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黄昏への訪問者たち
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おかっぱに切り揃えた黒髪を夕暮れの風がくしゃくしゃに撫でて過ぎる。
「あれ?」
優しく垂れた黒い瞳をまん丸く瞠り、
岡野 丸美
はふんわりとした頬をきゅっとすぼめる。ちょっぴり難しい顔でぐるりを見回す。ついさっきまで、今日の朝ごはんは何かなあと考えながら桜花寮の廊下を歩いていたはずなのに、
「ここどこ?」
瞬きひとつのうちに、知らない場所に立っている。
見仰ぐ空はいつまでも沈み切らない夕日の色。
(前に来たことあったよね……?)
見渡す夕陽の草原には血気逸る人ならざる者たち。
「タイマン!」
「ステゴロ!」
「サイキョー!」
「わぁ、何、」
傍らに集う物の怪たちが突然揃って大声をあげた。耳を圧倒する喚声にぎくり身を震わせ、丸美はぐるりを見回す。
「なにこれ?!」
前に来たときも、不思議で怖くもあったけれど、今のような大騒ぎも大騒ぎにはなっていなかった。
身を縮こまらせ、視線だけを巡らせる。いちばん近い物の怪たちの集まりは、どうやら相撲のようなものらしい。ステゴロだのタイマンだのの掛け声は、花火のときの玉屋鍵屋の掛け声のようなものだろうか。
少し離れたところでは、陣形組んだ妖怪達が別の陣形組んだ妖怪達に突っ込んでいる。あっちはラグビーやサッカーのようなものか。大分殺気立ってはいるけれど、
(けんかじゃないんだねー)
近づきすぎなければ痛いことにはならないみたい、と見定めて、丸美は一安心する。迷わせた視線の先には、自分と同じくらいの年頃の、見たところフツウの女の子だって立っている。
「……ふっふ」
丸美と同じようにぐるりを見回したかと思うと、その女の子は眼鏡を押し上げながら楽しそうな笑みを零した。
「やあ、妖さん達がたくさんいらっしゃいますねー」
腰に片手を当て、もう片手を手庇にして、女の子はもう一度周囲を見渡し、
「おや、今日はー。今晩は、でしょうかねぇ」
立ち尽くしたままの丸美と目が合うなり、ふわり、微笑んだ。
「こんばんはっ、……ここ、来たことあるの?」
同じ世界から迷い込んだ様子の丸美に頷き返しながら、
薄野 五月
は大騒動な黄昏の草原を見晴るかす。やはりここは以前迷い込んだことのある夕焼け小焼けの不思議な町。
「少し久しぶりな気がしますー」
賑やかで、ちょっと荒っぽい雰囲気も見えるけれど、
「今日はお祭りですかねぇ」
「なのかなぁ」
大いに沸き立つ周囲の喧騒にもだんだん慣れて、ふたりは折角だから少し回ってみようと歩き出す。相撲は少し怖そうだし、救護所で働く妖怪たちの邪魔になってもいけない。食事処では酔ったおじさん妖怪たちがわあわあ騒いでいる。
「うひゃー……」
「ええですね、お祭り」
「すごいねえ」
「不肖
薄野 五月
、お祭りと聞きますと、血沸き肉躍るーですー」
ふっふ、と独特な間で五月は楽しい笑みをもらす。
「うん。お祭りならば、ご迷惑にならない程度にのんびりまったり楽しみましょー」
「あ、私、
岡野 丸美
だよ」
「はい。では、岡野さん。良ければ一緒に見て回りましょー」
「うん、薄野ちゃん」
きょろきょろと飽きず見て回る少女たちの足を揃って止めさせたのは、喧騒にも負けず黄昏空に高らかに鳴り響く太鼓の音。
「わぁ」
「おお」
空気にもお腹にもびんびん響く太鼓の音の元を探して、丸美と五月は草原の一角に広げられた緋毛氈の上、周囲の騒乱にも負けず、むしろ煽り立てるような賑々しい音楽を鳴らしたてる物の怪の楽団を見つけた。
「あ、演奏会をやってらっしゃるんですね」
「わぁ、すごい~」
「ちょっとお邪魔してみましょうかー」
音楽につられてふらふらと近づけば、腹鼓叩いて演奏をしていた子狸たちが大はしゃきで少女ふたりに駆け寄ってきた。ふたりを囲み、歓迎の腹鼓演奏を始めるふわふわもこもこの子狸たちに、丸美は目をまん丸くする。両手を握りしめ、今にも子狸たちに抱き着きそうなくらい目を輝かせる。
「かわいいよぉ。親分さんもカッコかわいい!」
大興奮な丸美の視線を追って、五月はこちらを見下ろす身の丈三メートルもあろうかという大狸親分と眼が合った。蕎麦屋の接客で培った丁寧なお辞儀をする五月に、大狸親分は巨大な腹鼓を一打ちして返事をする。
親分の一鼓に合わせ、マンドラゴラが地面からよいしょと顔を出す。超音波とも聞き紛う高音で歌い始める。絢爛豪華な衣装纏った女が何本もの金色狐尻尾を自慢げに揺らして琴を掻き鳴らす。
不思議な取り合わせの音楽隊を前に、丸美は興味津々、小狸の太鼓隊を引き連れたまま、歌うマンドラゴラに目を瞠る。
(変な根っこのお化け! すごい音!)
耳をつんざくかと思われた超高音も、慣れてしまえばその声の抑揚がなんとも心を和ませる。恐ろしげな人の顔に見えた根っこも、やっぱり慣れてしまえば隠れた不器用なはにかみさえも見て取れて、
(かわいい~!)
ぎゅっと心を締め付けられる気持ちさえして、丸美は思わずふくふくの自分の頬を両手で抑える。
できればこの楽団に混ざりたかった。けれど楽器は何にもできない。しょんぼり肩を落としてから、
「あ」
ふと思いついて、丸美はぱちん、手を合わせる。くるりとした目を揃って丸美に向け、揃って小首を傾げる小狸たちの腹鼓に合わせ、丸美はもう一度、今度は腹鼓の拍子に合わせて手を叩く。これなら出来る。
(邪魔しないから。ちゃんとがんばって合わせるし、いいよね?)
手を打ち合わせながらもちょっと不安な視線を子狸たちに向けて、見たのは小狸たちの弾けるような嬉しそうな笑い顔。周りで跳ね回る小狸たちにつられて、丸美も思わずその場で跳ねる。小狸たちに混じり、楽団の中に入り込む。手拍子を打てば子狸が答え、大狸親分が答え、マンドラゴラが歌い、狐が琴を弾く。
繋がる音楽が嬉しくて楽しくて、丸美は顔中で笑う。大狸親分が飛び入りを歓迎して空中に花や葉っぱを不思議の術で呼びだせば、丸美は頭に葉っぱを乗せる。そうして手を三回叩けば、木の葉は色鮮やかな薄紙になる。親分が散らした葉っぱを拾ってはろっこんで次々に紙に変え、丸美はそれを紙吹雪にして撒き散らす。
「おおー」
大狸楽団の演奏に耳を傾ける物の怪たちの列の後ろにそっと移動して、皆と同じように緋毛氈に腰を下していた五月は思わず拍手する。観客たちの間に沸き起こった拍手はいつの間にか手拍子になり、演奏がひとつ終わって上気した頬で頭を下げる丸美に向ける惜しみない拍手となる。
「音楽というのはいいですねぇ」
拍手をしながら隣の妖に話しかけ、
「さあさあ、ここ空いてますよー」
演奏に惹かれてやってきた人のかたちにない者たちを屈託なく手招きする。
「一緒に聞きましょー」
君も、と五月に手を差し伸べられて、
「へぇ、楽団か」
ふらりと通りがかった
音羽 紫鶴
は薄墨色の瞳を興味深げに細める。
「面白いね」
狸に狐、植物に人間、多種多様な種族が集まり奏でる音楽は、日々に退屈するが故に日々に楽しさを求める少年の心をふわり、ざわつかせた。
「私、楽器の演奏って出来ないのですよね」
物の怪たちを微塵も怖じず、むしろ楽しげに交友する少女が眼鏡の奥の瞳を残念そうに伏せる。
「歌なら、おじいちゃんが好きな歌手さんの演歌とかは歌えますけれどもー」
かと思えば、何でもないようににこりと笑う。
「こういうのを見ると、ちょっとだけ憧れますね。ふっふ」
「確かに、楽しそうだ」
「三味線とかベンベーン、と、こう、鳴らしてみたいですー」
「三味線、ね」
撥掻き鳴らす仕草をして見せる五月を横目に、紫鶴は何だか少し怯えて尻尾膨らませる着物姿の猫妖の傍に膝をつく。
「貸してもらえるかい?」
三角耳をぴんと立てる猫妖から扇を借り、立ち上がるなり右足で地面を三回打つ。そうすれば、少年の背には音もなく白鶴の翼が広がる。
人前には滅多と出さぬ翼にあれど、ここは妖の宴。それに、
(その方が風情がある)
「おお」
思わず拍手する五月に大人びた眼差しをすらりと投げて、紫鶴はまるで予定されていたかのように楽団を背に負うて観客の前に立つ。
続く飛び入りに、大狸親分が惜しげのない腹鼓を低く響かせる。子狸たちが甲高い腹鼓で続く。
(許嫁殿ほどうまくはないけれど、それでも習っていたからね)
はらり、花零れ落ちるように扇を開く。薄墨の瞳に凪の海の笑み刻み、翼持つ少年は舞う。流れるような足取りで、どこまでも優美に、どこまでも凛として。
妖たちの奏でる楽と己の舞が重なり一体となるのを肌に感じて、紫鶴は白鶴の翼を大きく広げる。
背の翼が消失して、妖と人の舞楽は終わりを告げる。
「有難う」
やんやの喝采を背に、紫鶴は楽団に向き合い姿勢正しく一礼する。
「演奏の邪魔をしてしまって申し訳ない」
大狸親分の応えは、満面の笑みと、不思議の術で黄昏空に呼びだした花吹雪。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年12月29日
参加申し込みの期限
2016年01月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年01月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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