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ミッドナイト・フリーキー・ショウ! ~モノクローム・ラブ
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【エンドロール】
─Cast─
Ayaka Ayatsuji
Kei Hayakawa
Mina Hanyu
Takemichi Shiba
Sakura Yuzuriha
Saki Yahagi
Kaasa Emina
Kaya Emina
Akito Ninomiya
You Ikaruga
Nijiko Busujima
Keika Momokawa
Kozue Yashikino
Mao Ushirogi
Misaki Tsubaki
Roberto Yemelyanov
Mari Onoda
Neneko Kisuzu
Akihiro Kougami
Syu Yagami
Aoi Nanaya
Kaede Yojiri
Himeko Uronji
and
Nobuhiko Todoroki
─Directed by─
Joh Nnydepp
─Written by─
Himeko Uronji
─Cinematography by─
All Lens Cats
─Art Direction by─
:
:
:
……エンドロールはまだ続いておりますけれど、
八十八旗 信彦
はカメラへ向かって唇に指を立て、しーっ! 数匹のレンズ・キャッツたちとともにそろーりそろり、ぬき足さし足で、スクリーンの裏っかわへと踏み込みます。
彼が胸に固く志す矜持とはすなわち、世の全ての女性に対するフェミニズムでありまして、それは当番組のストーリーテラーたる彼女もまた例外ではなく、爽やかイケメン紳士(※自称)としてはその真価をいかんなく披露すべく、突撃アプローチを決行! 綺麗な薔薇を三本携え、愛を伝えに行くところなのであります……てゆーか信彦くん、可愛い恋人さんをほっぽりだしてこんなことしてて、いいんでしょうかね? 最近ようやく仲直りしたばっかりですよね?
それはさておき、やってきたのはどこぞの
倉庫
のようなところ。以前に訪れた際には、当の案内役が述べるところの『博物館!』なんて呼ばれていた場所ではありますけれど、今はワケのわからない物品の数々に加えて、かぶりもののマスクとか、たくさんの衣装とか、書きかけの脚本とペンとか、着ぐるみのクリーチャーとか宇宙船の模型とか、カチンコとか、なんか映画の小道具みたいなものがそこら中にわんさかと転がっております。
信彦くんとレンズ・キャッツたちはそろりそろそろ、そんな夢の詰まったガラクタたちの合間を抜けて、細長い廊下を歩きます。両側の扉にはひとつひとつ、出演者たちの名前が記された控え室が並び、そして廊下の一番奥の部屋では今、ひとまずの出番を終えてほっと一息、な彼女がくつろいでいるはずです。
ささっと手櫛でサラサラの金髪を撫でつけ、服装チェック、口臭体臭もチェック……うーん、爽やかフレーバー。もう、カンペキ!
何しろ今日の彼は、気合に満ち満ちておりました。これまでに幾度となく探し求め、アプローチを試みては肩透かしを食わされてきた手ごわいレディと、今日はバッチリ接触できる、絶好のチャンスなのです。信彦の語る愛とは実に様々なカタチを内包していて、大切な大切な恋人へ抱く気持ちも本物なら、数々のガールフレンドたちや、ミステリアスな彼女へ寄せる想いもまた本物。真の紳士とは、愛でる対象を区別も差別もしないのです。
と、少なくとも彼は固く信じているもので、その行動には一切のブレが無く、迷いも無く、ただ目的地へと向かって突き進むのみ!
そんなわけで、『控室
胡乱路 秘子
様』と書かれたドアの前へたどりつくと、すぐさま信彦はここんっとノック。ややあってがちゃりと開いた扉の向こう、顔を見せた彼女の鼻先へ、しゅば! 大仰かつ絵になる仕草で膝をつき、薔薇を三本、差し出しました。
愛とは見つめ合うことではなく、同じ未来を見つめること。
故に……キミへと、寄り添いたい。
ついでにさりげなーく彼女の手を取り、ちゅ、甲へとキス。実にジェントルです。
きょとん、と怪訝そうな顔……けれどすぐにもぱあっと、嬉しそうなにんまり笑顔。頬はほんのりと朱に染まって、柔らかい微笑み……レディのそんな朗らかな表情こそが、紳士たる彼が求めてやまない、至福の画なのです。
黒猫たちのカメラ・アイはしばし、機嫌良く笑う彼女と、信彦の談笑する様を映しました。
かつて望んだものを、秘子はその時手を伸ばせば、手に入れることができたでしょう。三本の薔薇を胸に抱き、夢見心地で、彼女はみんなを見つめます。
綺麗な金髪の彼は明るくて楽しくて、そばにいてくれると言ってくれました。凛々しい風紀委員の彼女は優しい笑顔で手を伸ばしてくれるし、デブ猫を頭に乗せた彼女だって、あんなにも力強く名前を呼んでくれました。いつもファンだと言ってくれるクラスメートの彼女も、何かと気にかけてくれる赤毛の彼も……秘子が彼らへ向かって手を伸ばし、駆け寄りつかまえたなら、きっと受け入れてくれることでしょう。みんな、みんな。
ともだち。口に出してみても、未だぼんやりと曖昧に聞こえる、そんな響き。
だから秘子は、足を踏み出します。明るいほうへと向かって。手を伸ばします。
とぷん……重たく絡みつく、コールタールのような黒い沼が足元を満たし、両足を捉えて離さず、底へ底へと引きずり込もうとしていることに彼女は気付き、きょとん、首をかしげました。いつしか周囲は暗がりに染まり、明るい光とその中に見える彼らの顔は次第に遠ざかっていき。秘子は長いスカートをきゅっと掴み上げ、重たく黒い沼を前へ前へと歩こうとするものの、遅々として進まず……ずず、ずずず、と身体は足元へ吸い込まれ、引きずり込まれていきます。
きょろきょろと周囲を見回しながら、腰のあたりまで暗闇に浸かったところで、秘子は進むのを諦めたのか、いつものようににんまりと笑み、そしてあなたへ、手を振りました。
今は、ひとまず、ごきげんよう。
さようなら
んふふ! 笑顔のまま、ずず、ずずず。
とぷん。桃色の髪はやがてすっかり見えなくなり、黒い波紋が幾度か広がって、どこまでも一色の闇だけが後には残りました。
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『Midnight Freaky Show! ~Monochrome LOVE』
F I N
See you next Freaky Night.
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。MFS第七夜、『モノクローム・ラブ』のリアクションをお届けいたします。
ミュージックビデオ出身のクリエイターさんなんかが唐突に映画を撮ったりすると、得てしてその批評は気取った映像のみで中身が無いとか、単なる自己満足の自慰的作品に過ぎないとか、そんな感じになりがちです。確かにそうかも、と思わず納得してしまう部分もあります。でも墨谷は何だか、その手の映画がけっこー好きだったりします。
私が音と映像だけで簡単にとっぷりと浸れてしまうお手軽な感性の持ち主であるらしいのはさておくとしても、セリフをつらつらと並べて登場人物の心情なりを表現するより、表情、身振り手振りや、口パクのみというのもアリでしょうか。そこに添える音楽と、絶妙なカメラワーク、あるいは別シーンから連なる巧みな伏線も……そういったもので表し、受け取る情報を観客自身が噛み砕き飲み込むほうが、より『深く』伝わってくるような、そんな気がするのです。
私もいちおうこうして文字を書く人間で、絵や映像にも負けない『文章の持つ力』を信じるひとりではありながら、それが『小説』でもなく『マンガ』でもなく、『映画』であることの必要性を抽出したその粋であるような、そんな気が、私はするのです。
……いえもちろん、脚本もセリフも映像も音楽も、全部軒並み素晴らしいのに越したことはありませんけれど。
出来上がってみるとあんまりサイレント映画っぽくは無かったような気もしつつ、そんな『演出』を突き詰めてみたいと思ったのが、本シナリオのひとつの目的でありました。
本当はもうちょっと心情的な描写は外して、シチュエーションや行動のみで表そうと思ってたんですが、何だかどうしても味気なくて寂しかったので、バランスを取ってこういった形になりました。むむむ。要精進ですけれど、楽しんでいただけましたら幸いです~。
それでは、今回もご参加いただきまして、誠にありがとうございました!
またの機会にも再びお目にかかれますこと、心よりお待ちしております~。
お疲れさまでした!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
恋愛
SF・ファンタジー
オールジャンル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年11月28日
参加申し込みの期限
2015年12月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年12月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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