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白霧のその向こう
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睫毛に宿る霧の粒を幾度かの瞬きに振り払い、
朝鳥 さゆる
は強い意志宿した瞳をもたげる。視線の先に、水墨画じみて霧に滲む巨木。
露に濡れた前髪をかきあげ、紅茶色の瞳に力をこめる。霧が乱反射させる僅かな陽光を、神木の幹に埋まった数多のおはじきがそれぞれの色に弾いている。
さして眩しくはない頼りなげな光に、さゆるは瞳を細める。
影鬼の傍ら、銀色の髪した幼い少女が立ち上がる。その存在に今の今まで気付かずに居て、さゆるは小さな息を零す。
さゆるに見止め、銀色の少女はあどけない微笑みを唇に刷き、――霧に紛れるように、消えた。
こちらの世界の物の怪の類なのか、それとも己と同じ世界からこちらに迷い込んだ人なのか。浮かんだ疑問は、けれど神木に身体の半ばを呑まれて眠る巨大な『鬼』を見た途端に霧散する。
歪んだ口元からはみ出す凶暴な牙、薄い瞼に覆われた陰険な金壷眼、神木に捕われて空に突き出す三本指の先の鋭い爪、細長い手足に不釣合いなほどに膨れた腹。御伽噺に出てくる鬼を思い起こさせるその姿。
「前と変わった部分はなさそうだね」
霧に半ば紛れて聞こえた誰かの声に、さゆるは動じぬ瞳を瞬かせる。霧の向こう、玉砂利を踏んで近づく軽い足音。深い森の色した髪を揺らし、
桜庭 円
は黄昏色の瞳で神木に埋まる『鬼』を仰ぐ。
冷静な瞳で『鬼』を観察しつつ、円はふと首を傾げる。
記憶を奪う『鬼』とよばれるものたち。
記憶を取引に使うあの町の物の怪たち。
(記憶を奪うこの鬼達も街の一部かも?)
その証拠に、翁面の男が『神木』と呼ぶこの樹木には、町の住人から奪った記憶が取り込まれている。記憶を奪う『鬼』が捕えられる格好で眠っている。
神木を、『鬼』を、静かに観察していた円の眼差しが止まる。
黄昏色の瞳を捕えたのは、幹に埋まった茶色のおはじき。
ふわり、優しく暖かい雰囲気纏うたそれに、訳も知らず惹かれて指を伸ばす。取り出して手に包めば、
(御爺ちゃん)
あの日奪われた祖父と散歩した記憶が、祖父の掌の、背中の温もりと共、再び胸に戻った。
(今度は捕まらない)
おはじきを大事に握り締め、今しも動き出そうとする『鬼』を見上げる。
(……失っても惜しくないはずの記憶だけど……)
己の記憶を奪った『鬼』を睨め上げ、さゆるは掠れた声で宣戦布告する。
「……癪に障るわ、一方的に奪われるのは」
身動ぎもせぬ鬼から視線を外し、壁のように聳える目前の神木を見遣る。樹皮に数多埋まり煌くおはじきの中の、たったひとつ。
淡い水色したおはじきに指を触れさせる。軽く爪を立てれば容易く掌に転がり落ちるおはじきを両手に包む。
冷たい海の色した光が、胸を満たす。
どこまでも落ちてゆきそうなほど冴えた空、風に舞い上がる大切な帽子。――幼い日の、哀しい記憶。
(……あの頃からちっとも変わっていない)
胸に広がる薄靄にも似た悲しみに、堪らず胸が詰まる。こみあげる涙を堪えて瞼を伏せる。感情を無理矢理腹の底に呑み込み押し殺す。
小さな息を零して、頭上に響く樹皮の軋みを耳にした。
冷たい霧を吸い込む。刀の鞘を片手に握り締める。瞼を上げる。
樹上に金色の瞳を開いた『鬼』と眼が合った。
樹皮を引き裂き、『鬼』が神木から解き放たれる。玉砂利を蹴ってその場から飛び退るさゆるを追い、地響きたてて鬼が地面に降り立つ。
ひと声吼えるなり、鬼はその細長い腕をさゆる目掛けて振り放つ。鞭のしなりに似た音唸らせる一撃を見るよりも先、さゆるは駆け出す。
(命がけの鬼ごっこね)
地を蹴るために引き結んだ唇が、背中に走る冷たい戦慄に歪む。それが氷じみた微笑になっているとも知らず、ただひたすらに、走る。
振り回した腕の先に玉砂利を引っ掛け盛大に撒き散らし、忌々しげに鬼が喚く。前と変わらぬ鈍重な足取りで追うてくる。
首もとに揺れる赤いお守りを視界の端、肩越しに振り返る。霧を切り裂く鬼の腕。闇雲に振り回されるその腕に、時に迷うて立ち止まる重い足音と霧に滲む鬼の巨大な影に、
(然程見えていないのかしら)
自分の体力と鳥居までの距離を勘案しつつ思う。息が切れている。矢張り鳥居までの全力疾走は難しい。
そう言えば、ほとんど同時に奪われた記憶を取り戻したあの子はどうしたのだろう。
鬼があの子を襲っている気配は無い。あの子の姿は霧に隠れて見えない。
鬼の足が止まる。不機嫌に唸り、無闇に両手を振り回す。
(間違いない)
あの鬼は霧に視界を塞がれている。
短く息を吐き出し、足を止める。踵を返すと同時、刀を鞘走らせ、霧に霞む鬼の巨体向け、地を蹴る。
鬼の腕が霧を裂く。渦巻いて流れる霧の向こう、鬼の金色の眼が凶暴に光る。
「……ッ!」
振り回される腕を掻い潜る。砂利に滑り込む。巨体の脇を滑り抜け様、玉砂利を踏しめる三本指の足の甲に刀を突き立てる。
全身の力をこめて刃を捩じ込む。鬼が苦痛の悲鳴を上げる。倒す必要はない。追跡不能になるか、立ち直るまでに距離を稼げればいいだけの、捨て身じみた渾身の一撃。痛みに身を捩る鬼を一瞥もせず、体勢立て直してその場を離れようとして、
耳元を風が唸った。
身体が宙に飛んで、鬼の手に張られたのだと気付く。気付くと同時、肩から地面に叩き付けられる。
意識が一瞬飛ぶ。近づく重い足音に気持ちばかりが焦る。
「しっかり!」
霧を巻いて、小柄な少女が倒れ伏したさゆるの目前に立つ。その手に、赤いお守り。
(逃げなきゃ)
さゆると鬼の間に立ちながら、円もそれは解っていた。
(でも)
祖父の、顔が浮かんだ。小さい頃、助けてくれた時のあの笑顔。
――失敗してもいいからやってみなさい
祖父の声が聞こえた気がした。
祖父の手が背中を押してくれた気がした。
その力のまま、円は手にしたお守りを鬼目掛けて力いっぱい投げつける。何の力もなさそうな手作りのお守りが、喚き立てる鬼の身に当たる。
瞬間、凍りついたかの如く、鬼が動きを止めた。
「行こう!」
振り返り、倒れ伏すさゆるの腕を掴もうとして、緩い力で解かれる。
「……先に」
朦朧とする意識を取り戻そうと頭を抑え、さゆるは掠れた声で助けを拒絶する。
「行かないからね!」
円は振り解かれた手を振り回す。もどかしさに足を踏み鳴らし、もう一度さゆるの前に足を踏ん張って立つ。逃げるのが無理なら、
(引き付ける!)
前回は相手を見くびっていた。
以前受けた一撃を脳裏に描く。あの内側に爪を戻すような攻撃。
(常識で考えては駄目だ)
人のかたちでない手から繰り出されるリーチの長さ、人にありえない回復の速さ。
お守りに縛められていた鬼の腕が動く。足に突き立てられた刀を鬱陶しそうに引き抜き投げ捨てる。
(隙をみて逃げる為に、とにかく回避中心で)
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ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
前回シナリオ
黄昏空のその向こう
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月20日
参加申し込みの期限
2015年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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