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白霧のその向こう
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全ての色を群雲の灰色に呑み込む白霧の中にあって、その小さなおはじきは、青空の光集めた若草の緑を宿して
新井 すばる
の瞳に輝いた。
「綺麗なもんだ……」
神木、と紅鳥居の下の男が呼んでいた巨木に近づくなり、己の眼を惹きつけた若草色のおはじきに天眼鏡越しの瞳を寄せる。
「どれ、ボクの記憶を返してもらおうかな」
梢さえ見えないほど高く聳える神木に視線を上げる。白霧に黒々と濡れる神木の幹には、それぞれに違う色を宿した数千ものおはじきが埋まっている。小さな硝子のかたちが分かるほどに浅く埋まったもの、宿した光がほとんど判別できぬほどに深く呑み込まれつつあるもの。
無数のおはじきのその上、樹皮と霧に絡め捕られた格好で瞼を閉ざし眠る、四体の『鬼』。
不気味な彫刻のようにも見える四体の『鬼』の一体、己が記憶を奪った薄っぺらな影のかたちした『鬼』に向け、すばるは眼鏡の奥の茶色の瞳を細めて見せる。
「大事なものだというのは分かってたんだよ……」
天眼鏡をしまい、若草色のおはじきに触れる。指先に少し力をこめただけで色づいた硝子は幹から離れ、すばるの掌に落ちた。
紅鳥居の下で聞いた通りにおはじきを両手に包み込む。瞬間、瞼の裏に光が弾けた。
(そうだ)
温かな光と共、心にあの時の記憶が広がる。
風に揺れるポニーテール、彼女が言った通りの場所に隠れていた大事なぬいぐるみ、
(これだ、)
お日さまの熱を集めてぽかぽかだったシロツメ草、茶目っ気たぷりのウィンクと差し出された天眼鏡、
(この記憶)
探偵を目指すことを決めさせたあの日の記憶。
「よし」
確かに受け取った記憶に思わず笑む。あとは、と神木に身動き封じられた『鬼』を見上げる。あの影のかたちした鬼から逃げ切ることができれば、
(ボクの勝ちというわけだね)
みしり。神木が軋んだ。
影の鬼を幹に繋ぎとめる樹皮が剥がれる。生木を裂く音を立てて、鬼の半身が宙に下がる。
地を蹴り早速逃げ出そうとして、
(ん、まてよ?)
すばるは不審な瞳を解放されつつある鬼へと向ける。掌に握りこんだ若草色のおはじきを見やる。あの鬼はどうしてこんなものが欲しいのだろう。
(ま、考えるのは逃げ切ったあとだね)
駆け出しつつ、指先にちくわをはめる。
(影に吐息、その思考すら凍らせてやろう)
玉砂利を蹴立てて走る。肩越しに振り返れば、白霧に黒く影引いて、鬼が音もなく地面に降る。地を滑り、真直ぐにすばるに追い縋る。
「来たな」
ちくわを嵌めた指先を鬼へと向ける。這い寄る鬼の足取りを読んで素早く放つは、
「そこっ」
指に嵌めたちくわの先から発射される、ものを凍らせる光線。
宙を奔った冷凍ビームは、けれど寸前で避けられる。影の残像を残して方向転換する鬼に向け、
「はい、今度はそっち」
次に放つは冷凍ビームではなく、猛烈な勢いの海水。
「お宅もしつこいね、なんでそんなに人の記憶がほし……」
海水弾の勢いに押され、それでも必死にもがく鬼に向け、半ば呆れ気味の言葉を投げかけて、すばるはふと口を閉ざす。掌にきつく握りこんだおはじきが、妙に熱い。
(なんだ?)
先ほど感じた春の陽射しじみた温かさではなく、もっと強い夏のような熱を帯びた、光。
――ボクにも出来る?
――もちろん
(この記憶は)
いつかの記憶の、その続き。
夏の陽射しのように強く煌く光が、その記憶が、心に跳ねる。
――けど、人まねじゃダメよ。
記憶の中の彼女が伸ばした指先ですばるの鼻先をつつく。あなたはあなたを目指しなさい、そう言って笑って、瞳に真摯な色を浮かべる。
――すばる、少しあなたに時間をあげましょう
空を仰いだ彼女の横顔を、よく覚えている。
――私を越えなさい。それが私ののぞみ
あなたが高校を卒業する日、と彼女はまるで探偵に挑戦する怪盗のような笑みを唇に刷く。ウィンクをする。
――私は戻ってくるわ。あなたに勝つためにね
(そうか、この記憶はとられたんじゃない)
光が閃くように、思い至る。
(封印したんだ)
彼女の記憶に引き摺られないように。
あの人を目指すのではなく、自分らしい星になるために。
「お前はボクの味方なのかい?」
連続して放ち続けていた海水弾を止める。己の言葉に首を捻る影の鬼に、すばるはおはじきを握った手を差し出す。逃げ出すことを止める。惑いない足で鬼の傍に歩み寄る。
「返すよ」
影鬼の前、おはじきを包んだ拳を開く。
「いや、君にあずけた方がいいかな?」
思いがけぬすばるの行動に、鬼が戸惑う。怖じる子供の仕種ですばるの掌のおはじきに影でできた薄っぺらな指を伸ばす。
「心配無用」
一度は取り返した記憶を永遠に奪われると知っていて、すばるは躊躇いなく笑う。
「ボクは新井すばるだ。あの日も今も、」
誰でもない、自分だけの仕種でウィンクをする。
「もちろん輝ける未来でもね」
おはじきを影の両手に包み込み、霧に包まれた神木へと帰る鬼に軽く手を振り、
「うん?」
すばるは眼を瞬かせる。大人が何十人と手を繋いでも囲い切れないほどの巨木の根元、銀色の長い髪した少女がぽつり、座り込んでいる。
さっきまでは確かに居なかったはずの少女に、けれどすばるは楽しげな笑みを頬に刻む。こんな不思議な世界だ、何があっても不思議じゃない。
例え、ひとのかたち持たぬ鬼に向け、ひとのかたちしたあどけない童女が僅かも動じず話しかけたとしても。
「こんにちはなのですー」
影のかたちした鬼の横、
ゼロ・シーアールシー
は人に話しかけるかのような口調で立つ。記憶宿したおはじき持たぬゼロに見向きもしない鬼の黒い紙で出来ているかのような肘に触れる。
「ゼロはゼロなのです」
のんびりと話しかける。
「お名前はなんとおっしゃるのですー?」
小さな指で掴んだはずの鬼の腕は、何の抵抗もなくスルリ、すり抜けられる。心底不思議そうに細いうなじを傾げるゼロに構わず、鬼は地面を無数に這う太い樹の根の間に蹲った。
樹皮を軋ませ、根が蛇のように蠢く。鬼の身体を捕らえ、落ち着く場所を探して玉砂利を掻いて後、樹の根は微塵も動かなくなった。
「この樹も生きているのです?」
生きているのかもしれない神木に、ゼロは月光の色した瞳を上げる。
「こんにちはなのですー」
霧に溶けて見えない高い梢に向け、白く小さな掌を振る。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
前回シナリオ
黄昏空のその向こう
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月20日
参加申し込みの期限
2015年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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