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白霧のその向こう
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眼鏡のレンズに雫を結んだ白霧を指先で払い、ついでに剃髪の頭も掌で拭う。
少しばかり鋭い、それを自覚しているが故の眼鏡を掛け直し、
齋藤 智照
は己を包む霧を見渡す。
露を払ったというのに眼鏡の向こうに広がるのは、依然変わらず白くぼやけた見慣れぬ世界。
(霧の中を歩く、と言うのも風情のあるものですが)
僧衣の膝さえ時に覆う霧の濃さに眉を寄せる。こうも深いと、
(少しばかり迷子の子供の様な気分にさせられますねぇ)
祈るように手首の数珠をまさぐり、伸ばした視線の先、不意に鮮やかに赤い鳥居がそそり立つ。
「おや」
「よう、坊さん」
以前、物の怪が溢れ返る不思議の町の入り口で僅かに言葉を交わした翁面の男を眼に留め、智照は挨拶の代わりに両手を合わせる。
霧の中にあって妙にはっきりと見える紅鳥居の下、翁面の男から鳥居の向こうにあるものを告げられ、
「折角の機会ですし、持って行かれたものをひとつ取り戻してきましょうか」
住職は鋼の意志を柔らかな表情に隠して微笑む。ならばと渡されたお守りを両手で大事に奉げ持ち、僧衣の袂に入れる。手を合わせ、丁寧に頭を下げる。
「いらん、仕事や」
「翁といえば『あの世とこの世を繋ぐもの』やら、ひいては『神仏そのもの』という話も聞いたことがございますが」
はたして、と穏かに口にする。
「こちらの方はどういった『存在』なのでしょう」
「あんたはあんたが何なんか判るんか」
「私は私、ですよ」
音来寺の住職は物腰柔らかく応じ、鳥居の奥の霧に今しも消えようとする深緑の髪した小柄な少女の背中を見送る。
(この霧のように目には見えど掴めない存在でしょうかねぇ)
気にはなるがあまり深く詮索はせず、霧に湿る僧衣を鳥居の向こうに立つという巨木へと向ける智照の背に、
「……わしは只の手伝いに過ぎん」
翁面の男の嗄れた呟きが届く。
「ならば御主人は――」
振り返り問おうとするも、鳥居の外側に座す翁面の男の前には黒髪の女性と茶髪の少年。邪魔するは本意でなく、智照は濃霧に黒衣を翻す。玉砂利を踏み、霧の奥へと迷いない足取りを進める。
(さて、……他にもどなたか居られるようですし……)
朝鳥 さゆる
は愁いを帯びた亜麻色の瞳を霧にもたげる。白く霞む視界に反して、鋭く尖る神経のせいでズキズキとこめかみが脈打つほどに意識が冴えている。
蒼白いほどの頬に落ちた漆黒の睫毛の影を震わせ、疲弊した吐息を零す。
長い夜を一人で過ごすことを何よりも厭うた。だから、常ならば行きずりの相手か心を伴わぬ付き合いの誰かと体だけの快楽に溺れた。そんな気になれない夜は睡眠剤で夢すら見ない深い眠りに己を沈めた。
今日は、後者のはずだった。薬の力を借りて、朝か昼まで泥のように眠りこける、
(はずだったのに)
薬で落ちる眠りをよく知っている。夢など見ない。
ならばこれは、何?
かつて読んだ小説の一節を思い出す。それに続く文言は、確か。
「……目覚めて見る夢は」
続けようとした一文を、横合いからの冷静な声にさらわれた。
「あの小説の中でも印象深い一節だ」
少年の声に、さゆるは平坦な視線を向ける。
己と同じように霧に迷うたのか、亜麻色の髪した同じ年頃の少年が怜悧な微笑みを此方に向けている。
生き急ぐように破滅的な生活を送っている為、さゆるは高校生の年ながら余り学校には通っていない。友人も作ろうとしていない。
それでも、ほんの僅か、いつか学校で見た少年の姿が記憶の端に引っ掛かる。
「……ええ」
言葉少なに応じ、静かに瞬く。目前の翁面の男が語る言葉に耳を傾ける。それぞれの手に半ば押し付けられたお守りをそれぞれに見下ろす。
「ありがとうございます」
お守りをポケットにしまい、
八神 修
は翁面の男の前に膝をつく。お守りの山とは別にもうひとつ、無造作に積み上げられた武器の山を示す。
「弓を、お借りできますか」
「持って行き」
弓と矢筒を取るために身を捻る翁面を修は見つめる。
「貴方は」
奇縁に因って出会ったこの彼は、何者なのだろう。
「何時からそうしているのです?」
「ここの門が開いた時からや」
「いつまでそれを続けるのです?」
「ここの門が閉まるまでのお勤めや」
次々に質問を投げる修を漆黒の瞳に映したまま、さゆるは己の記憶を思う。以前此処に迷い込んだ際に失った『記憶』。
(記憶なんてどれも辛いだけ)
失くした記憶がどのようなものであっても、惜しくはなかった。
(けれど)
あの時のどうしようもない喪失感を覚えている。
あの時零れた涙の冷たさを覚えている。
(あの、喪失感)
「貴方の大切な物は……」
「刀を、貸して」
気付けば、さゆるは手を伸ばしていた。我知らず動いた身体に惑うよりも先、翁面の男がその手に刀を握らせる。
頷くように小さく頭を下げ、さゆるは静謐な決意を胸にお守りを首から下げる。振り返りもせず、鳥居の内へと、己が記憶を奪った『鬼』の元へ、踏み出す。
「……『鬼』か」
己の喪失を埋めんが為、真直ぐに歩み始める少女の背中を見遣り、修は呟く。翁面の男から受け取った弓を握り締める。
「気ィつけ」
「ありがとうございます」
矢筒を背に追い、少年は強く微笑む。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
前回シナリオ
黄昏空のその向こう
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月20日
参加申し込みの期限
2015年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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