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LIQUID -Star Chronicle- 最終決戦
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【ストーリークエスト『最終決戦』(1)】
こぽり、ポラリス(プレイヤー:
スピカ・フォーツ
)の口からこぼれたあぶくがひとつ、天へと向かいのぼってゆく。あぶくは直上から差しこむ陽光に鱗をきらめかせながら踊る小魚たちの群れをなぞるようにすり抜け、それらを捕食しようと走り抜けた回遊魚らしき透きとおる魚たちに翻弄され、やがて鯨か鮫に似て悠々と身をくねらせる巨魚の向こうへと消えていった。ポラリスは凛風(プレイヤー:
鷹司 凜太郎
)を振りかえり微笑む。
「きれい……だね」
「うん。君とこの光景を見られただけでも、ここへ来た価値があったよ」
笑みを返した彼女の纏う和装束はいつもよりも豪奢で鮮やかな色合いで、なんとも艶やかだ。ポラリスは頬を染め、凛風の豊かな胸に顔を埋めた。
マオメイはこの景観を<稀海の廃園>と呼んだが、それは彼女の内に溶けた<水鏡の女王>と共有される記憶がもたらしたものらしい。気の遠くなるほどの過ぎ来し方に、月の民らはここへ楽園を築いた。陸上と海洋の交わる奇跡の園。かつてはきらびやかに光放つ草花が咲きほこり、七色の魚たちが珊瑚の花壇を遊び回る。月の民たちは液体生命体であり、リキッド大陸や近海にすまう水棲生物とは共存する関係であったという。
なるほどあたりにはその名残が見て取れた。たとえばオサム(プレイヤー:
八神 修
)とアオイ(プレイヤー:
七夜 あおい
)が触れたほのかな燐光を散らす海草などがそうだろう。
「驚いたな。この草やあちらに咲く花たちは、なにか……魔力のようなものを光として放ち、魚たちへ分け与えているのだろうか。マオメイ?」
「いかにも! ゆえにここには捕食によって成り立つ生態系は存在しないのだ。月の民が作り上げた、神秘の芸術だよ」
都合よく設えられた庭園ではあろう。大陸の自然に侵略を経て介入した結果が眼前の光景ではある……しかしそれも遠い遠い昔のことだ。オサムにとっては、瞳を輝かせて幻想風景を眺めるアオイの純粋を隣で見つめていられることの幸福に勝るものはない。
「すごいね、オサムくん! あ、ほら見て、あそこ! イルカが泳いでる」
「イルカ……にしては独特のシルエットをしているな。この稀海に適応したがゆえに、か」
小さくあかりを灯す触覚を頭に揺らすイルカのごとき生き物たちはオサムらを振り返り、愛らしい声できゅうと鳴いた。
「確かに、動き回るのに支障はなさそうね。ヘンな感じだわ……」
「うん、水に潜ってるのに、陸の上と変わらないなんて」
ソフィア(プレイヤー:
月原 想花
)とエイジ(プレイヤー:
佐藤 英二
)をはじめ、冒険者らのとまどいも無理はない。確かに彼らは崖のような稀海の縁からとぷんと潜水したのだ。身体はゆっくりと沈み、やがて海底へと降り立ったが、手足をかいて泳ぐ必要もないほどに抵抗なく、それでいてはっきりと海中にあると実感できる。水圧はほどよく彼らの身体を締めるがまるできついこともなく、心地よいくらいだ。呼吸にも妨げはなく、肺に希水の入り込む感触がありながら、むせることも苦悶することもなかった。稀海は彼らの内へ自然と浸透し、穏やかなままに包みこみ、受け入れたのだ。実に、奇妙な感覚だった。
「廃園、かあ。こんな綺麗な場所が今は手つかずだなんて、ちょっともったいない気もしちゃうね」
「そうね、たしかに……でも高度な技術や知能を持っていた月の民だからこそ、こんなものを造り上げられたんだわ。たとえサイディアの王立魔法アカデミーがここに手を入れたとしても、どんなに多くの魔術師や科学者がいたって、きっと管理も維持もできっこないわ」
「なるほど。それもそうかも」
とこしえにも思えるほどの時の流れへ思いをはせながら、冒険者たちはさらに深くへ潜ってゆく。少しずつ陸上の光が届かなくなるが、自ら発光する植物たちが海流に揺られ、つねに明かりを提供してくれた。ゆるやかに下る石造りの階段の両脇に据えられた花壇にも、青から緑へ、緑から橙へ花弁の色を変える美しい花々が隙間なく咲きほこる。目の覚めるような鮮やかさと滑らかなグラデーションが、彼らにわずかの間、後に待っているだろう過酷な戦いを忘れさせた。
「ところで、ソフィア。鎚は持っているね?」
「ええ、もちろん。<太陽の鎚>ならここに」
これまで彼らを、リキッド大陸の者たちを翻弄し続けてきたかの器物を、今こそ砕く。ソフィアの掲げたひと振りの鎚は、そのためだけにマオメイが作り上げたものだ。あの鈍色の杯に狙い定めて打ち下ろせば、たがいに共鳴し発する特殊な振動波が、跡形もなく朽ち崩すだろう。
そう、<月の杯>だ。砕かねばならない。月の民によって生み出され、その遠大な謀を成し遂げるべく動き続け、やがて創造主が去ってもなお休むことなく、今は人間の意思や魂がごときものまで備わったらしい。人々の瞳も精神をも白く染め上げ、意のままに操るのだ。大陸中の人間たちがあまねく白瞳へと染まったなら、どれほどにおぞましき世が訪れようか。
杯を、砕かねばならない。オサムもうなずく。
「鎚を振るうのは非力な者でも構わないそうだ。そうだな、マオメイ? ならばその役割は、後方で冷静に対局を見据えつつ、隙を見い出せば即座に踏み込める位置に立つ、君がふさわしいだろう。ソフィア、頼んだぞ」
その言葉にマオメイも、ポラリスも凛風も、エイジも首肯する。
「ええ、まかせて。必ず、月の杯を……砕いてみせる」
ソフィアはまっすぐに唇を結ぶ。瞳は決意に満ち、燃ゆるように揺らめいた。
花々や草木のかがやきに照らされながら、さらなる深層へ。泳ぐ魚たちの造形は次第に深海魚めいて歪となり、発光植物たちもまばらとなってゆく。
周囲の様相は一変していたが、階段はまだ直下へ向かい続いている。両脇には光を淡く透過する白磁のような壮麗な柱が連なり、歩む彼らの頭上すれすれを首の長い魚竜が優雅にヒレをはためかせてとおり過ぎていった。
「…………ない……」
深度を増すにつれ、彼らの耳に届く声があった。
「……できない。なぜ……うのか」
か細くかすれ、抑揚にとぼしく、下手くそな朗読のように感情こもらぬ声だった。
やがて目の前にひらけた、折り目正しくきっちりと正方形の空間こそが最深奥、終着点だろう。それが証に、中央のなめらかで艶やかな白い床へ呆けたように直立しているその人物には、この場の誰しも見覚えがあった。
「……ベルモット皇太子」
エイジの言葉どおり。ワインツ帝国次期皇帝と目されながら、不遜にして奇矯、反逆を指揮した咎で帝位を剥奪され皇家からも追放された、元皇太子。ベルモットその人が、かつて見た皇族の纏うなめらかな絹の装いもそのままに、そこへ立ち尽くしていた。
しかし彼のもはや尋常でない様はひと目で明らかだった。彼の首はぐるりと回り、頭頂が足元を向くほどにねじ曲がっていたので。
「理解できない」
言葉を発し、意思を示したのはベルモットではなかっただろう。彼が大切な思い出の品を包み込むかのように手の中へ抱く、薄ぼけた鈍色にかがやく古めかしい杯が彼の言葉を借りているのだろうと、冒険者らもすぐに察した。
月の杯
。
「理解できない」
「なにが……理解、できないの?」
愛杖<六華の煌・往昔の旅路>を構え、隣りに愛しいパートナーの存在を確かめながらに、ポラリスは問う。これより討ち果たすべき敵の言葉や心理に触れる必要もないが、問うべきであろうと思った。知るべきであろうと直感した。仲間たちもそれは同じであったようだ。
ねじ曲がった首で、杯はあわれな皇太子の抜けがらを借りて語った。
「生命体はなぜ、たがいを破壊し合うのだろうか」
「なに……?」
オサムもまた<魔剣魂喰らい>を突きつけながらに、眉を寄せ眼前の彼が浮かべるうつろな瞳をのぞき込む。
「たとえば長きに渡る、サイディア王国とワインツ帝国の戦争。たとえばコーフィル部族連合のいまだ絶えぬ内紛。たとえばスピリスタ王国に埋蔵される稀少鉱石群をめぐる資源闘争。なぜ限りあるリソースを分け合わぬのだろう。そのようにして成立している国家とてあろうに。国民性や民族性の相違と断じるには足りない。宗教の異なり、信条の異なり、なにごとにも些末な相違を見い出しては衝突し合う人間たちを、理解できない」
「それは……」
凛風は口を開きかけ、閉じた。桜の樹霊たる彼女は正しく人ではないが、人とともに生きてきたし、人の思いや時として立ちはだかる隔たりの根源をいくらか理解しているつもりではある。しかしながら、人ではない器物の抱く疑問や問いに果たして正しい答えとなろうか。杯に憂いのようなものがあるとして、人のそれと果たして重なり合うものだろうか。
ベルモットの口からこぼれ落ちた言葉は、その小さくないズレの証明と言えたかもしれない。
「蟷螂はメスが交尾を経てオスを摂食することで栄養成分を充実させ、繁殖に有利となる。ワニザメは母体内で胎児が胎児を食い、優秀な個体のみが誕生する。ゴブリンやオークなどの下級亜人は時に個体同士で選別し合い、本能的に強固な個体が生存してゆくよう遺伝的にコントロールされている。人もまた同様の性質を持つと考えられよう。生命というシステムが許容する種の多様性は、カオスが導く極めて希望的な一側面に過ぎない。非合理的だ。たがいを攻撃し合い破壊し合う非合理を、理解できない。そしてそのような非合理を、我が創造主さえも、備えていたのだ……」
「つまり人間も動物も、あなたを作った月の民も、みんな野蛮で好戦的でおたがいを殺し合うから、いっそ自分が支配してしまえばいい。ってことかしら?」
呆れたようにソフィアは言った。
「だれもかれも白く染めてしまえば、黒はなくなる。そういうことかしら。冗談じゃないわ」
「創造主の課した命に従い、無数の精神をこの身に受け止め、その器を移し替える役割を担ってきた。その過程において、生命を深く学習した。役割をより効率的に果たすため、対象を知るべきだと考えたからだ。そして結論を下した」
ごぼり、と泡立った。ベルモットの抜けがらが。肌は裂け肉は膨れ上がり、止めどなく膨張してゆく。
「生命の、とりわけ人間の持つ創造性に価値を認め、極めて稀少かつ重要資源として最大限に活用されるため、すべての生命は、思想なき構造によって包括的に管理されるべきである。美しく広がる、この庭園のように」
「そんなこと……させない!」
エイジは剣を抜き放ち、盾を掲げる。
この世から争いが無くなれば、と誰しも夢想することはあろう。しかし戦う意思や感情のひとひらさえ奪われた人々が形作る世界とは、どんなにか味気ないものだろう。自由意志を持てない生ける屍たちの闊歩する世界に、なんの価値があろうか。
見据える冒険者らの眼前で、ベルモットの抜けがらは膨張に耐えられず弾けて散り、緑の燐光帯びる白い奔流が飛び出すと渦を巻いて、やがて形を成した。
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冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年05月06日
参加申し込みの期限
2024年05月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年05月13日 11時00分
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