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花の色は
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画廊の入り口で少女の声を聞き、不思議に思って絵画の前に立って、瞬きひとつ。
体を包み込む花の香の強さに、
ニコ・ライニオ
は銀色した優しげな瞳をもう一度しばたたく。
目前には色彩の無い花園の央、日傘を手にひとり座す少女の姿。先に見た絵画そのものの風景に、けれど自分が絵の中に入り込んでしまったことよりも、
「君、こんな所でひとりなの?」
少女の方が気になって、ニコは少女のスカートに触れそうなほどすぐ傍に膝をつく。
「花の色を、教えて?」
人形じみて白い頬を機械的に笑ませ、少女は漆黒の瞳にニコの甘い笑みを鏡のように無機質に捉える。ニコの問いには答えず、決められた台詞を口にするかのように淡々と請う。
「花」
問いかけに対する返事がないことを気にせず、ニコは結い上げた緋色の髪を軽く弾ませて人懐っこく頷く。
「花か」
少女のスカートの膝には、先に少女のもとに引き寄せられた誰かが置いていったのか、鮮やかに色づいた花が数輪。
「君が望むなら、摘んで来なくちゃね」
言いながら、ひょいとその場に無防備に寝転がる。両手を頭の下に敷いて、斜め下から日傘の少女の横顔を眺める。ただひたすらに目前の景色を見つめるばかりの、感情を僅かも映さぬ横顔に、ニコはそれでも優しく笑む。せっかくだし、とおどけた声を出す。
「僕もここでちょっとゆっくりさせてもらおうかな」
のんびりと色のない空を仰ぐ。
白黒の世界にただひとり静かに座すばかりに見える少女のことが、今は何よりも気になった。
「君は誰で、どうしてここにいるんだろう」
呟いても、応えはない。少女の表情は動かない。
「……というのはさておくとしても、ここはあまりに淋しすぎるね」
転がったのと同じに身軽に立ち上がり、少女の膝を飾る色づいた花を見下ろす。
「待っていてね」
少女の願いを叶えるべく、モノクロの花園に踏み入ろうと視線を上げて瞬きひとつ。
その一瞬のうち、日傘の少女の前にもう一人、明るい茶髪の少女が立ち尽くして現れる。
「え? あれ? あれ?」
翠玉色の丸い眼をますます丸くして忙しげに周囲を見回し、けれど怯えた風ではなく、少女は元気いっぱい白黒の花園に迷い込む。
「今日はなのだ!」
「今日は。いいね、元気いっぱいだね」
手を振ってくれる緋色の髪の青年に手を振り返し、まっすぐに日傘の少女の前に立つ。
「真央ちゃんは
後木 真央
というのだこんにちは。お名前教えてほしいのだ?」
硝子玉じみた黒い瞳で見上げる日傘の少女に、屈託ない笑顔でためらいなく話しかける。少女の返事を待って、少女の前にしゃがみこむ。
「花の色を、教えて?」
少女の返事は自らの名ではなく、決められたような台詞ひとつのみ。真央はしばらく考えて首を傾ける。
「じゃあ、……花ちゃん!」
めげずに少女の呼び名を決めて、猫のような丸い眼をあどけないほど朗らかな笑みに細める。
「花ちゃんはここに何してるのだ? お花の世話なのだ?」
ただ無表情に花園を眺めるばかりの少女にひっきりなしに話しかけながら、少女の視線を追う。地平の果てまで広がって見える花や草木の大地に、ぽつり、少女と同じに取り残されたように立ち尽くす白い髪の少年を見つける。
元の世界から絵画の中であるこちらの世界を見たときには、花園の中に少女ひとりしか見えなかった。少年の感情薄い瞳が途方に暮れているようにも見えて、真央は少年が自分と同じに向こうからこちらに引き込まれた人なのだろうと見当をつける。
白い髪の少年から少し離れたところにもう一人、色素の薄い灰色の髪した少年。不思議そうにこちらを、おそらくは日傘の少女を眺め、ちらりと首を捻る。困ったように頭を掻く。
「ふむ」
画廊の絵画そのままの風景に、
倉前 七瀬
は萌黄色した眼を眠たげに瞬かせる。
(ようわからんけど、あの女の子に花を摘んでもっていかんといけんのですね……?)
花の色を、と少女は言っていた。色失くしてさえ咲き乱れる百花の中から、己がきちんと色を思い出せる花を探し出さねばならないらしい。
となれば、深い思い入れのある花か。でなければ、思い出に残る花。
(さて、とはいえ思い出のある花なんてありましたかねえ……)
ぐるりを見回す灰色の髪の少年を、ただぼうやりと立ち尽くす白い髪の少年を、白黒の花園を精力的に歩いて行く緋色の髪の青年を、真央は日傘の少女と共に眺める。
「花ちゃん」
膝に色づいた花を数本載せて、けれどその花を見もせず白黒の花園ばかりを見つめる日傘の少女の視線遮って、真央は少女の顔を覗き込む。
真央の顔をその眼に映し、少女は無表情に瞬く。
「花の色を、教えて」
同じ言葉を繰り返す少女を真摯なほどの表情でしばらく見つめ、真央はまた満面の笑みを浮かべる。
「外に一緒に出られれば、花ちゃんが自分で花を選べると思うのだ」
絵画の中に閉じ込められた少女に、外の世界を教えたかった。色んな色に溢れた外の世界を、少女と一緒に歩いてみたかった。
「花ちゃんも外で自分の花を選べば戻って来られるんじゃないかと思うのだ?」
漆黒の瞳に真央を映しながら、少女は何の表情も浮かべない。人形のような少女に、真央は根気強く、表情豊かに話しかける。
「国語に、北海道の遅い春は全ての花を同時に咲かせて地上の桃源郷のようってあったのだ」
今はまだ秋で、春はまだまだずっと先だけれど。桃源郷のような北海道の春の野原に行けば、少女は少女の望む花の色を知ることが出来るかもしれない。
打算も何も無く、ただ目の前に居る少女のためだけに、真央はそう考える。
「一緒に見に行こうなのだ?」
日傘掴む少女の白い両手を、陽に焼けた手で掴もうとする。
「ッ?!」
瞬間、人形のようだった少女の顔が強張った。真央の手から逃れ、体を捻る。日傘を投げ出し、スカートの膝に置いていた花を落とし、ほとんど恐怖に駆られた態で後ずさる。
「花ちゃん?」
「外は、いや」
太陽を知らぬかのような白い頬を青褪めさせ、少女は首を横に振る。顔を両手で覆い隠し、首を幾度か横に振る。
そうして、大きく息をひとつ。
両手を下ろした顔に、垣間見せた怯えた表情は消えている。仮面掛けたような淡い笑みを色のない唇に刷き、少女は日傘を拾う。散らばった花をスカートに拾い集める。また元のように澄ました顔でその場に座る。
「花の色を、教えて」
静かな声で、真央に請う。
「……花ちゃん」
少女の手を掴めなかった手を、真央はもう一度伸ばす。そっと、そうっと、少女のに触れる。
「真央ちゃんのジャージやリュックと同じ赤の、曼珠沙華ってキレイな花があるのだ」
もう片手で自分のジャージを示す。いつものように背中に負った赤猫リュックを続けて示す。
「茎が強いから首飾りを作るけど、毒があるから触った手で目や口を触るなって言われてたのだ」
でもね、と真央は悪戯っぽい笑みを少女に向ける。
「根を粉にして流水に十日晒せば澱粉でお団子を作れるんだって。真央ちゃん、いつか試してみたいなって思ってるのだ」
少女の手がさっきみたいに逃げ出さないことを確かめて、真央は少女の手を引いて立ち上がる。不安気な表情をちらりと見せる少女に、すぐ傍らにスラリと茎を伸ばして火花のかたちにも似た花を咲かせる花を指差す。
「花ちゃん、それがこの花なのだ」
「あかい、花」
日傘を地面に置き、少女が立ち上がる。長いスカートの端を片手で摘まみ、袋状にした中に色づいた花を収めて、真央に手を引かれて曼珠沙華の前に立つ。
「これで花ちゃんが触ったら色つかないかなぁ?」
彩りを失った花を足元に、真央は少女を振り返る。二人で花の前に膝を折る。花の記憶を語ってくれた真央に促されるまま、少女は花に指先を伸ばして、――けれど、失せた色は戻らなかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年02月10日
参加申し込みの期限
2015年02月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年02月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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