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黄昏への訪問者たち
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痩せた老人の身が翻ると見えた次の瞬間、大天狗の巨躯が宙に舞う。翼を羽ばたかせる間もなく地に落ちた大天狗は、老人に軽く手首を掴まれたと見えた途端、身動ぎもできなくなった。権高にも見える鼻高く大きな目を顰め、痛そうに呻く。
親分の危機と見て、観客席から木っ端天狗たちがわらわらと飛び立つ。
「おうおう、こりゃァ」
群れて飛びかかって来ようとする小天狗たちを眼光鋭く見遣り、伊織翁は大天狗の手を離す。
「てめえら、受けて立つぜ!」
「やめい!」
喜々として乱闘を受けようとする伊織翁を押しとどめ、手首抑えた大天狗が大音声を響かせる。咄嗟に地面に整列する小天狗達を短く叱りつけ、大天狗は小天狗共々伊織翁に無作法を詫びた。
肩を並べて退場する胴元の大天狗と伊織翁の前、
「戦わせてくれないか」
静かな闘気を纏って、人間の男が一人立つ。
闘いの熱が残る場を鳶色の瞳で見遣り、
志波 高久
は莞爾と笑う。
「こういうものは見ていて血が騒ぐ」
誰でもいいのか、と大天狗に問われ、高久は恐ろしげな姿持つ物の怪たちに溢れる周囲を見回す。もう一度、笑う。
「ナニカも誰かもかかってこい」
人間の男の静かな挑発に、大天狗は申し分なさそうに背の翼を羽ばたかせる。風が巻き起こり、静かに滾る高久の頬を撫でる。
大天狗が高久の相手を見繕うとしたその矢先、
「あのー」
穏やかな声と共、申し訳ないような挙手があった。
「ちょこっと参加させていただいてもいいですかね……」
大天狗と高久に始まり、伊織翁や大天狗に侍る小天狗たちの視線を集めて、記士郎は手と共に持ち上げた視線をほんの僅か伏せる。下した掌を拳に変えて、顔をもたげる。胴元である大天狗を真っ直ぐに見上げる。
己の拳の威力がまだ通じるのか、確かめたかった。
そのためには、
(できるだけ強そうな相手と戦りたい)
心に灯る闘志を確かめようとするかの如く、大天狗が覗き込んでくる。
ぎょろりと大きい金色の瞳を真っ向から見つめ返せば、大天狗は愉快そうに高笑いした。
「そこな坊主とやるが良い」
大天狗が示す指の先へと視線を移す。如何にも鍛え上げているのが纏った衣服の上からも分かる体躯の高久と眼が合い、記士郎はいつものように温和な笑み浮かべようとして失敗した。瞳に挑むような色を滲ませたまま、見据えてしまった。
「行け。存分に戦え」
大天狗に焚きつけられ、二人は妖たちの作る輪の央に立つ。
人間対人間の闘いに、観客が沸く。
大勢の観客に囲まれ、その熱気を、方々から投げつけられる遠慮のない喚声を全身に受け、記士郎は息を吐きだす。限界まで高まる緊張に強張る肩を軽く揉んで、上着を脱ぐ。
「よろしくな」
高久が勝気な笑みを浮かべる。妖たちの野次など気にも留めぬ真っ直ぐで強い笑みに、記士郎は嫉妬に近い感情を抱いた。
高久を殴るための拳を固める。身をかがめ、ファイティングポーズをとる。
(大丈夫、戦れる)
防御寄りの体勢を取る記士郎を見据えながら、高久はほんの僅か目を瞠る。盾のように構えた両腕の隙間から覗く、先ほどまではどこかおっとりとして見えていた同い年ほどの男の眸が一変している。
輪の上の空を飛ぶ小天狗が開始合図の法螺貝を吹き鳴らす。
低く腰を落とすなり、高久は地を蹴る。まっすぐに突っ込む。固く構えた拳の盾さえ撥ね退けその胸倉を掴もうと腕を伸ばす。
低い位置からの突進は、けれど紙一重の最短距離で以って躱された。避けられたと知覚するや否や、靴底に草地を抉る勢いでその場に踏みとどまる。体勢を崩しながら記士郎の頬に拳を放てば、避けることを放棄した惑いのない拳が胴に叩き込まれた。
互いに手応えが浅いことを感じながら、二人は同時に距離を取る。
「……ッ、」
詰めていた息に血の味が混ざって、記士郎は微かに苦く笑う。拳を喰らえば息が詰まる。目眩もする。そのことを今更ながら思い出した。
口の中の血を吐き出す。
勝負にならないうちに終わるかもしれない。そう思った。
それでも、止められなかった。
次の息一つ分も碌につかせず、高久が空けた距離を一気に詰める。両の腕を前に構え次の拳を防御しようとして、盾とした腕をこじ開けるほどの強烈な頭突きを額に打ち込まれた。
「ッらアァ!」
高久が吼える。記士郎が構えた盾をぶち抜き、その勢いのまま拳を振るう。内臓まで腹を打ち抜くべく打った拳は、けれど記士郎の鍛え上げた腹筋に阻まれた。お返しとばかり変わらぬ位置に記士郎の重い拳が入る。
乱打戦となる。
頬や腹や腕に元プロボクサーの拳を食らいながら、体中に痛みの熱を覚えながら、高久は堪え切れない笑みを血の味のする唇に弾き出す。
(あぁ、そうだ)
体中の血が滾るこの感覚を、よく知っていた。
(……やはり体が覚えているのか)
現役競輪選手の、粗雑でありながらもいちいち鋭く速い拳を幾度となく頬に受けて、記士郎はそれでも一歩も引かずに拳を放ち続ける。
ぼんやりと、思う。
(昔もそうだったな)
思い出す。
(……なかなか、自分のパンチが当たらなくなっていって)
思い出すそのままに、拳が空を切り始める。相手の拳ばかり受け始める。
(なんでかな……)
薄れて行く視界と共、拳が解けそうになる。
一発でいいから入れたかった。
(いや、入れる!)
高久の顔さえ捉えていなかったことを思い出す。相手に押されて後ろに崩れそうになっていた足を堪える。爪先に地を掴み、体を起こす。渾身の力で踏み込む。
「う、あぁあ!」
己の拳を多く受け、今にも倒れそうになっていた記士郎が不意に放った烈しいその一撃に、
「ッ?!」
高久は息を呑む。咄嗟に放ったのは、今の今まで意識して避けてきた蹴り。
拳に心を籠めるあまり防御を捨てた元ボクサーの胴に、不安定な体勢からとは言え、競輪選手の鋼の塊じみた脚の攻撃が炸裂する。重い音たてて、記士郎の体が吹っ飛んだ。
「……あ」
最終手段として強敵以外には封印しようとしていた蹴りを一戦目にして早くも使ってしまい、高久は唇を引き結ぶ。
鳴り響く法螺貝の音と同時、
「うわっ、天動さん大丈夫ですか?」
気絶したらしい記士郎の元、救護所から出張してきたらしい割烹着姿の女妖と
猫島 寝太郎
が駆け寄った。
寝太郎に抱えあげられて輪の外へと出る強敵だった対戦相手を見送り、高久は昂りすぎそうになる心を静かに抑えて深呼吸する。
ひらひらと舞い降りてきた一反木綿に連戦するかと問われて、ここまで来れば答えはひとつしかない高久は観客席へ視線を巡らせた。
「どうだ、一戦俺と」
己と同じに血を滾らせた誰かかナニカを誘い出そうと声掛けて、墨染の僧衣で佇む壮年の男を見つけた。血の滲む唇を手の甲で拭い、笑む。
「またお会いしましたねぇ」
眼鏡の奥に隠した鋭い瞳を柔和に笑ませる僧侶の元、高久は大股に歩み寄る。彼とは以前もこの黄昏空の下に行き会った。
「奇遇、というより奇縁と言うべきでしょうかねぇ」
数珠掛けた両手を合わせて一礼する僧衣の男を真っ直ぐに見つめ、高久は対戦を申し込む。以前、彼と共に迫る異形を相手に大立ち回りを演じた。かなりの実力者だと思っていた。
「こんな坊主をつかまえて」
何度か相見まえたことのある青年から真摯に手合わせを願われ、
齋藤 智照
は困ったように、どこまでも柔らかく微笑む。
「酔狂な方ですねぇ」
「……どうだろうか?」
とはいえ、と智照は剃髪の頭をつるりと撫でる。
(ご指名とあらば)
辞退するのも無粋だろう。
顔見知りの青年に誘われるまま輪の央に立ち、待ち構えていた一反木綿に飛び入り参加の有無を尋ねようとして、答える間もない開始の法螺貝を聞いた。
「おやおや」
「そういえば何度か会っても名乗っていなかったな」
志波高久、と律儀に名乗る青年に、智照は合掌して一礼を返す。
「手合わせ願おう」
「年寄の冷や水になりかねませんので、お手柔らかにお願いしますねぇ」
そうしてから、少しばかりヤンチャだった昔を思い出した。悪童じみた笑みを高久に見せる。
本当は食事処でのんびりと観戦しようと思っていたのだが、拳闘場の賑わいにつられてしまったのか運の尽きと言うべきか。それとも、
(僥倖とするべきでしょうかねぇ)
「勝った方が食事を奢る、というのは如何でしょう」
青年と言葉を交わしつつ、頭に巡らせるのは彼が先日犬の形した『鬼』に見せた動きと、つい先程目の当たりにした動き。拳での打撃も手強そうだが、
(足技には要注意、とですねぇ)
「……悪くない」
曲者を思わせる和尚の笑みに、高久も勝気に笑んで応じる。
「素直に負ける気もないが」
「ご尤もです」
真っ直ぐに和尚を見据えてからの突進は敢え無く躱された。黒衣を軽やかに翻し、和尚は仕掛けもせずに間合いを取る。
「それは先ほど拝見しました」
「だよな」
最初の一撃を呆気なく避けられて、けれど高久は笑みを消さない。体勢を整えつつ同じく距離を取り、智照の構えを確認する。先の相手は見るからに打撃を主としていた。腰を低く落とし巌の如く構えながらも、こちらの攻撃をたなびく布のように軽やかに避けて見せる、
(相当に厄介な相手だよな)
柔らかな物腰のその癖、内の内に金剛の芯を抱く食わせ者な和尚へと、高久は爪先でじりじりと距離を詰める。手合わせを願ったのは此方側、
(仕掛けずどうする!)
和尚の腕の動きを注視し、素早く背後に回り込む。地へ叩きつけるために腕を取ったはずが、するり、その腕は蛇のように手の中から抜けた。和尚の反対側の腕が恐ろしい勢いにしなり、鋭い突きが高久の胴に、
「そう簡単にも行きませんよねぇ」
入ったと思われた拳を高久の腕に防がれ、智照は楽し気に笑む。
二人は再度向き合う。
「おぉ!」
短い気合の声と共、高久が真っ直ぐな拳を放つ。和尚が避けることは計算ずくで、体勢崩して見えた隙を狙い足払いを掛ける。
「……若い頃の泥臭い喧嘩を思い出しますねぇ」
けれど蹴り崩すはずだった和尚の足はそこになく、逆に地を這うように低い位置から軸足を掴まれた。踏み止まろうとして、出来なかった。思っていたよりも酷く、足が連戦に疲労していた。
誰かの血が散る草地の上、高久は姿勢崩して倒れ込む。立ち上がる余裕も身構える暇も一切与えず、智照はその鼻先に容赦のない追い打ちの鉄拳を叩き込む――
「ああ、勿論寸止めですよ~?」
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年12月29日
参加申し込みの期限
2016年01月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年01月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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