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寝子島高校
そんな季節の変わり目に
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寝子島高校に向かう通りを
千鳥 雅人
と
鴇波 羽衣
が仲良く並んで歩いていた。どちらも高校指定のジャージを着用。デートという雰囲気ではない。二人の間に割って入ったのは重そうな段ボール箱で側面にミカンの絵が描かれていた。
雅人は頭頂の毛をやや下げた状態で羽衣に話し掛けた。
「羽衣ちゃん、重くない?」
「二人だから平気だよ」
ポニーテールを弾ませて羽衣が朗らかに答えた。そっかー、と雅人はのんびりした声で返す。
高校の正門が右手に見えてきた。躊躇いなく入ると羽衣が大きな瞳を輝かせる。
「こんなに落ち葉があるよ」
「本当だねぇ。秋の初めでも結構あるもんだねー」
二人は両側が赤茶色に染まった道を眺めて微笑んだ。落ちている枯れ葉を踏み締めて歩く。東門を抜けたところで雅人が足を止めた。
「ねぇ、羽衣ちゃん。体育館の隅の
水飲み場
に寄ってくれるかなぁ」
「なんで? あ、わかった! 洗うんだね」
「そうだよ。その場でアルミホイルを使って包んでもいいよね~」
「それ、いいかも!」
二人は右手に折れて体育館の隅にやってきた。段ボール箱を地面に下ろして中を開けると、ミカンではなくて大量のサツマイモが詰まっていた。
羽衣はうっとりとした目で覗き込む。
「このお芋がホカホカの焼き芋になるんだねー。雅人くんの実家に感謝だよ」
「胃袋が俺の代わりに寝込みそうな量だよ。家族には言ったはずなんだけどなぁ。俺は体育会系の部じゃなくて
製菓部
なんだよーって」
雅人は笑いながら土の付いたサツマイモを取り出し、大雑把に手で払う。蛇口を捻って水で洗い流すと持参したアルミホイルで手早く包んでいった。見よう見まねで羽衣も手伝う。
「その量のおかげであたしが食べられるんだから、いいじゃない。でも、休日の学校で焼き芋が楽しめるなんて、びっくりだよね。雅人くん、どうやって許可を貰ったの?」
「部活動を理由にしたんだけど、ちょっと動機が弱くてねぇ。落ち葉の清掃を加えたんだよ。それでも火の扱いに不安の意見が出たんだよなぁ」
「それでそれで」
羽衣は手を止めて話の先を促した。
「用務員の
チョーさん
が俺と一緒に先生を説得してくれたんだよ。最後の火の始末も見てくれるって。それで今回の焼き芋が許可されたんだよー」
「チョーさんって本当に良い人だよね」
「そうだね。道具まで貸してくれるし、お礼に焼き芋のお裾分けをしないとねー」
うん、と羽衣は張り切って手を動かした。
地道な作業を経て全てのサツマイモが銀色に輝く。段ボール箱に収められた状態で校庭の真ん中に移動した。
二人は用務員室で借りた装備で身を固めていた。白い軍手を嵌めて手には竹の熊手を携える。箒よりも枯れ葉を集め易いという助言を受けての物だった。
雅人は少し顔を引き締めて言った。
「えー、これから枯れ葉を集めるんだけど、この大きなビニール袋がパンパンになるくらいがいいかなぁ」
「そんなに落ち葉がいるの?」
「これがいるんだよねぇ。生煮えの焼き芋にならないように頑張って集めるよー」
「じゃあ、学校中を掃除するつもりで駆け回ってくるね!」
「それは凄いな。俺も負けないようにしないとねー」
最初に羽衣が跳び出した。落ち葉を目撃した東門に駆けていく。雅人はジャージの袖を捲ってグラウンドを取り囲む木々の下を掃いた。
「塵も積もれば、たぶんだけど焼き芋が出来るー」
頭頂の毛を機嫌よく揺らして落ち葉を集めていった。
「まだですかねー」
屋敷野 梢
は物干し竿に干された洗濯物を見て言った。茶色のハーフパンツの端を握る。指先を擦るように動かした。
「湿っているような気がします」
梢は竿から自身のパンツを外した。チャックを限界まで下ろして振り回す。強い風に吹かれる旗のようにバタバタと激しい音を立てた。
「こ、これくらいすればいいでしょ」
先程と同じように指先で湿り気を確かめる。ふふん、と梢は横柄な態度で笑った。
「乾きましたねー。これでようやく出掛けられまーす」
竿の洗濯物を一抱えにして部屋に取り込んだ。乾いたパンツを手に隅の方でそそくさと着替える。上は半袖のボーダーシャツのままで茶色のカーディガンを羽織った。
「九月中旬でも虫たちは元気です。張り切って散歩にいきましょー」
自身を鼓舞して歩き出す。途中でくるりと向きを変えて戻ってきた。腰にウェストポーチを付けて中に財布を入れた。
「夕食がなくなるところでしたー。今度こそ、出発しまーす」
元気に腕を振って梢は祖父の家を後にした。
「どこに行きましょうかねー」
定まらない足で適当に道を歩く。草むらでは不規則な軌道で蝶が飛んでいた。梢は走り寄って観察した。
「橙色が特徴的なアカタテハですねー。冬眠には早いようです」
蝶は梢を気に掛けることなく、奥まったところに飛んでいった。
少し歩くと小さな畑に出くわした。道の近くにナスが植えられていて大きな葉には無数の穴が空いていた。そこに丸っこい虫がいた。背中に黒い星の模様がある。短い脚で素早い動きを見せた。
「あらー、可愛らしいテントウムシですねー。な~んてことをいうと思ったら大間違いなのでーす!」
梢は葉の上の虫を指差した。
「テントウムシダマシが私を騙そうとしても……騙せてはいないのでニジュウヤホシテントウの名で呼んであげましょー」
虫は遅めの昼食を始めた。見る間に葉の穴が大きくなる。梢は丸めた人差し指を近づけて標準を定めた。そこで手を引っ込めて笑顔で歩き出した。
「指で弾いたりはしませんよー。カメムシと同じで臭いがNGなのです」
橋に差し掛かる。梢は横手の猫又川に目を向けた。赤い色の物体が川面近くを滑るように飛んでいた。空を見上げると仲間のように群れている。
「少なくなりましたが、まだ蝉もいるのに、もうアキアカネですかー」
梢は感慨深い表情で青い空を背景に飛び交うトンボを眺めた。十分に目で楽しむと散歩を再開した。寝子高の正門の辺りで鼻を引くつかせる。
「焦げ臭いですねー。なんでしょーか」
少し前屈みになって歩いた。グランドが右手に見えてきた。突然、横手から声を掛けられた。
「梢ちゃん、何してるの?」
「私は散歩ですよー。鴇波さんは学校で焚火ですか? それにしてもよく燃えてますねー」
「ただの焚火じゃないんだよ」
ねー、と羽衣は笑顔で話を振る。雅人は足元の段ボール箱から銀色に包まれたサツマイモを取り出して見せた。
「落ち葉を集めて焼き芋を作ってるんだよ。たくさんあるから梢ちゃんも良かったら」
「もちろん食べますよ! ちょうど糖分が欲しいと思っていたところなのですよー」
速やかに梢は引き返した。正門を駆け抜けてグラウンドにいる二人と合流した。
「焼き芋、いいですねー。とても秋らしいです。そうそう秋と言えばー、猫又川にアキアカネが飛んでいましたよー」
「俺はまだ見てないけど、秋なんだねぇ」
雅人は顔を上に向けた。飛んでいるトンボを探すかのように目を動かす。羽衣は少し顔を傾けて焚火の状態を窺った。
「なんか火が小さくなってきたんだけど」
「あ、そうだね」
雅人はビニール袋の落ち葉を掴んで火の回りを囲むように置いた。火は勢いを取り戻し、小気味よく爆ぜる音がした。
「周りに砂まで盛って凝った作りですねー。落ち葉も凄い量です。掃除が苦手な私は遅れてきて正解でした。あ、これが虫の知らせなんですかねー」
「梢ちゃんらしいね」
羽衣の笑顔に釣られて梢も笑った。
歓談の間に時間は過ぎて微かに甘い香りが漂い始める。
「焼けたかもしれないねぇ」
雅人は用務員室で借りてきた火バサミを手にした。しゃがんで灰を掻き分けて銀色の包みを引っ張り出した。手に持つとお手玉の要領で冷やし、アルミホイルの合わせ目を少し開いた。白い湯気が微かに上がり、鼻先を突っ込んだ。
「……甘い匂いがするねぇ。表面も程良く焼けてるし、これで完成だね。羽衣ちゃん、食べてみてよ」
「え、いいの?」
「もちろんだよ。次は梢ちゃんだねー」
「ありがとうございまーす」
全員に焼き芋が行き渡ったところで、いただきます、と三人は声を合わせて言った。危なっかしい手付きで皮を剥き、出てきた黄金色の部分に齧り付く。蕩けるような笑顔が溢れ出し、言葉にならない。
羽衣は頬っぺたに手を当てて目を細める。
「んん~美味しくて~、とっても幸せな気分~♪」
「実家で作り慣れてるんだけど、今日の出来は最高だね~。ホクホクでいてしっとり。和三盆糖のような甘みが口の中で蕩ける感じ……」
雅人の頭頂から突き出た髪が揺れ動いてハートのような形を作った。
絶賛する二人と同様に梢も自然な笑顔を浮かべていた。独特な表現で美味しさを語る。
「クヌギの樹液に群がる虫の気分になりましたー」
「梢ちゃん、焼き芋って甘くて美味しいね」
「おかわりしたくなるくらいに美味しいです!」
梢と羽衣は雅人に熱っぽい視線を注ぐ。
「たくさんあるからねぇ。どんどん食べていいよ」
その言葉の通り、焼き芋は各々の胃袋に収められていった。その果てに三人はグラウンドに仰向けとなった。各々が出っ張った腹を手で摩っている。
「もう食べられないのですー」
梢は茜色が混じる空に向かって気の抜けたような声を出した。耳にした羽衣は、そうだねー、と笑って雅人の方に顔を向けた。
「雅人くん、今日はお芋ありがとね。すっごく美味しかった~、からのごちそうさまでした!」
羽衣は両手を合わせて言った。雅人は、ありがとう、と口にして空に浮かんだ雲に目を向ける。
「でも意外とお芋、残っちゃったね……」
「私がすこーしですが、貰ってもいいですか? 夕食のおかずの一品に加えたいと思いまーす」
「いいよ、持っていってよ。あとは道具を借りた用務員のチョーさんだね。それでも余ると思うから……そうだ、今度の部活でサツマイモのケーキを作ろうー!」
その提案に羽衣が腹を摩りながらも興味を示した。
「えっ、次はケーキ!? 雅人くんの作るお菓子だし、絶対に美味しいよね。どんなのを作るの?」
「そうだねぇ、サツマイモのクリームがたっぷりのモンブランはどうかなぁ」
「それ、いいね! 今から楽しみだな~♪」
「モンブランですかー」
梢は甘ったるい表情で丸い雲に目を注ぐ。一部に捻りが入っていて柔らかいクリームのように見えた。
一息入れたところで後片付けが始まった。当然のように梢の手に軍手が渡された。
「掃除の魔の手から逃げ切れませんでしたー」
「食後の運動になるよね!」
羽衣は梢に満面の笑みを浮かべて言った。
空の雲が秋めく中、三人は賑やかな声で清掃に励んだ。
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グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年11月21日
参加申し込みの期限
2014年11月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年11月28日 11時00分
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