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花の色は
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白黒の空から降り注ぐ、色を帯びない光を集めた日傘の白に、
大天使 天吏
は雷雲よりも深い灰色した右の瞳を眩しげに細める。
己と対峙した少女が紡ぐ言葉を上の空で聞き流し、無関心なまなざしを己の周囲へと巡らせる。眩しい白と淡い白、深い黒と薄い黒、それ以外に色のない世界を右の瞳に映す。
(鳥の目を持っていない世界に迷い込んだのね)
鳥は人間が判別できる三原色に加え、紫外線さえ認識できるという。
鳥を友とする少女は、己が迷い込んだ世界を冷えた瞳で観察する。
己が呼吸の音と少女のどこか無機質な声だけが、白黒の草花に満ちた狭い世界に流れる。他に音はない。風も水も、虫も鳥もいない、色持つ少女と白黒の花だけの世界。
(ならこの世界は)
眼帯に隠した左の眼を片手の指先に掠め、天吏は朝陽の色に似た金の髪を掴む。緩く波打つ髪をきつく掴む手の下、右の瞳を不快に歪める。
(人間か何かの作り出した世界)
そう見定めた途端、
「……馬鹿らしい」
天吏は不機嫌に吐き捨てる。
(とっとと出るに限るわ)
鳥や自然がある分だけ、少なくとも、外の世界の方が余程良い。
白黒の世界に座す黒髪の少女を見もせずに背を向け、金髪の少女は不自然に咲き乱れる花々を踏み潰して歩き始める。
「花の色を、教えて」
背後に再び聞こえる少女の声も、
「お花の色をさがしてくればいいの?」
それに問い返す、突然聞こえた幼い少女の声も、微塵も聞こえない素振りで歩き続ける。日傘差す少女の願いに応じるも鬱陶しいが、応じないことにはこの世界から出ること叶わないのだろう。
「なんだかふしぎでちょっとさみしいばしょだねぇ」
白黒の花畑を苛立たしげに踏み荒らして歩き去る年上の少女の背中を榛色の大きな瞳で見つめ、
椎名 あさひ
はてっぺんでひとつに纏めたお団子の頭をちょっと傾げる。
「がんたいのおねえさん」
前に鳥について教えてくれた年上のお姉さんに声を掛けてみる。振り返る気配も見せない人を拒む背中に、けれど幼いあさひは人懐っこく駆け寄る。
「おねえさん! お花の色、いっしょにさがそう?」
天吏に踏み潰され散らばった花をなるべく踏まないように気をつけて、あさひは大股に進む天吏の歩みを止めようとその白い手に手を伸ばす。
触れたその次の瞬間、
「……何?」
あさひの指は邪険に振り払われた。
「この世界が本物だとでも思ってるの?」
思ってもいなかった拒絶に目を丸くするあさひに、天吏は心底見下した態度で言い放つ。そうしながら、あさひを瞳の端にも入れず、虚ろな絵画の世界を見渡す。どれだけ瞳を凝らしても、空に風はない。踏みしめた土に足は汚れない。ただ、作り物じみて濃い花の香ばかりが漂う気持ちの悪い世界。
花に群がる虫も虫を食む鳥もいない、
「こんな都合のいい、くだらない世界」
足元で可憐に咲く花を冷酷に踏みにじる。
「でも、……」
天使みたいに儚げな容姿のお姉さんから出てきた忌々しげな言葉にあさひはたじろぐ。何か言い返そうとして、でも言えなくて口ごもっている間に、お姉さんはあさひを一目も見ずに先に行ってしまう。
(……でも、)
言葉を胸に探すうち、体から力が抜けた。ぺたりとその場に座り込む。
「おお、不思議な場所だねぇ」
俯くあさひの耳に、明るい歓声が届いた。
日傘の少女があさひに告げたのと同じ言葉を淡々と告げている。
遠ざかるお姉さんの背中と、一面に広がる白黒の花畑から、あさひはもう一度日傘の少女へと視線を戻す。
少女の傍らに膝をついて、柔らかな薄茶色の髪を襟足でひとつに結った背の高い青年。眼鏡の奥、雪雲の灰色した優しい眼を気さくに笑ませ、
薄野 一月
はどこか作り物じみた日傘の少女に大きく頷いてみせる。
「可愛い女の子に頼まれたとあっちゃ、断るなんてできないよね」
日傘の少女は髪と同じ黒い眼に淡い笑みを滲ませて一月に頷き返す。
そうして、どこまでもまっすぐにあさひを見つめる。
微笑んでいるのに感情が見えない、まるで絵のような少女の瞳に、あさひはけれどふうわり、柔らかな笑みを返す。見つけられるかどうか、ちょっぴり不安だけれど。
「がんばってさがしてみるねぇ」
「よーし、おにーさん頑張って花さがしちゃうよ!」
一月は身軽に立ち上がる。日傘の少女に待っててねと手を振り、潰された花をひょいひょいと跨ぎ越す。リボンで緩く結った髪を揺らし、あさひの傍にしゃがみこむ。
「一緒に行かない?」
白黒の花畑の中、お姫様にするように手を差し伸ばされ、あさひは笑う。
「あのねぇ、あさひは
椎名 あさひ
って言うんだよ」
「おにーさんは
薄野 一月
よ」
「一月お兄さん」
「あさひちゃん」
握手のようにお互いの手を取って、青年と少女は立ち上がる。季節問わずに咲き乱れる花畑の中、日傘の少女の願いを叶えるべく、花を探して歩き始める。
「色のついたお花をさがせばいいのかなぁ」
足元に咲く花をひとつひとつ確かめながら、あさひはゆっくりと歩を進める。見渡す限りの花畑に、色のついた花はひとつも見つけられない。
「色んなお花があるねぇ」
「そうねぇ」
傍らの少女に歩幅を合わせ、一月はのんびりぐるりを見渡す。
地平にまで続くモノクロの花畑のところどころ、色のない空を目指して高く伸びる樹木。寄り添い合って生える木々や、森のように大きな群生になっている木々、そのどれもがかたちの違う花を冠のように樹上に咲かせている。
「……木にもお花がさいてるんだね」
木々に咲く花々を目敏く見つけ、あさひが小さな指を花畑の中に佇むひともとの樹を示す。
「なんの木かなぁ、知ってるお花もたくさんあるけど、色がないと何のお花なのかわかりにくいねぇ」
足元でごちゃまぜに咲き乱れる花一輪を見下ろす。蓮華、パンジー、菜の花、桔梗。色がなくては、かたちをよくよく確かめなくては花の名前が浮かんでこない。
見慣れない白黒の世界になんだか目が変になってきた気がして、あさひは手の甲でごしごしと瞼を擦る。
「……お!」
優しく手を引いてくれていた一月がふと弾んだ声をあげた。不思議に思ってあさひが見上げると、一月はおでこにかざして手庇を作った手の下の目を眩しげに細めて笑った。
「あそこの木、見える?」
一月の視線を追いかけた先には、一月の背丈と同じ程の低めの樹。
繁る葉の上を流れ落ちる大粒の雫のかたちして、優しいかたちした花が寄り添いあって咲いている。ふわり、初夏の涼やかな花の匂い。
「いいにおいがするねぇ」
「空木かな?」
鼻を可愛くひくつかせるあさひに微笑み、一月は花のもとに立つ。地面に房ごと落ちた空木の花を拾い上げ、芳香揺らがせる繊細な花びらに触れる。
「どんな色をしているの?」
「白色ね」
言ってから、一月は淡く笑む。空木の花の色は白。この白黒の世界でも名前としては同じ『白』だけれど、
「白色は白色でも、もう少し元気のある色だったかな」
花の香に目を伏せて、瞼の裏に花の色を思い浮かべて、そうして思い出したのは、高校時代の初恋のひと。
――一月くん、ありがとう!
満開の真っ白な空木の花を背に笑ってくれた女の子の顔が、今も心の柔らかな部分にある。
あの日見た笑顔を、今もはっきりと覚えている。
(凄くキラキラして見えた)
自分の中にある恋心に気がついたのはあの笑顔が切欠だった。
クラスで一番に仲が良かった女の子。
友達だった。好きな子の相談を受けていた。
――一月くん、どうすればいいかな?
――一月くん、こういうときはどんな顔すればいいのかな?
茜色の教室で、部活の声が聞こえる運動場の隅で、
(あーだこーだと話してる内に、)
気がつけば好きになっていた。けれど、
(恋した時点で失恋確定だよなぁ)
でも、それでも好きだった。
その子が好きな人と一緒にいて、幸せそうに笑っているのを見るのが好きだった。隣には立てないと分かっていても、一番近くにいられなくても、ずっと『良い人』止まりでも。
あの頃は辛い思いもしたけれど、今になって思えば、
(凄く楽しかったし、幸せだった)
好きになって良かった。心からそう思える。
(本人には言わないけどね)
あの頃を思い出して、あの子の笑顔を思い出して、一月は柔らかな笑みを零す。
瞬間、ふわり、手にした空木に色が宿る。葉は瑞々しく濃い緑に、優しい花には夏の初めの空を透かせた白に。
(……って、何か色々思い出してきたなぁ)
「やったぁっ」
微笑む一月の傍ら、一月と手を繋いだあさひがはしゃいだ声をあげる。
「あさひちゃんのお花も探そうね」
「うん」
空木の花を片手、もう片手にはあさひの小さな手を握って、一月は白黒の花園を巡る。花水木に挟まれた煉瓦の細い道を見つけて辿り、梔子の匂いに満ちた茂みを抜け、夾竹桃の影を潜ったその先、
「あれぇ?」
草木の広場の真中、ゆったりと広げた枝に数多の小さな花を咲かせた樹を見つけ、あさひは黒髪を揺らして首を傾げる。
「これももの木かなぁ?」
「うん、ももの木だね」
「まんかい、ってやつだねぇ」
一月の手を離し、あさひは桃の木の傍に駆け寄る。色の無い木の肌に触れる。手を伸ばし、弟の頭を撫でるように優しく、透けるように薄い花びら重ねる桃の花を撫でる。
「弟のゆうくんが生まれた日も、もものお花がまんかいだったんだよ」
触れた花の冷たさが何だか悲しくて、あさひは指を拳にする。春の陽射しを浴びた花は、もっとあったかいのに。
思い出すのは、まだ幼稚園に通っていた頃。夏の暑い日、幼稚園から帰っておやつの桃の実を食べていたら、お父さんとお母さんがニコニコ顔で前に座った。
お母さんが冷蔵庫から出してくれたばかりの桃の実の冷たさや、白にちょっぴりピンク色が混ざった果実の甘さまで口の中に思い出して、あさひは思わず頬を押さえる。あの桃の実はとても美味しかった。
――桃の花が咲く頃に弟か妹ができるよ
そう教えてくれた言葉がとてもとても、嬉しかった。
白くて青い雪の降る冬が来て、水のあったかくなる春が来て、そうして、夏に食べた桃の実よりももっとピンク色の花が咲いて。
(はじめて会ったゆうくんはもものお花よりももっともっとピンク色だったなぁ)
紅葉よりも小さな手に、真珠の欠片みたいな爪がしっかり生えているのがなんだか不思議だった。おくるみに包まれたちっちゃな体に、桃の実みたいに美味しそうな頬。そうっと指で触ってみたら、
(もものお花みたいにやわらかかったねぇ)
生まれたての弟を思い出して、甘い桃の実を頬張ったように顔中でニコニコする。
弟が出来たのがすごく嬉しくて、弟の写真も桃の花の写真もたくさん撮って、アルバムいっぱいに並べた。
(そうそう、)
アルバムに並べた桃の花の写真を思い出す。ファインダー越しに桃の花を覗いたときのどきどき弾んだ気持ちを思い出す。
(ちいさくてかわいらしくてやさしくてあたたかいピンク色の花の色だったねぇ)
思い出すままに花に触れると、水に絵の具を垂らしたみたいに、温かな桃の色がひともとの樹の花全てに広がった。
「お雛さまの花ね」
静かに見守っていた一月が手をぱちんと叩いて楽しげに笑う。
桃の花を見ると皆はそう言うけれど、あさひにとって桃の花は、
(ゆうくんのお花だなぁ……)
優しく色付いた桃の花にもう一度手を伸ばす。弟の頬を撫でるようにそうっとそうっと、小さな花を一輪だけ、小さな掌に包み込んで取る。
「じゃあ、そろそろ花を届けないとね」
女の子を長い時間お待たせしちゃってもアレだし、と一月は色のない平坦な空を仰ぐ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年02月10日
参加申し込みの期限
2015年02月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年02月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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