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ミッドナイト・フリーキー・ショウ! ~モノクローム・ラブ
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【拝啓、あなたへ。】
吐き出す白い息で、
桃川 圭花
は両手を温めます。人気のないホームで列車を待つのは彼女と、もうひとり、ぼんやりと空を見上げて誰かを待つ女の子だけ。ぽつぽつと冷たい雨が降っていて、どこか物寂しい、遠くの星が綺麗な夜でした。
がたごとと線路が鳴り、減速しながらゆっくりとホームへ停車した列車へ、圭花は大きくて重たいカバンを引きずりながら乗り込みます。ステップへ足をかけながら、ちらと横目に女の子を眺めると、やっぱりぼんやり、空を見上げたまま。もう随分とそうして、待ちぼうけのままのようです。
空気音とブザーが静まるホームへひと鳴き、閉じたドアの窓の向こうで空を眺める女の子は、やがてがたごと、遠ざかっていきました。
カバンを引きずり、圭花は夜を駆ける列車の通路を歩きます。
乗客はまばらで、いずれも取り留めなく窓の外を眺めたり、顔を上げずうつむいたり。誰かと会話を交わすでもなく、何をするでもなく、ただじっと、列車がどこかへ着くのを待っているようです。
適当な空席を見つけて腰を落ち着けると、圭花もまた何とはなしに、窓の外を眺めます。通り過ぎる民家の屋根の色、看板広告の中でポーズをつけるモデルの端正な顔、山々が描く稜線のダイナミックなラインまで、圭花には知らない景色でありながら、どこか郷愁を感じさせる風景です。
列車が駅へと到着し、圭花が駅のホームへ降りる時になっても、乗客たちは誰ひとりとして立ち上がろうとせず、どこか切なげで虚ろな瞳に見送られながら、圭花はホームへごとりと重たいカバンを下ろします。彼女たちはああしてずっと列車に乗ったままなのだろうか。ふと夜風に吹かれてそう思いながら、圭花は走り去っていく列車へ背を向け、バスの待ち合いロビーへと向かいました。
揺れるつり革に手をかけて、小雨を浴びて濡れた前髪を撫でつけます。錆付いた塗装のバスは圭花を乗せて、ゆるゆると夜の街並みを走ります。
ごとごと跳ねる風景と、窓を伝う雨粒を眺めていたら、道すがらに止まったバス停のベンチに、女の子の姿が見えました。ぽきりとヒールの折れた靴を抱えて、ぼんやりと座っている女の子は誰かを待っている様子で、きらりと光った眼鏡のレンズの奥、黒い瞳に湛えた複雑な色に圭花は目を奪われ……やがて彼女がホームで誰かを待っていた女の子で、列車の座席でぼんやりと外を眺めていた、あるいは顔をうつむけていた乗客たちであるのに気づきました。
再び走り出したバスは、窓の向こうに、幾人もの女の子たちを映し出します。公園のベンチ、雨に濡れながら誰かを待つ女の子。ビルの窓から、訪れる誰かの姿を探す女の子。どこかの鉄柵に寄りかかり、しきりに時計を確かめる女の子。ぼんやり、ただ雨に打たれるまま立ち尽くす女の子。彼女たちはみな眼鏡をかけていて、黒い瞳を切なげに揺らして、栗色の髪を濡らした幾人もの
桃川 圭花
で、何時か何処かの自分、過去の『私』です。
彼女たちは一様に誰かを待っていて、そして圭花は脳裏に、あの照れくさそうな仏頂面を思い浮かべます。記憶の中で、ふたりは緩やかに手を握り、背中に互いの体温を感じながら、ふわふわと狭苦しくもあたたかい空間を漂っていました。
適当なところでバスを降り、歩きます。
どちらがマシだろう、と圭花は思うのです。ただ岐路の真ん中にぼけっと突っ立ったまま、いつ戻るのか、そもそも戻ってくるのかも分からない誰かを待つのか。何もかも忘れて水に流して、綺麗さっぱりとしてから、分かれ道の反対を行くのか。
同時に、どちらでも無い、とも思います。どちらにしたって、沈んでしまった心をもう一度弾ませるには、ちょっぴり足りません。そういうやり方は、自分にはふさわしくない気がするのです。
金網に背をもたれて遠くを眺める眼鏡の女の子を横目に、圭花は勢いをつけて重たいカバンを金網の向こうへと投げ入れると、ひょいとよじ登って乗り越えます。小型飛行機がプロペラを回し始めたのを見つけて駆け出すと、地面に荒っぽく着地した衝撃か、カバンの留め金がばちんと弾けて飛んでいき、中からひらひらと舞い上がったのは、幾つもの、何枚もの写真。何時かのふたり、何処かのふたりが映った、無数の写真たち。
雨が上がり、山の向こうからオレンジ色の光が差し込み始めているのに気づいたのは、その時でした。壊れたカバンを中身ごと放り投げると、滑走路を駆け、飛行機へと乗り込みます。ぐんと持ち上がる感覚の後、ぽっかりと丸い窓の向こうから差し込む日の光に、圭花は目を細めます。
思い出を捨て去るのも、重たく抱えたまま立ち尽くすのも、圭花のやり方では無いのです。行ってしまった彼女へ、私は今、こんなにも幸せ。こんなにも、ハッピー! そう言える何かを見つけて、自慢してあげればいい。いつものように、不敵に微笑みながら……それがきっと、
桃川 圭花
。本当の自分なのでしょう。
隣の座席に転がっているポラロイドカメラを取り上げ、窓の外をぱしゃり。まぶしい朝焼けの写真をポケットから取り出した手帳に挟むと、表紙へペンを走らせ、タイトルをつけました。
『TO YOU』
あなたへ届ける、これが最初の一枚。
ふわり、宙へと舞い上げられて飛んでいく写真たちを、圭花は捨ててしまったわけではありません。そこに写る風景や、はにかんだ笑顔や、つんけんした仏頂面も、照れた赤面顔も。全部全部胸の中、大切にしまってあるのです。
尾を引く飛行機雲とは反対に吹いた風が、写真たちをどこか遠くへと運んでいきます。金網にもたれた眼鏡の女の子がそれを見上げて、ふと儚げな笑みを浮かべ、手を振り見送りました。
朝焼けはやがて待ち続ける女の子たちの濡れた髪をすっかり乾かして、まばゆく登る陽光は光条となって、彼女らに歩むべき道筋を指し示すでしょう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
恋愛
SF・ファンタジー
オールジャンル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年11月28日
参加申し込みの期限
2015年12月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年12月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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