの僅か寂しそうな笑み浮かべた。帰るわね、と立ち上がり、ふと足を止める。
「ねえ、……自分を大事にしてあげてね」
一夜の共犯者に真摯な瞳を向けられ、さゆるは少し動揺した。目元に朱が昇るのを不思議に思いながら、小さく頷く。
「……ええ」
静かに、応じる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月16日
参加申し込みの期限
2015年10月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年10月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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