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終焉狂想曲 NO.222
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暗闇に乱れる息を洩らし、
橘 千歳
は手にした金槌と釘の入った箱を部屋の床に捨てる。家の外からくぐもって聞こえる不穏な音に身を固め、めぼしい窓硝子に打ち付けた木板に縋るような視線を送る。
窓の外に満ちる血の色に似た光も、地面を割って噴き出る黒煙も、とりあえずは家に入っては来ない。
急拵えではあるが、これできっとしばらくは保つ。
不安に轟く胸を片手に押さえ、壁に立てかけた竹刀を手に取る。
(一体何が……)
少し前までは、いつもと変わらぬフツウの夜のはずだった。何の前触れもなく突然、夜空に赤い光が溢れたと思えば、空や地から恐ろしげなナニカが湧いて出た。
部屋の真中に立ち、慄く息を整える。肩から滑り落ちる長い黒髪を結い上げる余裕もなく、机の上で何事もなく小さな光を明滅させる携帯電話を開く。とにかく知り合いの安否を確認するべく、着信履歴の一番最初にあった番号に掛けてみる。
祈るように室内の暗闇を見つめて、数十秒。繋がらない。この異常事態に、回線が不安定になっているのか。
(まずは学校に行くべきか、それとも……)
視線を惑わせた、その瞬間。
塞いだ板ごと窓硝子が突き破られた。黒い獣が室内に転がり込む。
「ッ……!」
携帯電話を捨て竹刀を構える千歳を哂い、獣は長い牙を剥く。千歳の腿よりも太い四肢で以て飛び掛る。
防御に構えた竹刀に獣の顎が咬む。めきり、嫌な音をたてて竹刀が折れる。初撃を受け止めて踏ん張った足が獣の力に押し負ける。押し倒される。血腥い獣の息が顔に触れる。
「ッ、い……やあぁ!」
「千歳!」
破れた窓から黒髪の少年が飛び込む。少女の体に圧し掛かる獣の頸を刃引き刀で力任せに打ち据え、不意の攻撃にたじろぐ獣の下から少女の身を引きずり出す。
獲物を横取りされ、獣が怒る。腹の底まで震わせるような声で吼えるなり、少女を背に庇い、刃のない刀を構える少年に鋭い爪を振りかぶる。
「刀君」
千歳の声を力に、
御剣 刀
は裂帛の気合と共に爪の一撃を受け止める。獣の力を己が力にするが如く刀を滑らせて攻撃の軌道を受け流し様、
「――ッ!」
脳裏に撃鉄を落とす。ろっこんの力で己を加速させ、動きを止めて見える獣の醜悪な顔面に刀を幾度となく叩き込む。
見えぬ速度で鼻先に攻撃を喰らい、獣が呻いて下がる。
熱い息を吐き出し、刀は吼える。
「てめえ、俺のに手を出してんじゃねえよ!」
獣を睨み据えたまま、刃を鞘に収める。背後の千歳の手を引き寄せ、強引に抱きかかえるなり、もう一度ろっこんを発動させる。
「刀君、今、」
「大人しくしててくれ」
刀の胸に抱えられた千歳が先ほどの言葉の真意を問うよりも先、千歳の視界が恐ろしい速度で加速する。瞬きの間に暗い室内から赤い光満ちる戸外へ出る。黒い獣から逃れる。千歳の目には捉えられぬ速度で刀が駆ける。道を確かめる隙もなく辿り着いたのは、
「……桜花寮」
誰かの血なのかナニカの粘液なのか、それすらも判別つかぬほどに赤黒く汚れ、半壊に近く壁の壊れた建物の前、ふたりは一瞬立ち尽くす。
倒壊しそうな建物の窓に、人のかたちに無い化物が顔を覗かせる。屋根に集った翼持つ奇妙な獣達が耳障りな声で高笑う。
「小山内!」
先に我を取り戻した刀が悲鳴に近い声で呼びかける。
(そうか、小山内さん)
周囲を警戒しながら、
小山内 海
の姿を捜しながら、千歳は先ほどの刀の言葉にそっと納得する。
(そうよね、さっきの刀君の言葉、私にだけ向けてる訳じゃないのよね)
「小山内! こっちだ!」
刀が声を張る。見れば、亜麻色の髪を揺らし、寮の前庭を駆けて来る
小山内 海
の姿。もつれる足元をもどかしげに見下ろして後、手にしたペンを振るう。宙に描いた線に沿って物体を加速させるろっこんに足元の瓦礫を乗せ、その加速に己が身を委ねる。ふわり、ふたりの前に降り立つ。
不安に歪めていた左右色味の違う青の瞳に安堵の笑みを滲ませ、
「無事で良かったわ」
微笑む千歳の手を握りながら、海は肩から力を抜く。
(『今日で世界が終わります』)
寮のテレビで見た中継を思い出す。直後に見た窓の外を染める異常な紅を思い出す。
そんな急に、と思った。夢じゃないの、とも思った。だって余りにも現実味がなさすぎた。それでも、呆然としている間にも外には凶暴な魔物が溢れた。寮の壁が崩され、室内に断末魔の悲鳴が満ちた。
寮内の惨劇を思い出し、身を震わせる海の肩を千歳はぎゅっと抱く。先に立って歩き始める刀の背を追いかけ足早に歩き始める。
「これからどうしたらいいかしら?」
『がっこうとか、むかってみる?』
割れたアスファルトから噴出す苦い味の黒煙に顔を顰めて潜り抜け、家屋を踏み潰して闊歩する大百足の脇を密やかに駆け、瓦礫の山の影に身を寄せ座り込む。
鮮血ぶちまけた色の空を揃って仰ぐ。空を泳いでいく腐った竜やそれを狩ろうとする黒衣のナニカに、唐突な終末の景色に、千歳は唇を噛む。
(どうあっても、三人で生き延びて見せる)
「最悪、俺がナニカを抑えるからその内に逃げろよ?」
空を見上げたまま、刀が嗄れた声で囁く。
「俺の事は気にするな」
死の覚悟に青褪めた頬を、固い決意の光宿した黒い瞳を、傍らの少女ふたりに向ける。
「刀君、またひとりで何とかしようと……」
千歳が凛々しい眉を寄せ、険しい表情をする。
(またそんなこと言って一人でなんとかしようとして)
海は青い瞳を悲しげに歪める。千歳と同じような言葉を発しようとして、声を出すこと叶わぬ己が喉に指先で触れる。
(……また?)
ふと、気付く。前にも同じ事を問い質したことがある。どうしてそんなことを言うの、と。
けれど、それはいつだったのだろう。
喉に触れた指先が動く。首筋に刻まれた印をまさぐろうとして、あの時痛みと共に覚えた悦びを思い出そうとして、訝しく瞬く。
(何の、しるし?)
「俺は他の何よりお前らが大切だから」
どこまでも真摯に、刀は続ける。
「そこに俺が居なくても元気で笑っていて欲しいって願ってんだ」
だから頼むよ、と優しく微笑む刀に、海は必死に首を横に振る。一人だけ犠牲になるのは駄目だと伝えたくて、胸に抱え続けてきたノートを開く。急いで文字を綴ろうとして、
(そうやって一人でなんとかしようとするのは私が足を引っ張ってるせいじゃない?)
ペン先が止まった。
刀は強い。千歳は強い。けれど、自分は守られることしかできていないのではないか。
(もし私がいなければ)
ペン先のインクが涙じみて白い画用紙に丸く広がっていく。
「……何、ですって?」
刀に伝える言葉さえ失って俯く海に代わり、千歳が低く声を震わせる。こみあげる激情を躊躇い無く迸らせ、掌を振り上げる。少年の頬を張ろうとして、刀の瞳に宿る静かな決意とぶつかった。手を膝に下ろす。身を焦がす烈火の如き怒りを抑え切れず、震える指先を伸ばす。両手で胸倉を掴もうとして、少年の胸に縋りつく格好になる。
「刀君、私さっきも言ったわよね!」
低く低く、怒鳴る。少年の、一途な故の身勝手さを、大切に思うが故の見くびりを、いい加減にしろと詰ろうとして、
(あれ?)
己の言葉に千歳は首を傾げる。さっき、とはいつだろう?
(さっき、)
助けてもらった時? それとももっと前?
胸倉を掴んで俯く千歳の黒髪を見下ろし、ノートに言葉を綴ろうとして青い瞳を伏せる海を見やり、刀は肩が萎むような息を吐き出す。千歳の肩を掴み、海の頭を撫でる。
前にも、こうしてふたりを悲しませてしまった気がする。怒らせてしまった気がする。
「……それが一番お前らを傷つけるって言うのなら、ずっと傍に置いて離しやしないよ」
傷つけたいわけではない。その逆なのに。持てる力の限りに守りたいのに。それほど大切な人間なのに。それを伝えようとすればするほど、ふたりを苦しめてしまう。
そうして今も、もしかしたら傷つけようとしているのかもしれない。刀は終末の空を睨み上げる。近づく終わりを撥ね退けようと瞳に力を籠めるも、赤い空に繰り広げられる狂宴は終わりを見せぬ。
「ただ今みたいな時にお前らが傍にいたら、」
終わりの世界で、少年は少女ふたりに手を出す。緋色に染まる瓦礫の山へ少女ふたりの背を押し付け追い詰める。
「俺は何をするか分からないんだ」
艶やかな黒髪を震わせて固まる千歳を、受け入れるように青い瞳を淡く笑ませる海を、片方ずつの腕の中に収める。きつく抱きしめる。
「刀君」
千歳が小さくもがく。海が苦しげな息を零す。それでも離さず、千歳の熱い首筋に唇を押し付ける。甘い体臭に誘われるように歯を立てる。
「いッ……?!」
千歳の両腕が腕にしがみ付き、爪をたてる。それにも構わず、白い首に赤い痕を刻む。自分の物だという印を付ける。そうしてもう片方にかき抱いた海の華奢な首にも唇を埋める。食らい尽くすように激しく強く、傷を付ける。
少年の獣じみた愛情表現に、海は溺れるように体を柔らかく震わせる。痛みと熱に浮かされ、涙滲ませて見開く青の瞳に映るは、頭上の赤い空。翼を狩り落とされて墜ちる腐った竜。
夥しい血を撒き散らし、烈風を巻き、巨大な竜が降ってくる――
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月06日
参加申し込みの期限
2015年06月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月13日 11時00分
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