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白霧のその向こう
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掌に掴めそうな霧を払いのけ、武者鎧姿の骸骨が数体現れる。虚ろの眼窩を巡らせ、白霧に立つ
音羽 紫鶴
を見止めるも、すぐに興味を失くす。乾いた音をたて錆びた鎧を軋ませ霧の行軍を再開させる。
(……ここは)
霧の中、次々に現れては消える物の怪を薄墨色の瞳に捉えては離しつつ、紫鶴は動じぬ仕種で物の怪たちを追う。彼らに、見覚えがあった。
(あの時の世界か)
霧の雫が結ぶ黒い睫毛をもたげる。渦巻く霧の向こう、物の怪たちが目指すのは紅の鳥居のその先。
「何があるんだい?」
巨大な鳥居の巨大な柱の下に陣取り、黙々と針仕事をする翁面の男と黒髪の少女に問うて、
「神木があるのですー」
いつのまにか翁面の男の傍らにしゃがみこんでいた銀髪の少女からの返事を貰った。翁面の男が顔を上げ、銀髪の少女の言葉を補足する。
「……そうか」
息をひとつ、紫鶴は頷く。
(僕はとられなかったけれど、とられた人達にとってはまたとないチャンスだね)
ひとの姿せぬものたちが、紫鶴たちに構う余裕も見せずに翁面の男から武器やお守りを受け取り、鳥居の向こうへ歩んで行く。玉砂利を踏む音が遠ざかる。
(さて、)
『鬼』に記憶を奪われず、因って奪い返す必要のない紫鶴は鳥居柱の下に立ち尽くす。このままただ帰るだけでは面白くない。
「どないするん」
行くのなら、と翁面の男が赤いお守りを差し出す。着物の膝には、作りかけで手を止めたお守り袋。男の傍らに正座する黒髪の少女は、男の手伝いらしい。
「……そのお守りは不思議な力でもあるのかな」
『鬼』の足取りを止めると翁面が先に言ったお守りは、けれど、
「なんもあらへん。材料見てみ、普通の布と普通の和紙や」
「そうか」
それなのに、彼が作るお守りが妙に気になるのはどうしてだろう。
お守りを見下ろして黙り込む紫鶴を先には行かぬと見て、翁面は裁縫仕事に戻る。不器用な手つきで縫い上げられて行く、赤いお守り。
(……渡したい相手は、)
まず脳裏に浮かんだのは、生まれた時から決められて居た婚約者。
(否)
紫鶴は薄墨の瞳を僅かに歪める。一番に渡したいのは、――
「このお守りは誰かに渡しても大丈夫だろうか」
膝をつき、どこか不安気に問う紫鶴を、翁面の男は面の奥の疲弊したような眼で暫く眺め、
「……待っとり、これやるさけ」
作りかけのお守り袋を懸命に縫い上げ始めた。
慣れぬ手つきの運針を眺めながら、紫鶴は脳裏に浮かんだ病みやつれた兄を想う。病床の兄は、己を忌まわしげに睨み付けている。
(俺からのものだとわかったら絶対に受け取ってはくれないだろう)
その確信だけはあった。
(母にお願いして自分からだとは伏せて渡してもらおうか)
兄に渡したいものも渡せず、己が存在を潜めるような遣り方しか考えられず、肩をそっと落とす紫鶴の手に、翁面の男は赤いお守りを握らせる。
「……ありがとう」
「中身ないさけ、あんたがあんたの祈り籠め。和紙に祈り記して封し」
受け取ったお守りを両手に包む。特別な力はないという、ただのお守り。けれど、この不思議な世界で作られたお守り。
(もしかして)
そう、思ってしまう。ありえない希望を抱いてしまう。
(わかっている)
こんなものを渡しても兄の身体はよくならないだろう。
そして例え体が良くなっても、きっと何も変わらない。兄は多くのものを奪う弟を、――紫鶴を、憎み続ける。
(わかっているのに)
こんなものに、とお守りを握り締める。中身のないお守りは、紫鶴の力のままに潰れた。
薄墨の瞳がぎくりと丸くなる。恐れるようにそっと開いた掌で、潰れたお守りは多少の皺を残しながら元のかたちを取り戻した。
こんなものにもしもと縋ってしまう自分を自覚して、その愚かさに思わず唇を歪める。
あの頃のように、昔のように、戻りたかった。兄とまた一緒にただの兄弟として触れ合いたかった。
――紫鶴
優しく名を呼んでもらいたかった。頭を撫でて褒めてもらいたかった。
(貴方が)
霧の彼方に、視線を放つ。
(貴方がどれだけ僕を憎んでも、僕にとっての兄は貴方だけ)
幼い頃、その背を必死に追いかけたのは、
(貴方だけ、なのに……)
愁い滲む瞳を瞼に閉ざす。唇に自嘲めいた笑みを刻む。
(全く、僕もどうしようもないな)
新しいお守りを作るべく、一心に手を動かしていた男が面掛けた顔を不意にもたげた。
「どないした」
真白に霞む霧の向こう、男に声を掛けられた人影がぎくりと身を竦める。
(……寝子島神社?)
紅鳥居を仰ぎ、
葉利沢 倫理子
は黒い瞳を瞬かせる。
午前中に気分が悪くなり保健室で体を休めた後、学校を早退し、その足でかかりつけの心療内科に向かっていたはずだった。
歩むうち、二年前の悪夢に蝕まれたままの体と心が悲鳴を上げた。
フラッシュバックする記憶に息が詰まった。胸が痛い程の速度で脈打った。一生このままなのかと絶望して、――気がつけば、濃霧の世界に迷い込んでいた。
「とりあえずこっち来ィ」
呼ばれるまま、恐怖に竦んでいた足を一歩踏み出す。知らぬ間に涙の滲んだ目を幾度も瞬かせ、睫毛に宿った雫を払う。
(考え事しているうちにこんなところへ……)
いや、と首を横に振る。うなじで切り揃えた漆黒の髪が霧に緩く震えた。
(それはない)
だとすれば、ここは一体どこなのだろう?
答えを求めるため、恐怖に萎えそうな足に力を込める。ここがどこであろうと、踏み出さなくては先に進めない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
前回シナリオ
黄昏空のその向こう
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月20日
参加申し込みの期限
2015年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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