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満月の夜に
No Title -1/3-
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「あー……」
膝に両手ついて体を支え、
浅沼 柳司
は漸く辿り着いた展望台を見上げる。これ以上どこに逃げようかと見晴らしのいい場所から山道へと視線を巡らせれば、ついさっきまでは息遣いや哄笑する声も聞こえていた人外の者達の姿が、いつのまにか消えている。
燈籠の光に淡く照らし出された展望台の周りには、何も知らぬげに月見を楽しむ人々の姿。
「あー、良かったー」
「ほんと、良かったっス」
「そう、……ですね」
展望台の隅に座り込む柳司の隣、
樋野 秀吉
が息を切らして倒れこむ。
桐生 計都
が静かに立って月を仰ぐ。
「なあ、計都」
「ちょっと向こうに行って来ます」
何かに怯えているようないつもの様子の片鱗も見せず、計都はふいと柳司から視線を逸らす。そのまま、人気の少ない方へと足早に去ってしまう。
いつもとはどこか様子が違って見える友人に首を捻りつつ、柳司は計都が仰いでいた月を見上げる。
(前は変な面の奴おったけど、今回はおらんみたいやな)
ちらり、唇を尖らせる。
(おったら文句の一つでも言うたろうか思ったのに)
「……ほんまにいい月やなー」
疲れてささくれる気持ちを立て直したくて、わざと明るく軽く言ってみる。隣に倒れこんだ少年からの返事は無い。疲れ切って眠ってしまったか。
はっきりと見える兎の模様を確かめて、あーあ、と息をひとつ。
「……団子でも買ってきたらよかったな」
「……と、とと」
不意に、何もない場所から飛び出すようにつんのめるように、一人の少女が柳司の目の前でたたらを踏んだ。両脇に垂らした長い薄茶色の三つ編みをひらひらと揺らし、二三歩よろける。咄嗟に手を出す柳司に、夏草の色した瞳でにこりと笑いかけ、踏み止まる。
「なんか変な化物に追いかけられましたよー」
何でもない世間話をするような軽い口調でもう一度笑い、小さな息を吐く。
「まー、私にかかれば逃げるなんて朝飯前ですけどー」
「足早いん、お前?」
「お前じゃないですー、
屋敷野 梢
ですー」
「じゃ、屋敷野。俺は
浅沼 柳司
な。こっちで寝とるんは……名前まだ聞いてへんわ」
同じように光る薄を見た口かと理解して、柳司は目つきの鋭い悪人顔のその癖、気さくに笑って見せる。ろっこんの力で上手く逃げ切ってきたのだろう。
「ま、お疲れさん」
柳司に労われ、梢は小柄な体をくるり、蝶のように軽く一回転させる。
狼男に襲われようが、魔女に杖で殴りかかられようが、ろっこん『胡蝶の詩』で蝶になってしまえば、逃げる事は容易い。ひらひらと月光の空を舞い飛んで、淡い光を不思議に明滅させる燈籠と現実には見ない化物とが織り成す幻想的な空間を十分に楽しんだ。
山頂まで飛んで元の姿に戻ったところで、世界は何事もなかったかのように元の姿となっていた。無事に展望台について一安心、けれどこれで良かったのかと言う思いがちょっとある。
例えばあの不思議に怖い幻想的な場所で心強い誰かと出会ったり、うっかりロマンスが芽生えたり。そんなことは一切なく。何事もなく、相変わらず一人で展望台まで辿り着けたわけで。
「私の青春、これでいいんでしょーかねー」
小さくぼやいて、まあ今日に限っては、と俯けた顔を頭上の月へと持ち上げる。今日に限っては一人で正解だった。もしも祖父と一緒にあの化物に出会っていたら、
(……まあ、アレですし)
きっと困った事になっていたに違いない。だから今日は一人で正解、と結論づけて、梢は身軽にひょいと柳司の隣に座り込む。
「おとなしく家でお月見してれば良かったんですけどねー」
同じ歳ほどの少年と並んで夜空を仰ぐ。
「なんか、飛び出してみたくなった系女子です!」
「そういうときもあるやろな」
柳司が頷いてくれたことに気を良くして、
「月といえば、面白い小話があるんですよー」
梢は昆虫好きの本領を発揮する。興味を示して耳傾ける柳司に向けて語るは、夜飛ぶ虫の光に集まる習性について。人間が電気を生み出してからまだ短いのに、そんな習性を持っている、その訳。
「虫達は、みんな一斉に、月を目指して飛んでいったと言われています」
瞳をきらきら輝かせ、梢は一生懸命に話す。つと指先を持ち上げ、空に輝く月を示す。
「……周りに散らばる仲間との出会いを求めて、です」
「ふうん」
「ま、言ってみれば単なる繁殖行動の戦略なんですけど、それを考えなければ割とロマンティックな話ですよねー」
月が明るい。
「家を飛び出して、少しでも月を目指すのも悪くないでしょー」
「まあ、せやな」
家を飛び出した理由を月の明るさのせいにする梢に、柳司は笑みを零す。考えてみれば自分も似たようなものだと笑っていて、
「……空を飛べば、天に行った人に、逢えるんでしょーかね?」
遠い空を見つめて呟く、梢の夏草色の瞳にその笑みを沈める。そのまま背中に翅生やして空の彼方に飛んで消えそうな少女の様子に咄嗟に手を伸ばし掛けて、
「あ、答えは必要ありません!」
明るい笑顔で振り向かれ、伸ばし掛けた手の行き先を失った。小さく肩竦め、持ち上げた手を膝に落とす。
(答えを知るより、最期まで夢を見てる方が幸せですから)
心に呟き、梢は座ったときと同じように身軽に立ち上がる。夜も段々更けてきた。
(少し夢を見てこようかなー)
「じゃー、おやすみなさーい!」
ひらり、手を振る。
「私はちょっと、月を目指してきまーす」
(気が済んだらすぐ帰りますけどね)
月明かりよりも澄んだ明るい声で言った少女の姿が、瞬きのうちに青く輝く鱗粉散らす蝶に変わって、柳司は眼を丸くする。
仲間との出会い求めて月目指す虫そのものの姿で月光浴びる少女を見送り、柳司は梢が人外の者達から逃れた方法を知る。何や、と短く笑う。
「飛行仲間やんか」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月01日
参加申し込みの期限
2014年12月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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