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秋雨に濡れ
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【雨中の駆け引き】
「っ……」
ずくん。不快な痛痒にも似た疼きを左腕の古傷に覚え、
斑鳩 遙
は足を止めました。近づいて悟られたくない、顔を合わせたくないという思いもありました……それも、強く。
雨の霊園。墓石を打ち、滴り落ちていく無数の雫。その只中にあって、傘も差さずに、友人の墓へとすがりつき、泣き崩れる女。
遙にとっては、友人、時任との共通の知り合いではありました……ただし、望ましくは無い類の。
いわゆるストーカー。時任へ寄せた彼女の想いの強さは、彼の拒絶に伴って、さらに歪な形へと変貌し。時任の最も親しい友人たる遙にさえ、その余波は及びました。彼を庇うように立つ遙が、目障りだったのでしょう。
左腕に食い込んだ、あの刃の感触。逆上した女の歪んだ顔に、吊りあがった眉。睨みつける、充血した瞳。
あの時は、それが確かに、恐ろしげに見えました。
けれど。時を経てなお、彼女は未だ想いに囚われ、すがり、泣き濡れて。
震える肩、ちっぽけなその後姿に、遙はくるりと背を向け、歩き出し。そして、思うのです。
(本当に……愛していたんだな……)
自然と早まる足。気付けば、差していたはずの傘がありません。彼女と同じように、遙もまた冷たい秋雨に濡れ……ひどく震える肩を、両腕で抱き。
まとまらない思考。一度腰を落ち着け、昂ぶる鼓動を落ち着かせようと、くぐった東屋の庇の下。
そこには、遙の胸を更にかき乱す、顔見知りの姿がありました。
立ち止まり、はっとしてこちらを見つめた遙は、ひどく動揺しているように思えました。
(これはまた奇遇。でも……ふうん?)
日向 透
は、興味深く彼の取り乱した様子を観察してから、声をかけました……穏やかで柔和な笑顔を演出しながら。
「そこ、濡れませんか? こちらで少し、雨宿りといきませんか。話し相手が欲しかったところです」
「あ……ああ」
遙はふらりと東屋の奥の椅子、透の横へ座り込むと、ゆっくり。ゆっくりと、深い息を吐きます。
「それにしても偶然ですね、斑鳩さん」
「ああ……友人の墓を参りに、な」
友人。自分を見ながら遙が発するその言葉には、特別な意味が込められていることを、透は知っています。
「……大丈夫ですか? 何だか、顔色が悪いようですが」
「いや……ああ。そこで、少し……知りあいに会ってな」
「そしてそれは、望まぬ出会いであった。というところですか」
「……そんなところだ」
少しばかり落ち着いてきたらしい、遙の取り繕った顔を、透は眺めます。
知人とやらとの、恐らくは予期せぬ偶発的な出会いが、彼を不安定にしているようでした。押さえつけるように、ぐっと左腕を握り込んだ遙は、ややあって、静かに透へ語り始めます。
「……とある人に、言われた。俺が探しているものは、パンドラの箱なのだと」
「パンドラ? ずいぶんと唐突ですね。開けば様々な災厄が飛び出し、最後に希望が残る、というあれですか?」
どうしても知りたい。そんな遙の強い思いを、透は知っています。理解している、と言ってもいいかもしれません。対象の記憶を読み取るろっこんを通じて、透はそれに触れたことがあったのです。
彼の死んだ友人。時任という男。ピアニストであったといいます。彼の死……自殺の真相は今もって闇の中であり、遙はそれを白日のもとへ暴き出すという行為に、心囚われているのです。
そしてどうやら、透は、死んだ時任という男にどこか似ており……遙に、不思議な既視感を抱かせるようなのです。
「日向さん。貴方に、どうしても知りたいことがあるとして。しかしそれを暴きたてたところで、決して誰も幸せにはならないのだとしたら……どうする」
真剣な顔で、遙は尋ねます。
それほどに親しいという訳でもない相手へ、自然と心内をさらけだし、そんな質問をぶつけてしまうことこそが、彼の弱気を表しているのだと透は考えます。
理知的な合理主義者。一見薄い表情の奥に隠された、時として激しく揺れ動く感情。
(……だから貴方は、面白い。そんな貴方をこうまで縛り付けている、時任という男も、また)
そんなところが、他者の存在に対して淡白な透に、少しばかりの興味を抱かせるのです。遙が包み隠した内面をさらけだして見せるたび、透は腹の奥に、暗く満たされるものを感じるのです。
「俺は……間違っているんだろうか。誰しも望まない真実、俺だけが知りたいと望む真実を求めることに、意味はあるのか……?」
「そうですね……」
腕を組み、思案するフリを。深く熟考し、彼の為に答えを練っているフリをして。
あくまで、『良い人』を演ずるままに。
「……貴方の、望むまま。行動すれば良いと、俺は、そう思います」
「望むまま……?」
「俺は、貴方の過去を知りません。貴方の持つ、パンドラの箱……底に残っているのが、果たしてあなたにとって希望なのかどうかも、俺には分からない。ただ……それが何であれ。貴方にとっては、大切なものなんでしょう?」
それらしい言葉で、本心を覆い隠して。さらりと口から滑り出る嘘に、心でほくそ笑みながら。
「選択に、良いも悪いもありません。望むか、望まざるか。それだけです。貴方が望むというなら……ひたすらに求めればいい」
遙が行動した結果、掴む真実が果たして何であるのかは、透にとっては、全く重要ではないのです。
「他の誰でも無い、貴方の人生なのですから」
「……ああ。そうだな。きっと、そうなんだろう」
詰まらないことを言って、悪かった。普段どおりの平静さを取り戻し、感情の見えない口ぶりで礼を述べた遙へ。
透は、とんでもない。お役に立てたなら、光栄ですよ。そう言って、普段どおりの微笑を浮かべました。
穏やかで柔和な笑顔の仮面の下、暗い嘲笑を隠しながら。
(斑鳩さん。貴方の友人が、貴方を嗤ったように……俺もまた、貴方を嗤う。貴方は本当に、哀れな人だ。哀れで、そして、滑稽だ)
どうかしている。会話の一区切りに、遙は軽く頭を振りました。
知りたい、と求めて止まない欲求の裏に、もう諦めてしまいたい、すっぱりと忘れてしまいたい。そう感じる自分がいることも、遙は気がついているのです。
真実など求めずともいいじゃないか。全て忘れて、例えば職場の上司に勧められるまま、見合いでも何でもして、適当に結婚でもしてみればいい。家庭の些事や仕事の波に忙殺されるまま、時任のことなど、きっと瞬く間に、記憶の外へ追いやってしまえるだろう。
そうやって、空虚な平穏に逃げてしまえばいい。簡単なことだ。
(……まるで、ただの自暴自棄じゃないか)
冷静になると、今の今まで気になりもしなかった、未だ降り続く雨の音が、途端に耳へと届き出しました。張り付いた服の、ぐっしょりと濡れた不快な感覚も。
望むまま、求めればいい。目の前の男は言います。他の誰でもなく、よりにもよって、この男がそう言うのです。
時任と、どこか重なり合って見えて止まない、この男が。
「ふぅ。これは、しばらくは上がらないな……はは、困りましたね」
人当たりの良い、優しい……とても優しい、その微笑。
(貴方も……俺を嗤うのか。時任のように。俺を……)
ああ。やはり。ずくんと疼いた左腕を抱え、遙は思うのです。
ああ。どうしてこんなにも、どうしようもなく、似ているのだろう。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ★(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年11月26日
参加申し込みの期限
2014年12月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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