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海風が想花の前髪を逆立てる。
冷凍庫に入れておいたグラスが星ヶ丘の風だとすれば、この風はまるでドライアイスだ。冷たいというより痛いくらいだ。
しかし走るうちそんな感覚はすぐに消え去り、むしろ心地いいくらいになった。
いた。
立ち尽くす
川上 紗櫻都
を見つけた。
「ま……待った?」
息が切れてしまい想花は彼女の前でぜえはあと息を切らした。
返事のかわりに紗櫻都は想花にとりすがった。泣いている。
紗櫻都さんの体、あったかいな。
なぜだかそんなことを考えてしまう。
しばらくは泣かせてあげよう。
やがて彼女が落ち着いてきたので、「ここじゃなんだから、場所変えない?」と想花は提案した。
「どこに?」
「えっとー」
そういえば考えていなかった。
想花は顔を上げ、「じゃあ、あそこ」と指で示した。
シーサイドタウンの大観覧車だ。
ショック状態だからか紗櫻都の足取りはおぼつかず、ために想花は彼女と腕を組んで歩いた。
こうやって観覧車だなんて、端から見たらデートみたいに見えるかな?
なんてね。
我ながら突飛な発想に苦笑してしまう。
「どうかした?」
「いや、別に」
チケットを買い、冬の観覧車におさまった。
ケージ内は暖房がきいており暖かい。ようやく人心地ついた。
「お母さんに聞いたよ。ケンカ、したんだって」
ダイレクトすぎる問いかもしれないが、変に当たり障りのない話をしても仕方がないよねと想花は思っている。
「うん」
「原因とか経緯とかは、聞いてないんだ」
話してみない? と暗にうながした。でも無理強いはしないつもりだ。
「美容師を目指すこと、反対された。mamanに」
「お母さんに?」
さすがに驚くほかない。なぜならクレマンティーヌ自身が美容師だからだ。店を継ぐことにもなろうし、何を反対するのか。
「mamanはね……私の本当のお母さんじゃなかったんだ。それも知らされた。私はmamanのお姉さんの子なんだって」
「えっ、そうなんだ……」
気の利いた相づちが打てないのがもどかしい。
ぽつりぽつりと紗櫻都は明かした。
紗櫻都の母親はクレマンティーヌではなく、彼女の姉だったという。だが彼は妻の妹、つまりクレマンティーヌと不倫関係に陥ったのだそうだ。彼らは美容室を逢い引きの場にしていたという。
クレマンティーヌにも罪の意識はあった。だがひとたび火がついたものは止められなかった……らしい。
しかし不倫はやがて露呈し、紗櫻都の実の母親はショックから自殺してしまった。もともと精神的に不安定なところのある女性で、紗櫻都の育児もほとんどしなかったというがそれは弁明にならない。遺書はなかったが、夫の不倫、それもよりによって自分の妹との不倫がなければ起こらなかった悲劇だろう。
すべては紗櫻都がまだ赤ん坊のころの話だ。
「それからmamanは、『母親』として私を育ててくれた。でも罪悪感から父とは籍を入れていないんだって、つまり私とmamanは親子じゃなくって、叔母と姪なんだよ」
だから紗櫻都が、自分と同じ職業につくことをクレマンティーヌは恐れているというのだ。
「姉の死を招いた職業はやめてほしい、って。ましてや店を継ぐなんて……」
ってこと、とシャルロットが語り終えたあたりで観覧車が地上に到着した。
窓から手を出して想花は係員にもう二枚のチケットを渡す。ならんでいる人はいないから大丈夫だ。こんなこともあろうかと買っておいたのだ。
ふたたび上昇をはじめたケージのなかで、「ぼくはね」と想花は口をひらいた。
「紗櫻都さんのこと、うらやましいと思ってたんだ。お母さんとすごく仲がよくって。ぼくと両親の関係は冷え切ってる……っていうか、ぼく、ほとんど『いないもの』みたいに扱われてるから。できのいい弟がいてね、双子なんだけど、いい素質は全部もってっちゃったみたいなぶっちぎりの優等生。親たちは弟のことしか見てないんだ」
想花は自分の家庭事情を明かした。血を吐くような思いとともに。
「……でも、弟さんと想花さんは姉弟なんだよね?」
紗櫻都の質問は、当然といえば当然のものかもしれない。弟に引け目を感じているからつい、親に愛情の差を付けられているような気がするだけではないか――そこまでは言わなかったが、おぼろげに紗櫻都がこれに近い疑問をいだいているのがわかった。
だから、聞いてもらおう。
紗櫻都さんに聞いてもらいたい。
誰にも話す気はなかったけど。話しづらいことを話してくれた彼女に。
「それにぼくは、汚れているから」
「汚れて……?」
「八歳のとき、ぼく、変質者にさらわれてレイプされた」
淡々と、忌まわしい記憶、魂が死んだあの日のことを話した。
ひとりで遊んでいた公園。
抱えられ乗せられた自動車の饐(す)えた匂い。
山林の掘っ立て小屋の隙間風。
何度も何度も、執拗なほどくり返された行為。
あのころ、あの行為の意味はわからなかった。
でもずっと怖くて、ずっと気持ち悪くて、早く終わってほしいとひたすらに願った。
その感情は、何年も経った現在もつづいている。
言葉を失う紗櫻都に告げる。
「野鳥ってさ、人間の匂いがついちゃったヒナは育てないって言うじゃない。ぼくはね、穢(けが)されて、男の欲望と性の匂いがついちゃったヒナなんだよ。以来両親は僕を、家族……自分の子どもとして扱ってこなかった。せいぜい『その他一名』の同居人って感じかな」
観覧車はまた地上へ戻ろうとしている。
「ごめんね、嫌な話、聞かせちゃって」
紗櫻都は首を振った。下を向いている。
紗櫻都さん、泣いてる。
ぼくのために、泣いてくれているんだね。
「さて……お母さんが待ってるよ」
想花は言った。
「たとえ生みの親じゃなくたって、きみにとってはmamanだよね。信頼し合っている。だから一時的に問題があったとしても、ちゃんと向き合って話すことで解決の糸口は見つかると思うんだ」
大丈夫――紗月は思う。
紗櫻都さんはまだ間に合うよ。僕はもう、ダメだけどさ。
「そろそろ家に帰ろう? 紗櫻都さん」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年09月13日
参加申し込みの期限
2023年09月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年09月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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