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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
ミッドナイト・フリーキー・ショウ！ ～モノクローム・ラブ
【真央が謎を呼ぶ】
『ＮＭＲ』！ つまりは、寝子島ミステリーレポート。寝子島高校新聞部が不定期に発行する、いわば増刊号のようなものです。堅物に見える部長は案外と未知や不可思議な事象に柔軟で、そんな彼や部員たちと一緒に物事の裏っかわを探る、ＮＭＲの打ち合わせの時間が、後木 真央も大いにお気に入りなのです。
そんな新聞部の部室には、主に部長の連れている子猫たちが自由に出入りし、しきりににゃあにゃあと賑やか。その中へと、不意に……じいい。じじ、じじじい。カメラのレンズがピントを合わせるような音が聞こえて、真央はにっこり。レンズ・キャッツの『福ちゃん』の真っ黒な毛並みを見つけて抱き上げ、すりすりと頬ずり。
奇妙な黒猫との出会いは、暗がりに沈んだ奇妙な街を訪れた時のこと。闊歩する恐ろしげな住人や、獣めいた奇怪な人影に追い回される中で、真央の心に安堵や安らぎをもたらしてくれたのは、お馴染みの召喚デブ猫がおーと、そこで見つけたこの福ちゃんでした。
真央はその時の顛末を思い返し、ある少女の顔を思い浮かべます。ピンクの髪をなびかせて、長いスカートを両の手でつまみ上げながらに、にんまりと。んふふ！ あの含み笑いを思い出します。
彼女は今、どこにいるのだろう？ 何をしているのだろう？
そう考えた途端に。真央は何だかいてもたってもいられなくなって、がたんと椅子を鳴らして唐突に立ち上がると、打ち合わせ中の新聞部員たちや部長のきょとんとした顔へひと言断って、部室を飛び出しました。腕の中で、ふにゃん、と福ちゃんが気の抜けた声を上げ、真央は笑います。
以前に、学校へ在籍する生徒たちの名簿を調べたことがあります。芸術科、２年８組の名簿の中には確かに、あるのです。胡乱路 秘子の名前が。けれど今はもう、それが彼女を表す本当の名前ではなく、偽名か芸名の類であることを、真央も知っています。彼女が小学生時代の前半までを過ごしたと思しき家で見つけた絵日記帳には、そのヒントが記されていました。裏表紙に、『３ねん４くみ にいで ひめこ』。真央は首をひねります。
西出？ 新出？ 荷出？
姫子？ 比米子？ 比芽呼？
様々に組み合わせを変えて、念のために他のクラスの名簿までも隅々まで、けれどいくら確認しようとも、そこに掲載されているのは『うろんじ ひめこ』であって、彼女の本当の名前など、一向に浮かんではきません。
そもそも、学校内で彼女の姿を見かけたことが、少なくとも真央は、一度だってありません。そういう話を友人たちから聞かされることはあっても、授業中に抜け出して２年８組の教室を覗きにいっても、あの桃色髪を見つけられたことは無いのです。名簿には確かに、載っているのに。先生たちに尋ねたところで、不思議ねえ？ なんて怪訝そうな顔が返ってくるばかり。
とかく彼女は不思議で、そのことを思い返すたび、真央はやっぱり首をひねってしまいます。今日もまた彼女のことを考えながらにすっかり思索にふけってしまい、福ちゃんにぺろぺろと頬っぺたを舐められていることにも、しばらく気付きませんでした。
屋上へ上がると、はっと息を呑むほどにまぶしく、綺麗な夕陽が満ちていました。真央は黒猫をまだぽかぽかと熱を帯びているタイルの上へと下ろしてやると、福ちゃんは途端に丸くなり、レンズ・アイをじじじと動かしてオレンジ色の空を気持ち良さそうに眺めます。真央もまた手すりにもたれて、同じように空を見つめ、そして思います。
真央は、猫が好きです。彼らの暮らす、寝子島が好きです。
学校が好きで、部活が好きで、そこで触れ合うみんなが好きです。
それに、この島での生活をふとした瞬間に彩ってくれる、冒険が大好きです。
不思議な彼女は、その繋がりを通して、福ちゃんを真央の下にもたらしてくれました。
そしてまた、自分が『にいで ひめこ』であるという、謎の答えの一端を示してくれました……それがたとえ彼女の意志では無かったにしろ、真央には気にするほどもないことです。
彼女の願いを、真央は知りました。誰かと繋がりたい。独りじゃないと実感したい。あるいはそんな思いが、彼女に大きな力か、ろっこんの類か、ともかくそうした危険をもたらす何かを与えているのではないかと、真央は心配するほどです。
もし本当に……彼女が、この学校にいるのなら。
校舎にも、校庭の隅々にまで届くほどに、真央は声を振り絞って叫びました。彼女へと向けて、元気いっぱいに！
うろんじ ひめこちゃん……にいで ひめこちゃん！
福ちゃんありがとう、冒険ありがとう！
絶対絶対、ひめこちゃんに会いに行くのだ友だちになるのだ！
大好きなのだ～～～っ！
唐突にびょうと吹いた風に乗って、聞こえた気がしました。
んふふっ、なんて、あの笑い声が。
『ＮＭＲ』！ つまりは、寝子島ミステリーレポート。寝子島高校新聞部が不定期に発行する、いわば増刊号のようなものです。堅物に見える部長は案外と未知や不可思議な事象に柔軟で、そんな彼や部員たちと一緒に物事の裏っかわを探る、ＮＭＲの打ち合わせの時間が、後木 真央も大いにお気に入りなのです。
そんな新聞部の部室には、主に部長の連れている子猫たちが自由に出入りし、しきりににゃあにゃあと賑やか。その中へと、不意に……じいい。じじ、じじじい。カメラのレンズがピントを合わせるような音が聞こえて、真央はにっこり。レンズ・キャッツの『福ちゃん』の真っ黒な毛並みを見つけて抱き上げ、すりすりと頬ずり。
奇妙な黒猫との出会いは、暗がりに沈んだ奇妙な街を訪れた時のこと。闊歩する恐ろしげな住人や、獣めいた奇怪な人影に追い回される中で、真央の心に安堵や安らぎをもたらしてくれたのは、お馴染みの召喚デブ猫がおーと、そこで見つけたこの福ちゃんでした。
真央はその時の顛末を思い返し、ある少女の顔を思い浮かべます。ピンクの髪をなびかせて、長いスカートを両の手でつまみ上げながらに、にんまりと。んふふ！ あの含み笑いを思い出します。
彼女は今、どこにいるのだろう？ 何をしているのだろう？
そう考えた途端に。真央は何だかいてもたってもいられなくなって、がたんと椅子を鳴らして唐突に立ち上がると、打ち合わせ中の新聞部員たちや部長のきょとんとした顔へひと言断って、部室を飛び出しました。腕の中で、ふにゃん、と福ちゃんが気の抜けた声を上げ、真央は笑います。
以前に、学校へ在籍する生徒たちの名簿を調べたことがあります。芸術科、２年８組の名簿の中には確かに、あるのです。胡乱路 秘子の名前が。けれど今はもう、それが彼女を表す本当の名前ではなく、偽名か芸名の類であることを、真央も知っています。彼女が小学生時代の前半までを過ごしたと思しき家で見つけた絵日記帳には、そのヒントが記されていました。裏表紙に、『３ねん４くみ にいで ひめこ』。真央は首をひねります。
西出？ 新出？ 荷出？
姫子？ 比米子？ 比芽呼？
様々に組み合わせを変えて、念のために他のクラスの名簿までも隅々まで、けれどいくら確認しようとも、そこに掲載されているのは『うろんじ ひめこ』であって、彼女の本当の名前など、一向に浮かんではきません。
そもそも、学校内で彼女の姿を見かけたことが、少なくとも真央は、一度だってありません。そういう話を友人たちから聞かされることはあっても、授業中に抜け出して２年８組の教室を覗きにいっても、あの桃色髪を見つけられたことは無いのです。名簿には確かに、載っているのに。先生たちに尋ねたところで、不思議ねえ？ なんて怪訝そうな顔が返ってくるばかり。
とかく彼女は不思議で、そのことを思い返すたび、真央はやっぱり首をひねってしまいます。今日もまた彼女のことを考えながらにすっかり思索にふけってしまい、福ちゃんにぺろぺろと頬っぺたを舐められていることにも、しばらく気付きませんでした。
屋上へ上がると、はっと息を呑むほどにまぶしく、綺麗な夕陽が満ちていました。真央は黒猫をまだぽかぽかと熱を帯びているタイルの上へと下ろしてやると、福ちゃんは途端に丸くなり、レンズ・アイをじじじと動かしてオレンジ色の空を気持ち良さそうに眺めます。真央もまた手すりにもたれて、同じように空を見つめ、そして思います。
真央は、猫が好きです。彼らの暮らす、寝子島が好きです。
学校が好きで、部活が好きで、そこで触れ合うみんなが好きです。
それに、この島での生活をふとした瞬間に彩ってくれる、冒険が大好きです。
不思議な彼女は、その繋がりを通して、福ちゃんを真央の下にもたらしてくれました。
そしてまた、自分が『にいで ひめこ』であるという、謎の答えの一端を示してくれました……それがたとえ彼女の意志では無かったにしろ、真央には気にするほどもないことです。
彼女の願いを、真央は知りました。誰かと繋がりたい。独りじゃないと実感したい。あるいはそんな思いが、彼女に大きな力か、ろっこんの類か、ともかくそうした危険をもたらす何かを与えているのではないかと、真央は心配するほどです。
もし本当に……彼女が、この学校にいるのなら。
校舎にも、校庭の隅々にまで届くほどに、真央は声を振り絞って叫びました。彼女へと向けて、元気いっぱいに！
福ちゃんありがとう、冒険ありがとう！
大好きなのだ～～～っ！
唐突にびょうと吹いた風に乗って、聞こえた気がしました。
んふふっ、なんて、あの笑い声が。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年11月28日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年12月05日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年12月05日 11時00分
