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白霧のその向こう
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「死者と会話?」
ご冗談を、と笑いかけて、自分を見上げる翁面の少女に、差し出された両掌に、
高城 律
は頬を引きつらせる。
「……ってマジかよ」
少なくとも、紅鳥居で翁面の男から『鬼』に奪われた記憶云々の話を聞かされても然程心を動かされはしなかった。なんか取られたっけか、と軽く思いつつ、迷い込んだ妙な場所を散歩がてらウロウロしていただけだった。
「嫌?」
翁面の少女が子供じみた仕草で首を傾げる。
「手でいいのか?」
「うん」
少女が頷くまま、片手を少女の両掌に重ねる。記憶を捧げる。
何の屈託もなく笑えた子供の頃の遠足の一日。母が作ってくれたお弁当、羨ましそうに見ていた妹、見送りに出てくれた父親、――色鮮やかに彩られていた、両親が居た頃の世界。大好きな誰かが自分の傍から居なくなるなんて思ってもいなかった、幼いあの頃。
いいよー、と少女の暢気な声に、律は疲れた瞳をもたげる。少女に見送られ、霧で白黒に滲んだ墓所に足を踏み入れる。
ふと、息を吐く。この世界は、元よりこの目が見る世界に似ている。両親と親友を自らの咎で失ったせいで、その罰のように色を失った眼で見る、色彩薄らいだ世界。
「りっちゃん」
懐かしい声に、いつか伏せていた眼を上げる。
「つばさ」
「やっと会えたね」
はにかむ笑顔もあの頃の記憶のまま、親友が霧の中、立っていた。
「お、前は……」
訳の分からぬ哀しみが込み上げて、律は喉を上下させる。
目前に微笑む彼女は、何度も悪夢に見た死に顔とは程遠かった。夢の中の彼女はいつも、怨嗟を浮かべて死に続けていた。
「俺が生んだ、幻だ」
許される訳がない、そう思った。
(あいつが俺を許すわけない)
「どうしてそう思うの?」
そう聞かれて、思い出せなかった。
夢とは違う親友の顔を見つめ、律はこめかみを押さえる。
何故、彼女は死んだ?
何故、こんなに胸が苦しい?
息を詰めて顔を歪める律に、彼女は淡く微笑む。
「忘れたままでいいよ」
どこまでも優しく、首を横に振る。
「決めてたの。心残りがなくなったら、そのときは……って」
だから、と真直ぐに見つめられ、
「君が私を殺したんじゃないよ、律」
そうまで言われて、けれど思い出せない苦しさに地団駄を踏む。もどかしさに頭を掻き毟る。
だから、と彼女は微笑む。諭すように告げる。
「私の死は悼まなくてもいいんだよ?」
「いいわけ、ないだろ!」
力いっぱいに怒鳴られ、彼女は泣き笑う。ああ、と律は思う。あの顔だ。
「こんな体だよ?」
病院のベッドで身動きできずに哀しく微笑んだ、あの顔。
「きっと私はいつか君の枷に」
「うるせぇよ! 俺は、」
己で己を縛めようとする彼女の言葉を遮る。
「お前さえいれば、何もいらなかったんだよ!」
あの頃に言えなかった言葉を今言って、
「私、……死ななきゃよかったなぁ」
彼女の笑顔に、今更なのだと歯噛みする。彼女はもう、この世に居ない。
「りっちゃん。……律」
名を呼ばれ、顔を上げる。音もなく間近に立った彼女の両手に絵筆持つ手を包まれた。
「私は君と会えて幸せだったよ」
何よりも愛おしいものにするように律の手を冷たい頬に押し当て、彼女はどこまでも微笑む。微笑もうとする。
「だから、……君も、幸せになってね」
「翼」
「ごめんね」
泣き笑いを浮かべた彼女の姿が霧に呑み込まれて消えてゆく。彼女が懸命に伸ばした指先がほんの一瞬、瞼に触れる。
彼女の指先の感覚が、瞼に熱を生む。熱宿る瞼をきつく閉じて、開く。
彼女は忘れていいと言ったけれど。
(奪われたんだ)
彼女の手を握り返すように、掌を拳に変える。霧の中、駆け出す。
纏わり付く霧を振り払い、必死に走る。その視界、
霧の中にあってまだ鮮やかに赤い色して揺れるリボンと、艶やかな漆黒の髪を見た気がしたけれど、それには眼もくれず、律は神木目指してひたすらに走る。彼女との思い出を取り返すために。
「……っ……?」
視界の隅、霧を巻いて疾走する人影に、
葉利沢 倫理子
は身を竦めた。自分で自分を守って、己が腕で己が身を抱きしめる。漆黒の髪を乱し、霧に不安な視線を走らせる。
地面を埋める玉砂利を蹴立て、霧の中を誰かが駆け去ってゆく。己に目もくれず霧に消えるその人影に、倫理子は小さな安堵の息を洩らす。
鳥居を潜った時と同じに、意を決する。先の見えない霧の奥に足を踏み入れる。あちこちにぼうやりと灯る燈籠の火に深い闇の色した瞳を彷徨わせる。いつの間にか周囲を取り巻いていた墓石や卒塔婆に、けれど不思議と恐怖は覚えなかった。
「こんにちわー」
一際大きな燈籠の台に腰掛ける巫女姿の少女を見つけても、それは同じ。
「今日は」
話しかければ、少女は語る。此の場に起こる不思議を。その為に必要な代償を。
応えを求めて差し出された少女の両掌に、倫理子は迷う。
会いたい人は居る。その為に記憶を差し出すことにも躊躇いは無い。
ただ、差し出すべきはどの記憶だろう。
(……あの忌まわしい記憶を捧げれば)
そうすれば、今の苦しみから逃れられるのだろうか?
少女に両手を預けようとして、思いとどまる。記憶を捧げる際にそれを思い出すことになる。二年を経た今でも、己が呼吸を奪い、心身に苦痛や恐怖を刺し込む、おぞましい記憶。
少女の掌に触れかけていた指先を一度拳に丸め込む。そっと息を整え、少女に微笑みかける。そうして捧げるのは、あの忌まわしい日を迎える数日前、まだ家族も友人もありのままの自分を受け入れてくれた最後の日、――十四歳の誕生日の、記憶。
何の屈託もなく朗らかに笑っていた自分を、何のわだかまりもない笑顔を向けてくれた周囲の人々を、眩しいほどに優しいその日の記憶を、倫理子は忘れる。
胸に開いた虚に心に巣食う闇が流れ込むのを感じながら、霧の墓所に迷う。
睫毛に宿った霧の粒が頬を伝う。疲れ果てた瞳をもたげようとして、ほんの数歩先、誰とも知れぬ墓に祈り捧げる小さな背中を見つけた。
声を掛けようとして、躊躇う。あの日から、どれだけ会いたいと願っても会えなかった、あの頃一番仲良しだった同級生の女の子は、あの日と同じ姿をしていた。
小学校五年生のその姿のまま、彼女は立ち上がる。振り返って、あの頃と変わらぬ笑顔を向けてくれる。
些細なことで喧嘩して、そのまま別れてしまった彼女。
喧嘩して別れたその日まで元気だったのに、次の日から学校に来なかった。自宅で倒れて、そのまま入院して、数日もしないうちに亡くなった。病気だったのだと後から聞かされた。
言葉を紡ごうとして、代わりに涙が先に溢れた。立ちすくんで泣きじゃくるばかりの倫理子の前、彼女が立つ。あの頃はほとんど同じだった背丈に差が出来ていることに、倫理子は自身と彼女を隔てる歳月を思う。
彼女が両手を伸ばす。俯いた頭を友達の細い両腕に抱えられ、自分よりも幼い子供にするように優しく撫でられ、
「ごめん……ごめんね……」
漸くその言葉だけが唇から溢れた。
「私……私、」
「ダメだよ」
全てを捨て去りたい倫理子の気持ちを読んだのか、友人が首を横に振る。
「まだ、来ちゃいけないの」
生きて、と優しく叱る。
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ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
前回シナリオ
黄昏空のその向こう
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月20日
参加申し込みの期限
2015年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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