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黄昏への訪問者たち
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白い天幕の下に並ぶ筵の上には、怪我を負うた妖たちが所せましと横たわっている。
此方では
木鈴 寧々子
が割烹着姿の女妖達に「姉さん、姉さん」と呼ばれながら、気が立って暴れる妖を次々に蹴飛ばし筵に転がし、乱暴なその癖手早く傷を消毒し包帯を巻いている。
彼方ではやたらと色っぽい絡新婦の女医がどこからか出した針と糸で患者の傷口を縫い合わせ、終いには千切れた手足さえ不可思議な力で瞬く間につなぎ合わせている。
荒々しい拳闘場よりもある意味賑やかな救護所の入り口に立ち尽くして、
御剣 刀
はちらりと首を傾げる。
「刀」
「ん?」
入るか入るまいか迷っているうちに幼い声で名を呼ばれ、服の裾を引かれ、刀は振り返る。立っていたのは、大きめの割烹着を腕まくりした巫女姿の少女。
「カンナか」
「こんにちは、刀」
うん、と刀は柔らかく微笑む。
「こんにちは。手伝いか、頑張ってるんだな」
少年に頭を撫でられ、神木の巫女と呼ばれる幼い少女は面映ゆそうに首をすくめた。刀の手を取り、天幕の端の筵に座らせる。背に救急箱を乗せて運ぶ猫又を呼び寄せ、真剣な面持ちで刀と向き合い、刀の頬の傷を示す。
「手当て、するよ」
「じゃあ頼むよ」
軽い気持ちて頷いた途端、沁みる消毒液をこれでもかと塗りたくられた。
「いてーっ!?」
「男の子でしょう」
「男の子でも痛いものは痛いんだよ」
女妖達の口調を真似るカンナに、刀は涙目で正座し直す。
「優しくしてください」
難しい顔した少女に治療施された頬を抑え、刀は助かったよと一息吐いて笑う。
「カンナ、俺これから飯食いに行くけど一緒に行くか?」
「ごはん?」
「ふふん、拳闘場で儲けたから奢ってやるよ、使い切らないと勿体ない」
得意げな刀をきらきら輝く尊敬の眼差しで見上げてから、カンナは救護所や外の草原を見渡した。ばたばたしているのは相変わらずではあるけれど、拳闘場はもうほとんど終わり掛け、花が舞い散った模擬戦場も片付けに入っている。大狸楽団は一足早くお疲れさまの酒宴を始めている様子。
祭りは徐々に終息を迎えつつある。
「行く」
「あっ、私も! 私もー!」
ろくろ首の制止を振り切り、もう充分に働いた寧々子が駆けて来る。これ幸いと仕事放棄した女妖達も連れて、刀と寧々子とカンナは救護所隣の食事処に繰り出した。
「賑わってんなァ、おい」
「すみませんが、これで賄える分だけのお食事を頂けますか」
「俺の分も使ってくれ」
木っ端天狗を子分のように従えた
伊織 紘之助
が食事処の席にどかりと腰を据える。
齋藤 智照
と
志波 高久
が拳闘場で手に入れた金一封をあるだけ差し出し、店の小僧の目を白黒させる。
「そう言えば、この世界の物を口にしても大丈夫なのでしょうかねぇ?」
「前にこちらの世界の屋台で飲んだビールは美味かったな」
「カカカ、小せェこたァ気にすんなィ」
小天狗の酌を受け、伊織翁が豪快に笑った。遠慮がちに隣に座る
天動 記士郎
に、ほれ、と酒の盃を押し付ける。勢いで同じように盃を渡されそうになった
猫島 寝太郎
が慌てて首を横に振る。
「天動さんに猫島?」
来てたんだな、と声掛けてきた刀も、連れ立ってきた寧々子やカンナや女妖達も、伊織翁はみんなまとめて酒盛りの場に引きずり込む。
「賑やかないい夢だな、オイ」
「とりあえず肉下さい肉、カンナは何にする? あっ、追加でこれとこれも下さい」
注文を取りに来た店の小僧にまたもやありったけのこの世界の金を渡し、刀は景気よく蛋白質の摂取に励む。激しく動いたからには、しっかり食べて体力回復を図ることは鍛錬の基本中の基本。
「そう言えば、あの大木とか鬼とかの様子はどうだ?」
隣にちょこんと座り、賑わいを物珍しそうに眺めるカンナに、刀はそっと問う。
「困ってないか? 何かあれば言えよ、力になるから」
「ありがとう。困ってはいないけど、でも、……」
カンナは瞳を細める。泣き笑いにも見える表情をする。
「次にヒトバシラを送る時はこんな風に賑やかなのがいいな」
「カンナちゃん!」
救護所への差し入れを受け取りに来ていた
宮祀 智瑜
が薬缶入りのお茶と竹の皮に包まれた焼き鳥を両手に、花咲くように笑う。
「お疲れさま、カンナちゃん」
「お疲れさま、智瑜」
子供らしい軽やかな声で笑うカンナに、智瑜はこの祭りの意味を問う。他にどんな祭りがあるのかを問う。
「昔はほんとに戦争だったよ。セカイを保つ神木たちを護るためには戦争してちゃだめだって。今は東西交流のお祭り」
お祭り楽しいね、と神木の巫女は屈託なく笑う。
「他の祭りは、死者と交わるお祭りと鬼と交わるお祭りと、あとは百年に一回のお祭り、かなあ」
「今日は日暮さんとカンナちゃんはお仕事?」
「日暮はお仕事。カンナは遊び。みんなと遊ぶの、楽しいねえ」
智瑜はカンナの手を両手でぎゅっと握る。
「また会いに来ますね!」
誓ってから、元の仕事を思い出した。薬缶と焼き鳥の包みを抱え、智瑜は慌てて救護所に戻る。
「っ、日暮さん!」
戻る道の途、白鶴の翼持つ
音羽 紫鶴
が抱える
後木 真央
を受け取ろうとする日暮を見つけ、智瑜は声を上げる。近くに居た救護所の女妖に差し入れの品を手渡し、蒼白い顔した真央を筵に寝かせる日暮を手伝う。
「大変……」
しっかり、と呼びかける智瑜の傍ら、絡新婦が焼き鳥の串齧りながらひょいと座る。日暮が差し出した真央の切断された片腕を受け取るや否や、無言のまま日暮の頭をはたき、無言のまま真央の腕を元通りに縫い付ける。
蒼白い瞼を開き、真央はあっけらかんと笑った。
「メリークリスマス、グレちゃん」
カンナちゃんとどうぞなのだ、と懐から取り出して自作クッキーを差し出す真央の額にもコツリと軽い拳骨をくれて、絡新婦は焼き鳥片手に次の患者の元へと去った。
「あっ、日暮さんは怪我はっ」
「おおきに、なんもないよ」
あちこちからわあわあと際限なく降り注ぐ騒がしい声に、
朝鳥 さゆる
はうっすらと瞼を押し開く。開こうとした瞼さえ酷く痛んで、顔をしかめる。
筵に横たえれた体のどこもかしこもが手ひどく痛んだ。
鏡を見るまでもなく酷い状態であるのを感じながら、さゆるは腹の底から込み上げる笑いを誰に知られることなくくすり、零す。
何故だか分からないまま、痛む体が、闘いの余韻残して滾る血が、とても心地よかった。
こんな感覚が束の間のものにすぎぬと理解しながら、さゆるは己自身に笑うことを赦して呟く。
「……よくわからないけど……何だか愉快だわ……」
傷ついた身体と心を横たえるさゆるから少し離れた通路を、
桜庭 円
は大量の包帯を抱えて駆ける。こっちだよ、と手を上げる絡新婦に包帯の束を渡し、
「仮面のお兄さんの事でちょっと気になる事があるんだ」
治療を終えた絡新婦が一息吐こうと近くの長椅子に掛けるのを見計らって声を掛ける。
「ああ、ヒトバシラかい」
通りがかりの女妖が入れてくれたお茶を口にしながら、絡新婦は事もなげに恐ろしげな響きの言葉を口にする。
(ヒトバシラ?)
「そう、いつも入り口にいて案内してくれる人」
「あの子もお勤めご苦労だよねえ」
(生贄?)
絡新婦に話しかけながら、足元にまとわりつくにゃーくんを肩に抱き上げながら、円は心の内に考え込む。自分の世界では怖い意味を持つ言葉ではあるけれど、この世界の意味がそうとは限らない。
(ただ、……)
日暮が時折口にする言葉を思う。お勤めなのだと、鳥居の前に居る翁面の男は言っていた。ヒトバシラの言葉は、彼の仕事と何かしらの関係があるのだろうか。
「お勤めって、この街の為に働いてるんだよね?」
「この街と言うか、あの子は神木の巫女のものだからね。……因果なもんさ。生前は人柱として恋人共々橋の彼方此方に離れ離れ、魂魄になってからも恋人は先に神木へ送られてセカイになっちまってさ」
絡新婦の溜息まじりの言葉に、円は唇を噛む。日暮が会いたいと言っていた人は、セカイになったと言っていた人は、きっとその人のことだ。
「セカイって?」
「セカイは世界だよ」
絡新婦は地面を指し示す。
さあもうあっちにお行き、と絡新婦に背を押され、円は真央や智瑜と居る日暮のもとへと向かう。
「お兄さん」
「うん?」
翁面を頭上に押し上げ、もらいもののクッキーを齧る日暮に、円は問う。
「この前、それに、の後、なんて言おうとしたの?」
「それに、……」
日暮は淡々とした表情のまま、茜色の草原を見晴るかす。
「……もうすぐ会えるさかいになあ」
賑やかに、ただただ賑やかに明るく、黄昏空の下に祭りが繰り広げられている。
「あ」
妖と人とが混ざり合って笑いあう黄昏の草原の中、寝太郎はふと思い出した。腑に落ちた表情でぽんと手を打つ。
何なにどうしたの?、と膝でにじり寄って距離を詰めて来る色っぽい女妖のはだけた胸元から視線逸らし、寝太郎は酒宴の場にフラリとやってきて酒を含みつつもらいもののクッキーをカンナに差し出す翁面の男を見遣る。
この時間にぴったりの、その言葉を、やっと思い出した。
(『逢う魔が時』だ)
逢う魔が時の入り口に立ち、その最中に案内することを主な仕事とする能面の男は、
(だから日暮れって名乗ってるのかなぁ?)
酔った女妖に絡まれながら、寝太郎は漸く思い出した言葉の意味を考えて、微かに首を傾げる。どんな意味だっただろう。ちょっと怖い感じだった気がする。
(今度、図書館で調べてみよう)
宴が終われば、祭りはお終い。誰も彼もが例外なく元の場所へと帰り行く。逢魔が時などほんの片時。日は暮れて夜となる。
(でも、それでも――)
楽しい時間ができるだけ長く続きますようにと、寝太郎は鮮やかに赤い空を仰いで願った。
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
黄昏空の下のお祭りのお話、お届けにあがりました。
少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。
がっつりぶつかりあう熱いアクションも、ふんわりとした優しくて楽しいアクションも、なんだか切ないようなアクションも、どのアクションも、とても楽しく書かせていただきました。
物の怪とか妖怪とか、怖いですが大好きなのです。
人と人の、感情や身体のぶつかりあいも。
今回、そのあたりをたくさん書かせて頂けまして、本当に楽しかったです。
ご参加いただきまして、読んでくださいまして、ありがとうございました。
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
それから、ごめんなさい、今回も個別コメントはありません。
リアクションでできるだけみなさまの思いにお答えできておりましたらいいのですが……。
少しでも、本当に少しでも、物語がお心にそえておりましたらと願うばかりです。
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年12月29日
参加申し込みの期限
2016年01月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年01月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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