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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
走って、探して、気をつけて!? ハッピー・イースター☆
人生、何が起こるかわからない。月原 想花はしみじみとそう思い、隣を歩く黒白 滴を見た。
こんな陰キャな自分が誰かとイベントに出かけているのもそうだし、その相手が恋心を抱いている滴と、というのもそうだし。
何より変わったのは、想花を取り巻く環境だ。いくら他人の視線を避けたいとは言え、鬱陶しいほどに伸びた髪を切ろうと、思い立った日から変わってしまった。
親友の川上 紗櫻都の母が星ヶ丘でヘアサロンをしているからと紹介してもらい、場違い感の緊張から『おまかせで』と言ったのがいけなかったのか、寝てしまったのがいけなかったのか。
いや、結果的にはスッキリしたベリーショートは気に入っているし、さすがプロの技と感心もした。最初こそ他人の突き刺さる視線が気になったりもしたけれど、きっと寒い時期でのベリーショートだったから、凍えそうで可哀想に見えたんだろうと思えばさほど気にならなくなったりもして、心の安寧を保っていたのだけれども。
それは、読モデビューという予想外な展開で、一気に覆された。
確かに、髪を切った直後の想花自身でさえ、自分を認識出来ず『鏡の中に大人びた少しアンニュイな美人がいる』なんて思ったほど、イメチェンは成功した。でもそれは、今までが酷い有様だったから驚いた、というニュアンスが近く、ちょっとした魔法をかけられたような高揚感がそう見せたのだろうとも思っていたのに。
撮影こそしてみたけれど、読モとして写真が採用されるかは別の話だと笑っていれば、ＳＮＳでチラ見せされた想花の写真に、『あの子は誰か!?』と話題になってしまうなんて、誰が想像出来ただろう。
（それに……）
花畑を眺めて軽くスケッチをしている滴は、１度死んだはずだった。正確には、生と死の狭間に落ちていたという表現が正しいのかもしれないが――それでも確かに、滴は想花の前から姿を消し、人ならざるモノとして立ち塞がりもした。
そんな彼女が生きている。同じゲームで遊んだり、こうして出かけられるくらい親しく過ごしたり出来るようになって、諦めかけた恋心が再び燃え上がらんとするのは自然なことだと思う。
「……ん。モチーフはこんなものかな～？ イースターエッグ、作りに行く？」
「あ、うん！ あっちのテントが、そうみたい」
好きな人と一緒にいる。なのに浮かれきれずにいるのは……親友である紗櫻都が、ロロが意識不明のまま入院しているから――では、ない。
親友が大変なときに遊ぶなんてと思えたら良かったのに。『親友が』心配だから、お見舞いの品を作りたいんだと言えたらいいのに。
（ぼくは、なんて……）
穢れた身で浅ましいと自嘲すれば、優しい２人は慰めてくれるかもしれない。そうでなければ、猫のように気まぐれな滴は興味を失いそっぽを向くかもしれないし、真っ直ぐなロロは叱ってくれるかもしれない。
……そもそも、これは『片思い』で、２人から愛されているわけではないのだ。ただ想うだけなら罪では無いと――開き直れる勇気も、想花にはなくて。
知られたくない。でも、この想いを無かったことにもしたくない。親友でありそうでない境目を、ふらふらと行ったり来たりしては、どうやって３人の関係を守ればいいのかと想花は頭を悩ませる。
（共通点なんて……不幸な過去があるってだけなのに）
そんな傷のなめ合いで、傍に居たいわけじゃないのに。イースターエッグ作りの会場についても暗い思いは払拭しきれず、想花はプラスチックの卵形カプセルを握りしめた。こんな気持ちで作ったものを、ロロにプレゼントしたって喜んでくれるだろうか。滴のために、何か作るべきではないのか。
ちらりと盗み見るようにした滴の手元には、卵の殻が優しく握られていた。先ほど描き留めたスケッチを見ながら、色彩豊かな花模様をさらさらと描いている。
「……凄いね、卵の殻に絵が描けるなんて」
それもだけれど、滴も変わった。以前はモノクロの絵ばかり描いていたのに、見る世界が変わったのか心温まる世界を描くようになっていた。
「凄くは、ないかな～。こういう絵も描けるようになったのは、想花ちゃんが凄いから……かも～？」
力強く鉛筆でスケッチブックをガリガリとしなくたって、刻み込まなくたって描いていける。白か黒かと答えを求めなくても、伝えたいと思う色を、届けたいタッチで描けばいいと、知れたから。
本心を見え隠れさせながらロマンチストに語る滴に、想花は改めて「凄いよ」と呟くと、触発されたかのようにイースターエッグを作り始める。
気持ちは定まってるわけじゃない、これからも苦悩する。それでも……届けたい想いを、少しでも形に出来ればと願い、手を動かした。
こんな陰キャな自分が誰かとイベントに出かけているのもそうだし、その相手が恋心を抱いている滴と、というのもそうだし。
何より変わったのは、想花を取り巻く環境だ。いくら他人の視線を避けたいとは言え、鬱陶しいほどに伸びた髪を切ろうと、思い立った日から変わってしまった。
親友の川上 紗櫻都の母が星ヶ丘でヘアサロンをしているからと紹介してもらい、場違い感の緊張から『おまかせで』と言ったのがいけなかったのか、寝てしまったのがいけなかったのか。
いや、結果的にはスッキリしたベリーショートは気に入っているし、さすがプロの技と感心もした。最初こそ他人の突き刺さる視線が気になったりもしたけれど、きっと寒い時期でのベリーショートだったから、凍えそうで可哀想に見えたんだろうと思えばさほど気にならなくなったりもして、心の安寧を保っていたのだけれども。
それは、読モデビューという予想外な展開で、一気に覆された。
確かに、髪を切った直後の想花自身でさえ、自分を認識出来ず『鏡の中に大人びた少しアンニュイな美人がいる』なんて思ったほど、イメチェンは成功した。でもそれは、今までが酷い有様だったから驚いた、というニュアンスが近く、ちょっとした魔法をかけられたような高揚感がそう見せたのだろうとも思っていたのに。
撮影こそしてみたけれど、読モとして写真が採用されるかは別の話だと笑っていれば、ＳＮＳでチラ見せされた想花の写真に、『あの子は誰か!?』と話題になってしまうなんて、誰が想像出来ただろう。
（それに……）
花畑を眺めて軽くスケッチをしている滴は、１度死んだはずだった。正確には、生と死の狭間に落ちていたという表現が正しいのかもしれないが――それでも確かに、滴は想花の前から姿を消し、人ならざるモノとして立ち塞がりもした。
そんな彼女が生きている。同じゲームで遊んだり、こうして出かけられるくらい親しく過ごしたり出来るようになって、諦めかけた恋心が再び燃え上がらんとするのは自然なことだと思う。
「……ん。モチーフはこんなものかな～？ イースターエッグ、作りに行く？」
「あ、うん！ あっちのテントが、そうみたい」
好きな人と一緒にいる。なのに浮かれきれずにいるのは……親友である紗櫻都が、ロロが意識不明のまま入院しているから――では、ない。
親友が大変なときに遊ぶなんてと思えたら良かったのに。『親友が』心配だから、お見舞いの品を作りたいんだと言えたらいいのに。
（ぼくは、なんて……）
穢れた身で浅ましいと自嘲すれば、優しい２人は慰めてくれるかもしれない。そうでなければ、猫のように気まぐれな滴は興味を失いそっぽを向くかもしれないし、真っ直ぐなロロは叱ってくれるかもしれない。
……そもそも、これは『片思い』で、２人から愛されているわけではないのだ。ただ想うだけなら罪では無いと――開き直れる勇気も、想花にはなくて。
知られたくない。でも、この想いを無かったことにもしたくない。親友でありそうでない境目を、ふらふらと行ったり来たりしては、どうやって３人の関係を守ればいいのかと想花は頭を悩ませる。
（共通点なんて……不幸な過去があるってだけなのに）
そんな傷のなめ合いで、傍に居たいわけじゃないのに。イースターエッグ作りの会場についても暗い思いは払拭しきれず、想花はプラスチックの卵形カプセルを握りしめた。こんな気持ちで作ったものを、ロロにプレゼントしたって喜んでくれるだろうか。滴のために、何か作るべきではないのか。
ちらりと盗み見るようにした滴の手元には、卵の殻が優しく握られていた。先ほど描き留めたスケッチを見ながら、色彩豊かな花模様をさらさらと描いている。
「……凄いね、卵の殻に絵が描けるなんて」
それもだけれど、滴も変わった。以前はモノクロの絵ばかり描いていたのに、見る世界が変わったのか心温まる世界を描くようになっていた。
「凄くは、ないかな～。こういう絵も描けるようになったのは、想花ちゃんが凄いから……かも～？」
力強く鉛筆でスケッチブックをガリガリとしなくたって、刻み込まなくたって描いていける。白か黒かと答えを求めなくても、伝えたいと思う色を、届けたいタッチで描けばいいと、知れたから。
本心を見え隠れさせながらロマンチストに語る滴に、想花は改めて「凄いよ」と呟くと、触発されたかのようにイースターエッグを作り始める。
気持ちは定まってるわけじゃない、これからも苦悩する。それでも……届けたい想いを、少しでも形に出来ればと願い、手を動かした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年10月06日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年10月13日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年10月13日 11時00分
