this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
今日のごはんは何にしよう
<< もどる
1
2
3
4
5
…
12
つぎへ >>
最近寝子島に帰って来た双子の姉、
浅葱 ききょう
の部屋の前に立ち尽くして数十秒。
浅葱 あやめ
は自分で調整した眼鏡と長く伸ばした群雲色の前髪の奥に隠した茶色の瞳を陰気に瞬かせる。
(……朝食には、起きてこなかった……)
どうせ深夜まで本を読み耽って眠ることを忘れ、いつものように本を開いたまま寝入ってしまっただけなのだろう。
そうして夜更かしした分だけ起床が遅れて、朝ご飯を食べ損ねてしまった。そんなところだろう。
――まぁいいわ
いつも通りマイペースな姉の声と顔が瞼に浮かんで、あやめは思わず眉間を押し揉む。
どうせ食べ損ねた朝ご飯よりも本の続きばかりを気にして、結局部屋から一歩も出ずに起きるなり本の世界に没入してしまったのだろう。
そうは思う。そうは思うものの、
(……放っておくと、本当に、寝食忘れる人ですから……)
放っておけば倒れるまで本の世界に沈んでしまう双子の姉のことは、
(……一応、心配……といいますか……)
ともすれば猫背になってしまいがちな背中を懸命に伸ばし、色素が薄いというよりも青白い手を持ち上げ、目前のドアをノックしようとして止める。
先日、本を読みながらフラリと出て来た姉に力いっぱい足を踏まれた。悶絶する弟に全く気付かず、姉はそのまま居間へと廊下を渡って行った。自分に存在感がないとは言えあんまり酷いだろうと追いかけて文句を言おうとして、ソファに掛けた姉に頭を肘置きにされた。
そのまた先日、ドアの外に弟が立っていることに気づかず本を読みながら出て来た姉に突き飛ばされ、壁に後頭部をぶつけた。あまつさえ背中を預けるちょうどいい壁扱いをされた。
昔から変わらぬ姉の所業を思い出し、ついでに姉に対する酷い苦手意識もあって、午前十時前になっても部屋から出てこぬ姉にひとこと声をかけることすら躊躇ってしまう。
(……嫌い、では、ないのですが……)
ストレス源ではあっても、姉という人間を嫌っているわけではない。ひたすらマイペースなだけであり、こちらの地雷を選んだように力任せに踏み抜いて構わず突き進んで行くのも、悪意あってのことではない。それを理解しているからこそ、自分が姉に対して苦手意識を抱いてしまっていることは申し訳なくすら思う。
思わず洩れた溜息に、あやめは唇を引き結ぶ。こんなことではいけない。
階下で営む浅葱眼鏡店の開店時間も迫っている。同居している祖父は朝食を食べるなり出て行ってしまったし、姉は放っておけば一日中部屋に篭もって読書に勤しんでしまう。
両親は仕事の都合で島外に赴任している。祖父から引き継いだ眼鏡店の経営も家事も、自分以外にする人間は居ない。
(……僕が、しっかりしなくては……)
俯きがちな瞳を頑張って持ち上げる。清水の舞台から飛び降りる決意でドアをノックする。
しばらく待っても返事はない。
根っからのネガティブ思考で挫けそうになる心を、返事がないのはいつものことだと励まし、そっとドアを開けて様子を窺う。
ぎっしりと本の並んだ本棚の脇に置いた椅子に腰掛け、膝に本を広げる姉の姿を確かめ、あやめは小さく息を零す。
(……起きてる、な……けど)
窓から流れ込む昼前の陽光を近視用眼鏡の縁とうなじに切り揃え毛先だけを菫色に染めた髪に弾かせ、姉は色素の薄い茶色の瞳で一心に活字を追っている。
例によっていつものごとく、本に夢中になっている。
あの状態の姉はこちらがどんなに呼びかけても応えない。無視をしているわけではなく、本の世界に集中しすぎて何も聞こえなくなっているのだろう。
(……仕方ありません、ね……)
島外で一人暮らしをしていた際、本に夢中になって寝食を忘れ、挙句貧血で幾度も倒れた姉。その姉を心配した両親が、家族の居るこの家ならばと島への帰郷を熱心に勧めたことをあやめは知っている。両親に心配はかけたくない。
ドアをそっと閉め、台所に向かう。開店が少し遅れてしまうが、仕方がない。
台所に立ち、手を洗う。冷蔵庫から佃煮や梅干、祖父が昨日遅く馴染みの居酒屋から持ち帰って来た焼き鳥を取り出す。炊飯器からボウルにご飯をよそい、一口サイズのお握りを手早く作る。本を読んでいるときの姉は本以外のものに無頓着だ。であるのなら、手を汚さず食べられるものが良い。
お握りの具に佃煮やわざわざ種を取った梅干や、串から外した焼き鳥を握りこむ。朝昼兼ねたご飯になるだろう量を皿に並べる。
壁掛けの時計を気にしながら姉の食事を作り終え、盆に乗せる。朝の冷え込みにも気付かなかっただろう姉の体調を気遣い、かと言って熱くては下手をすれば零して火傷することを危惧してぬるめのお茶を入れたタンブラーも用意する。
食事を運んで廊下を渡り、
「……ききょうさん、入り、ます……」
返事がないのを分かっていて、それでも恐る恐る声を掛けてから姉の部屋に入る。弟に見向きもせず、無言で本を読み続ける姉の側のテーブルの上、手の届く場所に盆ごとおにぎりとお茶を物音立てずに置く。
姉が穏かに微笑むも、それは甲斐甲斐しい弟に対してのものではなく、本の中の誰かに対してのもの。
一切気付く様子を見せぬ姉を見つめ、あやめは猫背をますます丸める。目前にご飯があっても手を出さぬのではと心配になり、とりあえずお茶の入ったタンブラーを姉の口元に運んでみる。
病人にするようにタンブラーを傾け、姉の喉を潤す。唇にタンブラーの縁が触れて、姉はふと瞬いた。視線は文字を追うたまま、何気ない仕草でタンブラーを手にし、お茶を幾らか飲む。
あやめが差し出したおにぎりを、弟の手からとは気づきもせずに手に取り、無言でほとんど機械的に口に運ぶ。お腹は空いていたらしい。
手近に食べ物があると無意識のうちに認め、手探りでおにぎりを探す姉の動きにまず安心し、次に少し呆れ、あやめはそれでも姉の手におにぎりを掴ませる。
この分では、自分でおにぎりを食べたことも気付かないかもしれない。
空っぽのお皿を不思議そうに見つめる姉の姿が容易に想像できた。
――まぁいいわ
それからやっぱりいつものマイペースさでそんなことは些細なこと、大きな問題ではないと気にも留めない姉の姿も。
それでも食べてくれているだけ良しとしよう、あやめは無理矢理そう思おうとする。少なくともこれで倒れる心配だけはいらない。
「……食べて、くださいね……」
姉の傍を離れ、ドアを閉める。そうしておいて、やっと小さく息を吐く。
(……さて、店を開けないと)
作業にひと段落つけ、長く椅子に掛けて固まった体で大きく伸びをする。眼鏡を外し、疲れた目をきつく閉ざして眉間を押し揉む。
工房での作業は苦にはならないが、接客は何時まで経っても慣れない。特に今日は開店直後に訪れたお客様に開店時間が遅れたことに対する小言を受けてしまったこともあり、疲労は倍増している。
手近の時計を確かめる。午後一時を回っている。
店舗部分に顔を出し、客足が落ち着いていることを確かめる。アルバイトに店番を任せ、昼休憩に入らせてもらう。
困ったときはすぐに呼ぶようにお願いして、店舗二階の住居スペースへ上がる。
空腹を訴える胃を押さえ、鍋に湯を沸かす。パスタを茹でる間に戸棚から取り出したレトルトのクリームソースをフライパンに出し、これも戸棚から出したツナ缶とアサリの水煮を和える。少し煮詰めて塩コショウで味を調え、余った時間でレタスとトマトの簡単なサラダも準備する。
茹であがったパスタをソースに絡めて皿に盛ったところで、階下から聞こえたアルバイトの少年のヘルプの声に手を止めた。
無表情のまま、ちらりと熱々のクリームパスタに視線落とす。手にしたフライパンをシンクに放り込み、一先ず出来上がった料理の皿を食卓に置いて店に戻る。
読み終えた本を閉ざし、ききょうは長い旅を終えた旅人のような吐息を零した。
物語の世界から現実の世界に戻り、長く椅子に掛けて固まった体で大きく伸びをする。眼鏡を外し、疲れた目を緩く閉ざして眉間を押し揉む。
(面白かったわ)
唇に満足げな笑みを滲ませ、本棚に置いた時計を見れば、昼の時間はとうに回ってしまっている。あやめは呼びに来なかったのだろうか。
(まぁいいわ)
本は面白かったし、細かいことを気にしても仕方がない。
「……あら」
手元の机に読み終えた本を置こうとして、机の半分以上を占める盆とその上の空のお皿とタンブラーが目に止まった。
本を読み始める前にはなかったはずの皿にききょうは首を傾げるも、
「……まあ、いいわ」
気にせず立ち上がる。折角だから立ったついでに台所に持って行ってあげよう。
盆を手に、部屋を出る。階下から微かに人の声がする。弟は今日も真面目に眼鏡屋を営んでいるらしい。
居間に足を運んで、ききょうはまた首を傾げる。
「……あら」
昼食がもう用意されている。用意が出来たのなら呼んでくれれば良かったのに。
如何にも美味しそうなクリームパスタの温かい匂いに、ききょうは頬を緩める。運んできた盆は置き、食卓に着く。
「頂きます」
丁寧に手を合わせ、早速頂くことにする。この家の家事全般を請け負っているためか、弟の作るご飯はいつも美味しい。
(それにしても)
一人分しかないけれど、弟はもう先に食べ終えたのだろうか。
不審に思いながらも美味しいクリームパスタとサラダの昼食を終えたところで、
「……ききょう、さん……」
居間の前、空きっ腹を抱えて立ち尽くすあやめの姿。
「あら、なあに?」
「……いえ」
姉に食べつくされた皿を仏頂面で眺め、何か言おうとして心底不思議そうな顔をしている姉を見、弟は溜息を吐くしかできない。
「……美味しかったのなら、よかったです……」
<< もどる
1
2
3
4
5
…
12
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
今日のごはんは何にしよう
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月17日
参加申し込みの期限
2015年08月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!