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神木の幹、角度によって薄い朱から深い緋にまで、まるで虹のように色を変えるおはじきを見つけて、
八神 修
は瞳を細めた。己が記憶宿したおはじきに手を伸ばすよりも先、目当てのものを見つけるに至るまでに確かめた『鬼』の位置と、出口である鳥居までの距離を脳内に確かめる。
ゴールに至るまでの道筋を幾つか描き、その中から最適解と思われる直線と、道を塞がれた場合の予備を選び出す。深呼吸ひとつの間、選び出した道を己が駆け抜ける様を軽く思い描く。
(行ける)
心に強く言い聞かせ、神木からおはじきを取り出す。両の掌に包む。脳裏に蘇るのは、虫を厭うようになった原因の記憶。此処で奪われて後、此処に迷い込むよりも先に別の神魂事件で取り戻すことが出来た、己の記憶。
(間違いない)
先に蘇った記憶と今取り戻した記憶を重ね合わせる。記憶を補強し、修は淡く笑む。鮮やかな色を揺らすおはじきを口に含み、飲み込む。
(これで落とす心配は無い)
生木の裂ける音が霧にくぐもって聞こえる。音の方角を確かめる。大犬のかたちした『鬼』が縛められていた場所だろう。
神木を振り返りもせず、駆け出す。間を置かず、四足が砂利を蹴立てる音が背後に迫る。出来うる限りに引き付け、体ごと振り向く。その勢いで、霧を振り払い駆けて来る黒い大犬にお守りを投げつける。
「……よし」
狙い過たず、お守りは大犬のかたちした『鬼』をその場に釘付けにする。動きを止める『鬼』に向け、修は素早く矢筒から数本纏めて引き出した矢を次々に射掛ける。
『鬼』の活動を徹底的に止めるべく矢を射ち込み、鋭い息を吐き出しす。他の鬼が来る前に再び駆け出そうとして、霧の中に蹲るひとりの少女を見つけた。
「真央」
「……修ちゃん」
「帰ろう」
ひどく憔悴して見える真央の手を、修は躊躇わず掴む。ほとんど抱える格好で手を引き、鳥居を目指す。
少女を支えて逃げる少年の背後、幾本もの矢で射抜かれた大犬が唸る。四足で立ち上がり、雨に打たれた後のように体を振るえば、その身を深く貫いていたはずの矢はバラバラと地面に落ちた。鬱陶しげに三角耳の頭を振り、追跡を再開させようとして、
「いけません」
霧の中から投擲されたお守りに身動きを封じられる。
「待て、ですねぇ」
片手で絡げ持っていた僧衣の裾を払い、
齋藤 智照
は数珠手繰る両手を合わせた。黒縁眼鏡の位置を直し、先に逃げたふたりの背が霧に紛れて見えぬことを確かめる。
「……さて」
動けぬ『鬼』を捨て置き、神木へと歩み寄る。霧に抜けた樹皮を埋める幾つものおはじきを見つめていた黒い瞳が、ふと楽しげに細くなる。智照が見つけたのは、ラムネ玉を潰したような色と形したおはじき。
他のおはじきに比べて大ぶりで形も不恰好なそれが、どうにも懐かしく思えて仕方がなかった。神木に向かい合い、丁寧に礼拝する。指を伸ばし、掌に納まるおはじきを両掌に包み込む。
大犬のかたちした『鬼』に奪われた記憶は、若気の至りで警察官に追われて必死に逃げ回った、懐かしくも笑える記憶。
こみ上げる笑いを我慢できず、思わず吹き出す。合わせた両手で笑い皺の口元を隠す。
(鬼たちから逃げるのよりももっと大変でしたねぇ)
鬼より恐ろしかったあの時の警察官の形相をも思い出して、もう一度笑う。
もしもこの記憶を持ったまま帰ることができたなら、
(思い出話をぶら下げてあの巡査さんに会いにいってみましょうかねぇ……)
おはじきをそっと手に包む。そのためにも、今はひたすらに走って逃げなくては。
「オブジェ……にしては趣味が悪いな、この埋まっている鬼は」
駆け出すための息を整えようとして、霧の向こう、ゆったりと歩んでくる足音と聞いたことのある落ちついた声音を耳にした。
目を凝らす。霧に滲んで、以前この地で行き会い、同じ『鬼』に追われた青年の鍛え上げた体躯が見えた。神木に半ば身を埋める格好の巨大な『鬼』の目を見つめる茶色の瞳には、『鬼』を怖じるどころか、どこか胸躍らせるが如く引き締まった笑みが滲んでいる。
お守りを厚い胸に提げ、おそらくは翁面の男から借りた古めかしい手甲と脛当を付け、覚悟決めて唇を引き結ぶ青年の横顔に、見覚えがあった。
「またお会いしましたねぇ。先程、先だっての女の子にもお会いしましたよー」
祈るように両手を合わせて一礼する僧侶に、
志波 高久
は闘技場に今しも登ろうとする戦士のような勇壮な笑みを静かに浮かべる。
(どんな記憶だったか……)
あの町で、僧侶と共闘し、共に破れた。『鬼』に奪われた記憶がどんなものだったのか、今は想像もつかない。けれど、
(『奪われた』ことだけは覚えている)
視線を神木に戻す。茜色した雫の型して、あの時奪われた記憶がある。手甲を軋ませ、腕を伸ばす。おはじきを手に取り、思い出す。
喧嘩に負けて逃げ帰ったあの日を、ケリをつけて見上げた空の色を。
(……なんだ……)
それがあまりにも今の状況に似ていて、くすり、小さな笑みが自然と零れた。
(俺は何年経とうが同じか)
霧に隠れた『鬼』が犬に似た唸り声をあげる。お守りの呪縛から解き放たれ、智照と高久を獲物と定めたか、威嚇じみた重い足音がゆっくりと近づいてくる。
「おやおや」
僧侶が相変わらずのどかな声音で、その癖、眼鏡の奥の瞳を鋭く光らせて微笑む。
(他にもどなたかいらっしゃるようでしたらその方がしっかり逃げ切れるようにお手伝いを、)
青年を目にする寸前まではそう思っていたが、
「さて、……リベンジマッチといこうか」
戦装束を身に泰然と霧の向こうを見据える彼に、逃走の意思は一抹も感じられない。
「助太刀はご入り用でしょうか」
「ありがたいが、俺が納得できない」
「では、ご武運を」
神木を背に、智照は高久の精悍な背を見送る。此処で行き会わせたのも何かの縁、見届けるが務めというもの。
何かあれば飛び込める位置に立つ僧侶の視線を感じつつ、高久は霧を巻いて現れる黒い大犬の『鬼』に強気に笑みかける。
思い出すのは、あの町で鬼に噛まれて記憶を奪われた状況。敗北の記憶。
(負けた記憶は糧となる、逃げた記憶は勢いとなる)
だから、とおはじきを拳に握りこむ。決して開かぬときつい拳にする。どんなに些細なことだとしても、己の記憶は己のもの。
(恥ずかしい記憶だが持っていかれるわけにはいかない)
それでも、二度負けるのであれば、敗北を糧に成長できなかった己が悪い。高久はそう断ずる。その時は潔くこの記憶を手放そう。
「負けたら永遠にくれてやる……さぁ、やろうか」
鬼の攻撃を誘いつつ、瞳は冷静に鬼との距離や周囲の状況を確かめる。背後は壁のように聳える神木、玉砂利敷き詰められた地面には縦横に這う太い樹の根。足場は悪い。
四肢を踏ん張り猛る犬鬼と同様、高久は戦闘態勢を取る。
「利子を付けて返させてもらうぞ」
巨体にそぐわぬ跳躍を見せ、鬼が高久に飛び掛る。全体重を掛けた太い前肢と鋭い爪を手甲に滑らせいなす。同時に競輪選手として鍛え上げ鋼の筋肉に鎧うた足で蹴りを放つ。
胴に重い一撃を受け、鬼が玉砂利を跳ね散らして地面に転がる。好機とばかり追撃掛けようとした高久の脛に、さしてダメージを食らったとも思えぬ動作で跳ね起きた鬼が喰らいつく。
「ッ!」
常ならば肉に届く犬の牙は、脛当に阻まれ高久に痛みを与えるに至らない。足に掛かる鬼の重みを苦にもせず、身を捻る。蹴りを振り切る。
牙を弾かれた鬼の身が宙に踊る。
玉砂利に足元をすくわれ、高久の体勢が崩れる。
四肢の利を得た鬼が先に疾走する。体勢を立て直そうとする高久に飛び掛る。全体重を掛けて高久を押し倒す。襲い掛かりながら哂い、喉元に食いつこうとする鬼の赤い口の中目掛け、高久は固めた拳を叩き込む。
己の拳削ることも厭わぬ攻撃に、鬼の勢いが弱まる。拳の勢いに負け、四肢の平衡を失いよろめく鬼の背、素早く回りこむ。黒い毛皮に覆われた背にのしかかり、太い首を肘の内側に抱え込む。もう片方の腕の力も使って頸を締め上げてしまえば、ほどなく鬼の巨躯から力が抜けた。
「お見事」
僧侶の賛辞を合図に、高久は強く結んでいた唇に奢るでも勝ち誇るでもない、静かな笑みを浮かべる。
開いた掌に、おはじきのかたちして、あの日の記憶。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
前回シナリオ
黄昏空のその向こう
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月20日
参加申し込みの期限
2015年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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