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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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Change of Season
春が近いなと思ったのは、デコ出しのベリーショートでも寒く感じなくなったから。
海辺でも平気になったからね。いよいよ冬も店じまいかあ。
ぼんやりと思うのだが月原 想花は、ぼんやりとはしていられないのだ。水平線に視線をむけるようカメラマンに言われ、まぶしさに負けず彼方を見やる。レフ板に囲まれシャッター音の波音を聞きながら。
「いい感じだよ！ もう数カットいってみようか」
かけ声がかかった。この世界では良くても悪くても「いいよ！」とモデルをおだてて気分を高めるとか聞いたことがあるが、実際言われるのは案外まんざらでもなかった。
うまくノせられているというべきか、みんなプロだけにノせるのがうまいというべきか――。
本日朝から想花は読者モデルとして仕事しているのだ。すなわち写真撮影、もちろん被写体として。
想花は出版社と読モの正式契約を結んだ。芸名は親友の『ロロ』こと川上紗櫻都と呼び合うときのニックネームを流用して『ソフィ（Sophie）』とした。未成年ゆえ契約には両親の同意が必要で、実家に同意書を送るとき想花はいくらか危惧をいだいたものだが、娘に無関心な両親はロクに確認もせずサインしてよこしたことも付記しておく。
屋外での撮影だ。求められるまま寝子島の砂浜で、「自然な表情で」などと不自然きわまりないことを命じられる。立ったり座ったりいっそ転がってみたり、足を投げ出し膝を丸めて、なんともはや忙しい。
撮影しているのはティーン雑誌『17ans（ディセタン）』用のグラビアだ。といっても本誌ではなく公式サイト掲載用の。当初予定になかったものが緊急で組み入れられたのである。
というのも先日、『17ans』誌の公式アカウントが来月発売号のチラ見せをしたところ猛烈な反響があったためだった。そのほとんどすべては想花に集中していた。「あの子誰！？」なる問い合わせが殺到し、雑誌オフィシャルのSNSフォロワーも一気に増えたという。これをうけて編集部は掲載号発売前に想花をサイトで紹介することに決定、追加撮影略して追撮を急きょセッティングしたのである。なお次号は想花人気を見越して、数年ぶりの大増刷が決定しているという。雑誌不況と言われて久しい昨今だけに、なんとも景気のいい話ではある。
でも、想花はついつい不安になっている。
取らぬ狸のナントヤラにならなきゃいいけど――。
シーサイドタウンのストリートからカフェ、さらには砂浜。移動して撮影、撮影して移動、本日想花は寝子島のあちこちで、フォトグラファーの指示通りに被写体になっていた。笑ったほうがいいかな、と思って最初は無理矢理に笑顔を作ろうとしたが「想花さんはクールビューティだし、その媚びない感じの表情がいい」なんて言われたので無理はやめた。それで喜ばれているようだからいいだろう。
無理していないという事実は、服装にだってあてはまる。
いつも着ている普段着でと言われたので、想花は何も考えず目についたロンTと色落ちしたデニムとスニーカーでユニセックスな感じにまとめた。ロンTは例によってメタルバンドの爆走気味の柄だ。
きっとダサいと思われるよね、でもこれがぼくの普段の服装だもの。
しかし杞憂だった。ＮＧが出るかと思いきや、「いいね！」とこれまた即ＯＫが出たのだ。読モ『らしく』ないところが新鮮なのだろうか。
ひょっとして壮大なドッキリじゃないよね、と疑う気持ちもないわけではなかったが、無名（というのが想花の認識である）の自分をひっかけて得する者もなかろう。サービスしなくていいのなら、それがサービスだと思うまでだ。
たくさん撮れ高がほしいとかで撮影は長引いた。ただポーズをとってシャッター音を聞くだけでも、やってみると楽ではない。なにせ撮影枚数がとんでもない。どれだけサイトに載せる気か知らないが、やたらめったら撮られまくる。そのたび自分の筋肉に、緊張ゆえか電気信号が走るのがわかって、どんどん疲労が蓄積していく。
疲れて不機嫌な顔になろうと、「その表情最高！」などと撮影スタッフが叫ぶのだから意味がわからない。
せっかくの土曜日丸一日をつぶされて、支払われるギャラといってもハンバーガーショップのバイト時給より低いくらいなのだから割に合わないではないか。
まあこれも経験、いつか何かの役に立つかも。
と考えて自分を抑える想花である。
早く撮影終わらないかな。
気持ちがまたも顔に出ただけなのに、『ソフィ』のサイボーグのような美がまた一枚、デジタルカメラのデータに収まった。
海辺でも平気になったからね。いよいよ冬も店じまいかあ。
ぼんやりと思うのだが月原 想花は、ぼんやりとはしていられないのだ。水平線に視線をむけるようカメラマンに言われ、まぶしさに負けず彼方を見やる。レフ板に囲まれシャッター音の波音を聞きながら。
「いい感じだよ！ もう数カットいってみようか」
かけ声がかかった。この世界では良くても悪くても「いいよ！」とモデルをおだてて気分を高めるとか聞いたことがあるが、実際言われるのは案外まんざらでもなかった。
うまくノせられているというべきか、みんなプロだけにノせるのがうまいというべきか――。
本日朝から想花は読者モデルとして仕事しているのだ。すなわち写真撮影、もちろん被写体として。
想花は出版社と読モの正式契約を結んだ。芸名は親友の『ロロ』こと川上紗櫻都と呼び合うときのニックネームを流用して『ソフィ（Sophie）』とした。未成年ゆえ契約には両親の同意が必要で、実家に同意書を送るとき想花はいくらか危惧をいだいたものだが、娘に無関心な両親はロクに確認もせずサインしてよこしたことも付記しておく。
屋外での撮影だ。求められるまま寝子島の砂浜で、「自然な表情で」などと不自然きわまりないことを命じられる。立ったり座ったりいっそ転がってみたり、足を投げ出し膝を丸めて、なんともはや忙しい。
撮影しているのはティーン雑誌『17ans（ディセタン）』用のグラビアだ。といっても本誌ではなく公式サイト掲載用の。当初予定になかったものが緊急で組み入れられたのである。
というのも先日、『17ans』誌の公式アカウントが来月発売号のチラ見せをしたところ猛烈な反響があったためだった。そのほとんどすべては想花に集中していた。「あの子誰！？」なる問い合わせが殺到し、雑誌オフィシャルのSNSフォロワーも一気に増えたという。これをうけて編集部は掲載号発売前に想花をサイトで紹介することに決定、追加撮影略して追撮を急きょセッティングしたのである。なお次号は想花人気を見越して、数年ぶりの大増刷が決定しているという。雑誌不況と言われて久しい昨今だけに、なんとも景気のいい話ではある。
でも、想花はついつい不安になっている。
取らぬ狸のナントヤラにならなきゃいいけど――。
シーサイドタウンのストリートからカフェ、さらには砂浜。移動して撮影、撮影して移動、本日想花は寝子島のあちこちで、フォトグラファーの指示通りに被写体になっていた。笑ったほうがいいかな、と思って最初は無理矢理に笑顔を作ろうとしたが「想花さんはクールビューティだし、その媚びない感じの表情がいい」なんて言われたので無理はやめた。それで喜ばれているようだからいいだろう。
無理していないという事実は、服装にだってあてはまる。
いつも着ている普段着でと言われたので、想花は何も考えず目についたロンTと色落ちしたデニムとスニーカーでユニセックスな感じにまとめた。ロンTは例によってメタルバンドの爆走気味の柄だ。
きっとダサいと思われるよね、でもこれがぼくの普段の服装だもの。
しかし杞憂だった。ＮＧが出るかと思いきや、「いいね！」とこれまた即ＯＫが出たのだ。読モ『らしく』ないところが新鮮なのだろうか。
ひょっとして壮大なドッキリじゃないよね、と疑う気持ちもないわけではなかったが、無名（というのが想花の認識である）の自分をひっかけて得する者もなかろう。サービスしなくていいのなら、それがサービスだと思うまでだ。
たくさん撮れ高がほしいとかで撮影は長引いた。ただポーズをとってシャッター音を聞くだけでも、やってみると楽ではない。なにせ撮影枚数がとんでもない。どれだけサイトに載せる気か知らないが、やたらめったら撮られまくる。そのたび自分の筋肉に、緊張ゆえか電気信号が走るのがわかって、どんどん疲労が蓄積していく。
疲れて不機嫌な顔になろうと、「その表情最高！」などと撮影スタッフが叫ぶのだから意味がわからない。
せっかくの土曜日丸一日をつぶされて、支払われるギャラといってもハンバーガーショップのバイト時給より低いくらいなのだから割に合わないではないか。
まあこれも経験、いつか何かの役に立つかも。
と考えて自分を抑える想花である。
早く撮影終わらないかな。
気持ちがまたも顔に出ただけなのに、『ソフィ』のサイボーグのような美がまた一枚、デジタルカメラのデータに収まった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年04月24日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年05月01日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年05月01日 11時00分
