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【星幽塔】第五階層 福音の王国と揺れる天秤
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【次なる冒険へ】
ステラ
は未だ、不機嫌顔であった。
「みんなが無事にもどってきてよかったのよ~、黒くてイヤなやつも消えちゃったし。でもでも、ステラ、むずかしいお話はわからないのよ~……」
「まーまー、ステラちゃん。ほら、ミルクだよー」
桜庭 円
がカップを差し出すと、ステラはくぴくぴとそれを飲み始めたものの、やはりどこか不満そうではあった。
戦いを終えた一行は、傷の応急手当が済み次第、街へと戻った。
粘液の名残から見つけたオーブは、既に点灯している。聖竜の座と呼ばれたあの凄惨な場所は、今では光によって浄められ、次なる階層への出入り口となった……しかし冒険者たちにはまだ、この国でやるべきことが残っている。
「……それ、ゴンちゃんじゃん!!」
声を上げたのは、
卯木 衛
。
ナイト・オブ・リブラスは、語ったのだ。それは二本の角を持ち、黒い影たちを従え現れた、ニヤニヤと嗤う奇妙な生き物であったという。
「結界の境界付近を見回っている時にな、私の前へ、あれは現れた。傍らの黒い影が、私を惑わせた……言ったのだ、見透かすように。『聖竜を、解放してやりたくはないか?』」
相も変わらず甲冑の内側を覗くことはできないが、その声にははっきりと、苦渋や後悔が滲む。
「聖竜がこの国にいつ現れたのかは、定かではない。だが私の知る限り、我が国はもうずいぶんと長い間、森へと捕らえた聖竜を……そう。食い物にしてきたのだ。聖水酒という形でな」
聖水酒は、聖竜の体液から作られる。冒険者たちの中には、そう推測した者も少なくなかったが、実態はそれ以上に過酷なものだ。
癒しの奇跡を身に宿す聖竜は、多少の傷を付けられようと即座に再生し、流れ出た血液にすら治癒能力を帯びていたという。さらに身中深くから採取される濃厚な体液には、人体にとっておよそ過剰に過ぎ、転じて、精神に影響を及ぼす毒ともなるほどに強力無比な治癒効果があることも突き止められた。
最初にそれを目の当たりにした者たち……後の法王庁へ繋がる者たちは、聖竜を政の手段として用いることを思いついた。
「……楓子はそんなものをがぶがぶと、まるで水のように飲んでいたのか……うッ」
「大丈夫……?」
おもむろに席を立ち、隅っこでゴミ箱相手にゲーゲーとやりだした
千歳飴 楓子
の背を、
遠野 まほろ
が優しく撫でさすっている。
「我慢しないで、全部吐いちゃったほうが、いいよ……?」
「うぶ。うぶぶぶ。うえっ」
「……ええと、それで。ナイトさんは、それを知ってたの?」
恵御納 夏朝
が尋ねると、兜がこくりと小さくうなずく。
「知っていた。聖竜の苦しみも。体液の採取には、尋常では無い苦痛を伴うのだろう……針を突き立てられ、爪をかきむしり、身動き取れぬままのたうつ姿を、私は幾度となく見ていた。疑念や無力を感じることはあったが、しかしだからといって、聖竜を解放してやろうなどと思うことは無かった……なぜなら。私はクルセイダー・マスターであり、天秤座のアステリズムであり、我が国の安定と調和を守り維持するという、使命があったからだ」
倫理観、あるいは嫌悪の情など、そこに差し挟まれることはない。全ては多くの民草が享受する、安寧や平穏、調和のため。
ただ、他の星座を司るアステリズムについては、必ずしもそうであるとは限らない、とリブラスは付け加える。
「ことに天秤座のアステリズムはな、常に中庸であることを求められるのだ。目の前の一事に心惑わせることなく大局を見据え、規律と自由のバランスを保つ……そのためにこそ、我々は分厚い鎧兜に身を包み、感情や個を殺すことを要求されるのだ」
そんな言葉には、
屋敷野 梢
、
ロベルト・エメリヤノフ
が顔を見合わせ、
「えっ、正体を隠してる理由って、そういうことだったんですか…………いやいやいや! それにしてはちょっと、自己主張が激しすぎません?」
「リブラスさんって、何て言うか……個性的、だよねぇ?」
「先代には、お前は天秤座のアステリズム失格だと良く言われたものだ。はっはっは! 他に候補がいなかったので、まだ私が居座っているがな!」
がしゃん、と上半身だけでポーズを決めながら、リブラスは笑って言う。
が……つまりはそれこそが、全ての発端であったのだろう。
「……そう。私は天秤座を司る者として、いささか感情的に過ぎるのだろう。あの奇怪な生き物と黒き影に誘われ……私は、揺らいでしまったのだ。聖竜を、永きに渡る苦悶の日々から解き放ってやりたいと……そこにつけ込まれた。私はしばし影に自我を奪われ、結界の内へと、彼奴らを招き入れてしまった……先代が存命であったならば、そのような支配は跳ね除けていただろうにな」
聞けば、聖なる森へ施された結界、それを生み出す祭器である天秤は、数代前のアステリズムが星の力を用いて作ったものだという。アステリズムはそれを、ある程度自由に操ることができた……本来の目的とは異なる、内外を遮断する壁、あるいは檻と成すことも。黒影たちは、そこに目を付けたのだろう。
「私が我に返った時には、影は既に聖竜を禍々しい魔物へと変貌させ。哀れなスカルドラゴンが、私の部下である多くの聖騎士たちを蹂躙し尽くした後だった」
重い十字架を背負ってしまったものだ。ぽつりと、リブラスは誰ともなく漏らした。
「……自分達を呼んだのは」
神嶋 征一郎
が腕を組み、目を細めて眉をひそめ、口を挟む。
「てめぇのケツを自分達に拭かせるため、ってわけか」
「けど、結果だけ見ると、聖竜は解放された……っちゅうことになるんかな。少しは、救ってやれたんやろか……」
服部 剛
の生来の明るさにも、今だけは少しばかり陰が差している。真実や結末は決して、誰もが望んだような、気持ちの良いものでは無かった。
それでも。リブラスは冒険者たちへ、戦士たちへ、心からの感謝の言葉を述べた。
「私の行いは、決して誇れるものではなかった。しかし諸君らは図らずも、聖竜を、永き因習から解き放ってくれたのだ。誰が何を言おうと、君たちの意思と行動を、私は気高きものだと思う。改めて、礼を言わせてくれ……ありがとう。異界の戦士たちよ」
ひとつ、論ずるべき問題があった。つまり
鴻上 彰尋
が口にしたのが、それだ。
「それで。あなたはこの真実を、国民に公表すべきだと思いますか?」
聖竜はもういない。二度と再び、聖水酒が作られることはない……リブラス法王国の民たちは、いずれ気付くのだろうか。愛する聖水酒によって、支配者への反抗心を抑圧され、富を提供し続けていたことに。
「うむ。それについては、考えあぐねている。少年、君はどう思う」
「俺は……公表しないほうが良いと思います」
何も、諸々を繕い隠してしまおうということではない。彰尋が憂慮するのは、真実が明かされることによって引き起こされる、計り知れない混乱だ。
「罪の意識を背負うべきは、真実を知っている者だけで良いはずだ」
「うん。俺も、そう思う……かな」
森の中、無味乾燥とした金属の上に広がっていた赤い染みは、未だ
来島 アカリ
を沈鬱させている。同時に彼は、同じ気持ちを他の誰かが味わうことを良しとしていなかった。
「知らないほうが幸せなことも、ある……と思うし」
と。不意に、ばたばたと慌ただしい、無数の足音が脇を通り過ぎていった。
話についていけず、ふてくされていたステラがぴょこんと顔を上げ、
「? なになに? みんなどうしたの?」
見ると、駆けていくのは他でもない、国民たちだ……それもおびただしい数の。まるでこの国の全ての住民が家を飛び出し、ただの一点へと向かって、脇目も振らず走り抜けていくかのようだ。
彼らの向かう先は、
「……法王庁だ……」
彰尋はどこか嫌な予感を覚えながら立ち上がり、仲間たちを促し、連れ立って喧噪の中心へと向かう。
法王庁の美しい建物は今や、黒山の人だかりと称するにふさわしい、暴徒めいた群衆に取り囲まれていた。
最上階、執務室の窓から顔を出し、何事か叫んでいるのは他でもない、法王だった。
「私が!! 我が法王庁が!! 今日までお前たちリブラスの民を守り、この素晴らしき平穏を提供し続けてきたのだ!! それを、それを……貴様らはっ!! 私を責めるのか? 責めるというのか? 今までどっぷりと、その幸運を享受しつづけてきたというのに……この恥さらしどもめ!! 聖水酒が無ければ、この国はどうなっていたと思うのだ!? 貴様らは同じ人間同士で競い合い、醜く争い合い、つまらぬ諍いを引き起こし、殺し合っていたに違いない……今まさに、私へそうしようとしているようにな!!」
真実はどこからか、とうに漏れていたのだ。信じ続けてきた聖水酒と聖竜についての常識が覆され、国民は戸惑いと、抑えつけられていた怒りをほのかに目覚めさせながら、その首謀者たる法王の元へと詰めかけていた。
「福音の王国だったのだ!! まさしく、我が国リブラスは!! それを、貴様らは……」
「なーにを言ってんだい!」
そしてそんな群衆の先頭には、冒険者たちの見知った顔がある。
「福音だの王国だの、そりゃ、おたくにとってのことだろう? こんな偽りの平和に感謝しろってのは、どうにも押しつけがましくはないかねぇ。疑心暗鬼になって、争い合って、傷つけ合いながら。それでもあっしらは、偶の幸せってやつを謳歌するのさぁ! それこそが、人らしい営みってやつだぁよ。そうは思わないかい?」
「そうだ……そうだ!」
「私たちは、知らない間に搾取されていただけだ。家畜も同然だ!」
「聖竜の仇を取れ……法王を引きずり下ろせッ!!」
見間違いようもない。群衆を煽っているのは、
骨削 瓢
だった。当然のこと、集う人々へ真実を明かしたのは彼だろう。
「あいつ……」
満身創痍、
御剣 刀
が円の肩を借りつつ、顔をしかめたのは、何も身体中の傷によるものばかりではあるまい。
「相変わらず、やってくれるぜ。これ、どうやって収拾つけるんだ?」
「……いや。この結末も、そう悪くはあるまい」
「ん? どゆこと、リブラちゃん?」
きょとんとした円に、聖騎士は深く吐息を吐きながら、どこか安堵したように言った。
「法王猊……法王はもはや、失脚するだろう。リブラスの民は再び、ようやくにして、自らの足で歩き始めることができる……ま、国民性はいささか、荒っぽくなるやも知れんがな」
森にはまだ、飛散した粘液の影響が色濃く残されている。しかし、巨樹たちをここまで育て上げた、森の生命力は強い。時を経て、やがて元の姿を取り戻すだろう。
かつて聖竜の座と呼ばれた、真円の金属版の上に、突拍子もない扉がぽっかりと口を開き、冒険者たちを出迎えた。上部には取り戻したオーブが火を灯し、扉の向こうには、果てしない長さの階段が見える。
「さー、次の階層にれっつごーなのよー!」
ふよふよと浮かんだまま、元気に腕を振り上げたステラは、意気揚々と声を上げる。そう……扉をくぐり、新たなる階層へと足を踏み出す時だ。
法王が失脚してから、法王国には多くの波乱があった。これまでの反動か、国民は血気盛んなほど活力にあふれ、さっそくそこかしこでちょっとした諍いが発生したりもしているものの、自らの力で国の改革に乗り出そうという気概ある者たちもまた、少なくない。その中には、本人は面白半分ながらも真っ先に法王庁をこき下ろした瓢を、革命運動の旗印に担ぎ上げようなどと言い出す者もあり、この国は一体どうなっていくのだろうか……と、仲間たちは互いに顔を見合わせたりした。
聖水酒が無くなったことの衝撃は、大きかった。元より依存性があったようで、聖竜に苦痛を強いてきたことへの罪悪感はありつつも、聖水酒を求める者は絶えない……そんな中で、
御巫 時子
が考え出した代替案は、国民の中に密やかなブームを生み出しつつあった。
「お酒が駄目なら、木の実のジュースを作ってはいかがでしょうか……?」
時子は、聖なる森にちらほらと成っている熟した実を絞り、甘いジュースを作っては、と提案したのだ。試しに試作品をこしらえてみると、これがなかなかに美味であり、聖水酒醸造所の跡地となったあの建物では現在、量産体制を整えようと有志のスタッフが頑張っているところである。
そんなちょっとした騒ぎが一段落し、冒険者たちの傷も癒えてきた頃。彼らは満を持して、ようやく、次なる舞台へと出発することとなった。
「それじゃ、この骨はもらっていこう」
八神 修
は、聖竜の骨格の一部を持ち帰ることにした。素晴らしい武具の素材として活用するためだ。
「このまま朽ちさせるのは忍びないからな。聖竜の魂を、少しでも俺たちで受け継ぎたいんだ」
「うむ!! 諸君がそう信じるのなら、好きにすると良いだろう。聖竜も感謝こそすれ、恨みはすまい」
一部といっても、巨体を構成していたなかなかに大きな代物であり、腕のある鍛冶師に頼めば、良品がいくつも出来上がるだろう。
「あ……そうだ。ナイトさんに、聞きたいことがあったんだ……」
恵御納 夏朝
が取り出したのは、一枚のコイン。
「これ、何か分かるかな……?」
「む? ほほう、これは!!」
それは先に訪れた、
第四階層
の町中で夏朝が拾ったものだ。美しい女性の横顔と、十二星座が描かれたコインからは、自ずと星幽塔そのものとの関連を想像せずにはいられない。
リブラスはひとしきりじっくりとそれを眺めた後に、
「いや、すまぬ! 私も詳しいことは知らぬのだ。ただ、時折塔の中で、このようなコインが見つかるのだと聞いたことがある。見つけると、何か良いことがある……ともな。幸運なことだな少女よ、ハッハッハ! 大切に持っていると良いだろう!」
「そうなんだ……ありがとう、そうするね」
きゅ、と夏朝はコインを握り締めた。ひんやりとした感触に、この先待っているのだろうさらなる冒険へ思いを馳せ、心は弾んだ。
「では、諸君ッ!! 実に、世話になったな!!」
ナイト・オブ・リブラスと聖騎士団は、瓢が法王庁にのみ言及したため、リブラス本人が責めを負うことは無かった。聖騎士たちはこれからも、国の守りの要として、平穏と希望の担い手として、正しき役割を果たすだろう……今こそ真に、国民のため。
「我が胸より溢れ出さんばかりの感謝と敬意を込め、私は諸君らの旅立ちを、聖なる騎士のポーズをもって見送ろう!!」
「おおっ、俺も俺も!」
がしゃん、がきん!! 聖騎士団長、それに
握 利平
を始めとする幾人かの冒険者たちが、渾身のボディビル的アブドミナル&サイをキメ、友情を確かめ合う。
「少年よ、少女よ!! 諸君らの道行きに、幸多くあらんことを願って!!」
「この国が、これからもっと良い国になってくのを祈って!!」
願いは勇気となって、彼らの行く先を、確かな光で照らしてくれることだろう。
「「「ンンンンン、マァァァアアアーーーーーーッスルッ!!」」」
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。星幽塔第五階層、『福音の王国と揺れる天秤』のリアクションをお届けいたします~。
星幽塔! 盛り上がってますねっ。今回執筆にあたって、星のサーカス団マスター陣のステキリアクションをひととおり読ませていただきましたけれど、寝子島とはまた違った世界での皆さんの大冒険、大活躍に、わくわくしっぱなしです。関連イラストもたっぷりたくさんで、ほくほくですね~。
実は墨谷もずっとやりたい、やらせていただきたい! と思っていたのですけれど、大型シナリオの執筆などもあり、なかなかガイドの制作ができませんで……今回ようやく関わることができて、とても嬉しいです。もー、楽しんで書かせていただきました!
お話はちょっぴりダークでハードめで、がっつり戦闘シーンなども盛り込んで、そしてゲームっぽく敵のワザの名前とか考えたりしてみましたけれど、いかがだったでしょうか? 楽しんでいただけましたら幸いです。
星幽塔にはまだまだ携わらせていただきたいので、今後もサブクエスト的なシナリオを出したいな~と思っていたりします。
内容はまだヒミツですけれど、お楽しみにー!
それでは、今回もご参加をいただきまして、ありがとうございました!
またの機会にお目にかかれますことを、心よりお待ちしております~。
お疲れさまでしたっ!
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2016年09月25日
参加申し込みの期限
2016年10月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年10月02日 11時00分
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