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終焉狂想曲 NO.222
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ポケットから零れ落ちた飴がコンクリートの地面に転がる。咄嗟に拾い上げようと手を伸ばす視界の端、十六の齢にして白髪交じりの短い髪。
冴木 竜司
は深い黒の瞳を虚ろに瞬かせる。
灰色の地面に広がる赤い血が、転がった飴を汚す。
「……あ」
息が洩れる。僅かに視線を上げて、無残な姿に成り果てた二人の女性。愛しいと思っていた、守りたいと思っていた、けれど守れなかった大切な人たち。
――世界が、崩壊する。
息を忘れ、瞬きを忘れ、大好きな人たちの体から流れ出た血溜まりに跪く。触れようとして、触れられなかった。泣こうとして、泣けなかった。何の言葉も出せずに二人を見つめる。
目前の現実を、どうしても受け入れられない。どれだけ現実を瞳に映しても、心が拒絶する。
これは何かの間違いだ。
間違いに違いない。守りたいものを守れなかった現実など、
(俺が守りたかったものを守れなかった……)
それは何故?
(どうして……)
どうして己の大切な人達を守れなかった?
「守れなかったんじゃない」
不意に、何処かから声が聞こえた。
崩れ落ちた世界の真中、ぎこちなく顔を上げる。鉄筋コンクリートの残骸さえ燃やす青白い炎が周囲で物憂げに揺れる。
「守りたくなかったんだろ?」
生きるものの誰一人としていないような静寂に、己と同じ声で、声が響き渡る。
「清々しただろ?」
何もかもを嘲り嗤う口調で、己の声が聞こえる。
「糞みたいな世界、糞みたいな連中、そして糞みたいな女共」
大切にしていた世界を、愛しいと思っていた人達を、その声は嗤いながら虫けらのように踏み躙る。
「ヤメロ……」
怒気孕んで唸る己に構わず、声は嘲りと絶望含んで一層高くなる。
「そんなくだらない存在共を心底嫌ってたもんなァ?」
「俺はそんな人間じゃ……!」
蒼白い炎に燃やされ、崩れて視界を塞いでいた瓦礫が灰塵となって崩れ落ちる。踊る炎の向こう、
「なァ、俺」
竜司は己の姿を幻視する。
何もかもに嫌気が差した冥い瞳、絶望に歪んだ唇、色失った頬。己の姿をしていながら、己の姿をしていないもの。けれど確かに、
(……俺だ)
崩壊した世界に、昔の自分が立っている。
「けどそんな存在共の拒絶も無視も嫌で、従順に従って、」
「やめろ」
嗄れた声の制止を涼しい顔で切り捨て、己の姿したナニカは続ける。
「挙句依存出来そうな奴等を見つけたら構ってもらいたいが為に努力したり変態装ったり、……最低の構ってちゃん」
蹲る竜司を睥睨し、容赦のない罵声を浴びせる。
「下らない存在だな、俺」
「違う、……違う!」
自分自身に罵られる苦痛に耐え兼ね、瞼を閉ざそうとする。耳を塞ごうとする。その間際、閉ざそうとする瞳に、横たわる彼女たちの姿が映った。
歪む瞳を見開く。耳を塞ごうとした両手を跪く膝で拳にする。真直ぐに己でない己を睨み返す。
「彼女達に出会って俺は変わったんだ!」
精一杯の反論は、
「そう思いたいだけだろ?」
あっけなく切り返された。
「本心は下らない世界も連中も女共も、……」
俺自身も、と鼻で嗤う。
「消えてなくなれって思ってる。喜べよ、もうすぐ全て消えてなくなるぜ、俺」
「黙れ!」
反論の言葉が浮かばず、ただ怒声だけを叩きつける。逃げ出すように立ち上がる。彼女たちの遺骸に背を向け、瓦礫の山でしかなくなった街に飛び出す。本心の声を振り払うように駆ける。
血の色した空を、腐肉撒き散らす竜が無数に舞っている。粘つく腐肉は空中で嬌声あげる別の魔物に変わり、崩壊した街に降り立つ。
走る竜司の脇を車が掠める。車のボンネットには、腐った竜から生まれた魔物。
「ッ、……」
思わず足を止める竜司の目前、大量に広がる得体の知れぬ血にタイヤを滑らせ、半ばで折れた電柱に車が衝突する。
「大丈夫か?!」
後部座席に幼い姉妹の姿見つけて駆け寄る。先程聞いた己の声を拒むように、見知らぬ少女たちを助けるために車のドアを引き開ける。
せめて、愛した彼女達に誇れる漢でありたかった。
運転席に最早ひとの形成さぬ男を、助手席に血を流す女性を見つける。泣き喚く少女の一人を首に抱きつかせ、もう一人を片腕に抱き上げ、助手席の女性にも手を伸ばそうとして、拒まれた。
女性の腕に、粘性の魔物が牙を突き立てている。喰らおうとしている。
「だめだ、助ける!」
それでも助けようと必死に伸ばした腕に、思いがけず素早い動きで魔物が喰らいつく。鋭い牙を立てられ、酸性の分泌液に皮膚を溶かされ、竜司は叫ぶ。
終わりの気配に脳裏を走馬燈が過ぎるも、
「……ああ」
大切な愛しい彼女達の姿は無い。
「本当にくだらない人生だったな、俺」
吐き捨てたのは、どちらだったのだろう。
寮の屋根を叩いた轟音に、
楢木 春彦
は跳ね起きる。ついでにベッドから転がり落ちる。
「痛ってぇ」
手酷く打ち付けた肩と頭を交互に擦り、起き上がる。
「んだよもー……」
寝惚け眼を擦って、気付いた。室内が妙に赤い。朝日の色でもない、夕日の色でもない、どす黒い血のような赤の光が閉ざしたカーテン越しに流れ込んで来ている。
短く刈った茶髪の頭をがりがりと掻き、立ち上がる。夜中だというのに、外が道路工事でもしているかのようにひどく騒がしい。寮内でも誰かが凄まじい声で喚き立てている。
カーテンを開ける。
真っ赤な空に、黒く腐った鱗を持つ竜が無数に舞っている。血色の光に染めあげられた街を、巨大な大百足が蹂躙している。遠い海にうねるのは、下手すれば島よりも巨大なナニカの触手。生きながら腐る竜の尻尾を切り落として哄笑する、人の形しながら人ではない、ナニカ。
カーテンを閉める。
心臓が恐ろしい勢いで跳ねている。見開き過ぎて乾いた瞳に涙が滲む。
閉ざしたカーテンさえ震わせて響く、魔物の咆哮。壁が震える。天井が震える。体が震える。
「ッ、……」
喘ぐように息を取り戻す。
「ったく、いきなりなんなんだよっ!?」
完全に目が覚めた。夢かと一瞬思ったが、全身を濡らす冷たい汗の感覚は夢ではありえないほど現実味を帯びている。
頬を伝う冷たい汗を拳で拭う。汗に濡れた拳で動きを拒んで震える膝を殴る。左の内腿にある古い傷跡が引き攣るように痛んだ気がして、眉間に皺を寄せる。
確かに、この島では変な事件が頻発していた。けれどだからと言って、
(今度は世界の終末?)
「なんなんだよ!」
鮮やかに明るい碧のまなじりを釣り上げ、足を踏み鳴らす。
「こんなふざけた話あるかよっ」
怒鳴ることで己を鼓舞する。恐怖に乱れる息を整えて、
「……アイツ」
寮の同室である友人の姿が見えないことに気付く。それでなくとも、ドアの向こうでは悲鳴が響いている。
「アイツらも」
ここにジッとしていても埒があかない。何処にいるとも知れないが、探しに行かなくては。同室の友人も、他の友人たちも、大丈夫だろうか。
考えるよりも先、体が動いた。
外に暴れる得体の知れない化物たちのことなど毛頭考えず、ドアを開く。あちこちから異音が聞こえる廊下を駆ける。寮内に満ちる吐き気催す血臭に唇を押さえ、一階の窓から外に飛び出す。
視界の端、パジャマ姿の小柄な少女が駆けて行く。
「あ、大丈夫か?!」
男子寮の方角から掛けられた声に、
恵御納 夏朝
は緩く波打つ茶の髪を揺らして足を止める。たれ目の幼い瞳に寮の前に立つ少年を映し、
すぐに顔を背ける。逃げ場を捜して周囲に走らせる瞳に、普段とは違う冷徹な光。
痛む後頭部を軽く撫で、夏朝の身体に宿る別人格、『夏夜』は鋭い息を吐き出す。桜花寮の廊下で目を覚ました時、周囲には誰も居なかった。痛む後頭部に、主人格である夏朝が夜中にトイレに立った際、帰りの廊下で転んで頭を打ったのだと思い至り、苦笑いしながら立ち上がって、廊下の窓の外の赤い空に気付いた。溢れかえる魔物に気付いた。
(テオ君の声が聞こえない……)
いつもなら、世界を切り離し状況を説明してくれるはずの声が聞こえなかった。
寮内に響き渡る誰かの断末魔に、助けを求める声に、壁や屋根が崩れ去る音に、ひとのものでない恐ろしげな咆哮に、状況の理解を放り出した。適当な窓から外へ逃げ出した。
(……都合良かった、かな)
友人たちの悲鳴を聞けば、夏朝はきっと助けに走ってしまうだろうから。重さを変化させ操るろっこんを宿しているとは言え、非力な少女には違いない夏朝は、そうしてしまえば間違いなくあっけなく死んでしまう。
(夏朝を死なせる訳にはいかない)
夏朝がいつものようにパジャマのポケットに忍ばせていたねこシールを指先で確かめる。ろっこんを発動させるために必要なこの道具は、けれど自室を経由している暇がなかったために数としては心もとない。
それでも、非力な少女の身にあって、このろっこんは使いようによっては力に出来るはず。夏朝を世界の中心とする夏夜は、例え他を見捨てようと夏朝のためだけにろっこんを使おうと決める。
(テオ君……まさか)
安全な場所を探すべく、寮の前の道に走り出しながら、眉根を寄せる。往来では街の住人が化物に食われている。地面から噴出す不気味な色の煙にまかれ、苦しみ悶えている。誰も彼もが救われずに死んで行く。
(隔離すらできない状況なのか!?)
その推測に思考が及んで、夏夜は首を横に振る。考えたくもなかった。この今が、神ですら太刀打ち不能な状態であることに。
もしもそうであるのならば、世界はこのまま滅ぶのか。
(……認めるものか)
唯一大切に思う夏朝の死の予感を、夏夜は振り払う。
(僕は夏朝を生かす!)
空から降る翼あるナニカに、逃げ惑う男が攫われる。空に舞い上がった悲鳴が地面に散る夥しい血と共に途切れる。燃える家屋から火達磨になった人々が飛び出し、哄笑する巨大な獣人に踏み潰される。
死にゆく人々を冷徹な瞳に映しながら、決して助けようとせず、夏夜は夏朝のためだけに、夏朝を生かすためだけに、脅威から逃れようと疾走する。
追いかける間もなく走り去る少女の背を僅かの間見つめ、
「大丈夫、だよな」
春彦は呟く。
寮のすぐ前の道路を走るのは車ではなく、出鱈目な隊列組んで走る犬の大きさもある大蟻の群。蟲の間接を軋ませ、蟻たちが群がるのは空舞う腐竜が落とす腐肉。
「……マジなんなんだよコレ」
この島に来て慣れ親しんだはずの街並が僅かの間に一変している。異界と化した世界に、春彦は茫然と立ち尽くす。
空から降った竜の腐肉が蠢き、粘性の体と牙持つナニカに変わる。震えながら飛び掛られ、咄嗟に避ける春彦の背後、壁にぶつかったナニカは力なく地面に崩れる。
「あぶねぇ……」
辛くも逃れるも、周囲ではそのナニカに喰われたらしい寮生たちが息絶えている。
「くそっ!」
凄惨な光景に思わず罵声が洩れる。
「ンなの認められっかよっ!」
込み上げる怒りに、どうしようもない無力感に、堪らず駆け出す。ひび割れたアスファルトを飛び越え、不気味に変色した生垣を突っ切り、電柱に激突して潰れた車の脇を過ぎようとして、
「おい、大丈夫かっ?!」
幼い姉妹を抱きかかえる同い年ほどの少年を車内に見つけた。同じ体育科の生徒だと気付くよりも早く、反射的に手を差し伸べる。こんな状態の人を放ってはおけない。
「……頼んだ」
光を失いつつある瞳で、竜司は抱きかかえた少女たちを押し付ける。
「行け」
囁いて息絶える少年の背に、粘性のナニカ。
自身もナニカに食われたかのように顔を顰め、それでも少女たちを片腕ずつに抱き上げ駆け出そうとして、気付いた。少女たちもまた、同じナニカを背を破られて事切れようとしている。なす術も無く見つめる春彦の腕の中、青褪めた小さな手から小さな玩具が落ちる。
「ざけ……な……」
玩具を拾おうと膝を屈めて、胸に渦まく怒りや哀しみや後悔を抑え切れなくなった。見知らぬ少女たちの遺骸を膝に抱く春彦の背後、空から死神の格好した魔物が降り立つ。草を刈り取る動作で構えた大鎌を振り下ろす。
背を深く斬り裂さかれ、少女の遺骸を守って倒れ伏しながら、春彦は自身の無力さに慟哭する。
「ちく……しょう……畜生ーっ!」
背後に響く慟哭に、夏夜の足が鈍る。振り返ろうとして躊躇う。彼らを見捨てても逃げなくては、夏朝の身は守れない。
「たすけ、て」
渦巻く炎の音も、街中に響く魔物の咆哮も押し退けて、か細い声が夏夜の耳に届いた。無関心を装うよりも先、振り向いてしまう。そうして見てしまう。
翼を広げて飛び去る死神の足元、斃れた少年の身体の下で血を流しながらすすり泣く、夏朝よりも幼い少女。
(見捨てろ)
己で己を叱りつけながらも、夏夜の足は少女のもとに向かう。青褪めた顔で、おそらくは奇跡的に息を吹き返した少女を、息絶えた少年の身体の下から引きずり出す。
「おねえちゃん」
「……おねえちゃんはもう死んでる」
少年がもう片方の腕に抱いた少女の息を確かめる。立ち竦み涙を零す少女をその細い腕に抱き上げる。
「おねえちゃん!」
「君だけでも生きろ」
言い捨てながら、少女の背の傷が見た目よりも浅いことを確かめる。
ポケットから取り出したねこシールを少女の服に貼り付ける。ろっこんを発動させ、少女の身を己の細腕一本でも持ち上げるに足るほどに軽量化させる。
疲弊して重い身体で、それでも前に進もうとする夏夜の足元を冷たい風が走り抜ける。刹那、足から力が抜けた。意に沿わず瓦礫の上にへたり込んで、ぎくりとする。左腿が包丁に切られたように深く裂けている。
傷を認識した途端、全身に痛みが響く。傷口を押さえた手が見る間に血に濡れる。
「僕はここで敵を引き付ける」
少女を立たせ、夏夜は己の足を切り裂いた風の行方を目で追う。赤い光に染まる瓦礫の街に、禍々しい形の刃を構えて、ひとの形しながら人にありえぬナニカが立っている。
「だから……逃げろ!」
走って逃げて、この不条理から生き延びろと少女を突き放す。
痛む足を引き摺り立ち上がる。少女に背を向け、ナニカと対峙する。足元に転がる半ばで折れた交通標識を鉄棒ごと拾い上げ、ポケットの底に残っていた最後のねこシールを貼り付ける。とは言え、己の戦闘技術は心許ない。
(……ごめんよ、夏朝)
不条理から生かせそうにないことを心中に詫びる。けれど、か弱い存在まで見捨てて死なせて逃げてしまえば、
(君は泣くだろう?)
死を前にして、夏夜は微笑む。
最後まで戦い抜くことが、この邪悪な人格の最期の意地。そう決める。
(願わくば、)
華奢な身には不釣合いな武器を片手に、夏夜は理不尽の前に立ち塞がる。
死を前に望むのは、ただひとつだけ。
(死後、この身体が弄ばれず塵芥になる事を……!)
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15人
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2015年06月06日
参加申し込みの期限
2015年06月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月13日 11時00分
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