怪人セブンの暗躍｜リアクション

怪人セブンの暗躍

「……下品な笑い声を食事中にしないでくださいな？」
　そこへ泉月花が魅紗歌を連れてやってきた。
「今の発言、お姉様への冒涜と受け取るからね？」
　魅紗歌は自分の前髪をむんずと掴むと、それを勢いよく引っ張った。
　茶髪の髪の下から、輝くピンクブロンドが現れた。
「まぁ、みんな勘付いてたと思うから身バレしちゃうけど、魅紗歌は『強欲』の大罪持ちなんだよ。そして、これが『強欲』の黙示録。暗示は＜成就＞……」
　魅紗歌のペンダントには藍色の宝石――ラピスラズリが輝く。
　それを日登美へ向けておもむろにかざす。
「……『黙って』くれない？」
「！？」
　日登美の笑い声が突然途切れた。
　まるで音声がミュートされたかのように彼女の声が消え去っていった。
「……効果はこんな感じ。魅紗歌の内在神魂エネルギーを代償に願いを叶えることができるんだよ。……あー、一気に疲れたぁ」
　椅子の背もたれに体を預けてぐったりしたまま動かなくなる魅紗歌であった。
「……！」
　十文字は魅紗歌のペンダントを凝視していた。
（あれが『強欲』……。私は『強欲』の器だって言われた。どういうことなんだろう？）
　思い切って尋ねるべきか迷った。
　ただ、双子メイドの言葉が引っかかる。
『今ここで潰せば！』
　自分が器だということを打ち明かすのはリスクがあるのかもしれない。
　十文字はひとまず沈黙を保つことにした。
「お待たせしました。どうやらこの変態が不快な思いをさせてしまったようで申し訳ありません」
　泉月花が詫びたあと着席する。
「お約束通り、叢雲教団の新計画『モーニンググローリー』について概要をお話します。しかし、説明するのはあたしではありません。見事、この計画を見破った方に直に説明していただきたいと思います」
　泉月花は入口に目線を移す。
　英雄たちも一斉に見遣る。
「……なんでこんなことになったのかな、まったく」
　解せぬと言いたげな鋭い目つきの少年が困惑しながらレストランに入ってきた。
「……さぁ、その優れた洞察力を皆さんの前で披露してください」
「悪いがあれはただの勘だ。それがたまたま当たったってだけで、裏付けは後からみんなが集めてくれた情報でやっと確信が持てたくらい脆いもんだぞ？　それに、俺はお前が飯を奢ってくれると聞いてやってきただけなんだけどな？」
「そう言わずに……。お願いしますよ」
　加納は期待のこもった目つきで少年を見遣った。
「……御剣刀さん？」
　少年――御剣刀はもったいつけるように着席した。
「さて、どこから話そうか」