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白霧のその向こう
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「亡くした人に会えるよ」
視界を白く濁らせる濃霧の最中、燈籠の前の仄かな光輪の内に立つ翁面の少女に向け、
「ほぅ」
傲岸にも映る笑みを浮かべる。
「……糞ガキの遊びにしては興味深いな」
「その代わり、記憶をひとつ頂戴」
差し出される小さな白い両手を見下ろし、僅かな躊躇も見せず頷く。
「いいだろう」
長身の腰を屈め、少女の両掌に己が片手を乗せる。
「乗ってやるよ、その遊びに」
小馬鹿にした笑みを浮かべようとして、少女の手に触れた途端、脳裏にまざまざと蘇った幼い日の記憶に、思わず頬を強張らせる。
――こわいよう
幼い日、泣きながらしがみついた母のぬくもり。
今なら鼻で笑い飛ばせる拙い怪談話に、幼い頃は本気で怯えた。電気を落とした天井におっかないお化けが顔を覗かせる気がした。
暗い廊下を渡って、母親の布団に潜り込んだ。
(無様な醜態を晒したな)
布団の中に満ちる母親の匂いに例えようもなく安心した幼い己を叱り飛ばして、気づいた。今の今思い出したはずの記憶が、胸から刳り抜かれて消えている。
「……本当に、死んだ者に……」
問う声が震えた。
「会えるんだろうな?」
詰問に近く問質されても、翁面掛けた少女は怯えもせずのんびりと頷く。八雲から記憶を奪った白い指で霧の墓所の奥を示す。
「あっちよー」
あどけないまでの声に背中を押され、霧を押し退け歩み始める。
幽霊のように立ち上がる古びた卒塔婆にも、土饅頭に乗せられた曰くありげな石にも、霧に暗く梢振る痩せた柳の樹にも、なにものにも一瞥もくれず進んだ、その先。
視界を鬱陶しく塞ぐ霧の向こう、ただひとりを待ち受けて佇む人影。
霧に濡れる長い黒髪に、紫水晶に似て優しく煌く瞳に、己に向けて差し伸ばされる華奢な手に、息を忘れる。
「……本当に紫苑……なのか?」
瞳を見開き、視界を滲ませる霧を掻き分ける。それでも滲む視界に、拳で瞼を拭う。足を踏ん張る。息を吐き出すように嗤ってみせる。
「貴様に会えればいの一番に言いたかった事が有る」
虚勢張るように、罵ってみせる。
「貴様、よくもこの俺を散々振り回してくれた!」
出会ったのは大学だった。
広いキャンパスを前に立ち呆ける彼女の、風に揺れる黒髪をひどく美しいと思った。そう感じた己を誤魔化すように、気紛れを装って助けは要るかと声を掛けた。
――ありがとうございます
振り返って微笑んだ彼女の、紫水晶とも見紛う瞳に一瞬見惚れ、
――でもそんなむすっとした顔ではなく笑顔の方が素敵ですよ
朗らかに真直ぐに、何のてらいもなく向けられた笑顔と言葉に、余計なお世話だとその時は心底苛ついた。
それから後は、事ある毎に彼女の干渉を受けた。どれだけ邪険にしようとも無邪気にまとわりつく彼女に、こちらの仏頂面にも構わず返ってくる優しい笑顔に、時折見せる底なしの包容力に、いつしかひどく惹かれるようになっていた。
(極めつけが)
――私がずっと傍に居てあげます
あの、言葉。
「……守れてないじゃないか」
己で己の手の甲に刻んだ十字の傷を見下ろす。嗄れた声で囁き、霧に両腕を伸ばす。
「折角腎臓までくれてやったのに、……俺と餓鬼共を残して勝手に逝きおって、」
言葉で責め立てながら、先に逝った妻の体を強く抱きしめる。
「……この大馬鹿者が」
「ごめんなさい」
離すまいとしがみつく夫に、彼女は紫水晶の瞳に困ったような笑みを浮かべる。夫の背に両腕を回す。
「でも貴方と一緒になれて、本当に幸せな一生でした」
だから、と夫の胸に白い頬を寄せる。
「泣かないで」
「泣いてなど」
「私はいつも貴方の隣に居るから……子供たちの事、頼みますね」
それは、別れの言葉。腕の中から妻の体の感覚が消える。
「……ッ! 逝くな、紫苑!」
霧を掴む己が手に、八雲は喚く。
「俺は貴様が居ないと……」
闇雲に霧の先へと伸ばした指先は、けれど何も掴めず終わる。指先が空を掻く。足がもつれて玉砂利の地面に膝をつく。
「……俺は絶対に諦めないからな」
砂利を掴み、呻く。己が記憶を供物に死者との邂逅叶う場所で、愛する妻の名を呼ぶ。
「紫苑」
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ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
前回シナリオ
黄昏空のその向こう
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月20日
参加申し込みの期限
2015年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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