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茜に暮れ行く空に鳥が羽ばたく。
(……鴉)
雷雲を思わせる灰色の瞳に鴉の黒翼を映し、
大天使 天吏
は感情表さぬことが常な口元をほんの僅かに和らげた。
緩く波打つ金の髪が、海から吹き寄せる冷たい風に惑う。目元に掛かった髪を指先で払う、その一瞬の間に、瞳や唇に浮かんだ微笑は消えて無くなる。
感情映さぬ瞳に捉えるのは、シーサイドタウンにある自宅近くのスーパーマーケット。黄昏に騒がしい光を撒き散らすスーパーの佇まいに、夕飯の買出しに忙しい人間の群に鬱陶しげに瞼を閉ざし、それでも足は緩めず、真直ぐ店内に踏み入る。
詰まらない作業に向かう無感動な眼差しで、入り口付近に置かれた買い物籠を手に取る。
青果コーナーの果物の甘い匂いにも惣菜コーナーの揚げ物や出汁の匂いにも一片の興味も示さず、乾物コーナーを抜けた先、シチューやカレー、様々なルウの箱が並ぶ棚の前で足を止める。
迷う仕草も見せず手に取るのは、一番手近にあったカレールウの箱。
(塩分、油分、糖分、食物繊維、ミネラル、……)
箱の裏に書かれた野菜や成分を確かめる。結局のところ、栄養補給には色んな野菜や肉をまとめて摂れる煮物が一番手っ取り早い。それに、スパイスの香りは食の細い己を僅かなりとも助けてくれる。
(食事なんて)
しなければしないで済むに越したことはない。計算され尽くした手順や旨味やアミノ酸を掛け合わせる、科学的とも言える料理は少なからず美しいとも思えるが、そもそも天吏にとっての食事は栄養を取るための一環でしかない。サプリで済ませられるなら済ませてしまいたいが、それではこの体を動かすエネルギーに足りない。
ルウを籠に入れようとした手が、楽しげな足取りで近づいてきた銀髪の少女を目にしてふと止まる。
歳の頃は小学校中学年だろうか。小さな体にはひどく大きく見える買い物籠を手慣れた様子で両手に持ち、頭の左右に結い上げた銀の髪を一歩ごとに弾ませ、少女は鼻歌交じりに天吏の傍らに立つ。
耳に届く幼い声で歌われるのは、ハロウィンを過ぎた途端に街に溢れ出したクリスマスソング。
幾つもの並ぶクリームシチューのルウの箱の前、少女は夜と朝の間の色した明るい紫の瞳を迷わせる。
「今日はちょっと寒いですね」
幼い容姿にしてはしっかりとした口調で何気なく話しかけられ、天吏は無表情のまま少女を見下ろした。
「……そうね」
「だから今日はシチューにしようかなって」
「……そう」
傍らに立つ女子高生の上の空な返事も気にせず、
ミルカ・アハティアラ
は一番美味しそうな写真のクリームシチューの箱を手にする。
「コーンや南瓜も入れると美味しいんですよ」
大人びた表情で子どもらしい味覚を示し、ミルカは身軽に立ち上がる。
ルウの他にじゃがいもや人参やコーン缶の入った籠を手に、パンコーナーに向かう銀髪の少女の小さな背を横目、天吏は箱に書かれた通りの材料を揃えるために野菜コーナーへと足を向ける。
(人参、ジャガイモ、玉ねぎ、……鶏肉)
パック詰めされた鶏肉を手に一瞬考えたのは、人間に食べられるためだけに生まれ、狭いケージに押し込まれて育つ鶏の姿。無感動に瞬きをひとつして、パックを籠に入れる。鳥を愛してはいるけれど、人間である己は肉も食べなければ体を維持できない。
スーパーに溢れる喧しい音楽や人間の声に背を向け、買い込んだ食材を手に一人住まいのマンションへと帰る。
迎える人の居ない部屋の電気をつけ、無言のまま台所に立つ。
買い物袋と学校鞄を冷たい床に置き、手を洗う。作業台に買ってきた野菜と肉を並べ、まな板と包丁、鍋と電子秤を取り出す。
玉葱四百グラム、ジャガイモ三百グラム、人参二百グラム、鶏肉三百グラム、植物油大匙二杯、水千ミリリットル。箱に書かれた八皿分の分量を完璧に計量し、化学実験でもするかのようにカレーを作り上げる。
冷凍庫に二百グラムずつ保存している米飯をレンジで温めなおし、皿にあけてカレーを掛ける。
(……ビタミンが足りない)
とは言え、サラダまで作る気分にはなれない。昨日買って食べる気になれず、冷蔵庫に放り込んでいた出来合いの惣菜を取り出す。パックのまま食卓に出せば、夕食が完成する。
何の音も、誰の声もしない食卓に一人で着く。
水を口に含む。
(この体を動かすためには、食べなくてはならない)
半ば義務感に近く、スプーンを取る。表情を一切動かすことなく口に食物を運び、咀嚼し、嚥下する。半分も片付けぬ間に食欲が失せるも、無理やりにでも腹に収め続ける。
――コーンや南瓜も入れると美味しいんですよ
ふと、スーパーで聞いた少女の楽しげな言葉が耳に蘇った。母親から夕飯に足りない買い物でも頼まれていたのだろうか。
今頃、家族と笑顔で食事をしているのだろうか。
(私も)
スプーンを機械的に口に運ぶ手が止まった。天吏は小鳥のように首を傾げる。
私も、いつか妻になって料理を振るう?
私も、いつか母になって料理を振るう?
誰かと暖かい家庭を築く?
あの朗らかな笑顔の少女をおそらくは家で待っている、優しい母親のような存在になる?
(……馬鹿らしい)
唇に歪んだ笑みが浮かぶ。最後の一口を口に含み、水で流し込む。今日最後の栄養摂取を終える。
食事が厭わしかった。それが暖かい家庭で行われる行為だと思うが故に。そこから優しい母を想起してしまうが故に、天吏は食事という行為を心底嫌悪した。
(私は)
首を横に振る。瞼に浮かんだ母の面影を忌々しげに振り払う。
母は、何ひとつとして母らしいことをしてくれなかった。
(それどころか……)
左の瞳を覆い隠す眼帯を指先に撫でる。白い頬から一切の表情を消し、何もなかったかのように後片付けを始める。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月17日
参加申し込みの期限
2015年08月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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