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終焉狂想曲 NO.222
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冷たい床から立ち上がろうとして、膝に力が入らなかった。尻をつく格好でもう一度へたりこむ。窓の外の紅を映した翠玉の瞳を歪ませ、
後木 真央
は両手で頬を叩く。
「……にゃにゃにゃがおー!」
両手を丸めて叫ぶ。ろっこんの力で三毛猫を呼び出す。
窓から流れ込む赤に染まる部屋の隅に膝で這い、置いていた赤猫リュックを手に取る。縋るように立ち上がり、棚に貯めこんでいたおやつとペットボトル入りの水を詰める。
猫鳴館の窓硝子を割れんばかりに震わせ、赤い空に腐敗しながら飛ぶ竜が吼える。外に視線向ければ、寮を包む九夜山の木々の影、人のかたちにない魔物が見えた。
ラジオの緊急放送が告げ続ける『世界の終わり』まで、あと数時間。
背中に金属バットを結わえる。
今にも潰れそうに揺れ続ける猫鳴館の裏口に立てかけてあった釘バットを右手に外に出る。ドラム缶風呂の脇に投げ出されていた薪割り用の鉈を左手に拾い上げる。
「がおー」
足元にまとわりつく三毛猫の名を呼び腰を屈める。心得た動作で頭に飛びつき、前肢でしがみつくがおーの腹のふかふかの毛と体温に、真央は小さく息を吐く。秋の冷気と世界を満たす赤い闇に身体と瞳を慣らし、今までを過ごしてきた猫鳴館を飛び出す。
落ち葉に足を滑らせながら、足を止めず、赤い闇に紛れて駆ける。
頭の中に地図を描く。落神神社から耳福池を経由して寝子島大橋、本土に渡れば線路沿いを移動する。そうすれば徒歩で家に帰ることができる。赤い闇に占められていても、化物たちに破壊されて地形が変わっているとしても、毎日駆け回っているよく知る道で迷うことはきっとない。
それに、この道筋なら人は居ない。人が居なければ、人を襲う化物は少ないはず。
遠く、花火の音に似た爆発音が、地表を震わす化物の咆哮が響く。
寝子温泉街付近の空が燃えるように赤い。温泉街を焼く炎熱を頬に感じた気がして、炎の下で逃げ惑う誰かの声を聞いた気がして、眉を寄せる。けれど足は止めず、毒じみて黒く泡立つ耳福池をなるべく目に入れずに走り過ぎる。夕陽よりも濃い朱の瘴気が漂う、本来なら静かな夜闇に占められているはずの寝子島神社の境内に至って、漸く足を止める。
狛猫の石像の影に身を寄せ、がおーを頭から下ろす。リュックから取り出したおやつを半分こする。お菓子の甘さに頬を緩めようとして、出来なかった。
視線を伸ばせば、化物が跳梁跋扈する旧市街が見える。
旧市街に住む知り合いの顔が浮かんで、化物に襲われているだろう街の人々を思って、目を伏せる。彼らを見かけたら自分はどうすればいいのだろう。
足元でおやつを食べ終えたがおーが定位置に戻ろうと、蹲る真央の膝に前肢を掛ける。
答えを出せぬまま、真央はがおーを頭に立ち上がる。
分かっているのは、ただ一つ。自分の居場所だけ。
(おじぃ、おばぁ、叔父貴)
家族の居る、あの場所。
世界が本当に数時間で滅ぶのなら、本土の家には辿り着けないけれど、それでも、
(帰らなくちゃ)
「……これがテオの切り分けた世界なら良かったのだ」
赤い世界を瞳に収め、固い声で零して、真央は再び駆け出す。
赤い世界を前、
八神 修
の心に浮かんだのはひとりの少女の笑顔だった。
もしも彼女が化物達に襲われていたら。
そう思った途端、矢も盾もたまらず化物に蹂躙される街に飛び出す。
握り締めたスマホを操作し少女の番号を呼び出すも、発信音は鳴らず、耳に障る切断音が響くばかり。不安に潰されそうになりながら友人の番号を呼び出しても、結果は同じ。
激しく震える地面に足元をすくわれ膝をつく。焦燥感に乱れる息を整える余裕もなく、星ヶ丘の高台から崩壊しようとする世界を、見慣れぬ色に染まった海を見下ろす。
街を破壊し大百足が奔る。滑る触手を蠢かせるナニカが人々を絡めては喰らう。
「……明日世界が滅びるとも、」
混乱に陥りそうな心を繋ぎ止めたのは、孤独な幼年期からの友であった知識の海。
「今日私は林檎の樹を植える」
ルターの言葉を呟き、心を静める。息を整える。背筋を伸ばし、状況を確かめる。世界の崩壊を前に、何をすべきだろう。何が出来るだろう。
(島を、出よう)
逃げ場のない島よりも、本土の方がまだ生き延びられる確率が高いかもしれない。
想いを寄せる少女にその旨伝えるメールを送り、修は寝子島大橋を目指すことを決める。
(愛する人を、友を、希望を、)
少年の怜悧な瞳が、星ヶ丘の邸の生垣に突っ込んで停まった回送中の路線バスを捉える。
(俺は諦めない!)
駆け寄り、半ば開いた乗車扉をこじ開ける。車内の通路に投げ出されて倒れる運転手を抱き起こし、息を確かめる。
頭から血を流しながらも意識を取り戻した運転手を素早く説得する。
「寝子島大橋に向かいます、乗ってください!」
扉を開かせ、外を逃げ惑う人々に向けて声を張る。生存者や負傷者に手を伸ばして動き始めるバスに引き上げながら、例えば、と思う。
(俺が閣僚なら)
担当省庁に指示を出せた。多くの人間を救えた。
(だが俺は学生で何の力も……)
激しく揺れる車内の出入り口に立ったまま肩を落としかけて、運転手の悲鳴と急ブレーキに息を呑む。手近いつかみ棒に縋って見れば、前方のビルが空舞う化物に突っ込まれて半ばから崩れようとしている。硝子や巨大なコンクリートの欠片が次々に道路へ降る。
(いや、力はある)
掌を拳に変える。この身にはろっこんが宿っている。この力は、
(誰かを救うために……!)
「進め!」
運転手に一言怒鳴り、修は降り注ぐ瓦礫に精神を集中させ息を止める。発動するろっこんが、行く手阻んで降る瓦礫の雨を次々に砂利の細かさに分解する。
襲い掛かろうとする魔物の足元の地面を砕いて落とし、その頭上のビルを砕く。瓦礫を降らせて埋め、屠る。息吐く間もなく、バックミラーに映る魔物の足元を『分解』する。
「大丈夫だ、行ける」
車内に怯える人々に声を掛けて励まし、シーサイドタウン駅前に見つけた生存者たちをバスに呼び込む。
「黒依」
負傷者に肩を貸して最後にまろび入って来た黒髪の少女に手を差し出す。
「八神さん」
泥と他人の血に汚れた頬で、
黒依 アリーセ
は淡く笑んだ。走り出す車内に澄んだ歌声を響かせ、その血で以て怪我人の治癒にあたる。
(これは、助からないかもしれないわね)
他人の傷を癒しながら思うのは、世界の行き着く先。
赤い光に占められ魔物の溢れる世界の何処に、生存可能な場所があるというのだろう。となれば、滅び行く世界で、
(泣いて奇跡を祈る?)
それも良いかもしれない。
歌を口ずさみながら、アリーセは湖水色の瞳に笑みを滲ませる。そう思いながらも、けれどアリーセは決して歌を止めない。癒しの力宿る血を他人のために流すことを止めない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月06日
参加申し込みの期限
2015年06月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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