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今日のごはんは何にしよう
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ピンクの猫型エプロンを纏い、葱と大根を手に気合を入れて台所に立って、肉ナシがやっぱりどうしても寂しくなった。
「鍋……それは料理界の聖域」
聖域と書いてサンクチュアリと読みつつ、握り締めた包丁をまな板の上に置く。厳かなナレーションに誤魔化して、
高城 律
はもう一度未練がましく冷蔵庫の扉の前にしゃがみこんだ。
「……だって残り物入れてもいいし、安いし」
(その残り物もないけど)
「オープン・セサミ! 我に肉を与え給へ!」
心の中のセルフ突っ込みを吹き飛ばすために勢いだけの呪文を呟いて、扉を開ける。溢れ出す冷気に寝癖がついた黒髪の頭を突っ込み、虎視眈々たる黒い瞳で真っ白な冷蔵庫の世界を隅々まで探し回って、
「おお……おおお!」
冷蔵庫の奥の脱臭剤の裏に隠れていた豆腐を発見した。
恭しい手つきで畑の肉なる豆腐を取り出し、伝説の剣を手に入れた勇者の如く両手で持って天に掲げる。電気代がもったいないので早々に扉を閉め、スキップ二歩分で調理台に戻って、気付いた。
豆腐の賞味期限が六日前であることに。
パックのフィルムを剥がそうとした格好のまま、律は己が今現在立つ位置を確かめる。正に分水嶺、正に運命のお腹の分かれ道。果たして無事に腹を満たせるか、腹満ちてトイレの住人となるか。
(食えるのか、これ……)
十秒悩んで、
「為せば成る、為さねば成らぬ!」
思い切って豆腐の封を切る。つまるところ悩むのが面倒くさくなったので六つに切り分けて鍋にぶち込む。いつもなら管理人が寝ていようがドアを叩き、食事の準備をしろと是が非でも共同炊事場に引き摺って行こうといる住居人は、今日はひとりも訪れて居ない。皆どこかしらに出かけているのだろう。
(ってことで食うのは俺だけだから大丈夫大丈夫)
封を切った途端、豆腐と水が酸っぱい臭いを発した気がするけれど、
(まぁビタミンCとか入ってそうだしいいよね!)
豆腐は水に溶けるビタミンC以外のビタミンはほとんど入っていると本で読んだことがあるけれど、
(ポジティブシンキング!)
現実から全力で目を背け、律は大根を手に取る。
(現実から全力逃避失踪するスタイルは個人的に嫌いじゃないんだ!)
盛大に言い訳しながら慣れた包丁捌きで大根を桂剥きにする。こうすれば嵩が増してたくさん食べた気持ちになれる。はず。
豆腐の上に桂剥き大根をふんわり載せ、斜め切りした葱も入れる。遠いスーパーへ徒歩遠征してまで手に入れた特売品のみりんと醤油で味を調え、
(うん、大丈夫大丈夫)
醤油を足す。あんまり大丈夫ではなさそうな豆腐の風味を誤魔化す。よく火を通せば大体のものは食べられる。
具材が煮えるまで待つ間、卓袱台やその周りに散らばった紙を適当にまとめて片付ける。鉛筆や木炭で描き止めた、自分の周りの世界。少し前までは色を失くして、それでもいいやと投げ捨てていた世界。
「……っと、」
ガス台の炎に湯が掛かって爆ぜる音を耳に、慌てて立ち上がる。まとめた紙を卓袱台の下に置き、台所に走る。火を止め、エプロンの端で土鍋の耳を掴んで卓に運ぶ。
一人分の箸と取り皿を用意し、座布団の上に座る。開いた窓からの秋風が頬を撫で髪を撫でる。ふわり、鍋の上に湯気が踊る。
秋の匂いのする風を窓から迎え入れながら、手を合わせる。おたまで大根も葱も豆腐も一緒くたにすくい、熱々を箸で口に運ぶ。
冷蔵庫で萎びかけていた葱と大根には昆布出汁がよくしみて、豆腐はとっておきの国産大豆、その上遺伝子組み換えではない。
「あー、うめーわー」
空っぽの胃に染み渡る熱い鍋物に、しみじみ息を吐き出す。
とっておきすぎてうっかり取り置きすぎた問題ありの豆腐も問題ないことにして、
(うん、美味い)
律はとっても経済的な鍋から窓の外へと視線を逸らす。
秋から冬に入りかけの空の青は、瞳がじんと痺れるほどに目に染みた。
庭の家庭菜園の端、多分祖父が植えたのだろうイロハモミジの紅。
青空に暢気に浮かんで、群れて泳いでいく鱗雲の白。
視線動かせば、目の前で湯気上げる鍋の中に葱の緑。それから住人の皆が好き勝手に置いていく食卓塩の白やその蓋の水色、醤油の赤褐色、ソースの焦げ茶色。色とりどりの調味料たち。
窓から流れ込んだ風が、卓袱台の下に押し込んだだけの紙をばらけさせる。白黒の世界が足元に散らばる。
酸っぱい豆腐を大根と一緒に口にしながら、律は目を顰める。
世界に色が戻ったのは、つい先日のこと。
誰よりも愛しい、もう二度と会えぬはずだった人ともう一度邂逅し、そうして一度失ったものを取り戻したあの時を境に、白黒だった己の世界は再び色彩に満ちた。
視界埋める色の氾濫は、無彩色に慣れ切った瞳をひどくちかちかとさせる。取り戻した色と、一度なくした世界はどこまでも鮮やかで、
「あー、食い終わったら続きでもするかな」
律は涙の熱を帯びようとする瞼をきつく閉ざす。唇と声に笑みを交えて呟いてみる。
傍らで誰かがクスリと笑った気がして、顔を上げる。もう居ない誰かに向けて、大丈夫大丈夫と笑いかける。
(それでも俺って、ほら、生きてるからさ)
だからこそ腹が減る。落ち込んで、空の青に感動して、つまらないことでまた悩んで、ご飯を食べて、そうしてまた、
(また頑張ろう)
そう思える。
そう思えるように、なれた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月17日
参加申し込みの期限
2015年08月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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