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秋雨に濡れ
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【雨雲は暗く垂れ込めて】
……雨は。
雨は時として、それをきっかけに人と人とを結びつけ、出会いを生み、楽しい一時を演出することもあります。
同時に、雨は悲しみの象徴として、人々に暗澹たる影を落とし、陰鬱に沈み込ませることもあります。
塔ヶ崎 璃亜
にとっては、灰色の雲と、そこからしきりに降り落ちる雨は、後者の意味合いを強く表すものでした。
(うぅ、ずぶ濡れになっちゃいました……)
突然の雨に慌てて駆け込んだバス停には、璃亜一人だけ。時刻表を確認すると、次のバスが来るのは、ずいぶんと先のようです。
制服の上も下もぐっしょりと濡れてしまい、冷たく重い空気と共に肌へとまとわりついて、少しばかり風が吹くと、身震いしてしまうほどの寒さを感じます。
とはいえ、着替えの持ち合わせも無く。仕方なく璃亜は、長椅子に一人ぽつんと腰掛け、両手で自身の肩を抱きながら、じっと。静かにバスを待ちます。
憂鬱な気分は、寒気や、ふいに持て余してしまった時間のためばかりではありません。
学業の合間を縫っての、せわしないアルバイト生活。いつものように家を出て、いつものように学校へ行き、いつものように働いて。
いつもと同じ、忙しく、そして何てことの無い日々。そんな中で、
(……雨は……あんまり好きじゃありません)
雨の日だけは、どうしても璃亜の気分を落ち込ませ、その表情に暗い陰を落とすのです。
思い出してしまうのです。忘れられない日のことを。
(あの日も……)
幼い頃。突然に両親を亡くした、あの日も。
(……それに、あの日も)
自分を引き取り育ててくれた祖母が亡くなり、天涯孤独の身となった、あの日も。
璃亜の持つ悲しい記憶の中では、必ずと言っていいほどに。
(雨が、降ってた……)
今でも雨が降るたび、蘇ってくるのです。その時の光景が。その時の感情が。
突然のことで実感が湧かないままに、淡々と進んでいく葬儀。無機質な土に埋められていく、軽そうな棺。霊園に降りしきる、鬱陶しい雨。
衝撃に、頭の中のどこかが麻痺したのでしょうか。涙の一つも流せないまま、所在無く立っていた自分。そんなつもりじゃ無かったのに。泣きたかったのに。
ちゃんと、悲しんであげたかったのに。
「……雨は、好きじゃありません」
誰とは無しにもれたつぶやきは、止まない雨に紛れ、流されて消えて行きました。
璃亜がいくつものアルバイトをかけもちし、それに没頭するのは、もちろん逼迫しながらも生活していくためであり……そして、働いている間くらいは忙しさに紛れて、悲しみも頭の片隅の奥深くへ、ひっそりと身を潜めていてくれるから。
(早く、止まないかなぁ……)
見上げれば、薄く垂れ込めた雲。日の光をかすかに通し、ぼんやりと白く明かりを内包しているように見えるそれを、璃亜はじっと眺め続けます。
雨を弾きながらやってくるバスの眩しいヘッドランプが、やけに待ち遠しく思えました。
寝子ヶ浜海浜公園には、ぼんやりとして秋雨に打たれる、
朝鳥 さゆる
の姿がありました。
今日は珍しく、学校帰りの制服姿……といっても、昼休みには早々に自主早退。当ても無く街中をぶらぶらと歩くうち、この人気の無い一角へたどりつきました。
明確な目的は、特にありません。強いて言うなら、誰にも邪魔されず、一人きりで物思いにふけりたい時、さゆるはここを訪れることがありました。
(雨……)
降り出したのは、しばし考え事に頭を巡らせていた頃。一瞬、どこかへ移動しようか……とも考えたものの。雨は瞬く間にさゆるの全てに水滴を絡ませたかと思うと、辺り一帯を、すっかりと雨模様へ変えてしまいました。
ここまで濡れてしまったら、もはや手遅れというもの。さゆるはベンチに深く腰掛けると、
「……ま、いっか」
どこか投げやりに、そうつぶやきます。
それよりも、今はこの静かな場所で、ただ思考を巡らせていたかったのです。
考えて、何かしらの答えが出るわけでもありません。ただ、そうしていたかったのです。
大人びたさゆるは、けれど15歳。たかだかそれっぽっちの人生なのに、ここ数年で、彼女の周りに起こった環境の激変は、どういうことなのでしょう。
あまりにも……あまりにも。さゆるの身には、色々な出来事が起こり過ぎました。
何不自由ない、順風満帆だったはずの彼女の人生。突然、一度に両親を亡くしたことに端を発して、崖を転がり落ちるかのように変わり始めたのが、たった三年前。
からっぽのままの中学時代を経て、寝子島高校へと入学し……その間、目の前に現れ、彼女の身体を通り抜け、そして姿を消して行った、からっぽの男たち。顔も思い出せない彼ら。
自分が緩やかな破滅へと向かっているという自覚は、さゆるにもありました。事実、限りなくそれに近い経験をしたこともありました。
それでもさゆるは、つぶやくのです。
まぁいいか、と。
(……分かってる。自分がどこへ向かってるのか。行き着く先が、どんなところなのか。それでも、あたしは……)
瞳を閉じたさゆる、そのまぶたの裏に映る光景は、きっと普通の人間には、直視することも難しいかも知れません。
それほどの過去に苛まれながらも……彼女にはどうしても、今の暗い現状や、自分を変えようという気にはなりませんでした。その方法も分からないし、模索しようとも思えないのです。
(どうしてだろう。何であたしは、こうなんだろう)
父と母の死が、自分の心の中、大切な何かを決定的に壊してしまったのでしょうか。あるいはそれはきっかけに過ぎず、その後に過ごした怠惰で自暴自棄な日々が、じわじわとさゆるを蝕んでいったのでしょうか。
あるいは、その両方だったのかも知れません。
容赦なく打ちつけ、じっとりと肌に張り付く雨粒が、そのまま身体の芯にまで染み込んで行くような感覚を、さゆるに感じさせます。
考えても、考えても、答えを導き出すことはできず。そもそも自分は、考え悩むフリをしているだけではないか、そうして自分をにわかに納得させようとしているだけではないのか。そんな気すらしてきて。
さゆるの心は、先の見えない曇天の下、当て所なくさまよい続けるのです。
やっと来たバスに乗り、ほっと一息をつく璃亜。座ったシートへ染み込む雨水が忍びなく、遠慮がちに浅く腰掛け、窓の外を滑り落ちる雫の合間を流れていく景色を、ぼんやりと眺めます。
交差点。赤信号に停車したバス。止まった風景。行き交う色とりどりのカラフルな傘たち、滲んだネオンサイン。
雨に打たれるままに歩く少女の姿が気になったのは、彼女が、璃亜と同じ制服を着ていたからでしょうか。
ぱしゃりと飛沫を散らし、重たい足で歩を進めるさゆる。ふと目を上げれば、脇に止まっているバスの中、自分を見つめる少女に気付きました。
ほんの少しの間。絡み合った、二人の視線。
やがて信号が青く変わると、再びバスは走り出し……瞳だけが繋がったまま、二人の距離は、瞬く間に離れていきました。
言葉も無く、伝える意思も無く。ただ、刹那に交差した、二人の少女の邂逅。
……曇り空はまだ、涙をこぼすのを止めてはくれません。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ★(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年11月26日
参加申し込みの期限
2014年12月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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