For I am persuaded that neither death nor life,
nor angeles nor principalities nor powers,
nor things present nor things to come,
Nor height nor depth, nor any other created thing,
shall be able to separate us from the love of God which is in Christ Jesus our Lord.
――――――From "The Epistle of Paul the Apostle to the ROMANS" Chapter 8
<前回のあらすじ>
叢雲教団最高権力者の加納 泉月花によって、敵対集団『メサイア』の撲滅を強要された寝子島住民たち。
住民たちの多くは、もれいび狩りの殺人鬼『怪人セブン』と戦った者達。
――『名も無き英雄たち<ネームレスヒーローズ>』と呼ばれる都市伝説的存在であった。
彼らは牢屋に残る『人質組』と『メサイア撲滅隊』に別れて行動することになった。
撲滅隊は想定外の事態に見舞われ、劣勢に追い込まれる中、
メサイアのアジトでリーダーのビリオン(九重 零次)と邂逅。
ビリオンの証言によりメサイアの目的が明かされると、事態は一変。
撲滅隊は一時的に教団打倒のために協力関係を組むことに。
しかし、彼らに突如として襲い掛かる不幸。
燃え盛るバス。少女へ振り下ろされる暴力。
満身創痍の撲滅隊は、全員、帰還できずに病院へ搬送された。
そして、ビリオンは1人の少女に『嫉妬の黙示録』を託した。
「動けない俺たちに代わって、石を全て集めてくれ」
「全部集まったとき、叢雲の真の野望を打ち砕く武器になるだろう」
ビリオンの言葉に、少女は動揺を隠せなかった。
一方、人質として居残った面々は、泉月花の罠にはまる。
落とし穴の下、地下プールに落とされた一行は、自力での脱出を敢行。
途中、配下の黒服の正体を見破った人質たちは、この事件の謎に直面する。
そして彼らの一部が謎を解き明かすために泉月花への強襲を試みた。
しかし、泉月花のろっこん『蝿王の狂宴』によって思わぬ反撃を受けた。
撤退を余儀なくされた人質たち。
謎は、未だ解明されていない。
【泉月花、来訪】
なんの変哲もない寝子島の週末。
町役場では、
中沢 リッカルド町長が満足げに会話を弾ませていた。
「いやぁ! こんな大規模なイベントを催せるなんて興奮しますね!」
町長と向かい合って話す女性も、コロコロと声を転がして笑う。
「寝子島はこの夏、野外音楽祭で盛り上がったと伺っています。今回も大盛況は間違いないでしょう」
――
加納 泉月花!
叢雲教団の
ひきこもり主席巫女が、今、寝子島のトップと会談しているのだ!
ただし、今の泉月花の格好は、漆黒のパンツスーツに真っ赤なブラウスという姿。
真紅のハイヒールがやけに扇情的だ。
そしてその胸元に付けられたネームプレートには、こう記されていた。
『草薙製薬 専務取締役 加納 泉月花』
この姿は、泉月花のもう1つの顔。
草薙製薬の社長令嬢としての、ビジネスとしての彼女の姿だ。
実は、草薙製薬がスポンサーとして企画しているファッションショーの企画会議のため、町長をはじめとする役員たちと泉月花率いる草薙製薬の面々、そしてイベントプロダクションの三者を交えての会議が行われているのだ。
「今回は下見で寝子島へ伺ったのですが、ここはとても快適なところですね」
泉月花の言葉に、過剰に反応して熱っぽく語りだす町長。
「そうでしょう、そうでしょう! 風光明媚な自然に美味しい食べ物! そして住民の人柄! 世界に誇れる町ですよ!」
「世界に誇れるって凄いよね!」
泉月花の隣で話を聞いていた、齢15前後の少女が身を乗り出した。
「でも最近やっとスポットライトがあたった島だよね。あとこの島独特の宗教があるんでしょ?」
これには町長は泉月花から少女へ標的をロックオンせざるをえない。
「いえ、最近ではないのですが……」
町長は苦笑いしながら、少女へ回答した。
「寝子島は歴史ある島で、古くから親しまれている島です。
落神伝説という伝承もあるほどです。そうだ、
今年行われたお月見の奇祭なんて、早朝にもかかわらず全国から多くの人で賑わったのですよ! そこで繰り広げられたドラマティックな出来事といったら……!」
「落神伝説かぁー」
亜麻色のツインテールを揺らしながら、少女は首を傾げていた。
ちなみに、リッカルド町長の熱弁は全く耳に入っていない様子だ。
彼女は今年の春から人気急上昇中のアイドル、壺井 魅紗歌(つぼい みさか)である。
熱狂的なファンが多いことで、ワイドショーでも頻繁に取り上げられている。
そして今回のファッションショーでランウェイを歩くモデルのひとりだ。
「さて、このあとは寝子島を少し観光しようと思います。是非とも九夜山に足を運びたいところですが……」
泉月花はスケジュールを確認すると眉をひそめた。
「体が1つだけというのは不便ですね。三夜湖どころか展望台も無理でしょうね」
「やはり相当お忙しいのですね。よかったら、召し上がってくだい」
町長はねぎらいの言葉とともに、皿に山盛りになった寝子饅頭を泉月花に差し出した。
「あら、甘いものは疲れた時にいいといいますし、いただきますわ」
泉月花は皿ごと全て受け取ると、ものすごい勢いで平らげていく。
リッカルド町長、呆然。
20個あった饅頭が10秒足らずで泉月花の胃の中へ消えていった。
「……ごちそうさまでした。ところで町長さん。九夜山もしくは三夜湖に伝わる伝承はどこに行けば調べられますか? 実は、この島の郷土史にとても興味がありまして……」
するとリッカルド町長は即答した。
「この近くの図書館で調べられますよ! 私直々に職員へ連絡を入れて書籍を集めさせましょう! お忙しいでしょうからね?」
「ありがとうございます! とても助かります!」
泉月花はニコニコと微笑みながらお辞儀をしたあと、魅紗歌の顔を見遣った。
「魅紗歌はどうしますか?」
「泉月花お姉様についてくよっ。あと甘いもの食べたい! お店にあるもの、全部!」
元気に声を上げる魅紗歌。
それに泉月花の唇が上機嫌に釣り上がった。
「いいですねぇ! そういえば、寝子島には前から気になっていたお店もあるのでした。図書館で調べものが終わったあと、足を運んでみましょうか?」
「やったぁー!」
仲の良い姉妹のような2人は、会議を終わらせると足早に町役場を後にした。
リッカルドは内心、まだ食べられるのか、と度肝を抜いていた。
【救世主からの依頼】
泉月花と魅紗歌が寝子島グルメを求めて島中を彷徨う数時間前。
芽森 菜々緒のもとへ、メサイアのリーダーである九重 零次(通称ビリオン)から連絡が入った。
本日、泉月花が直接この島に来て、何かを行うらしい。
『それを調査して、可能であれば阻止してほしい』
メサイアは現在、叢雲教団の策略によって冤罪で指名手配されている。
表舞台に立てない彼らは動けない。
代わりに菜々緒を通じて『名も無き英雄たち<ネームレスヒーローズ>』に依頼をしたのだ。
『それと、あの女狐は必ず黙示録を持参しているはずだ。奪還するなら今回が好機だ。頼んだぞ』
菜々緒は通話を切ると、星ヶ丘寮の自宅の窓から空を眺める。
彼女の手には、亡き義父の遺言状。
その遺言状の片隅に、小さな文字で暗号と文章が書かれていた。
文章には
『怠惰の黙示録、ここに眠る』と記されている。
見上げた秋の青空は、絶好の行楽日和に相応しかった。
菜々緒を通じて、ビリオンの依頼が君たちに届いた。
今回もまた、日常の裏側で暗躍する『怪人セブン』との熾烈な戦いは、避けられそうにない。
君たちはフツウを死守すべく動いてもいいだろう。
だが、無法者の言葉に耳を貸さずに休日を謳歌するのもいいだろう。
選び取りたまえ、何が一番最善なのかを。
暴力だけが心を折る手段とは限らない。
時には言葉の方が、鋼よりも鋭い刃となって相手を斬り捨てるのだ。
難易度:絶 望
僅かな情報量から、どれだけ推理して行動できるかが重要です。
今までの伏線を加味して行動しないと足元をすくわれるでしょう。
無論、単独行動や薄いアクションは、『お察し下さい』ませ。
作戦と行動は自己責任でお願いします。
字数限界まで詰め込むのと同時に、第三者から見て理解しやすい内容が求められます。
個々のアクションの相互影響がとても大きく、小さなミスが命取りになります。
※ご注意ください※
以下のアクションは、失敗となる可能性が高いのでご了承願います。
・シナリオ全体の趣旨に添ってないアクション
・他のPCとの対立や妨害を目的としたアクション
※難易度については、焼きスルメのマスターページ参照
※この難易度は、乾物のシナリオのみに適用されるものです。
【過去の七罪シリーズ】
※第1部(菜々緒編:ファントム・メモリー)※
<序 幕・原罪>怪人セブンの邂逅
<第1幕・憤怒>怪人セブンの断罪
<第2幕・傲慢>怪人セブンの正義
<第3幕前編(番外編)>芽森菜々緒の友愛
<第3幕中編(外伝)>レディ・ロゼッタの運命考察 ※清水るねマスターとのコラボシナリオです!
<第3幕後編(本編)・嫉妬>怪人セブンの歌劇
※第2部(叢雲編:ゴッド・セイヴ・ザ・クィーン)※
<序 幕・福音>怪人セブンの復讐
<第1幕・暴食(前編)>このシナリオです。
ガイド概要
菜々緒を通じてビリオンから依頼が君たちに入った。
泉月花の企みを暴き、可能であれば阻止しろ!
並行して、可能であれば泉月花の持つ『黙示録』を奪取せよ。
(ただし、こちらはあらゆる危険・理不尽が伴うと予測される)
シナリオ開始時は昼前の11時からスタート。
タイムリミットは20時(魅紗歌が帰宅するため)。
泉月花たちの現在地は、魅紗歌の現在地を追うことで特定可能。
(ファンや野次馬たちがSNSで発信しているので情報はすぐに拾える)
心無い野次馬の無断撮影画像で、泉月花と魅紗歌が同行している事実も掴める。
<PL情報(PCの皆さんの知り得ない情報)>
泉月花と魅紗歌の行動予定表。
(※ただし、PCからのアクションで変動する可能性もあり)
11:00 町役場(出発点&シナリオ開始)
↓
11:10 寝子島図書館
↓
12:00 昼食(場所未定。泉月花「めしどこか たのむ」)
↓
13:00 洋菓子店(店探し)
↓
13:30 寝子島高校見学(補習で野々 ののこ登校中)
↓
14:30 ステッラ・デッラ・コリーナでイベントの打ち合わせ
↓
19:00 打ち合わせ終了後、ホテル内の超高級レストラン(貸切)へ
↓
20:00 魅紗歌、帰宅(タイムリミット&シナリオ終了)
【ビリオンからの依頼内容】
今回、ビリオンからの依頼は大まかに3つ。
・泉月花の企みを阻止しろ(成否のための絶対条件)
・泉月花の企みの全貌を暴け(大成功条件)
・泉月花の持つとされる『暴食の黙示録』を奪取せよ(次回シナリオ難易度低下条件)
依頼をこなす際に、どのようにアプローチするかは参加者の自由。
依頼を無視して日常生活を送るアクションを送ることも可能。
泉月花には有名アイドルが同行している点に注意。
不穏な動きをすれば間違いなくPC側の立場が不利になる。
また人気アイドルの宿命か、常に熱烈ファンの『壺職人』たちが影から魅紗歌を見守ってる。
ストーカーとは言わないであげよう。魅紗歌に無礼(暴力など)を働こうとするのはどんな状況でも非推奨。
彼女を守ろうとする『壺職人』たちの思わぬ攻勢と妨害の恐れがあり。
このあたりのケアもシナリオ結果に影響するので留意すべし。
自らフツウを壊してでも突破せざるを得ない状況も発生しうるだろう。
フツウを守るために誰かのフツウをねじ伏せる覚悟を、備えよう。
【懸念】
以下、ビリオンからの情報。
・今回、泉月花以外にも2名の教団関係者『強欲』と『色欲』が寝子島へ来訪している
・2名の“大罪持ち”はもれいび
・2人とも女性である
・『強欲』のろっこん内容は不明だが、『色欲』は“変装に長けた能力”らしい
・強くて狡猾だと思われる
・その他、近くにはいないが叢雲教団の黒服たちが周囲に控えている場合もある
・単独行動は、いかなる時でも危険だと思うべし
・全てを疑え、肯定は敗北だ
・ただし、今回も『黙示録』が何らかの神魂の影響を受けている可能性は否定できない
【暗号】
遺言状の片隅に書かれていた暗号。
これを解くと『怠惰の黙示録』が埋まっている場所を特定できる。
まやかなはかたあなあらまたなかななまた
左中下下下上下上左中上中上下左下右下下
暗号は菜々緒が参加者へ依頼とともに送信している。
【ネコジマ・ランウェイ】
今秋に寝子島で催される予定の大規模なファッションショー。
毎年、開催地は日本全国を転々と移動している。
今年はリッカルド町長のプレゼンが功を奏し、寝子島で開催されることが決定した。
会場は星ヶ丘の超高級ホテルのステッラ・デッラ・コリーナが候補地に挙がってる。
しかし、今回の下見で開催地を変更する可能性も……?
【壺井 魅紗歌(つぼい みさか)】
4月から突然スターダムを駆け上がったシンデレラアイドル。
元々は横浜の公立中学を卒業したフツウの少女だった。
現在は超有名私立高校の芸能科に通いながら、多忙な芸能活動に邁進中。
ニックネームは『みさリン』で、歯に衣着せぬ毒舌キャラがドS感を醸す。
見た目のベイビィフェイスとのギャップに悶える人が多いのだとか。
彼女の熱烈なファンは『壺職人』と呼ばれて、ワイドショーでも取り上げられるほどの知名度。
今回のランウェイのモデルの目玉の1人として登場する。
何故か泉月花を“お姉様”と呼び、実の姉のように慕っている。
「今日は2人でデートだね!」とご機嫌の様子。
【加納 泉月花】
前回の『復讐』で大いに荒ぶった暴食令嬢。
しかし今回は仕事モードなのか、前回のようなトゲトゲしさは控えめ。
「そんなことよりマカロン食べたいです」
食べ物を求めて、現在、魅紗歌と共に島内で迷子中……?
マカロン以外も、寝子島グルメに興味津々で、とにかく空腹。
PCが案内してくれる飲食店は、何の疑いもなく付いていくくらい空腹。
懐いてくる魅紗歌との関係は不明。
しかし、どうやら彼女のマネージメントらしき事をやっているようだ。
なお、なぜか叢雲教団の巫女服+ブーツは着替え用として持参している。
泉月花の謎のつぶやき → 「本当の神は誰がふさわしいのか?」
【教団の目的(PL情報)】
落神伝説の史跡や神魂現象の名残りの調査のために来訪。
今回、参加者がノーマークだった場合、計画は一気に9割近く進行する。
そして次回のシナリオで計画実行に移り、不利な状況を強いられるだろう。
難易度の関係上、各自で見事に推理してみせよ。
【芽森 菜々緒の行動は厳重に監視せよ】(PL情報)
菜々緒は極力、泉月花と顔を合わせたくない様子。
(お願いすれば同行に応じるが、終始何かに怯えている)
参加者をアゴで使うビリオンにも不満を抱いている模様。
また、菜々緒を同行させるか否かで本シナリオの結末も変化する。
菜々緒は『黙示録』は破壊すべきだと考えている。
記憶が曖昧で理由は覚えていないが、衝動的に破壊しようと動く。
(故に同行時は金槌を隠し持っている)
ただし、『色欲』と菜々緒は面識がある。
『色欲』を特定したい場合は菜々緒の同行を推奨する。
しかし、同行すると高確率で菜々緒の精神汚染が進む。
これはシナリオ結果に直結するため、念頭に置くべし。
【所持品】
無理のない範囲で『日用品』と呼べる品物を2点まで使用が可能。
たとえ通販で買える品物でも、“一般人が普段から携帯しなさそうな物”は認められない。
武器や防具の携帯は非推奨。
アイテム化していても例外は認めない。
マスターより
今回はちょっと趣向を変えてみました。
ごきげんよう、乾物こと焼きスルメです。
一見ヌルく感じますが、難易度は『絶 望』です。
その油断が失敗を招くぜ!!
今回は推理メインです。
つまり「何をするべきなのか」を考えるシナリオです。
七罪だけではなく、幅広い視野での考察を推奨します。
思わぬ観点が読み解く鍵になるかもしれません。
ちなみにシナリオ開始時は、九割九分で叢雲側に有利な展開です。
どこまで参加者の皆さんがひっくり返せるか、お手並み拝見させていただきます。
そして、『強欲』と『色欲』も今回登場します。
さぁて、君たちは彼女たちを突き止められるかな?
残る“大罪持ち”は、あと3人……。
<とても重要>本リアクション内のお願い<熟読して理解必須>
リアクション執筆の関係上、お店コミュニティの名前とリンクを記載する可能性があります。
「載せてくれ!」という参加者の方は、是非ともコメントをお寄せくださいませ。
【追記】
※コメントは、シナリオに参加しているコミュニティ管理人の方に限ります。
それでは、気合を入れて、覚悟を決めて、ご参加下さいますようお願いします。
叢雲教団の暗躍を阻止できるのは、あなたなのかもしれません。